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物価指数全般(2005年基準)のFAQ

2011年12月

目次

利用上の注意事項

FAQの構成

物価指数のFAQの構成は、以下の通りとなっています。このページには、全てのFAQの質問一覧および「1.物価指数全般のFAQ」の回答一覧を掲載しています。

  1. 物価指数全般のFAQ
  2. 企業物価指数のFAQ
  3. 企業向けサービス価格指数のFAQ
  4. 製造業部門別投入・産出物価指数のFAQ

質問一覧

1.物価指数全般(2005年基準)

こちらには、「物価指数全般(2005年基準)のFAQ」の質問を掲載しています。質問をクリックすると、質問に対する回答が表示されます。

2.企業物価指数(2005年基準)(the 2005 Base Corporate Goods Price Index)

こちらには、「企業物価指数(2005年基準)のFAQ」の質問を掲載しています。質問に対する回答は、以下のページにてご覧いただけます。

企業物価指数の概要に関するもの、他の統計との関連性についてのもの

  • 2-1.企業物価指数とは、どのような物価指数ですか。
  • 2-2.企業物価指数は、どのように利用されていますか。
  • 2-3.消費者物価指数、商品市況指数(日経商品指数、日本銀行国際商品指数など)、貿易統計の価格指数とはどう違うのですか。
  • 2-4.企業物価指数は、かつて公表されていた卸売物価指数とは何が違うのですか。
  • 2-5.企業物価指数では、どのような指数が公表されていますか。
  • 2-6.基本分類指数の「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」とはどのような指数なのですか。
  • 2-7.企業物価指数の総平均指数から何がわかりますか。総平均指数をみる際に注意する点はありますか。
  • 2-8.企業物価指数では、季節調整値を作成・公表していますか。
  • 2-9.「夏季電力料金調整後」の指数とは、どのような指数なのですか。
  • 2-10.参考指数の「需要段階別・用途別指数」とは、どのような指数なのですか。
  • 2-11.参考指数の「連鎖方式による国内企業物価指数」(連鎖指数)とは、どのような指数なのですか。また、基本分類指数の「国内企業物価指数」(ラスパイレス指数)との違いは何ですか。
  • 2-12.企業物価指数の公表時期やデータの入手方法、照会先について教えてください。
  • 2-13.時系列データにxという表示がありますが、これはどういう意味ですか。
  • 2-14.どういう場合に過去の計数の訂正を行っているのですか。また、何を見ればわかりますか。
  • 2-15.企業物価指数の動きを長期的な時系列で眺めたい場合は、どうすればよいですか。

企業物価指数の作成方法に関するもの

  • 2-16.指数の作成方法について教えてください。
  • 2-17.企業物価指数のウエイト算定には、どのような統計を使用しているのですか。
  • 2-18.企業物価指数で採用している品目はどのように決めているのですか。
  • 2-19.企業物価指数の「調査価格」とは何ですか。また、どのように設定されているのですか。
  • 2-20.企業物価指数では、どのような価格を企業から調査しているのですか。
  • 2-21.官庁や業界団体等が作成している統計は利用しないのですか。
  • 2-22.平均価格は、どのような場合に採用しているのですか。
  • 2-23.仮価格とは何ですか。
  • 2-24.消費財などでは商品の世代交代が頻繁に生じていますが、新商品の価格は調査されているのですか。また、調査対象としている商品の内容やその変更状況を教えてください。
  • 2-25.新旧対象商品を変更する際に、新旧商品に質的な差がある場合、両者の価格差を、企業物価指数上でどのように処理しているのですか。
  • 2-26.ヘドニック法はどのような商品を対象に適用しているのですか。また、ヘドニック法を用いることによって、値下がりを実態以上に指数に反映してしまうことはありませんか。
  • 2-27.企業物価指数では、どのような流通段階の企業から価格を調査しているのですか。
  • 2-28.輸出入物価指数における貿易取引条件(FOBやCIF)に関する考え方を、教えてください。
  • 2-29.輸出入物価指数における契約通貨別の構成比は、どのようになっていますか。
  • 2-30.企業から回答が得られない場合や、調査時点で取引・契約がない場合は、どのような扱いをしていますか。
  • 2-31.消費税等の間接税は、指数を作成する上でどのように扱われていますか。
  • 2-32.円ベースの指数を作成する際にどのような為替相場を用いているのですか。

基準改定、新旧指数の相違に関するもの

  • 2-33.2000年基準企業物価指数と2005年基準企業物価指数では、何が違うのですか。
  • 2-34.2005年基準企業物価指数で新しく調査対象となった品目、調査対象でなくなった品目は何ですか。
  • 2-35.2005年基準企業物価指数では、輸入物価指数の「生鮮食品を含む総平均」は公表されないのですか。
  • 2-36.2005年基準企業物価指数では、「国内・輸出・輸入の平均指数」は公表されないのですか。
  • 2-37.2005年基準企業物価指数では、「消費税を除く国内需要財指数」は公表されないのですか。
  • 2-38.参考系列の「電気・電子機器」とは何ですか。
  • 2-39.参考指数の「新聞・書籍・雑誌」とは何ですか。
  • 2-40.企業物価指数の2005年基準改定に関してまとめた資料はありますか。

3.企業向けサービス価格指数(2005年基準)(the 2005 Base Corporate Service Price Index)

こちらには、「企業向けサービス価格指数(2005年基準)のFAQ」の質問を掲載しています。質問に対する回答は、以下のページにてご覧いただけます。

  • 3-1.企業向けサービス価格指数とはどんな物価指数ですか。
  • 3-2.企業向けサービス価格指数はどのような目的に利用されていますか。
  • 3-3.2000年基準企業向けサービス価格指数と2005年基準企業向けサービス価格指数では、どのような点が異なりますか。
  • 3-4.2005年基準企業向けサービス価格指数から新しく調査対象となったサービスは何ですか。
  • 3-5.日本標準産業分類が2007年に改定されましたが、2005年基準企業向けサービス価格指数には、新しい標準産業分類が反映されているのですか。
  • 3-6.企業向けサービス価格指数ではどのような指数が公表されていますか。
  • 3-7.企業向けサービス価格指数を利用する際に、どんな点に気をつければよいですか。
  • 3-8.企業向けサービス価格指数で採用している品目やウエイトはどのように決めているのですか。
  • 3-9.企業向けサービス価格指数の調査対象サービスはどのように決めているのですか。
  • 3-10.多様化するサービスの価格設定への対応として、モデル価格はどのように設定されていますか。
  • 3-11.割引の多様化が進むサービスの価格調査方法を教えてください。
  • 3-12.オーダーメード・サービスに対して、どのような調査方法が適用されていますか。
  • 3-13.テレビ広告や事務所賃貸など、品質が時間とともに変化するサービスに対する品質調整方法を教えてください。
  • 3-14.郵便や電話のように企業と個人の両方が利用するサービスはどのように扱われていますか。
  • 3-15.商業サービスや金融仲介サービスが調査対象に含まれていないのは何故ですか。
  • 3-16.建物サービスにおいて、2000年基準指数と2005年基準指数の動きが大きく異なっているのは何故ですか。
  • 3-17.「事務所賃貸」の指数の動きは、民間調査機関による事務所の新規募集賃料の動きと異なる場合があるのは何故ですか。
  • 3-18.企業向けサービス価格指数における契約通貨別の構成比はどのようになっていますか。
  • 3-19.調査対象サービスを変更する際に、新旧サービスに質的な差がある場合、両者の価格差を、企業向けサービス価格指数ではどのように処理しているのですか。また、そうした処理を行うに際して何か課題はありますか。
  • 3-20.企業向けサービス価格指数において、ヘドニック法は使用していますか。
  • 3-21.消費税等の間接税は指数を作成する上でどのように扱われていますか。
  • 3-22.調査価格の契約通貨が外貨建てとなっているものについては、企業向けサービス価格指数でどのように扱っているのですか。
  • 3-23.企業向けサービス価格指数は季節調整されていますか。
  • 3-24.参考系列・参考指数について教えてください。
  • 3-25.企業向けサービス価格指数では連鎖指数を作成・公表しないのですか。
  • 3-26.価格調査から指数公表までの事務の流れについて教えてください。
  • 3-27.速報と確報について教えてください。
  • 3-28.企業向けサービス価格指数は、時折、過去の計数が訂正されていますが、どういう場合に訂正を行っているのですか。何かルールはあるのですか。
  • 3-29.企業向けサービス価格指数は5年毎に基準改定されていますが、企業向けサービス価格指数の動きを長期的な時系列で眺めたい場合はどうすればよいですか。
  • 3-30.公表されるのは基準年を100.0とする指数だけで、実際の価格が公表されないのは何故ですか。
  • 3-31.企業向けサービス価格指数のデータはどこから入手すればよいですか。
  • 3-32.指数の内容についての照会はどこにすればよいですか。

4.製造業部門別投入・産出物価指数(2005年基準)(the 2005 Base Input-Output Price Index of Manufacturing Industry by Sector)

こちらには、「製造業部門別投入・産出物価指数(2005年基準)のFAQ」の質問を掲載しています。質問に対する回答は、以下のページにてご覧いただけます。

  • 4-1.製造業部門別投入・産出物価指数とはどんな物価指数ですか。
  • 4-2.製造業部門別投入・産出物価指数はどのような用途に用いるのですか。
  • 4-3.製造業部門別投入・産出物価指数と、企業物価指数や企業向けサービス価格指数との違いを教えてください。
  • 4-4.製造業部門別投入・産出物価指数には、「部門」分類と「内訳」分類があるようですが、両者の違いを具体的に教えてください。
  • 4-5.製造業部門別投入・産出物価指数の「部門」分類と、企業統計でよく使われている「産業」分類は、同じ概念と考えてよいですか。
  • 4-6.「部門」指数をみることはできないのですか。
  • 4-7.製造業部門別投入・産出物価指数で採用している内訳小分類やウエイトはどのように決めているのですか。
  • 4-8.投入物価指数にサービスを取り込んだ理由は何ですか。
  • 4-9.指数を作成するうえで、消費税はどのように扱われていますか。
  • 4-10.交易条件指数の公表を取り止めた理由は何ですか。
  • 4-11.製造業部門別投入・産出物価指数は、時折、過去の計数が訂正されていますが、どういう場合に訂正を行っているのですか。何かルールはあるのですか。
  • 4-12.製造業部門別投入・産出物価指数は、季節調整されていますか。
  • 4-13.製造業部門別投入・産出物価指数は5年毎に基準改定されていますが、より長期的な動きを時系列で眺めたい場合はどうすればよいのですか。
  • 4-14.製造業部門別投入・産出物価指数は5年毎に基準改定されていますが、基準改定のタイミングが他の物価指数(企業物価指数や企業向けサービス価格指数)よりも遅いのはなぜですか。
  • 4-15.製造業部門別投入・産出物価指数のデータはどこから入手すればよいですか。
  • 4-16.指数の内容についての照会はどこにすればよいですか。
  • 4-17.2000年基準から2005年基準への移行における変更点を教えてください。
  • 4-18.1995年基準においては、作成方法を大幅に変更したと聞きましたが、具体的には、どういう変更が行われたのですか。
  • 4-19.1990年基準から1995年基準の改定においては、企業物価指数(旧卸売物価指数)を利用した加工統計へ移行したと聞きましたが、それはどういった理由によるものだったのですか。
  • 4-20.加工統計ということは、ユーザー自身が、企業物価指数や企業向けサービス価格指数を使って指数を作ることができるということですか。

回答一覧(物価指数全般(2005年基準))

1-1.日本銀行で作成している物価指数にはどのような種類がありますか。

日本銀行では、企業間で取引される商品(財・サービス)を調査対象とする3つの物価指数を作成しています。
第一に、企業間で取引される財の価格を対象とする「企業物価指数」、第二に、企業間で取引されるサービスを対象とする「企業向けサービス価格指数」、さらに、製造業各部門における原材料などのコスト変動と製品の価格変動との比較分析などのニーズに合わせて企業物価指数を組み替えた「製造業部門別投入・産出物価指数」を作成しています。

なお、日本銀行以外にも、総務省統計局が、消費者の購入する商品(財・サービス)を対象とする「消費者物価指数」を作成しています。
また、内閣府経済社会総合研究所が作成している『国民経済計算』において、別々に推計される名目付加価値額と実質付加価値額の比から事後的に計算される「GDPデフレーター」も、物価指数の一つです。

1-2.指数の作成方法について教えてください。

企業物価指数および企業向けサービス価格指数は、「統計法」に基づき、総務大臣に届出を行った上で実施している統計調査によって作成しています。

これら物価指数は、品質が一定の商品(財・サービス)の価格を継続的に調査することを原則としているため、毎月の価格調査では、予め特定した商品を継続調査しています。この物価指数の基礎となる調査単位を「調査価格」と呼び、「調査している価格内容」を意味しています。
具体的には、調査対象とする商品(素材、性能、規格など)のほか、取引条件(例えば、受渡し条件など)や取引先(販売する先)など価格に影響を及ぼし得る諸条件についても特定しています。このため、「調査価格」は、消費者物価指数で用いられる「調査銘柄」に比べ、調査する価格内容をより幅広く設定した概念であると言えます。
各「調査価格」において、毎月、報告される価格を「比較時価格」、比較時価格を基準年において平均した価格を「基準時価格」と呼びます。この比較時価格を基準時価格で除した指数(基準年平均=100に換算した指数)を、「調査価格指数」と呼びます。

採用品目は、各物価指数において定めている採用基準にしたがって、選定しています。各品目のウエイトは、各物価指数における調査対象商品の取引総額に対する比率に応じて算定していますが、「調査価格」については、品目内において、原則、均等ウエイトとしています。

公表指数は、調査価格指数を基に作成しています。最小公表単位である品目指数は、原則、調査価格指数を単純平均することにより作成しています。また、類別指数など上位分類の指数は、それぞれの項目に属する調査価格指数を、調査価格ウエイトで加重平均することにより作成しています。

1-3.調査情報は秘匿されるのですか。

日本銀行で作成している物価指数は、「統計法」および「日本銀行法」に基づいて作成しています。このため、法令により規定されている条文に基づき、調査先から入手した価格情報については、外部に漏れることがないよう厳重に管理しています。

また、指数公表に際しても、調査情報の秘匿措置を講じています。具体的には、品目指数の作成にあたり、品目を構成する調査価格は、複数調査先による3調査価格以上とする扱いを、原則としています。これを満たさない品目については、品目指数を公表することに調査先からの同意を得られない場合に、非公表としています(一次秘匿)。また、品目指数を非公表の扱いとする場合は、非公表品目の属する上位の分類(商品群など)にある他の1品目の指数も、併せて非公表の扱いとしています(二次秘匿)。
現在、非公表の扱いとしている品目については、企業物価指数は項目2-13、企業向けサービス価格指数は項目3-30をご参照ください。

なお、調査先から入手した価格情報について、物価統計を作成する目的以外に使用することはありません。

1-4.品質調整は何のために行われているのですか。

一般に、物価指数では、品質が一定の商品(財・サービス)の価格を継続的に調査することを、原則としています。このため、日本銀行でも、予め設定した価格内容に基づいて、毎月、価格調査を実施しています。ただし、商品の世代交代などによって、調査価格の変更が必要となる場合があります。その際に、新旧調査価格における品質の違いに伴う価格差を取り込まないよう調整した上で、物価指数を作成することが必要です。なお、企業間の価格を調査する日本銀行の物価指数における「品質」の概念には、商品のほか、取引条件や取引先など、新旧調査価格において価格差を生じさせ得る価格内容を含みます。新旧調査価格における品質の違いを確認し、その品質差を調整する作業を、「品質調整」と呼びます。すなわち、新旧調査価格において報告される価格の差を「品質変化に伴う価格変化」と「品質変化以外の純粋な価格変動」の2つの要素に分け、このうち後者の「純粋な価格変動」相当分のみを物価指数に反映させるために、品質調整を行っています。

日本銀行で作成している物価指数では、現在、以下の5種類の品質調整方法を採用しています。

表 品質調整方法
名称 内容
直接比較法 ・新旧調査価格の品質が本質的に同一で、両者の品質差を無視し得るものと判断し処理する方法。
単価比較法 ・新旧商品は数量や容量こそ異なるが、新旧調査価格の品質は本質的に同一とみなされる場合において、新旧商品の単価比を価格比とみなし、価格指数を接続する方法。
オーバーラップ法 ・同一条件で一定期間、並行販売された2つの商品の価格比が安定している場合、同一時点における新旧調査価格の価格差を品質差とみなし、価格指数を接続する方法。
コスト評価法 ・調査先企業からヒヤリングした新旧調査価格の品質変化に要したコストを、両調査価格の品質差に対応する価格差とみなし、新旧調査価格の価格差の残り部分を「純粋な価格変動」(物価の変動)として処理する方法。
ヘドニック法 ・商品間の価格差の一部は、これら商品の有する共通の諸特性によって測られる品質差に起因していると考え、商品の諸特性の変化から「品質変化に見合う価格変動」部分を回帰方程式により定量的に推定し、残り部分を「純粋な価格変動」として処理する方法。

1-5.官庁や業界団体等が作成している統計は利用しないのですか。

企業物価指数、企業向けサービス価格指数においては、報告者負担の軽減を図るため、一部の品目において、官庁や業界団体等が作成している統計や外部データベース(以下、外部データ)を調査価格として採用しています。なお、外部データの採用にあたっては、指数精度の維持、データのカバレッジ、継続的な利用可能性等の観点から総合的に検討した上で、採用の可否を判断しています。

現在、外部データを採用している品目と外部データ内容については、「外部データ一覧」をご参照ください。

1-6.消費税等の間接税は、指数を作成する上でどのように扱われていますか。

国内企業物価指数および企業向けサービス価格指数は、消費税を含むベースで作成しています。また、消費税のほか、酒税、揮発油税、たばこ税、産業廃棄物税等の個別間接税も、原則として含まれています。
もっとも、商品の需給動向の分析や国民経済計算等の算定に利用する観点から、消費税率変更の影響を排除した「消費税を除くベース」へのニーズもみられるため、「消費税を除くベース」の指数を作成し、参考指数として公表しています。
なお、輸出物価指数、輸入物価指数、製造業部門別投入・産出物価指数は、いずれも消費税を含まないベースで作成しています。

1-7.企業から回答が得られない場合や、調査時点で取引・契約がない場合は、どのような扱いをしていますか。

企業物価指数、企業向けサービス価格指数において、調査価格で設定した条件の下での取引・契約がない場合や、企業から回答が得られない場合は、原則、前月から価格は不変、すなわち、前月比は横這いとして扱っています(ただし、外貨建てで報告いただいている場合で、円価格に換算する際は、調査時点の為替相場の動きを一律に反映させています)。
ただし、一部の調査価格については、異なる対応を採用している場合があり、具体的にみると、次のとおりです。

(a)時系列データの変動から、明確な季節性があると判断した調査価格について、月次調査の速報時点で企業から回答が得られない場合

速報時点では、季節性を考慮した補完を実施しています。確報時点でも回答が得られなかった場合は、原則どおり、前月から価格は不変(横這い)として扱います。

(b)商品の出回り期が特定の時期に限定される商品について、非出回り期において取引・契約がない場合(企業物価指数の類別「繊維製品」の一部品目の調査価格)

調査価格ごとに出回り期と非出回り期を設定した上で、非出回り期には、出回り期における価格の平均値で補完しています。
例えば、品目「女子用スーツ・スカート類」で採用している「春夏物スカート」を対象とする調査価格において、2月から商品の取引が始まり、7月のセール販売をもって全取引を終了する場合には、取引終了後の8月から次の取引が始まる翌年1月までの間について、当年の出回り期(2月~7月)の価格の平均値を当てはめ、翌年の調査開始月まで前月比不変(横這い)として、処理しています。

1-8.公表時期や統計データの入手方法、照会先について教えてください。

企業物価指数、企業向けサービス価格指数、製造業部門別投入・産出物価指数は、月次で作成する統計です。
各指数の公表時期は、次のとおりです。また、先行きの公表予定についても、本ホームページ上の「公表予定」でご覧頂くことができます。

表 各指数の公表時期
指数 公表時期 備考
企業物価指数 速報 翌月の第8営業日(注1) 計数の遡及訂正を年2回定期的に実施
(4、10月:3、9月速報公表時)
(対象は原則として、過去1年半分)
確報 翌々月の速報公表日
企業向けサービス価格指数 速報 翌月の第18営業日(注2)  計数の遡及訂正を年2回定期的に実施
(3、9月:2、8月速報公表時)
(対象は原則として、過去1年半分)
確報 翌々月の速報公表日
製造業部門別投入・産出物価指数 速報 翌月の第20営業日 (注3) 計数の遡及訂正を年4回定期的に実施
(3、4、9、10月:2、3、8、9月速報公表時)
(対象は原則として、過去1年半分)
確報 翌々月の速報公表日
  • (注1)定期遡及訂正の実施月は、第9営業日。
  • (注2)月間の営業日数が短い場合には、若干繰り上げる場合があります。
  • (注3)月間の営業日数が短い場合には、若干繰り上げる場合があります。

公表データは、次のとおり、入手することが出来ます。

表 公表データ
日本銀行ホームページ 物価関連統計 公表日の午前8時50分。
時系列データ

また、日本銀行が作成している物価指数に関するお問い合わせは、下記のいずれかにお願いします。

表 物価指数に関するお問い合わせ
内容 照会先 電話番号
指数全般にわたる照会 情報サービス局 統計照会窓口 03-3279-1111(内線4639)
調査統計局 物価統計課 03-3279-1111(内線4073)

1-9.「年間指数」、「前年比」等はどのように算出しているのですか。

月間指数のほか、参考値として、「年間指数(暦年・年度)」「四半期指数」や、「前月比」「前年比」などの騰落率を公表しています。
「年間指数(暦年・年度)」「四半期指数」は、該当する期間の月間指数を単純平均し、小数第1位まで算出しています(すなわち、小数第2位を四捨五入)。また、騰落率は、これらの指数や月間指数を使用し、小数第1位まで算出しています。
接続指数における「年間指数」、「前年比」等の算出方法については、項目1-12をご参照ください。

1-10.どういう場合に過去の計数の訂正を行っているのですか。また、何を見ればわかりますか。

確報値の公表以降に判明した計数については、以下の遡及訂正方法に基づいて、事後的に指数に反映しています。

表 遡及訂正方法
  定期遡及訂正 即時遡及訂正
事由
  • 計数に誤りが判明した場合(a)
  • 調査先からの報告が遅れた場合(b)
  • 価格交渉が後ずれした場合
  • 左記(a)、(b)を事由とした計数の訂正による影響が、総平均指数に及ぶ場合
  • 個別の品目、類別などにおいて、左記(a)、(b)を事由とした計数の訂正により騰落率が大幅に変化し、ユーザーの分析に支障を来たすと思われる場合
時期 項目1-8をご参照ください。 要訂正の事実が判明した都度、可能な限り速やかに実施
対象期間
  • 原則として過去1年半(18か月)分
  • 価格交渉が後ずれした場合の決着価格の反映や影響度の大きい訂正については、1年半(18か月)を超えて遡及訂正を行う場合がある

なお、訂正を行った場合は、「企業物価指数の遡及訂正について」、「企業向けサービス価格指数の遡及訂正について」、「製造業部門別投入・産出物価指数の遡及訂正について」と題するお知らせを、各指数公表日に別途、公表しています。

1-11.物価指数の基準改定はどのような目的で行われるのですか。

日本銀行で作成している物価指数は、現状、「固定基準ラスパイレス指数算式」を採用しています。これは、採用品目のウエイトを基準時点に固定し、そのウエイトによって、指数を加重平均する指数算出方法です。このため、(a)時間の経過とともにウエイト構成が実態と乖離していく、(b)基準時点において存在しなかった(ないし存在が小さかった)新商品やサービスが現れた場合、その価格動向を反映することが出来ないなどの欠点があります。こうした欠点を最小限に止め、物価指数の精度を維持するため、一定の周期で基準改定を実施し、指数の基準年およびウエイト算定年次の更新や調査対象品目の見直しを行っています。

なお、日本銀行の作成する物価指数は、5年毎に基準改定を行っています。これは、1981年3月の統計審議会答申「指数の基準時及びウエイト時の更新について」において、政府統計を対象に指数統計の基準時とウエイトの改定は5年間隔で行う(基準時およびウエイト算定時は、原則として西暦年の末尾が0または5のつく年とする)との指針が示されたことを受けての対応です。

1-12.基準改定を跨いで長期の物価指数の動向を分析する場合はどうすればよいですか。

主な指数については、新基準指数をベースに旧基準指数を接続した接続指数(月間指数)を作成・公表しています。また、企業物価指数では、過去の指数系列に新基準指数を接続した「戦前基準指数」も作成・公表しています(項目2-15参照)。

接続指数では、基準年が異なる(指数水準が100 となっている年が異なる)各基準の月間指数のレベルを調整することにより接続しています。具体的には、旧基準指数に「年次接続方式」によるリンク係数(=新基準指数における新基準年の暦年平均/旧基準指数における新基準年の暦年平均)を乗じて接続しています。2基準以上前の指数との接続においては、その基準の指数に各基準間のリンク係数を連乗しています。
接続指数では、過去の基準指数を新基準の分類編成に組み替えた上で接続していますが、各基準において採用品目や品目ウエイトなどが異なるため、利用にあたって、性格が異なる各基準の指数を機械的に接続したものである点には、注意する必要があります。
接続指数については、必要に応じてユーザー側で作成できるよう、接続指数作成用ファイルを本ホームページで提供しています。これを用いることで、接続指数を容易に算出することが可能です。詳しくは、「接続指数の作成方法」をご覧下さい。

また、「年次接続方式」による接続指数では、旧基準指数の最終月の指数に、接続によるレベルシフトが混在する場合がありますので、その点についても、ご留意ください。このレベルシフトは、リンク係数を計算する対象年(新基準の基準年)において新旧基準指数の動きが異なる場合に見られる事象です。これに対し、「月次接続方式」(単月でリンク係数を計算する方式)による接続指数では、こうしたレベルシフトを避けることができますが、一方、リンク計数を計算する対象月の単月に生じた特殊要因が、接続指数全般のレベルに影響する場合があります。接続指数は中長期での指数分析ニーズに応えることを企図して作成しているため、単月のノイズより、暦年指数の水準を適正化できるメリットを優先し、日本銀行で作成している接続指数では年次接続方式を採用しています。

なお、企業物価指数の「総平均指数」、企業向けサービス価格指数の「総平均指数」、製造業部門別投入・産出物価指数の「製造業総合部門指数」については、接続指数についても「年間指数」や「前年比」等の参考値を公表しています(参考値については、項目1-9参照)。接続指数の騰落率については、各基準で算出した参考値をそのまま公表しています。また、指数については、各基準で算出した参考値を「新基準の基準年=100」に換算した値を公表しています。このため、接続指数の参考値では、指数から算出した騰落率と公表値の騰落率が一致しない場合がありますので、利用に当たってはご留意ください。詳しくは、「(参考)過去の四半期・年間(暦年・年度)指数、騰落率(企業物価指数企業向けサービス価格指数製造業部門別投入・産出物価指数)」をご参照ください。

1-13.物価指数が実勢から乖離しているのではないかと言われる時がありますが、その理由を教えてください。

物価指数も他の統計同様、一定のルールに基づいて統計を作成しているため、実勢から乖離せざるを得ない面があります。こうした乖離をもたらす一つの要因に、物価指数の計算方法(指数算式)があります。物価指数は、様々な商品(財・サービス)の価格を、一つに集約した指数です。したがって、指数を算出する際の各商品の「ウエイト」の与え方、あるいは計算方法によって結果は異なります。日本銀行で作成している物価指数では、採用品目のウエイトを基準時点に固定し、そのウエイトを用いて加重平均するという固定基準ラスパイレス指数算式を採用しています。このため、時間の経過とともにウエイト構成が実態と乖離していくほか、指数の動向にばらつきがあると、基準時点から時間が経過するにつれて指数水準に差が生じ、指数水準が低下(上昇)した品目については、物価全体の動向を表す総平均指数に与える影響が小さく(大きく)なるという特徴があります。このような固定基準ラスパイレス指数算式の持つ固有の特性を補完する観点から、企業物価指数では、連鎖指数を参考指数として作成・公表しています。詳細は項目2-11をご参照ください。

なお、物価指数の上方乖離に焦点を当て、積極的に研究した「ボスキン・レポート (注)」は、その後の議論を活性化させる役割を果たしました。このレポートの中では上記の問題のほかに、代替バイアス(代替使用可能な商品間で発生する割高なものから割安なものへの需要シフトの影響が、指数に反映されないことによって生じるバイアス)、新製品バイアス(新しく登場・普及した商品が物価指数の調査対象に含まれていないことによって生じるバイアス)、品質調整によるバイアス(品質調整が十分になされていないことに伴うバイアス)などが話題となりました。ただし、代替効果は本当に存在するのか、品質調整が適切にできるのかなど、学界、実務家を含め、引き続き調査・研究が進められています。また、最近では、ヘドニック法による品質調整方法が過剰であり、指数に下方バイアスがもたらされているとの主張も聞かれます(項目2-26参照)。

  • (注)1996年に米国で公表され、CPIの「上方バイアス」を指摘して話題となったレポート。正確には「Advisory Commission to Study the Consumer Price Index」が発表したレポート「Toward A More Accurate Measure Of The Cost Of Living」。

1-14.物価指数の作成方法について、国際的にはどのような議論がなされているのでしょうか。

物価指数について、その国際比較を容易に行うことができるよう国際標準を作成する、あるいは各国が統計を作成する際の指針を提供する、といった狙いから各国間や国際機関において様々な議論が行われています。最近では、世界的に技術革新の進展、品質把握の難しいサービス取引の拡大、流通革命による販売チャネルの多様化、値引きの多様化など、物価を取巻く環境が大きく変化してきています。こうした中で、各国において近年、物価指数に関するバイアスを巡る論議(項目1-13参照)が活発に行われたこともあり、物価指数の精度向上に向けた様々な理論的・実務的な調査・研究結果が報告されています。また、世界的なサービス取引の拡大にともない、各国がサービス価格統計の開発に注力しており、様々な議論がなされています (注)。そのような議論をまとめることで、指数作成に活かし、さらには指数の国際比較を容易にしようとの主旨から、マニュアルが作成されています。例えば、生産者物価指数(PPI:Producer Price Index;日本銀行で作成している企業物価指数並びに企業向けサービス価格指数はこれに近い概念であり、国際的にはこのグループに分類されています)の作成方法に関するマニュアルが国連から公表されています。また、国際通貨基金(IMF)が、国際的な統計作成規範として統計品質評価フレームワークを定めており、各国の統計における遵守状況を点検するために、統計ROSC(基準・規範の遵守状況に関する報告書)ミッションを各国に派遣しています。日本銀行では、2005年9月にこのミッションを受け入れており、その結果がIMFのホームページに公表されています。
日本銀行としては、こうした国際的な統計作成手法を巡る議論やその成果を必要に応じて取り入れ、同時にわが国固有の物価を取巻く環境やその変化にもきめ細かく対応しながら、作成している物価指数の更なる精度向上を目指して取り組んでいます。

  • (注)国連統計委員会の下の専門家の会合として、サービス価格統計に関しては、フルバーグ・グループの会合が定期的に開催されています。

1-15.物価指数に関する論点をまとめた資料はありますか。

日本銀行調査統計局において、物価指数に関する論点をまとめた資料としては、次のようなものがあります。

また、2005年基準改定の結果については、以下のような資料を作成し、公表しています。