日本銀行本店

統計の概要および公表予定

ホーム > 統計 > 統計の概要および公表予定 > 統計に関する解説 > 短観に関する解説 > 「短観」(企業短期経済観測調査)のFAQ

ENGLISH

「短観」(企業短期経済観測調査)のFAQ

2001年12月
日本銀行調査統計局

目次

1. 短観全般に関するQ&A

2. 判断項目に関するQ&A

3. 計数項目に関するQ&A

4. 統計の正確性に関するQ&A

5. 統計の透明性、ユーザーの利便性に関するQ&A

6. その他のQ&A

1. 短観全般に関するQ&A

1-1. 短観の調査目的や調査項目は何ですか。

短観は、「国内景気の実態把握」を主目的として、業況等の現状・先行きに関する判断(判断項目)や、事業計画に関する実績・予測(計数項目)など、企業活動全般に関する調査項目について、全国の調査先企業に四半期ごとに実施する統計調査(ビジネス・サーベイ)です。海外でも"TANKAN"の名称で広く知られています。

1-2. 法的根拠はあるのですか(回答義務はあるのですか)。

短観は、統計法(昭和22年法律第18号)第8条に基づく総務大臣への「届出統計調査」です。「届出統計調査」は、同じく統計法に基づく「指定統計調査」(「国勢調査」や「事業所・企業統計調査」など)と異なり、調査先企業に回答義務はありませんが、短観の場合、調査先企業のご理解とご協力により、毎回殆どの企業にご回答頂いています。

なお、同法の規定により、調査先企業から回答を受けた秘密事項については、適正な管理等が義務付けられています。

1-3. 短観の調査結果からどのようなことが分かりますか。

短観の特徴は、企業活動全般を的確に把握する観点から、企業の定性的なマインドを問う「判断項目」に加えて、売上高や設備投資額等の定量的な「計数項目」(四半期計数、年度計数<上期・下期計数>)をあわせて調査していることです。また、これらのデータについて、「最近の判断」・「実績値」に加え、「先行きの判断」・「予測値」を調査している点も大きな特徴です。さらに、調査の歴史が長く、同一の調査項目について長期にわたるデータが蓄積されている点も利用上のメリットと言えます。

このため、その時々の景気実態や企業活動について、「判断項目」と「計数項目」を組み合わせたり、過去の類似局面と比較するなどして、ユーザー一人一人が様々な目的に応じた分析を行うことが可能です。

なお、短観の集計結果は、あくまで調査先企業からの回答を集計したものであり、日本銀行の景気判断や予測を示すものではありません。

1-4. 「全国短観」と「主要短観」の違いは何ですか。

「全国短観」と「主要短観」の調査項目は同一で、「主要短観」の調査先企業は、すべて「全国短観」の調査先企業に含まれています。両者の主な違いとしては、調査先企業の選定基準と集計方法があげられます。

「全国短観」は、総務省の「事業所・企業統計調査」をもとに、常用雇用者数50人以上(卸売業、小売業、サービス業、リース業は20人以上)の民間企業(金融・保険業を除く)を「母集団企業」(現行約16万社)とみなし、その中から、業種別および規模別(大企業、中堅企業、中小企業 (注1))に設けた区分(計118層)ごとに抽出した企業(現行約9千社)を調査先とする標本調査です。集計に当たっては、判断項目については、単純集計によりDI(2-1.参照)を算出している一方、計数項目については、業種・規模別に母集団推計値を算出しています (注2)

(注1) 「全国短観」では、常用雇用者数を基準にして、調査先企業を下図のように、大企業、中堅企業、中小企業の3つの規模に区分しています。
(注2) 集計値は、業種・規模別(計81層:27業種<製造業17業種、非製造業10業種>×3規模<大企業、中堅企業、中小企業>)に公表していますが、調査先企業の選定(抽出)や母集団推計値の算出に際しては、統計精度を向上させる観点から、より細かな区分(計118層)を設けています。


卸売 小売、サービス、リース その他の業種
大企業 1,000人以上 1,000人以上 1,000人以上
中堅企業 100〜999人 50〜999人 300〜999人
中小企業 20〜99人 20〜49人 50〜299人

一方、「主要短観」は、原則として、「資本金10億円以上の上場企業(金融・保険業を除く)のうち、各業種の動向を概ね反映する主要企業」(現行約700社)を調査先としており、基本的に対象企業の見直しは行いません(ただし、合併や倒産等により対象企業数が減少するケースがあります)。また、集計に当たっては、判断項目、計数項目とも単純集計を行っています。

なお、「主要短観」は、原則として調査先企業を固定しているため、「同一企業ベースの定点観測」の色彩が強く、産業構造の変化等に伴い、経済実態と乖離していく可能性があります。また、一部ではありますが、雇用者数の少ない企業が含まれています(「全国短観」上の「中小企業」が「主要企業」として位置付けられているケースがあります)。このため、1999年3月調査以降は、「全国短観」を中心に位置付け、「主要短観」を参考指標として扱っています。

その後、ユーザーの間にも、「全国短観」を重視する見方がかなり浸透してきたと判断されるため、2003年度中に実施する次回見直しのタイミングで、「主要短観」を廃止する予定です(「主要短観」の調査先企業は、引き続き「全国短観」の調査先企業となります)。

1-5. 短観の歴史を教えてください。

現在、国内外で様々な企業活動の実態に関する調査(ビジネス・サーベイ)が実施されていますが、このうち短観は、最も歴史の古い調査の一つです。国内最初のビジネス・サーベイは、日本興業銀行が、1951年に西独(当時)のIFO経済研究所の「景気テスト」を手本に開始した「産業界の短期観測」ですが、日本銀行では、これを継承・改定した上で、1957年に「主要短観」を開始しました。その後、1974年には、「全国短観」を開始し、現在に至っていますが、この間、その時々の経済実態等を反映させる形で、調査先企業や調査項目の見直し等を行ってきています。

1957年 8月 「主要企業短期経済観測調査」(主要短観)を開始(524社<製造業346社、非製造業178社>を対象とする (注)四半期調査)。
1960年 5月 「中小企業の業況予測調査」を開始(2,666社<製造業・中小企業のみ>を対象とする半期調査)。
1962年 5月 「中小企業の業況予測調査」を半期調査から四半期調査に変更。
1966年11月 「中小企業の業況予測調査」を「中小企業短期経済観測調査」(中小短観)に改称。
1974年 5月 「中小企業短期経済観測調査」の調査先企業(製造業・中小企業のみ)に、製造業(大企業、中堅企業)と非製造業(大企業、中堅企業、中小企業)を追加し、「全国企業短期経済観測調査」(全国短観)として調査を開始(対象は5,596社<製造業4,243社、非製造業1,353社>)。
1983年 5月 非製造業を中心に「全国短観」の調査先企業を大幅に追加(5,181社→7,035社<うち非製造業:1,287社→3,141社>)。
1989年11月 「主要短観」の補完調査として「金融機関の設備投資調査」を開始(対象は207社)。
1993年11月 非製造業を中心に「全国短観」の調査先企業を大幅に追加(7,376社→10,011社<うち非製造業:3,386社→5,822社>)。
1997年 3月 「全国短観」と「主要短観」の調査項目を統一(これに伴い「主要短観」の調査項目は半減)。
1999年 3月 「全国短観」の調査先企業を追加する(9,129社→9,433社)とともに、公表データを拡充したほか、「全国短観」を調査の中心として位置付け(「主要短観」を参考計数の扱いに変更)。
(注) 当時は、原則として、「資本金1億円以上の上場企業(金融・保険業を除く)のうち、各業種の動向を概ね反映する主要企業」を対象としていました。

1-6. 日本銀行の支店でも短観を公表していますが、本店(調査統計局)が公表する短観との相違点は何ですか。

日本銀行では、本店(調査統計局)が「全国短観」と「主要短観」の集計値を公表しているほか、各支店においても、それぞれの管下の調査先企業の集計値(以下、「支店短観」)を公表しています(公表資料は、各支店のホームページなどでご覧頂けます)。

「全国短観」と「支店短観」の違いは、主に以下の2点です。これは、「全国短観」の標本設計(調査先企業の選定)においては、全国ベースの業種・規模のみを基準としており、地域(支店)の産業構造を正確に反映した設計を行っていないこと等によるものです。

(1) 「支店短観」の調査先企業には、それぞれの地域の経済動向をできるだけ反映させる観点から、「全国短観」が集計対象としていない先(「大手企業の出先事業所」など)が一部含まれていること。
(2) 集計に当たっては、「全国短観」の計数項目が母集団推計値を算出している一方、「支店短観」の計数項目は単純集計値を算出していること。

従って、「支店短観」をご利用頂く際には、上記のような「全国短観」との違いをご理解頂いた上で、当該地域の経済動向を把握するための一つの参考材料としてご覧頂ければと思います。また、同様の理由から、各支店が公表するDIや計数の水準同士を比較することが適当でない点にもご留意願います。

なお、本店でも、「全国短観」において、「地域別動向」(「北海道」、「関東」など9地域の集計値)を公表していますが、これらは、全国ベースでの標本設計を通じて抽出された調査先企業の回答を、地域別に集計し直したものに過ぎないため、統計学的に地域の動向を正確に表わす標本設計とはなっていません。従って、地域の経済動向を知る上では、あくまで一つの「参考計数」としてご利用して頂きたいと思います。なお、本店では、次回の短観見直し(2003年度中を予定)を機に、「地域別動向」の集計・公表を取り止める方針です(支店における集計値は引き続き公表します)。

1-7. 金融・保険業はどのような扱いになっていますか。

金融・保険業は、現在のところ「全国短観」の調査先には含まれていません。しかしながら、オンライン化の進展等に伴い、マクロの設備投資額に占める金融・保険業のウエイトが高まってきたため、1989年11月調査(現在の12月調査)以降、「主要短観」の補完調査との位置付けで、金融・保険業の設備投資額の調査を行っています(調査対象は、銀行<都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行協会加盟銀行>、および主要な証券会社と保険会社)。

また、次回の短観見直し(2003年度中を予定)では、以下の通り、調査対象範囲や調査項目を拡充し、「全国短観」を補完する標本調査に変更する方針です。

(1)調査対象範囲については、現行の「銀行」、「証券会社」、「保険会社」に加え、「信用金庫」、「系統金融機関等」、「貸金業・投資業等非預金信用機関」を追加する形で拡充します。

具体的には、上記の業態に属する企業を母集団として、「都市銀行」、「長期信用銀行」、「信託銀行」については、引き続き「全数調査」とする一方、それ以外の業態については、「総資産」を基準に、調査先企業を抽出する「標本調査」とする方針です。

(2)調査項目については、「業況判断」や「設備投資」・「雇用」関連の判断項目・計数項目を追加します。これは、近年、金融機関の活動状況が景気に与える影響が高まっており、「国内景気の実態把握」のためには、金融機関の活動状況をより幅広く調査することが有用と考えられるためです。

2. 判断項目に関するQ&A

2-1. DIはどのようにして算出するのですか。

判断項目については、調査先企業からの回答(「1、2、3」)を、以下のように算出される「DI」(ディフュージョン・インデックス<Diffusion Index>)という指標に加工・集計して、公表しています。

DI(%ポイント)= 「第1選択肢の回答社数構成比(%)」−「第3選択肢の回答社数構成比(%)」

例えば、「業況判断DI」は、「収益を中心とした全般的な業況」に関する判断を示すもので、「1.良い」、「2.さほど良くない」、「3.悪い」という3つの選択肢の中から1つを回答してもらい、それぞれの回答社数の構成比を求めた上で、「1.良い」の社数構成比から「3.悪い」の社数構成比を引いて算出しています。

2001年9月調査の「製造業・大企業」の業況判断(最近)をみると、3つの選択肢の回答社数構成比は、「1.良い」が5%、「2.さほど良くない」が57%、「3.悪い」が38%で、この結果、業況判断DIは、「5%−38%=△33%ポイント」となっています。

因みに、DIの変化幅をみると、一見すると整合的でない計数となるケースも散見されます。例えば、以下のケースでは、製造業と非製造業の「最近」から「先行き」にかけての変化幅はそれぞれ「+2」ですが、全産業では「+1」しか変化していません。

これは、DIを算出する際、「1.良い」および「3.悪い」と回答した社数構成比を整数化(小数点第1位を四捨五入)しており、「製造業」、「非製造業」、「全産業」のそれぞれにおいて整数化を行う結果、「四捨五入のずれ」が生じているためです。

(具体例)2001年6月調査の大企業・業況判断DI(%ポイント)


最近 先行き 変化幅(先行き−最近)
製造業 ▲16
(9%−25%)
▲14
(7%−21%)
+2
非製造業 ▲13
(10%−23%)
▲11
(9%−20%)
+2
全産業 ▲14
(10%−24%)
▲13
(8%−21%)
+1

なお、DIの算出においては、企業規模の大小に基づくウェイト付けを行っておらず、いわば「1社1票」の単純平均の形をとっています。この点は、規模の大きい企業の動向が集計値により大きい影響を与える「計数項目」と異なりますので、両者を比較する際には注意が必要です。

2-2. 判断項目の回答をDIという指標に加工・集計するのは何故ですか。

集計データの利用に当たっては、それぞれの選択肢(「1、2、3」)の回答社数構成比をそのまま利用することもできますが、例えば、長期の動きを時系列でみる場合などには、やや煩雑な面があります。そこで、これらの複数のデータの動きを一目で把握できるように、DIという一つの指標に集約したものを公表しています。

2-3. DIにはどのような利用方法がありますか。

判断項目については、「最近(調査回答時点)の状況」および「先行き(3か月後まで)の状況」を調査しており、DIも「最近DI」および「先行きDI」の形で算出しています。そこで、例えば、前回調査における「先行きDI」と今回調査における「最近DI」を比較することによって、企業の先行きに対する見通しが、結果としてどの程度正しかったかをみることができます。

また、DIと関連する計数項目(「業況判断DI」と「経常利益」・「売上高経常利益率」、「生産・営業用設備判断DI」と「設備投資額」、「雇用人員判断DI」と「雇用者数」など)を組み合わせて分析したり、足元と過去の類似する景気局面のDIを比較するなど、ユーザーの様々な目的に応じた分析を行うことが可能です。

2-4. 個別のDIをみる際にはどのような留意点がありますか。

例えば、需給・在庫に関するDIには、(1)製商品・サービス需給判断(「需要超過」−「供給超過」)、(2)海外での製商品需給判断(「需要超過」−「供給超過」)、(3)製商品在庫水準判断(「過大ないしやや多め」−「やや少なめないし不足」)、(4)製商品の流通在庫水準判断(「過大ないしやや多め」−「やや少なめないし不足」)の4つがあります。

このうち、(3)については、当該「企業自身」の製商品在庫の過不足についての判断を回答して頂く一方、(1)、(2)、(4)については、当該企業の主要製商品(・サービス)の属する「業界」の需給および流通在庫の過不足についての判断を回答して頂くことになっています。

従って、これらのDIを利用する際には、「企業自身」ないし「業界」という定義の違いにご留意願います。

また、(1)借入金利水準判断(「上昇」−「低下」)、(2)販売価格判断(「上昇」−「下落」)、(3)仕入価格判断(「上昇」−「下落」)の3つについては、「水準(レベル感)」ではなく「方向性」を企業に回答して頂いています。

短観のDIは基本的に「水準」を示していますが、これらのDIは、「水準」ではなく「方向性」を示している点にご留意願います。

3. 計数項目に関するQ&A

3-1. 母集団推計値とは何ですか。どのようにして算出するのですか。

短観の目的は、企業の経済活動の動向を調査することにより、国内景気の実態を明らかにすることですが、仮に全ての企業を対象とした調査(「全数調査」、「悉皆調査」と言います)を行おうとすると、莫大なコストがかかるほか、集計・公表にも時間を要するため、景気の実態を機動的に把握することは困難です。

従って、母集団(短観の場合、総務省の実施する「事業所・企業統計調査」のうち、常用雇用者数50人以上の民間企業)から、統計学上の一定の基準を設けて、標本(調査先企業)を抽出し、その抽出率に応じて、標本の回答の集計値を膨らませる形で母集団全体の集計値を推計する手法をとっています。こうして算出された値が「母集団推計値」です(標本から得られる情報を用いて母集団の情報を推し量る調査を、一般に「標本調査」、「サンプル調査」と言います)。

母集団推計値の算出例

母集団の200社から50社を抽出して売上高を調査したところ、50社の合計売上高(単純集計値)が150だった場合。

母集団推計値=(150/50)×200=600(1社当たりの平均売上高)×(母集団企業数)=(200社の売上高の推計値)

「全国短観」では、計数項目について、業種・規模区分(計118層)ごとに母集団推計値を算出し、それらを合計して、全体の母集団推計値を集計しています。

3-2. 「全国短観」の前年比、修正率をみる際にはどのような留意点がありますか。

「全国短観」では、ある年度の計数を、前年度の3月調査から翌年度の6月調査まで、計6回調査していますが、翌年度の6月調査をもって、当該年度の実額(母集団推計値)を確定しています。

例えば、下図の通り、2001年6月調査で、2000年度計数(実額)を確定させていますが、これに伴い、2000年度計数の「前年比」が確定するとともに、2001年度計数の「前年比」を算出する際の「分母」も確定します。

従って、例えば、2001年度計数の「前年比」をみる際には、2001年3月調査とその他の調査(2001年6月調査〜2002年6月調査)において、「分母」(2000年度計数)が異なる点にご留意願います。

2000年度、2001年度計数の「前年比」を算出する際の「分子」、「分母」

(2000年度、2001年度計数の「前年比」を算出する際の「分子」、「分母」)
(注) 上図の(1)〜(6)は、当該年度の計数について、何回目の調査であるかを示しています。

また、「修正率」は、以下の通り、「前回調査の実額」と「今回調査の実額」を比較して算出しています。

修正率=(今回調査の実額−前回調査の実額)÷前回調査の実額×100

この場合、必ずしも「前回調査の前年比」+「今回調査の修正率」=「今回調査の前年比」の関係が成り立つ訳ではありません。

というのも、上記の通り、3月調査とその他の調査では、「前年比」を算出する際の「分母」が異なるため、例えば、「6月調査において、前年比の伸び率が3月調査よりも高く(低く)なっているのに、修正率をみると、3月調査に比べて下方(上方)修正されている」といった、一見すると整合的でないケースが生じることがあります。

(具体例(1))製造業・大企業の設備投資額(2001年度)

2001年3月調査
同6月調査
前年比(%) +2.3 +7.7
修正率(%)
▲0.5
(具体例(2))製造業・大企業の経常利益(2001年度)

2001年3月調査
同6月調査
前年比(%) +3.6 ▲0.3
修正率(%)
+1.6

具体例(1)の計算式

3月調査の前年比=105,958億円(3月調査の2001年度計数)÷103,615億円(3月調査の2000年度計数)×100−100=2.3%

6月調査の前年比=105,472億円(6月調査の2001年度計数)÷97,902億円(6月調査の2000年度計数)×100−100=7.7%

6月調査の修正率=[105,472億円(6月調査の2001年度計数)−105,958億円(3月調査の2001年度計数)]÷105,958億円(3月調査の2001年度計数)×100=▲0.5%

3-3. 「主要短観」の前年比、修正率をみる際にはどのような留意点がありますか。

「主要短観」では、例えば、2001年6月調査で、2000年度計数の「前年比」を確定させる点は、「全国短観」と同じです。しかし、2001年6月調査で、2000年度計数(実額)自体を確定させることはしていないため、2001年度計数の「前年比」を算出する際の「分母」も確定しません。従って、確定した2000年度の「前年比」を算出する際の「分子」と、2001年度の「前年比」を算出する際の「分母」は、必ずしも一致しません。

(具体例)2001年9月調査における「前年比」の分子・分母

2000年度計数の「前年比」 (2001年6月調査で確定済み)


2000年度計数(6月調査)


1999年度計数(6月調査)
2001年度計数の「前年比」


2001年度計数(9月調査)


2000年度計数(9月調査)

「主要短観」では、「全国短観」のように母集団推計値を算出しておらず、調査回ごとに回答企業の顔振れが異なる場合には、異なる調査回の単純集計値をそのまま比較することは適当ではありません。従って、主要短観において、「前年比」を算出する場合には、ある調査回で回答のあった企業を対象として、分子と分母に同じ調査回の計数(「同一企業ベース」の単純集計値)を使用しています。

また、「修正率」についても、「全国短観」と同様に、「前回調査の実額」と「今回調査の実額」を比較して算出します(計算式は同じです)が、「前年比」と同じ考え方に立ち、「同一企業ベース」で算出しています。具体的には、「今回調査と前回調査の両方に回答した企業」のみを対象として、修正率を算出します(どちらかの調査回のみに回答してきた企業は、修正率を算出する対象から除きます)。

3-4. 「事業計画の前提となっている想定為替レート」(対米ドル円レート)はどのようにして算出するのですか。

企業からの回答(調査表上の調査項目名は「輸出に際しての為替レート」)をもとに算出しますが、DIのように「1社1票」として、回答値を単純平均するのではなく、各企業の回答値を、当該企業の輸出額(円ベース)を用いて加重平均して算出しています。

具体的には、業種・規模区分(3-1.における118層のうち、卸売業以外の非製造業を除いたベース)ごとに、下式の通り想定為替レートを算出し、それらを合計して、全体の想定為替レートを集計しています。

各業種・規模区分における想定為替レート(円/ドル)=
(回答企業の為替レート×回答企業の輸出額<円ベース>)の母集団推計値
回答企業の輸出額(円ベース)の母集団推計値

(具体例)
・回答企業が以下の3社、母集団企業が30社の業種・規模区分の場合。

A社:為替レート115円、輸出額 50
B社:為替レート120円、輸出額100
C社:為替レート125円、輸出額150

想定為替レート [(115×50+120×100+125×150)/3]×30
  [(50+100+150)/3]×30

=121.67(円/ドル)

3-5. 「ソフトウェア投資額」とは何ですか。

「ソフトウェア投資額」は、2001年3月短観から新たに調査を開始した項目で、調査先企業に「ソフトウェアに対する投資のうち、無形固定資産に新規に計上した(または計上予定の)金額」を回答して頂いています。

これは、わが国において、IT(情報通信技術)関連投資が広がりをみせる中、コンピューター・プログラム等のソフトウェアについても、設備投資に含めて調査した方が、経済の実態をより的確に捉えられる、との判断に基づくものです。

この点については、内閣府が作成している国民経済計算(SNA)関連の統計においても、最近対応が図られました。例えば、2000年に公表された「1993年国民経済計算体系(93SNA)」に基づくGDP統計では、新たに「コンピューター・ソフトウェア」を設備投資額の一部として計上しています。

また、企業会計制度面でも、1999年4月以降の事業年度からソフトウェア会計が導入され、会計上の勘定科目として、ソフトウェア投資額を把握することが可能になりました。

これらの点を踏まえ、短観では、従来の設備投資額(有形固定資産の新規計上額)に加えて、ソフトウェア投資額の調査を開始することとしました。ただし、上記のGDP統計における「コンピューター・ソフトウェア」とは、ベースが異なります。詳細は、「企業短期経済観測調査(短観)における『ソフトウェア投資額』の公表開始と公表資料のレイアウト変更について」(2001年3月)をご覧下さい。

4. 統計の正確性に関するQ&A

4-1. 最近ではどのような見直しを行っているのですか。

最近では、1999年3月調査以降、「全国短観」の調査先企業見直しに合わせて、公表データを拡充したほか、従来、短観の中心であった「主要短観」の位置付けを参考計数の扱いに変更し、替わって「全国短観」を中心に位置付けました。これにより、例えば、企業規模別の表示をする場合には、従来の「主要企業」と「全国短観の中小企業」との比較に代え、「全国短観の大企業、中堅企業、中小企業」を比較する形で公表することとしました。

また、IT(情報通信技術)関連投資の最近の増加に鑑み、2001年3月調査以降、「ソフトウェア投資額」の調査を開始しています。

今後の予定としては、次回の「全国短観」の調査先企業見直し(2003年度中を予定)のタイミングを捉え、産業構造の変化等を的確に反映させるとともに、統計精度をさらに高めることを念頭に置いて、調査項目や集計基準等を含めた幅広い観点から見直しを行う方向で準備を進めています。詳細は、「『企業短期経済観測調査』の見直しに関する最終案」(2001年6月)をご覧下さい。

4-2. 「全国短観」は標本調査なので、その集計値(母集団推計値)には誤差がつきものと思われますが、短観の誤差にはどのような類のものがありますか。

「全国短観」を始めとする「標本調査」には、主に「標本誤差」と「非標本誤差」という2種類の誤差が発生し得ます。

例えば、ある母集団から抽出した標本(調査先企業)が、当該母集団の平均的な企業よりも大きな企業ばかりであったとしたら、そこから得られる売上高や設備投資額等の母集団推計値は、真の値(全数調査を行った場合に得られるであろう集計値)よりも大きくなってしまう(過大推計となってしまう)はずです。このように、標本の歪みによって生じる誤差を「標本誤差」といいます。

また、調査先企業から回答が得られない場合や、誤った計数が回答された場合なども、そこから得られる母集団推計値は、真の値から乖離してしまう可能性があります。こうした際に生じる誤差を「非標本誤差」といいます(従って、「非標本誤差」は、標本調査だけでなく、全数調査においても発生しうるものです)。

4-3. 標本誤差を低減させるためにどのような措置をとっていますか。

「全国短観」では、母集団企業を特定するために用いる総務省の「事業所・企業統計調査」の実施に合わせて、約5年ごとに調査先企業の見直しを行っています。

その際には、以下のような統計学上の基準を設け、標本誤差の低減を図っています。詳細については、「全国短観の作成方法について」(1999年5月)をご覧下さい。

(1) 調査先企業における売上高の母集団推計値の誤差率(母集団推計値が「真の値」から乖離する程度<標準誤差/平均>)が、概ね目標の範囲内(製造業3%、非製造業5%)に収まっていること。
(2) 常用雇用者数でみた調査先企業の分布が、母集団企業の分布から乖離していないこと。

具体的には、標本設計上設けた業種・規模区分(計118層)において、「誤差率」と「分布」の両面からチェックを行い、上記の基準を達成できるように調査先企業を見直しています。この際には、調査先企業を全て入れ替えるのではなく、既存の調査先企業(継続標本)に新たな企業を追加するという形をとっています。

なお、こうした調査先企業の見直しを行っても、倒産や合併等に伴う調査先企業数の減少により、次回の見直しまでの間に、標本誤差が増大する可能性があります。このため、毎年、定期的に上記の統計学的なチェックを行い、仮に精度が低下している場合には、3月調査時に、新たな調査先企業を追加しています。

4-4. 非標本誤差を低減させるためにどのような措置をとっていますか。

非標本誤差を低減させる観点からは、調査先企業にご理解とご協力をお願いし、回収率を高めるよう努めています(2001年9月調査の「全国短観」の回収率は96.4%)。

回答を頂くに当たっては、必ずしも公式な計数に拘らず、概数(例えば、公式な予測計数が固まっていない場合には、その時点での社内の実感あるいは目標等を大まかに計数化したもの)の記入をお願いするなどして、計数の入手に努めています。

また、頂いた回答内容については、丹念な確認等を通じて、誤回答の防止にも注力しています。

なお、「全国短観」では、調査先企業から回答が得られない場合、単純集計を行っている「判断項目」については、未回答部分が集計から除外される一方、「計数項目」については、母集団推計値の算出において、結果的に、当該企業が属する層(業種・規模別の118層のうち、当該企業が属する層)の平均値が代入される扱いとなっています。

現状では、各計数項目とも、概ね高い回答率を維持しているため、こうした処理方法に格別問題は生じていないと判断していますが、このうち、「売上高」、「経常損益」、「設備投資額」について、統計学的な観点から代替手法を検討したところ、「総じてみれば、当該企業の直近の回答値(当年度または前年度の計数)を個別に代入した方が、より的確な値が得られる可能性が高い」ことが判明しました。

こうした点を踏まえ、次回の短観見直し(2003年度中を予定)のタイミングで、「売上高」、「経常損益」、「設備投資額」については、未回答計数の補完を上記の方法に切り替える方向で検討しています。

4-5. 調査先企業の見直しが5年ごとでは、経済構造の変化を適切に反映できないのではないですか。

「全国短観」の調査先企業の見直しは、総務省の「事業所・企業統計調査」の実施に合わせて、約5年ごとに実施してきました。しかし、産業構造が大きくかつ急速に変化している昨今では、約5年間という見直しの間隔をより短縮した方が望ましいと考えられます。

こうした中、総務省では、「事業所・企業統計調査」について、5年ごとの「本調査」の中間年(調査後3年目)に実施する「簡易調査」を開始しました(注)。これにより、「全国短観」についても、次回の見直し(2003年度中を予定)以降は、「本調査」と「簡易調査」を合わせて利用することにより、見直しの間隔を2、3年ごとに短縮する方針です。

(注) 1999年に初めての「簡易調査」が実施されました。

4-6. 企業の合併・分社の動きが増加していますが、短観ではどのような対応をとっているのですか。

「全国短観」の調査先企業が合併・分社した際には、原則として、以下のような措置をとっています。

合併のケース

調査先企業同士の合併の場合、および調査先企業が調査先でない企業を吸収合併する場合は、合併後の企業を調査先企業とする。

調査先企業が調査先でない企業に吸収合併される場合は、合併後の企業を調査先企業としない。

分社のケース

以下の2パターンについて、売上高および設備投資額の母集団推計値に与える 影響(変動幅)を試算し、影響が小さい方を選択する。

(1) 分社後の中核企業(雇用者数の最も多い企業)を調査先企業とし、同一の層(業種・規模別の118層)に別の分社企業も存在する場合には、それらの企業も調査先企業とする。
(2) 分社後の中核企業のみを調査先企業とする。

調査先企業については、「どの企業に短観調査を依頼するか」という実務的な観点から、上記のような基本ルールを設けていますが、母集団推計を行う際に使用する母集団企業数については、原則として、合併・分社等により特段の措置を施していません(調査先企業数の増減を母集団企業数に反映させていません)。

短観の調査先企業が合併・分社する場合には、母集団企業においても、同様の動きが発生していることは確かですが、調査先企業以外の動き(合併・分社、倒産、新企業の設立等)を含めた母集団企業の網羅的な動き(最新の「事業所・企業統計調査」からの変化)を正確に把握することは困難です。従って、調査先企業の合併・分社に伴う企業数の増減のみを、恣意的に母集団情報に反映させることは適当でないと判断しています (注)。こうした意味において、私どもでは、全国短観を、「利用可能な最新の母集団情報を基にした固定標本調査」として位置付けています。

(注) ただし、例外(調査先企業数の増減を母集団企業数にも反映させるケース)として、「1%ルール」を設けています。詳細は、「全国短観の作成方法について」(1999年5月)をご覧下さい。

なお、合併・分社を始めとする企業形態の多様化が一段と進展すると見込まれるため、今後とも、統計精度を維持・向上させる観点から、望ましい対応方法を検討していきたいと考えています。

4−7.持株会社はどの業種に分類しているのですか。

「持株会社」を統計上どの業種に分類するかについては、統計審議会(総務大臣の諮問機関)で検討中です (注)が、短観においては、「傘下の全子会社(グループ会社)を通じての主たる事業分野と同一の業種」に分類しています。なお、「主たる事業分野」が特定できない場合には、「サービス業」(「対事業所サービス業」という考え方です)に分類することとしています。

(注) 現在、統計審議会において、統計調査の結果を業種別に表示する際の基準となる「日本標準産業分類」の改訂作業が行われています。短観では、改訂後の「日本標準産業分類」をもとに、次回の見直し(2003年度中を予定)において、業種分類を見直す方向で検討しています。

5.統計の透明性、ユーザーの利便性に関するQ&A

5-1. 公表までの主な事務の流れを教えてください。

毎調査回とも、公表日(4月初、7月初、10月初、12月央)の1か月程度前に、所定の調査表を調査先企業(現行約9千社)に郵送し、回答をお願いします。

回答済みの調査表は、適宜、本店(調査統計局)および支店に返送され、担当部署では、電話ヒアリング等を通じて、その内容を確認します(支店が確認した調査表は、本店に送付されます)。

本店では、確認の終了した個別企業の回答(個票データ)を、順次、システムに入力・格納していき、最終的な調査結果が集計されます。

なお、機密管理の観点から、最終的な集計結果については、公表当日になるまで、誰一人としてアクセスできないような体制を敷いています(6-2.参照)。

5-2. 短観の集計結果については、どのような資料がどのような媒体で入手できますか。

現在、対外公表している集計結果および提供媒体は、以下のとおりです。

集計結果

(1)概要(主要計数を掲載した資料<日本語版、英語版>)

(2)要旨(「概要」から代表的な計数を抜粋した資料<日本語版、英語版>)

(3)業種別計数(業種別の主要計数を掲載した資料<日本語版のみ>)

(4)調査全容(詳細な計数を掲載した資料<和英併記>)

(5)長期時系列データ(主要計数の長期時系列データを掲載した資料<日本語版、英語版>)

提供媒体

  • インターネット・ホームページ((1)〜(5)を提供)
  • 日本銀行本店正門資料サービスコーナー(8:50〜17:50)((1)〜(3)を提供)
  • FAXサービス(03−3279−4441、48#)((2)を提供)

なお、(4)については、統計書の形でも入手できます(有償)。詳しくはこちらをご覧下さい。

5-3. 集計値以外の関連情報では、どのようなものが公表されているのですか。

短観については、ユーザーの利便性や透明性を高める観点から、集計結果だけでなく、以下のような関連情報も公表しています。いずれもインターネット・ホームページ上に掲載しています((1)、(3)、(4)、および(6)の一部については、英語版もホームページ上に掲載しています)。

(1)短観の解説(一般的な解説資料)

(2)短観の要項(調査全容<統計書>に収録している解説資料を転載したもの)

(3)「全国短観の作成方法について」(短観の標本設計を詳細に解説したペーパー)

(4)短観の調査表(実際に調査先企業に送付している調査表)

(5)記入要領(調査表に同封する企業向けの記入上の留意事項)

(6)短観の見直し等に関する対外公表資料

5-4. 短観の公表日時は事前に決まっているのですか。

透明性を高める観点から、短観の公表日程を事前に公表するとともに、公表時刻も統一しています。

具体的には、日本銀行作成の他の主要統計と合せて、3、6、9、12月の下旬に、それぞれ先行き6か月間(4〜9月、7〜12月、10〜翌年3月、翌年1〜6月)の公表日程をインターネット・ホームページに公表しています。また、公表時刻については、午前8時50分に統一しています。

5-5. 短観の公表時刻は何故午前8時50分なのですか。

短観の公表結果は、まずは日本の市場(金融・為替・株式市場)で消化されることが望ましいとの考え方から、これらの市場が開く(または取引が活発化する)午前9時の直前の8時50分に統一しています。

5-6. 短観の公表資料には集計結果が掲載されるのみで、計数の解説等がないのは何故ですか。

統計の公表に際しては、中立的な姿勢で臨むことが重要であると考えており、集計結果について、解釈や政策判断を加えないこととしています。また、集計後直ちに公表することが重要であると考えており、解釈や判断を加えるとなれば、その分公表が遅れることになりかねません。このため、外部から問い合せを受けた場合でも、統計自体に関する質問(計数の伸び率はいつ以来か、特殊要因によるイレギュラーな動きはないか等)についてのみ回答するようにしています。

こうした方針については、「不親切ではないか」との印象を持たれるかもしれませんが、集計結果については、様々な解釈があり得ることから、「個々の統計の解釈については、まずはマーケットやエコノミスト等に委ねるべき」との考え方に基づくものです。

私どもとしては、このQ&Aを始めとして、短観に関する解説情報等を今後とも積極的に提供し、短観の集計結果を適切にご利用頂けるよう努めて参ります。

なお、短観を始めとして、新たに公表された統計の日本銀行としての解釈や、それらを踏まえた金融経済情勢に関する判断については、政策委員会・金融政策決定会合での議論を踏まえて公表している金融経済月報や、総裁記者会見要旨等を適宜ご覧下さい。

5-7. 早期公表を実現させるためにどのような措置をとっていますか。

短観については、(1)公表資料の見直し、(2)集計結果の役員等への事前報告取り止めといった合理化措置を通じて、1996年8月調査(現在の9月調査)以降、公表時期を1週間程度早めています(調査表の発送から集計結果の公表までは、約1か月となっています)。

また、1999年3月調査以降、事務合理化等により、「調査全容」(冊子版)の公表を2週間程度早期化したほか、2000年12月調査以降、「調査全容」(電子版)や「長期時系列データ」の公表時期を1営業日早めています

5-8. 統計には、必ずしも経済実態を反映しない「癖」がつきものと聞きますが、短観の場合、どのような「癖(利用上の留意事項)」があるのですか。

短観を利用するに当たっては、統計として持っている一種の「癖」を把握しておくことも必要です。代表的な「癖」を挙げると、以下の通りです。

(1)設備投資

設備投資の年度計画について、調査回ごとの修正パターンをみると、例えば、大企業では、過去の平均をみると、初回調査(3月調査)から12月調査までは、計画未定の案件が確定したり、前年度案件のずれ込み分が上乗せされる等の要因から上方修正されます。しかし、その後は、工事の遅れや案件の繰り延べ等から翌年度にずれ込むため、むしろ実績調査(翌年6月調査)にかけて下方修正される傾向がみられます。

これに対し、中小企業では、年度計画を事前に策定していない企業が多く、案件が実際に実施されるごとに、設備投資額に計上される傾向があるため、同じく過去の平均では、初回調査(3月調査)から実績調査(翌年6月調査)まで、ほぼ一貫して上方修正されるパターンとなっています。

勿論、上記の修正パターンは、いずれも過去の平均的な姿であり、年によってはこれと大きく異なるケースも存在します。しかしながら、設備投資計画の計数を評価する場合には、こうした修正パターンの「癖」に注意を払いながら、実勢を判断することが有用です(図表1)。

(図表1) 設備投資の修正パターン

(図表1)設備投資の修正パターン (図表1)設備投資の修正パターン

(2) 企業金融関連DI

「貴社の資金繰り」や「金融機関の貸出態度」といった、企業金融関連のDIについては、「先行き」について企業が慎重に判断する傾向があります。具体的には、「ある調査回における先行き予想DI」と「次回調査回における実績DI」を比較すると、少数の例外を除いて、(1)「資金繰りDI」については、前者の方が「苦しい」方向に、(2)「貸出態度DI」については、前者の方が「厳しい」方向になっています(図表2)。

(図表2) 企業金融関連DIの「先行き予測」と「実績」の対比

(図表2)企業金融関連DIの「先行き予測」と「実績」の対比

(図表2)企業金融関連DIの「先行き予測」と「実績」の対比

次回の短観見直し(2003年度中を予定)では、こうした集計値としての一種のバイアスの存在に加え、他の調査項目の追加による調査先の回答負担等も踏まえ、「貴社の資金繰り」と「金融機関の貸出態度」について、「先行き」の判断項目調査を廃止する予定です(なお、「貴社の製商品在庫水準」と「貴業界製商品の流通在庫水準」についても、同様の理由から、「先行き」の判断項目調査を廃止する予定です)。

5-9. 短観に関する照会はどこにすればよいですか。

短観に関するお問い合わせは、下記のいずれかにお願いします。

(1) 情報サービス局広報課(03−3279−1111、内線4636〜4639)

(2) 調査統計局経済統計課企業統計グループ(同上、内線4010)

また、本Q&Aに対するご意見や、他に取り上げて欲しい事項等については、電子メールで「post.rsd5@boj.or.jp」までお願いします。

6.その他のQ&A

6-1. 日本銀行の金融政策決定の過程で、短観はどのように使われているのですか。

日本銀行の金融政策は、政策委員会・金融政策決定会合で議論・決定されます。その際には、様々な金融経済データや情報をもとに幅広い観点から議論が行われます。短観は、その際の重要な判断材料の一つとして利用されています。換言すれば、短観は判断材料の一つですが、短観のみに基づいて金融政策が決定される訳ではありません。

6-2. 短観は世間の注目度が高い統計ですが、どのような機密管理体制を敷いているのですか。

短観については、公表前の集計結果や個別企業の計数(個票データ)等について、機密管理に関する内部ルールを定め、厳格な機密管理を行っています。

具体的には、短観の調査期間中は、作業エリアを物理的に隔離するとともに、作業エリアへの部外者の立ち入りを制限しています。また、短観の作成担当者を限定したうえで、機密情報については、施錠保管(紙ベース)、パスワード管理(電子ベース)等により厳格に取り扱っています。

また、短観の集計結果は、公表当日までは誰一人としてアクセスできない体制となっており、公表当日も、公表時刻(午前8時50分)前に公表資料を取り扱える者を事前に限定しています。

6-3. 短観の調査先企業になりたいのですが(日銀に申し込めばなれるのですか)。

4-3.にある通り、「全国短観」では、約5年ごと(次回見直し<2003年度中を予定>以降は2、3年ごと)に調査先企業を見直しているほか、毎年、定期的に統計精度をチェックし、必要に応じて、調査先企業を追加しています。ただし、いずれの場合も、「事業所・企業統計調査」でリストアップされた企業を母集団として、その中から、無作為抽出により調査先企業を選定しているため、私どもにお申し込み頂いたからといって、直ちに調査先企業になれるという訳ではありません。

ページ先頭に戻る