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調査統計局における統計整備に対する基本的な考え方とこれまでの取り組み

1999年7月28日
日本銀行調査統計局

はじめに

日本銀行では、金融経済実態を調査することを目的として収集・作成している金融経済統計や日常の取引業務を通じて収集・作成している業務統計など、さまざまな統計を取り扱っています。調査統計局(以下、当局と略す)では、このうち、金融統計(マネーサプライ、資金循環統計等)、物価統計(卸売物価指数、企業向けサービス価格指数等)、企業統計(短観)といった統計(当局作成統計は別添1のとおり)を作成・公表していますが、「統計は社会の公共財」との認識の下、中央銀行の統計作成部署として、「信頼される統計」を提供するように心掛けています。

当局で実施している統計の整備・見直しについては、これまでも、その都度、個別に説明してまいりましたが、本稿では、当局における統計の収集・作成・公表に対する基本的な考え方を示すとともに、それに基づき、これまで取り組んできた統計の整備・見直しについて取りまとめることとします。

1.統計の収集・作成・公表に対する基本的な考え方

金融経済構造が大きく変わり、情報通信手段も急速に進歩・普及するなど、金融経済統計を取り巻く環境は急激に変化していますが、こうした中、統計ユーザーを中心に統計の整備・拡充や利便性の向上に向けた議論が高まる一方、計数報告者からは報告者負担の軽減やプライバシー保護を求める声が強まる1など、統計メーカーとして取り組むべき課題が従来にもまして増えています。

こうした状況の下、当局では、統計の収集・作成・公表に当たって、以下のような基本的な考え方で取り組んでいます。

すなわち、最近のように金融経済構造・情勢の変化が激しい状況の下では、実態を正確・的確に捉え、統計学的にも精度の高い統計を提供することが極めて重要になっていると考えています(正確・的確な統計の提供)。また、金融経済実態を早期に把握することが出来るように統計の公表を早めるとともに、幅広い統計ユーザーが利用することを念頭に置き、インターネット等を含む多様な手段で統計を提供するように心掛けています(ユーザーの利便性向上)。

一方、統計作成部署としては、金融経済実態の変化に合わせ、遅滞なく統計・統計書のスクラップ・アンド・ビルドに取り組むほか、統計の収集オンライン化を推進するなど、報告者負担の軽減を含め、統計収集・作成プロセスの合理化、効率化に努めることも大切であると考えています(統計収集・作成事務の合理化、効率化)。また、公表前計数・資料や調査先の個別情報等の機密情報については、統計作成担当者を限定したり、作業エリアへの部外者の立ち入りを制限すること等により、厳格に管理するように努めています(機密管理の徹底)。

また、こうした統計の収集・作成・公表事務のすべての過程について、どのような考え方に基づき、どのような形で作業を行っているかを開示することが、統計の信頼性向上に繋がると考えており、統計公表ルールの明確化や統計の調査・推計方法等の開示にも積極的に取り組んでいます(透明性の向上)。このほか、統計の公表に際しては、中央銀行の統計作成部署として、政策判断に関わりなく、中立的な立場で臨むことが重要であると考え、新たに公表された統計に政策的な判断や解釈を加えないようにしています(中立的な統計公表姿勢)。

なお、こうした基本的な考え方の下、「金融経済実態を正確・的確に反映した統計の提供」や「ユーザーの利便性向上」を進めていくと、「報告者負担の軽減」や「統計作成の合理化、効率化」といった方針と相反するケースも出てきますが、当局では、統計作成部署として、こうした相反する要請にどのように応えていくべきかという点を常に意識しながら、統計の整備・見直しに取り組んでいます。

  1. これらの論点は、「統計行政の新中長期構想」(統計審議会、95年3月公表)のなかで既に取り上げられていますが、ここにきて、経済企画庁長官の私的勉強会である「動向把握早期化委員会」では、「景気動向の早期把握等に関する今後の課題」(99年5月)のなかで、景気動向の早期把握に向けて統計の整備・改善を求めているほか、経団連では、官庁統計に関する提言ペーパー(「我が国官庁統計の課題と今後の進むべき方向」<99年2月>)において、報告者負担の軽減と利用者利便の向上を要望するといった動きがみられています。

2.統計整備に向けてのこれまでの取組み

当局では、こうした基本的な考え方に沿って、統計の整備に取り組んでいますが、以下では、統計の収集・作成・公表に関する基本的な考え方を具体的に示すとともに、これまでの統計整備への取り組みを整理することとします。

(1)正確・的確な統計の提供

(金融経済構造の変化に対応した正確・的確な統計の提供)

最近のように金融経済構造・情勢の変化が激しい状況の下では、実態を正確・的確に捉えた統計を提供することが極めて重要であると考えています。

こうした考え方の下、金融統計については、金融構造の変化を的確に反映するように、マネーサプライ2のほか各種統計について、対象金融機関の範囲や金融統計調査表・調査項目を実態に合わせて随時見直しているほか、我が国の金融構造・活動を包括的に表している資金循環統計についても、最近の金融情勢の変化を織り込むべく、40年振りの大幅改訂3を実施しました。さらに、外為法の改正のタイミング(98/4月)を捉え、「民間金融機関海外店における本邦居住者預金」統計の作成・公表も開始しています。

また、物価統計でも、各統計ともに、次の基準改定に合わせ、現状の統計が抱える問題点を見直す方向で作業しており、企業向けサービス価格指数については、本年暮に予定している95年基準への改定のタイミングで、分類編成、採用品目等の見直し4を行うことにしています。また、卸売物価指数および製造業部門別投入・産出物価指数についても、次回改定に向けて、名称変更を伴う大幅な見直し(卸売物価指数)や作成方法の抜本的見直し(製造業部門別投入・産出物価指数)を計画しています5

このほか、短観については、我が国企業の実態を的確に把握することが可能となるように、本年3月調査以降、総務庁の「事業所・企業統計調査」を母集団とする標本調査である「全国短観」の統計精度を高めるとともに、企業規模別の比較をする場合には、従来の「主要短観」と「全国短観の中小企業」との比較に代え、「全国短観」の規模別データ(大企業、中堅企業、中小企業)を活用するように改めました(この結果、「主要短観」については、参考指標という位置付けにしています)。また、短観については、企業の事業計画の策定時期が以前より遅くなる傾向があることを踏まえ、統計精度の向上を念頭に、計数収集および公表のタイミングを変更する(97/3月調査以降、2・5・8・11月→3・6・9・12月)等の対応もとっています。

  1. 2 マネーサプライ統計については、98/4月計数以降、対象調査先(在日外銀、外資系信託等)を拡充しています。このほか、銀行等がCP発行を開始したことに伴い、98/4月計数以降、広義流動性の内訳項目として金融機関発行CPを追加しています(前年比、季節調整済伸び率は、99/4月計数以降、新しいベースに切り替え)。なお、詳細については、「マネーサプライ統計の見直しについて」(99年4月16日公表、『日本銀行調査月報』99年5月号に掲載)をご参照下さい。
  2. 3 資金循環統計の見直しについては、「資金循環統計の見直し」(99年6月18日公表、『日本銀行調査月報』99年7月号に掲載)、「資金循環統計の解説」(99年6月18日公表)をご参照下さい。
  3. 4 企業向けサービス価格指数の分類編成、採用品目の見直しに当たっては、ここ数年急速に進展している規制緩和や技術革新等による新サービスの登場や既存サービスの多様化等への対応に重点を置く方針です。
  4. 5 卸売物価指数および製造業部門別投入・産出物価指数の見直しについては、「卸売物価指数の現状と見直し案について」(99年3月26日公表、『日本銀行調査月報』99年4月号に掲載)をご参照下さい。なお、卸売物価指数の次の基準改定は、2002年中に、製造業部門別投入・産出物価指数は2000年中に行う予定です。

(統計学的見地からの統計の改善)

経済実態を正確・的確に反映した統計を提供するためには、統計学的な観点から、統計精度を引き上げることも大切であると考えています。

本年3月調査以降の「全国短観」の標本設計6においては、従来に比べ、詳しい母集団情報(企業別の雇用者数)が得られたこともあって、統計学的な検証をしっかりと行ない、標本調査数を最小限に止めつつ、これまでに比べ統計精度を高めることができました。また、卸売物価指数については、ウェイトを基準時に固定するラスパイレス指数を採用していますが、こうした指数には、「異なる商品の間に代替性がある場合、通常、割高な商品から割安な商品への需要シフトが生ずるが、こうしたウェイト構成の変化が全く反映されない」という問題があるため、当局では、98/4月計数より、需要シフトを考慮した加重幾何平均指数7を別途作成し、参考指標として公表しています。

このほか、当局作成統計に季節調整を行う際には、96年以降、最新の季節調整プログラムであるX-12-ARIMAを適用しています。X-12-ARIMAは、実際に季節調整を行う前にデータ内の異常値や曜日構成の要因を推計・除去する「事前調整」を統計的手法を用いて行うほか、実際に季節調整を行った後で季節性が過不足なく除去されているか否かを「事後診断」する機能も備えており、季節調整済系列の安定性はX-11に比べ高いと考えられます。

  1. 6 全国短観の標本設計については、「全国短観の作成方法について」(99年5月31日公表、『日本銀行調査月報』99年6月号に掲載)をご参照下さい。なお、99年3月の短観の見直しについては、「『企業短期経済観測調査』の見直しについて」(98年12月24日公表、『日本銀行調査月報』99年1月号に掲載)をご参照下さい。
  2. 7 加重幾何平均指数の詳細については、「幾何平均を用いた国内卸売物価・参考指数の公表について」(『日本銀行調査月報』98年5月号に掲載)をご参照下さい。

(2)ユーザーの利便性向上

(統計公表の早期化)

統計の対外公表に当たっては、正確な情報を出来るだけ早く公表することを最優先に考えており、ここ数年、統計収集から公表までの全ての事務を抜本的に見直すことにより、公表の早期化を進めてきました(別添1参照)。なお、統計収集から公表までの事務を見直すに際しては、(1)計数報告者の理解を得つつ、統計収集日を前倒しすること、(2)統計収集手段を紙ベースからオンラインベースに切り替える8こと、(3)作成方法を抜本的に見直す9ことのほか、(4)原則として、統計作成完了の翌営業日(午前8時50分)には公表することとし、公表前にその統計の分析や行内での説明は一切行わないこと、などにより対応しています。

また、統計書についても、編集作業の合理化等により発行日を従来に比べ大幅に早期化しています。「金融経済統計月報」10については、本年4月号より、発行日を5営業日程度早め、今後は、原則として、月内に発行(通常月に比べ計数報告が遅れる期末月等については、引続き、翌月初に発行)するほか、「短観(調査全容)」は、本年3月短観から従来に比べ2週間程度、「物価指数月報」も本年4月号より従来に比べ8~9営業日程度、それぞれ発行を早めています。

  1. 8 オンライン収集への切り替え時に、オンラインソフトに計数チェック機能を組み込んで、計数チェック作業を大幅に軽減しました。
  2. 9 資金循環統計については、確報が出来るまで公表を待つのではなく、速報段階で公表することにより、97/10~12月分以降、従来比3ヶ月程度前倒し公表することが可能になりました。
  3. 10 「金融経済統計月報」については、収録データが金融関連データ主体であることを踏まえ、本年4月号より、従来の「経済統計月報」から名称を改めました。なお、収録データについても、金融関連データをさらに拡充する一方で、実体経済関連データのうち利用頻度の低いデータの収録を取り止めました。詳細は、「『経済統計月報』の見直しに関するお知らせ」(99年3月29日公表)をご参照下さい。

(統計提供方法の多様化)

統計提供(対外公表を含む)方法についても、ユーザーの利便性向上を念頭に置いて、電子媒体を含む多様な手段で提供するように心掛けており、現在は、以下の7つの手段を通じて、統計を提供しています。

  • インターネット・ホームページへの公表資料の掲載(96年11月以降)
  • 記者説明、プレスへの公表資料配布
  • 情報サ-ビス局・資料サービスコーナーでの公表資料配布
  • FAXサービスによる公表資料提供(95年7月以降)
  • 金融経済統計月報、物価指数月報、短観(調査全容)への掲載
  • CD―ROMによる提供(97年版より発行開始)
  • MTによるデータ提供

このうち、インターネット・ホームページ11については、公表資料を「幅広いユーザーに、公平に提供できる手段」と考えており、今後とも、公表手段として幅広く活用していく方針です。こうした観点から、本年度中に、約2.5万系列の長期時系列データ(「金融経済統計月報」、「物価指数月報」、「短観調査全容」に掲載している日本銀行作成統計が中心)を、インターネット・ホームページのダウンロードコーナーにおいて利用して頂くことができるように、現在準備を進めています12

  1. 11 日本銀行インターネット・ホームページにおいては、「金融経済統計資料」コーナー(/siryo/siryo.htm)や、「ダウンロード」コーナー(/down/down.htm)で当局の公表資料を提供しています。
  2. 12 これに伴い、従来、「金融経済統計月報」への掲載を以って公表していた統計(例えば、金融機関の預貸金関連計数)の公表時期も早まります。

(3)統計収集・作成事務の合理化、効率化

(統計・統計書の廃止・合理化、調査項目の見直し)

金融経済構造の変化に合わせ、実態把握に必要となる統計を遅滞なく収集することと同様、重要性が薄れてきたり、他の統計で代替することが可能な統計・統計書を廃止・簡素化することも大切であると考えています。こうした観点から、統計・統計書の廃止や統計作成頻度の引下げを行った(別添2参照)ほか、金融経済実態に合わせた調査項目の改廃にも積極的に取り組んでいます。

なお、こうした統計・統計書や調査項目の廃止・見直しの際には、ユーザーニーズのほか、報告者の回答負担や統計収集・作成事務負担等も十分に考慮するようにしています。もちろん、実態把握に必要と判断される統計は遅滞なく収集・公表するのが原則ですが、その場合でも、調査対象先および統計作成部署の負担とのバランスを取るよう努力しています。

(金融機関からのオンライン収集の推進)

金融機関からの計数収集に当たっては、98年春から、従来の紙ベースでの報告に加え、オンライン収集も開始しています(なお、オンライン化に当たっては、ハード、ソフト両面で暗号化を行うなど、機密管理には細心の注意を払っています)。この結果、預貸金調査および関連計数については、既に国内銀行の約8割の先(172行うち143行)から、また信用金庫については全信連を通じてすべての先から、オンラインで収集しています。

なお、預貸金調査および関連計数の収集については、本年秋までに国内銀行の9割近くまでオンライン化が進展する予定にあるほか、都道府県金融統計についても、本年8月公表分(6月末計数)からは、オンライン収集を開始しており、これにより、当局が金融機関から収集している計数のオンライン化は、概ね完了する予定です。 一方、物価統計や短観など一般企業からの計数収集については、対象企業が多いため、インターネット等オープン・ネットワークを利用することが考えられますが、現在のところ、機密管理面でクリアーすべき問題が多いことから、オンライン収集は実施していません。今後については、暗号化技術の進展等を眺めつつ、導入の可能性を探っていきたいと考えています。

(4)機密管理の徹底

機密情報(公表前の調査結果、個別調査先の計数13等)については、統計作成グループ毎に、統計作成管理要領を定め、統計作成者を限定したり、作業エリアへの部外者の立ち入りを制限することなどにより、厳格に管理しています。

具体的には、統計作成管理要領にしたがって、作成統計毎に担当者を限定したうえで、機密情報については施錠保管(紙ベース)、パスワード管理(電子ベース)等により厳格に取り扱っています(公表前計数・資料にアクセス可能な者は、別添3のとおり)。また、統計作成グループ毎に、作業エリアを定めたうえで、当該統計作成グループの作業エリア内に立ち入ることができる者を限定しています。

  1. 13 当局では、報告者のプライバシー保護の観点から、個別の調査先から収集した計数について、調査先名が特定できるような形で公表することのないように細心の注意を払っています。

(5)統計の収集・作成・公表に当たっての透明性の向上

(収集・作成計数は原則すべて公表)

当局において収集した計数は、個別情報等機密に属するものを除き、原則として、何らかの集計・加工を行った上で、すべて公表することとしています。こうした原則の下、統計の作成・公表に必要のない計数については、報告者負担の軽減、統計作成事務の効率化等の観点から、収集しない(収集しているものについては、収集を取り止める)方針で臨んでいます。

(統計公表ルールの明確化)

統計公表に当たっては、透明性を高めることを念頭に置いて、統計公表日程の公表ルールを明確化するとともに、統計公表時刻も統一しています。

当局作成統計および統計書の公表日程については、3・6・9・12月の中~下旬に、それぞれ先行き6か月間(各4~9月、7~12月、10~翌年3月、翌年1~6月)の日程を、インターネット・ホームページへの掲載、プレスへの配布等により、公表することとしています(別添4参照。従来は、主要統計の公表日を4週間前に公表)。

なお、主要統計の公表時刻については、96年11月以降、金融・為替・株式市場が開く直前の8時50分に統一しています14

  1. 14 主要統計の公表時刻については、96年8月(午前11時)、同11月(午前8時50分)と順次繰上げてきた経緯(96年8月以前の公表時刻は、短観が午後2時、マネーは午後5時45分、物価統計は午後4時ないし5時45分)。

(公表データに関する遡及訂正)

公表済のデータに訂正が必要な場合には、速やかに訂正計数を作成し、インターネット・ホームページへの訂正資料掲載、プレスへの訂正資料配布等により、公表することとしています。

(統計の調査・推計方法等の開示)

統計作成過程の透明性を高めることを念頭において、当局作成統計に関する情報(調査目的、調査項目、調査対象、調査方法、集計方法、推計方法等)を幅広く公表することとしています。

短観については、全国短観の標本設計方法や集計方法等を解説した「全国短観の作成方法について」(99年5月31日公表、『日本銀行調査月報』99年6月号に掲載)を公表したほか、本年3月調査以降、全国短観の実額(母集団推計値)や項目毎の有効回答数を調査回毎に公表することにしています。また、卸売物価指数についても、具体的な価格調査方法や指数作成方法、利用上の留意点等を公表しています(「卸売物価指数の現状と見直し案について」<99年3月26日公表、『日本銀行調査月報』99年4月号に掲載>)。

本年3月末計数(7月1日公表)から新ベース統計に切り替えた資金循環統計についても、短観同様、解説資料(「資金循環統計の解説」<99年6月18日公表>)を公表しておりますが、推計方法等については、いずれさらに詳しい資料を公表する予定です。

(統計見直しの事前公表、パブリックコメントの募集)

当局では、統計見直しの概要を事前に公表するとともに、統計見直しの大きさや重要性等に応じて、見直しに関するパブリックコメントを募るなど、統計の見直しに関する手続き面に関しても、透明性を高めるように工夫しています。

本年3月の短観調査の見直しに際しては、統計見直しに伴うユーザーの混乱を回避するため、昨年12月短観公表直後の12月下旬に見直しの概要を公表した後、新ベース統計の公表前に、随時、新ベース統計に関する情報15を公表しています。また、資金循環統計16や物価統計17の大幅な見直しに当たっては、事前に見直しの概要を公表するとともに、パブリックコメントを募集し、統計の見直しに、専門家の意見やユーザーニーズを取り入れるようにしています。

  1. 15 2月中旬に新ベースの公表書式を、3月中旬には新旧ベース統計の比較対照表を公表しています。
  2. 16 資金循環統計については、『日本銀行調査月報』97年3月号において見直しの概要を公表するとともに、パブリックコメントを募集し、同98年9月号において、その結果を踏まえた最終的な見直し案を公表しています。
  3. 17 卸売物価および製造業部門別投入・産出物価指数については、上記「卸売物価指数の現状と見直し案について」の中で、現在の統計が抱える問題点や基準改定に合わせて実施する見直しの方針を公表するとともに、見直しに関するパブリックコメントを募集しています。

(6)中立的な統計公表姿勢

統計の公表に際しては、中央銀行の統計作成部署として、政策判断に関わりなく、中立的な立場で臨むことが重要であると考えています。したがって、統計公表後に、当該公表統計に関する問い合わせ(記者説明を含む)があった場合にも、統計自体に関する質問(公表計数の伸び率はいつ以来であるか、特殊な要因によるイレギュラーな動きはないかなど)についてのみ回答するようにしており、新たに公表された統計に政策的な判断や解釈を加えないようにしています。

こうした方針については、不親切との印象を持たれる恐れもありますが、統計情報については、さまざまな解釈があり得ることから、「個々の統計の解釈については、まずはマーケットに委ねるべき」との考え方に基づくものです。こうした公表姿勢が、ひいては我が国のマーケットの厚味を増すことにも繋がるものと期待されます。

新たに公表された統計の解釈やそれらを踏まえた金融経済情勢に関する判断については、政策委員会の金融政策決定会合での議論を踏まえて公表している金融経済月報や総裁記者会見の場を通じて公表することが、もっとも透明性が高く、責任のある対応であると考えています。

おわりに

今後、我が国の金融経済構造は大きく変化し、情報通信技術もさらに向上するものとみられますが、そうした中で、当局作成統計に関しても、金融統計のさらなる整備・拡充のほか、企業や金融機関の組織形態の変化(持ち株会社化、分社化等)や会計処理基準の変更(連結決算化等)への対応、物価統計、短観における調査対象企業とのオンライン接続、など取り組むべき統計整備・見直し案件は引続きかなりあるものと考えています。

当局では、こうした統計の整備・見直しに当たっては、「1.統計の収集・作成・公表に対する基本的な考え方」で示した基本方針の下、環境変化を先取りする形で進めていきたいと考えていますが、その際にも、これまで同様、見直しの概要を事前にお示しした上で、パブリックコメントを募るという手法を活用し、ユーザーニーズをできるだけ反映するように心掛けていきたいと思います。

以上

(別添1)

統計公表時期と公表早期化の推移
  公表頻度 公表時期
(7月末現在)
公表までの期間
(作成完了日対比)
公表日程早期化推移
企業短期経済観測調査(短観) 四半期 3月:4月初
6月:7月初
9月:10月初
12月:12月央
当日 96年8月:1週間程度短縮
マネーサプライ 月次 翌月12営業日 翌営業日 96年8月:1営業日短縮
97年8月:1営業日短縮
マネタリーベース 月次 翌月2営業日 翌営業日 99年1月:約3週間短縮
99年4月:約1週間短縮
民間金融機関海外店における本邦居住者預金 月次 翌月8営業日 翌営業日 (98年6月より公表開始)
資金循環勘定 四半期 3ヵ月後(月末) 2~3営業日 98年3月:3ヵ月程度短縮
預貸金調査結果
(預金者別預金、業種別貸出等)
四半期 翌々月12営業日 翌営業日 97年5月:6営業日程度短縮
98年9月:2営業日短縮
預金者別預金
(金融機関預金等を除く)
月次 翌々月12営業日 翌営業日 (99年4月より公表開始)
法・個人等部門別貸出金 月次 翌々月12営業日 翌営業日 (99年4月より公表開始)
預金・現金・貸出金 月次 翌々月12営業日 翌営業日 (99年7月より公表開始)
都道府県別預金・現金・貸出金 月次 翌々月12営業日 翌営業日 99年4月:約半月短縮
都道府県別業種別貸出金 年 次 翌々月末頃 翌営業日 99年5月:約半月短縮
卸売物価(WPI) 月次 翌月6営業日 翌営業日 96年8月:6営業日程度短縮
旬 次 翌旬5営業日 翌営業日  
企業向けサービス価格
(CSPI)
月次 翌月21日*
から3営業日
翌営業日 96年8月:5営業日程度短縮
製造業部門別投入・産出物価
(IOPI)
月次 翌月11日*
から3営業日
翌営業日 98年11月:4営業日短縮
  • 公表時期は、通常月を想定。
  • 翌月11日、21日が休日の場合は翌営業日から起算。

(別添2)

最近における統計・統計書の廃止・作成頻度引下げ

<統計>

個人貯蓄統計の廃止

97/9月分が最後、資金循環勘定に吸収

業種別貸出統計の作成頻度引下げ

98年度以降、全国ベース:毎月→四半期、都道府県別:年2回→年1回

預金者別預金の期間別内訳調査の廃止

98年6月分より、考査局作成統計で代替可能

<統計書>

主要企業経営分析の廃止

95年度版(96/10月発刊)が最後

都道府県別経済統計の廃止

96年版が最後

経済統計年報の廃止

97年版が最後、長期時系列データはCD-ROMで入手可能

金融市場動向の廃止

98/12月分が最後、主要な掲載データはインターネット・ホームページで入手可能

物価指数年報の廃止

98年版が最後、長期時系列データはCD-ROMで入手可能

統計便覧の作成頻度引下げ

98/9月分以降、毎月→四半期

(別添3)

公表前計数・資料にアクセス可能な者
  担当者 担当課長 局長
参事
記者レクの
有無
マネーサプライ
資金循環勘定
卸売物価指数
企業向けサービス価格指数
 
(課長)
企業短期経済観測調査
(局長、課長)
その他当局作成統計(注)    
  • その他の当局作成統計は、別添1のとおり。

(別添4)

1999年6月30日
日本銀行調査統計局

調査統計局作成統計、統計書の公表予定(1999年7~12月)

(統計)

公表予定画像

上記公表日程は、統計作成後、速やかに公表することを前提に策定しておりますので、システム障害等不測の事態が発生した場合には、公表を翌営業日以降に延期することもあります。いずれの場合も、各統計の公表時刻は、原則として午前8時50分です。

なお、公表日程を変更する場合には、本ホームページ等にその旨掲載します。

また、「1999年10月~2000年3月」の公表予定の公表日は、9月30日(木)です。

  • (注1)短観は、『短観(概要)』と『短観(要旨)』の公表日。『短観(業種別計数)』は公表2日目に公表する予定。
  • (注2)本ホームページのダウンロード(時系列データ)コーナーにて公表。
  • (注3)本ホームページのダウンロード(資料・論文)コーナーにて公表。
  • (注4)新規作成統計。
  • (注5)年度末計数のみ。

(統計書)

統計書画像

統計書に関しても、公表日程が後ずれすることがあります。なお、公表日程を変更する場合には、本ホームページ等にその旨掲載します。