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(資金循環統計の見直しについて)
(付論)資金循環統計見直しに係る論点

 本付論では、資金循環統計の経済部門・金融取引の分類の変更点について、a)IMFマニュアルの提言ないし93SNAによる分類方法、b)資金循環統計における現行の取り扱い、c)資金循環統計の見直しに係る論点に分けて、その背景となる考え方を整理することとする。

  1. 1 IMFマニュアルは、本年央を目処に公表される予定であり、目下、わが国を含む各国で最終ドラフトを検討中であるが、以下では、IMFの了承の下、現時点で概ね合意がみられている点を中心にその概要を紹介するものである。

1.金融部門の内訳部門

(1)預金取扱機関の特定

(IMFマニュアルにおける預金取扱機関の定義)

 IMFマニュアルは、預金取扱機関を「広義の通貨集計量に含まれる預金ないし預金類似商品を負債として持つ金融機関」と定義している。すなわち、金融革新に伴い、預金と預金類似商品との境界が不明瞭となったことを背景に、この両者を用いて資金を調達し、金融仲介を行う金融機関について、銀行以外の金融機関も含め、預金取扱機関という広い分類概念を用いる旨提言されている。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計では、金融部門は、日本銀行、民間金融機関、公的金融機関とに大別され、民間金融機関の中に、国内銀行、中小企業金融機関、農林水産金融機関、在日外銀、およびこれらを総括する銀行等が分類項目として設けられている。ここで、郵便貯金は簡易保険と合算表示され、資金運用部、政府金融機関と共に公的金融機関を構成している。また、金銭信託は、他の信託勘定と合算され、民間金融機関に含まれているが、銀行等とは別の分類となっている。

(見直しに係る論点)

 預金取扱機関の特定は、取り扱いの対象となる「預金」の範囲に依存する。下記のような制度・統計上の預・貯金の範囲を勘案すると、国内銀行、中小企業金融機関、農林水産金融機関、在日外銀、信託、郵便貯金が検討の対象となる。

<制度・統計上の預・貯金の範囲>

  • 準備預金制度
    適用対象機関:銀行、長期信用銀行、信用金庫、農林中央金庫
    適用対象商品:預金(外貨預金、非居住者円預金、特別国際金融取引勘定において経理された預金を除く)、定期積金、円貨建債券、金銭信託の一部、非居住者に係る本邦・外国通貨表示の負債勘定および居住者外貨預金、特別国際金融取引勘定からその他の勘定への資金の振り替えに係る金額
  • 預金保険制度
    適用対象機関:銀行(在日外銀を除く)、長期信用銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫
    適用対象商品:預金、定期積金等、金銭信託の一部
  • 貯金保険制度
    適用対象機関:農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合
    適用対象商品:貯金、定期積金
  • マネーサプライ統計における通貨発行機関
    M2+CD:日本銀行、国内銀行・銀行勘定(外銀信託を除く)、信用金庫、農林中央金庫、商工組合中央金庫
    M3+CD:上記に加え、金銭信託(年金信託、証券投資信託を除く)、郵便貯金、農協、漁協、信用組合、労働金庫

 このうち、特に議論のポイントとなるのは、郵便貯金と国内銀行信託勘定の取り扱いであろう。IMFマニュアルに基づき、郵便貯金の経済的性格に着目すると、預金取扱機関(預・貯金取扱機関)に含める扱いが考えられる。次に、国内銀行信託勘定については、金融仲介機能を持つ金銭信託を制度単位と見做し、預金取扱機関として分類する方法が考えられる(信託勘定を分離する取り扱いについては後述)。

(2)信託勘定の勘定別分離

(信託の取り扱いに関するIMFマニュアルの指針)

 IMFマニュアルでは、信託の取り扱いについて、以下のような指針を示している。

  • a)原則として、信託を独立した制度単位として認識しない。ただし、金融仲介活動を行うことを目的に設立された信託は、制度単位と見做す。
  • b)信託の資産・負債は、信託を設立し法的に管理する制度単位、ないし信託の受益権を持つ制度単位と統合する。統合の対象となる機関を特定するに当たっては、残余財産への請求権や信託の取消権の有無を重視する。
  • c)特別目的会社としての信託は、金融仲介活動を行っており、当該信託以外にポートフォリオを保有する機関が存在しないため、独立した制度単位として取り扱う(この点は、ノンバンクの分類に絡めて議論する)。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計では、国内銀行信託勘定は、同銀行勘定とは分離した形で金融部門の内訳部門を構成しており、金銭の信託が一律にカバーされる。この際、証券投資信託が独立した部門となっていることを除けば、各勘定は分離されていない。

(見直しに係る論点)

 国内銀行信託勘定については、銀行類似業務と運用の受け皿となる財産管理業務が混在しており、このうち、運用の受け皿となる信託勘定については、上記b)の統合の対象となる。すなわち、既に述べたように、金銭信託は、統合の対象とせず、独立した制度単位として預金取扱機関に分類することが適当と考えられる。一方、預金取扱機関に分類されない信託勘定(財産管理信託と総称)については、原則として信託の委託元と統合することが必要となるが、「残余財産への請求権、取消権を持つ機関に統合した形で表示する」とのIMFマニュアルの指針に留意して、勘定毎の取り扱いを考えてみると、以下のような分類方法が考えられる。

  • a)年金信託については、資金の運用委託元を年金基金と特定することができるため、当該年金基金を金融仲介機関として取り扱う(これらの信託を年金基金に統合する<年金部門の創設および保険会社の細分類において詳述>)。
  • b)証券投資信託については、信託は資金の受け皿ないしは事務処理機能を提供するに止まり、資金運用の意思決定は投資信託委託会社が行うと考えられる。このため、証券投資信託勘定ではなく証券投資信託委託会社を金融仲介機関として取り扱う(当該信託を委託会社に統合する)。
  • c)単独運用指定金銭信託、特定金銭信託、財形信託、金銭信託以外の金銭の信託については、本来は資金運用の委託元部門を特定し、当部門と統合することが望ましい。もっとも、運用委託元部門の特定を漏れなく行うことは実務上困難と考えられるため、便宜上これらの信託をその他金融仲介機関(預金類似信託以外の金銭の信託<その他金融仲介機関の特定を参照>)として取り扱う。
  1. 2 信託を各信託勘定の経済機能に基づいて分類する場合、以下の分類基準を用いると、金銭信託(合同運用指定金銭信託および貸付信託)と、その他とに大別することができる。
  • 銀行業務との類似性
     信託のうち、いずれの勘定が銀行の預貸金業務と類似しているかを判断するに当たっては、信託の資金調達形態が預金と類似しているかが重要である。この点、前述したように金銭信託の一部は、a)元本補填がなされ預金保険の対象となること、b)準備預金の対象となること、等預金との類似点が少なくない。
     信託報酬についても、a)銀行類似業務(具体的には、合同運用指定金銭信託<元本補填型>および貸付信託)に係る損益、b)手数料収入に近い特定金銭信託、金銭信託以外の金銭の信託、年金信託等財務管理部門から生じる損益、とに分離することができる。
  • 運用の裁量権
     信託が運用の裁量権を持っているかどうかは、当該信託が自らリスクを負って資金の運用・調達形態を変化させているか、すなわち、金融仲介活動を営んでいるかということと同義。こうした観点では、特定金銭信託等特定運用形態の信託は、信託自体に運用の裁量権がないため、金融仲介機能を営んでいるとは言い難い面がある。

(3)年金基金部門の創設および保険部門の細分類

(IMFマニュアルにおける保険・年金基金の分類方法)

 IMFマニュアルでは、保険および年金基金を金融部門の内訳部門とし、合計および個別計数を示すほか、保険部門については、生命保険、非生命保険、再保険への分離を提言している。

イ.年金基金部門の創設
(IMFマニュアルにおける年金基金の定義)

 IMFマニュアルは、年金基金を「退職・老齢給付を行うために、拠出金の積立資産を保有・運用する独立した制度単位」と定義したうえで、年金基金の性質について、「各受給者毎に勘定が分離されており、給付額は拠出額と関連」している点が重要と指摘している。また、IMFマニュアルでは、年金基金部門に分類すべき自律的(autonomous)年金と、年金を提供する機関に帰属する非自律的(onautonomous)年金を区別し、資金が独立した制度単位によって運用されていれば、自律的年金と見做されるとしている。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計では、年金基金が独立した部門となっておらず、その資産・負債規模や資産の内訳が判明しない。これは、厚生年金基金・適格退職年金や国民年金基金等の資産・負債が、運用委託先である国内銀行信託勘定および保険会社の他の資産・負債と合算した形で計上されていることに起因する。

 厚生年金基金、適格退職年金等のように、信託勘定や生命保険会社に運用が委託される年金は、上述のように運用委託先の負債となることから、個人部門の金融資産に含まれる。一方、共済年金については、共済組合が対家計民間非営利団体として、個人部門に分類されているため、資金運用部への預託分を除けば、部門内取引として扱われ、個人部門の金融部門に対する資産とならない。

(見直しに係る論点)

a) 自律的年金の特定

 わが国の年金制度を上記IMFマニュアルの基準を用いて整理すると、代表的な自律的年金として、積立方式ないしそれに類似の方式による運営を行い、かつ特別法人として設立されている厚生年金基金、国民年金基金、農業者年金基金、石炭鉱業年金基金等(「特別法人基金」と総称)が挙げられる。

 また、適格退職年金は、a)厚生年金基金等特別法人基金と同様、外部拠出による積立方式で運営されており、資金を拠出する企業(非金融法人部門ないし金融部門)のバランスシートに含まれない、b)特別法人基金と代替・競合関係にある、といった点を勘案すると、自律的年金として年金基金に分類するのが適当と考えられる。この点、信託委託分については、独立した勘定(信託勘定)において運営されていることから、当該勘定を適格退職年金の資産・負債として年金基金に含めることができるが、民間生命保険会社、共済連への委託分については、年金資金に対応する分離勘定が明示されるようになった場合には、本取り扱いを適用することが可能となる。

 一方、生命保険部門の個人年金は、生命保険部門サイドが一定の裁量で資金運用を行っているうえ、保険資金と年金資金の勘定分離がなされていないため、家計の生命保険部門に対する資産として表すことが適当と考えられる。ただし、準備金が保険分と年金分とに分離されている場合には、個人年金に係る積立金を、生命保険部門の負債サイドにおいて年金準備金として表すことが可能である。

b) 年金基金と社会保障基金の区別

 社会保障基金は一般政府部門に分類されるが、これを年金基金と区別するメルクマールは、給付額と拠出額との間に関連性があるか否かという点である。すなわち、関連性がない「賦課方式」ならば社会保障基金であり、「積立方式」ならば年金基金という切り分けになる。わが国の場合、 国民・厚生・共済年金の定額部分に該当する基礎年金(1階部分)は、 全国民に対する一元的な制度(国民年金特別会計・基礎年金勘定で計理)であるほか、賦課方式に近い運営方法となっていることもあって、この部分は社会保障基金として特定できる。また、厚生・共済年金の報酬比例部分(2階部分)についても、基礎年金と合算した形で負担・給付が行われることに鑑みると、社会保障基金として分類するのが適当と考えられる。なお、厚生年金基金は、厚生年金の保険料徴収と運用を一部代行しているが、代行部分のみを取り出すのは困難なことから、厚生年金基金全体を年金基金に分類することとなろう。

 共済年金は、資金運用を自ら行う機関投資家であり、基礎年金部分と報酬比例部分は「社会保障基金」、職域年金部分は「社会保障基金」の上積み部分(「厚生年金基金」類似)ともみなせるが、a)各部分について勘定が分離されておらず職域年金部分を取り出すことが困難なこと、b)職域年金部分の金額が小さいと考えられることを勘案すると、全体を社会保障基金として取り扱う方法が考えられる。

c) 信託等の統合表示

 特別法人基金の年金資金のうち、信託勘定に運用が委託される部分については、前述したIMFマニュアルの指針に従えば、信託の資産・負債を当法人に統合した形で表示する方法が考えられる。一方、民間生命保険会社に運用を委託している部分については、信託勘定委託分の取り扱いとの整合性という観点では、特別法人基金と統合すべきであるが、a)生命保険会社委託分については、予定利率が設定されており、資産運用のリスクは生命保険会社自身が負っていること、b)運用の裁量権は生命保険会社が持っていること、c)現状では年金資金を運用する分離勘定の公開がなされていないこと、を勘案すると、統合扱いとせず生命保険会社委託分を特別法人基金の保険準備金持分(資産サイド)として計上することになる。ただし、生保委託分全てについて、年金資産の勘定分離と収益の実績配当が行われることとなれば、年金信託同様特別法人基金と統合表示する取り扱いが適当になると考えられる。

ロ.保険部門の細分類
(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計では、生命保険会社(外国生命保険会社を含む)、損害保険会社(再保険会社を含む)、共済連(全国共済農業協同組合連合会および47の共済農業協同組合連合会)を保険会社として分類している。

(見直しに係る論点)

 保険部門には、民間生命保険会社、民間非生命保険会社(現行統計の損害保険会社から民間再保険会社を除いたもの)、民間再保険会社、共済連に加え、生命保険・個人年金商品の提供や再保険・損害保険等の業務を営む公的保険を含めることが考えられる。

 IMFマニュアルの提言に従えば、上記の機関は、生命保険、非生命保険、再保険に細分類される。ただし、共済連は、生命保険と損害保険とを兼営しているが、両業務の勘定分離が行われていないため、生命保険、非生命保険何れにも含めず独立した細分類項目とすることが適当と考えられる。

  1. 3 国民経済計算・金融勘定では、厚生年金基金や国民年金基金も社会保障基金として分類している。こうした年金の積立金により、一般政府部門の資金不足が資金循環統計比小さくなる。
  2. 4 適格退職年金に関する課税も、資金を拠出する企業に対して行われるのではなく、「特別法人税」として積立金自体を対象とするものとなっている。
  3. 5 現状では、修正積立方式の財政計算に基づいているが、給付額と拠出額とが完全にリンクしているか(拠出額に相応する請求権があるか)否かという観点から積立方式と賦課方式に二分する場合、賦課方式で運営されていると言うことができる。
  4. 6 証券投資顧問会社と投資一任勘定を結んだ場合でも、当資金は信託勘定(特金)に委託される形となるため、同様の取り扱いとする。
  5. 7 実際の運用利回りが予定利率を上回れば利差益の一部が配当として還元されるが、実際の運用利回りが予定利率を下回る場合には、予定利率が変更されるまでの間に生じる利差損は生命保険会社が負うことになる。
  6. 8 生保委託分についても、第一特約(現行の運用規制枠の中で年金資産を一般勘定と分離したうえで合同運用を行うもの)および第二特約(年金基金毎の単独運用)では、勘定が分離されているほか、運用収益は運用した積立金に直接配当される等年金信託と類似。また、一般勘定での合同運用分についても年金資産の勘定分離が始められた(現状ではデータは非公表)。

(4)その他金融仲介機関の特定

(IMFマニュアルにおけるその他金融仲介機関の定義)

 IMFマニュアルでは、「預金取扱機関」や「保険・年金基金」に含まれず、種々の方法で資金を調達し特定のタイプの顧客に貸付を行ったり、独特の貸付手段を用いる金融仲介機関を「その他金融仲介機関」と定義している。

<その他金融仲介機関の例示>

  • ファイナンス会社および信用供与機関
  • ファイナンシャルリース会社
  • インベストメントプール(投資対象<短期金融市場商品、債券、株式>別に区別)
  • 特別目的会社
  • 専門金融機関
  • ディーラー・ブローカー

 金融仲介であるディーリング・アンダーライティング業務と金融仲介ではないブローカー業務双方を行う金融機関(IMFマニュアルでは「generalized "dealer/broker" firms」と呼称)は、その他金融仲介機関に分類するよう提言している。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計には、その他金融仲介機関という分類概念は存在しない。現行分類における信託(国内銀行・信託勘定)、資金運用部、政府金融機関、証券会社や、金融部門のその他に含まれている住宅金融専門会社が当分類概念に該当する。

(見直しに係る論点)

イ.公的金融機関の範囲変更

 その他金融仲介機関に分類する公的金融機関としては、資金吸収機関を除き、資金供給機関のみを含める(政府関係金融機関と呼称)のが適当と考えられる。具体的には、現行資金循環統計でカバーしている資金運用部、政府金融機関が該当するほか、資金運用部以外の融資特別会計(現行統計では中央政府に含まれる)および資金運用事業主体(年金福祉事業団、郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金特別勘定等)を金融部門に組み入れたうえで、政府関係金融機関に分類することが考えられる(ただし、こうした資金については、各々の機関・勘定の運用原資の性格により、預金取扱機関や保険・年金基金に分類する方法<統合表示等>も考えられる)。

ロ.証券投資信託委託会社の取り扱い

 証券投資信託委託会社を金融仲介機関として取り扱う一方、国内銀行信託勘定の証券投資信託勘定は含めない。

ハ.預金類似信託以外の金銭の信託の取り扱い

 指定単、特金・ファントラ等運用委託元部門の特定できない金銭の信託を、一種の投資ファンドとして取り扱う。

二.ノンバンクの金融部門への組み入れ

 ファイナンス会社および債権流動化に係る特別目的会社は、預金以外の形態で資金を調達し、貸出等に運用していることから、金融部門に組み入れ、「その他金融仲介機関」の細分類項目とするのが適当と考えられる。

a) ファイナンス会社の部門創設

 当項目には、現行統計で金融部門に含まれている住宅金融専門会社、証券金融会社に加え、現行統計では法人企業部門に分類されている貸金業者(貸金業規制法の対象機関、リース・クレジット会社を含む)を含めるのが適当と考えられる。

 抵当証券会社は、自らのリスクで不動産担保貸出を実行し、その原資調達のために抵当証券を販売しているほか、貸金業者として大蔵大臣への登録を行っていることから、ファイナンス会社として分類するのが適当と考えられる。

b) 債権流動化に係る特別目的会社・信託の部門創設

 債権流動化に係る特別目的会社や金銭債権の信託は、貸付債権をプールするために設立されるものであるが、その経済機能に着目すると、資産担保証券や信託受益権等、預金以外の方法により資金調達を行い、貸出債権に対する投資を行うという金融仲介を行っているとみることができる。こうした金融仲介の形態は、上記ファイナンス会社の金融仲介形態と同様であるため、ノンバンクの一種として分類することが適当と考えられる。こうした取り扱いを通じて、流動化により当初の債権保有者のバランスシートから外された債権を、統計上捕捉することも可能となる

 特定債権法の適用を受けるリース・クレジット債権に係るものについては、資産担保方式10の特別目的会社(1996年4月に解禁)、信託方式の金銭債権の信託のほか、譲渡方式で用いられる特別目的会社、組合方式で設立される組合が該当する。

 銀行等の一般企業向け貸付債権、地方公共団体向け貸付債権、個人向け住宅貸付債権の流動化に関しては、信託方式の金銭債権の信託のみが当部門に含まれる。譲渡方式11やローンパーティシペーション方式では、債権をプールする特別目的会社が設立されないため、当部門の資産・負債として含まれるものはない(貸付債権は譲渡金融機関の資産から譲受金融機関の資産に移される)。

  1. 9 売掛債権担保CPに係る特別目的会社についても、今後、国内での売掛債権担保CPの発行が増加した場合には、同様の取り扱いを検討する必要がある。ちなみに、米国の資金循環統計では、債権流動化に係る特別目的会社等は、資産担保証券発行会社(Issuersof Asset Backed Securities)、モーゲージプール(Federally RelatedMortgage Pools)、資金調達会社(Funding Corporations)として分類されている。
  2. 10 リース・クレジット債権流動化に係る方式の概要は以下のとおり。
    資産担保方式:オリジネーターが特定債権等を特別目的会社に譲渡し、特別目的会社が当該債権を担保とした社債やCPを発行することにより資金調達を行う。
    信託方式:オリジネーターが特定債権等を信託銀行に信託すると同時に自らに発生する信託受益権の販売を信託銀行に委託し、信託銀行から販売代金を受け取ることにより資金調達を行う。
    譲渡方式:特別目的会社に特定債権等を譲渡し、譲渡代金を受け取らないことによりオリジネーターに特別目的会社に対する譲渡代金債権が生じたと解釈し、この譲渡代金債権を小口化して投資家に販売することにより資金調達を行う。
    組合方式:オリジネーターから特定債権等を譲り受ける民法上の任意組合または商法上の匿名組合を設立し、当組合に対する投資家からの出資を求めることにより資金調達を行う。
  3. 11 一般貸付債権の流動化に係る方式の概要は以下のとおり(信託方式はリース・クレジット債権流動化の概要と同様)。
    譲渡方式:民法上の指名債権の譲渡として貸付債権を別の銀行等に転売する。
    ローンパーティシペーション方式:銀行等の保有する一般貸付債権の元利金を受け取る権利のみを他の銀行等に売却する。

(5)非仲介型金融機関の特定

(IMFマニュアルによる非仲介型金融機関の定義)

 IMFマニュアルでは、非仲介型金融機関を「金融仲介に関連した業務を営んでいるが、直接仲介者とはならない金融機関」と定義している。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計の金融部門には、短資会社、預金・貯金保険機構が含まれているが、統計概念としては、金融仲介機関と非仲介型金融機関の分別はなされていない。非仲介型金融サービスを提供する金融機関のうち、上記の金融機関以外は、法人企業部門に含まれる。

(見直しに係る論点)

 非仲介型金融サービスを提供する機関のカバレッジを拡充する必要がある。具体的には、非仲介型金融機関として、短資会社、預金・貯金保険機構のほか、証券取引所等の取引所、外国為替ブローカー、信用保証協会、証券投資顧問会社を取り込むことが考えられる12

  1. 12 この点、預・貯金保険機構、信用保証協会等については、原債権の信用を変換する機能をどの程度有するのか、また、先物取引所等における更改(novation)も、同様の機能を果たしていると言えるか、という論点も有り得よう。

2.非金融部門の分類

 非金融部門については、国民経済計算との接続を図るために、93SNAにできる限り準拠した形で分類を見直す必要がある。この際、下記の93SNAの分類と照らし合わせると、a)中央政府、地公体、社会保障基金を内訳部門とする一般政府部門を創設する(公団は非金融法人として分類)、b)家計部門に含まれる対家計民間非営利団体を家計から分離し、個人企業を家計部門の内訳部門とする、といった取り扱いが示唆される。

<93SNAにおける非金融部門の分類>

  • 非金融法人部門:公的非金融法人、自国民間非金融法人、外国支配非金融法人
  • 一般政府部門:中央政府、州政府、地方政府、社会保障基金
  • 家計部門:雇用主・自営業者、被用者および財産・移転所得の取得者
  • 対家計民間非営利団体
  • 国外部門

(1)一般政府部門、非金融法人部門の分類替え

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計には一般政府部門という分類項目は存在せず、中央政府部門と公団・地公体部門を合わせて「公共部門」と称している。公団・地公体は、日本道路、農用地整備、森林開発、船舶整備、首都高速道路、阪神高速道路、水資源開発、日本鉄道建設、新東京国際空港、石油、本州四国連絡橋、地域振興整備、住宅・都市整備の各公団と、都道府県、市町村等の地方公共団体(地方公営企業を含むが地方公社を含まない)から構成される。中央政府部門は、国の一般会計および公的金融機関部門には属さない特別会計を各々カバーしている。なお、社会保障基金については、公的年金等に帰属する資金運用部預託金が中央政府部門の資産として計上されることを除けば、資金循環統計の対象から外れている。

 一方、法人企業部門は、金融機関以外の民間法人企業のほか、事業団、地方公社等を含む13

(見直しに係る論点)

 中央政府および公団・地公体から成る公共部門に代わり、中央政府、地公体、社会保障基金により構成される一般政府部門を創設する必要があるが、その際は、まず公団と地公体を分離し、地公体を独立部門とすることが重要な課題となる。また、公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)や健康保険組合等社会保障基金を一般政府の内訳部門とすることが必要となる。一方、非金融法人企業部門では、現行統計の法人企業部門に該当する民間非金融法人に加え、公的非金融法人を内訳部門として設け、公的非金融法人部門に、公団のほか、国民経済計算で公的企業として分類される企業特別会計、事業団等を取り込めば、一般政府部門と非金融法人部門の分類について、資金循環統計と国民経済計算が整合的となる。

  1. 13 国民経済計算では、保険・融資特別会計は全て公的金融機関部門に含まれ、造幣、印刷、郵政事業、国有林野事業、アルコール専売、食糧管理の各特別会計は企業特別会計として非金融法人企業部門中の公的企業部門に含まれる。また、厚生保険、国民年金、労働保険、船員保険等の特別会計は、健康保険組合、共済組合等と共に社会保障基金を、以上の部門に含まれない特別会計および一般会計等が中央政府部門を、各々構成している。また、同統計の非金融法人企業部門には、民間法人企業および公的企業の内訳部門が設けられており、公的企業部門は、公団のほか、農畜産業振興、国鉄清算、帝都高速度交通の各事業団・営団および上記企業特別会計等をカバーしている。

(2)家計部門の細分類

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計の個人部門には、消費者としての家計のほか、個人企業、農林漁業者、対家計民間非営利団体が含まれている。ここで、共済組合、健康保険組合は、対家計民間非営利団体として分類されているため、個人部門に含まれる。

(見直しに係る論点)

 既に述べたとおり、共済組合、健康保険組合は、家計部門から分離され、一般政府部門(社会保障基金)に含まれる。なお、国民経済計算との整合性という観点では、家計部門を家計と対家計民間非営利団体とに分離することが望ましいが、そのためには、対家計民間非営利団体に係る基礎統計の整備が必要となる。また、個人企業を家計部門の内訳部門とすることも望まれるが、同様に基礎統計の整備が必要である。

(3)海外部門のデータの拡充

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 海外部門には、海外の金融機関、政府、法人企業、個人、国際機関が含まれており、国内部門との境界は国際収支統計上の居住性の定義と一致している。海外部門と国内各部門との取引の計上方法は、負債サイドでは、外貨準備、貿易信用、直接投資を除けば全てがその他対外債権債務として計上されており、対外証券投資等の取引は明示されていない。資産サイドでは、ウェイトの大きい取引項目はその他対外債権債務および有価証券であるが、有価証券については、債券計および株式のデータのみが計上されている。

(見直しに係る論点)

 資金循環統計が国際資本移動の分析にも有用なものとなるためには、対内外証券投資に係るデータが詳細に示されていることが重要である。現状では、対外証券投資の投資家部門別内訳、対内証券投資の債券種類別内訳を各々特定することができない。

3.金融取引分類の変更点

 金融取引分類については、a)IMFマニュアルにおける大分類(現金および預金、貸出、株式以外の証券、株式およびその他の持分、保険・年金準備金、その他の債権債務、貨幣用金およびSDR)を適用すること、b)新設部門に特有の金融商品や、実体経済動向との関連性の強い金融取引について、取引項目の拡充や細分化を行うことが検討課題となる。

<新設すべき取引項目>

  • 貸出:住宅貸付、消費者信用、現先・債券貸借取引、ファイナンシャルリース
  • 株式以外の証券:抵当証券、債権流動化関連商品、金融派生商品
  • 保険・年金準備金:保険準備金、年金準備金
  • その他の債権債務:未収・未払金、貨幣用金、SDR、対外証券投資

(1)現預金の分類替え

(IMFマニュアルの定義・提言)

 現預金は、現金、流動性預金、その他預金に細分類される。流動性預金は、a)要求に応じ額面で(ペナルティーや制約なしで)交換可能、b)小切手、手形、振替により自由に振替可能、c)通常支払のために利用される、と定義されるが、その他預金については明確な定義は示されていない。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行統計では、預金は要求払預金、定期性預金、譲渡性預金、非居住者円・外貨預金の4項目に分類されている。また、金融機関間の取引として、日銀貸出金、コール、買入手形・売渡手形の取引項目が設けられている。

(見直しに係る論点)

 預金の分類については、IMFマニュアルに従えば、流動性預金(要求払預金に対応)、定期性預金、譲渡性預金、外貨預金の4分類とすることが考えられる。この際、現行の非居住者円・外貨預金を非居住者円預金(流動性預金ないし定期性預金に計上)、外貨預金(居住者保有分と非居住者保有分を分離)に組み替えることが必要となる。

(2)貸出の細分化

(IMFマニュアルの定義・提言)

 貸出は、a)貸手と借手とが直接取引し、b)証券が取引のエビデンスとして発行されない金融資産と定義される。

<貸出の例示>

  • 銀行の個人・企業向け貸出、住宅貸付
  • 割賦信用、クレジットカードローン、事業・証券金融
  • ファイナンシャルリース
  • マネーに含まれない現先取引

 上記のカテゴリーのうち、住宅貸付は、a)規模が大きいこと、b)政策上の重要度が高いことから、他の貸出から分離することが重要との認識が示されている。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計では、貸出主体に応じて民間金融機関貸出と公的金融機関貸出とに分別している。この間、ファイナンシャルリース、現先取引といった取引は貸出に含まれていない。

(見直しに係る論点)

 貸出については、住宅貸付、消費者信用、その他貸出(主に事業者向け貸出)に分類するとともに、現先取引、ファイナンシャルリース、を新たに包含することが適当と考えられる。

 現先取引は、買戻し・売戻し条件付きの債券の売買取引であるが、取引実態としては、債券を担保とした短期資金の運用・調達に利用されていることから、貸出に分類するのが適当と考えられる14

 ファイナンシャルリース15に関しては、リース取引からオペレーショナルリース分を除外することが必要となるが、現状では、両者を分離し得る基礎統計が未整備の状況である。

  1. 14 わが国では、現先取引はマネーに含まれていない。
  2. 15 ファイナンシャルリースは、オペレーショナルリースと異なり、資産の所有権に付帯する全てのリスクと報酬を当該資産の使用者に移転するものであるため、リース取引をリース金額相当の金銭の借入と擬制し、リース料の支払いを貸出に対する元本の支払い(金融取引)と利子の支払い(経常取引)に分別するというのが93SNA、IMFマニュアルの考え方。

(3)証券の項目充実

(IMFマニュアルの定義・提言)

 証券は、a)譲渡可能であり、b)保有者が含み損益を享受する可能性のある金融資産と定義され、株式と株式以外の証券に区別したうえで、株式以外の証券について、さらに「金融派生商品」と「金融派生商品を除く株式以外の証券」に細分類するよう提言されている。

<株式以外の証券の例示>

  • 手形、社債、国債、CP、CD
  • 株式以外の証券の保護預り証・信託証書
  • NIF、RUF
  • ワラント、金融派生商品

<株式の例示>

  • 株、優先株
  • ミューチュアルファンド持分
  • パートナーシップ・準法人に対する持分等

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行統計では、有価証券として政府短期証券、国債、地方債、公団公庫債、金融債、事業債、株式、投資信託受益証券、外債が内訳項目となっている。

(見直しに係る論点)

 「金融派生商品を除く株式以外の証券」に関しては、部門分類においてノンバンク(ファイナンス会社および特別目的会社)部門を新設することに伴い、当部門における資金調達手段である抵当証券、債権流動化関連商品(資産担保証券、信託受益権等、リース・クレジット債権流動化に係る特定債権の小口債権も含まれる)を取引項目として追加することが必要となる。

 このうち、投資信託受益証券については、IMFマニュアルでは株式の一種として分類されるが、わが国の現状では、投資信託は契約型に限られることから、株式以外の証券として分類することが適当と考えられる。

(4)金融派生商品の取り扱い

(IMFマニュアルの指針)

 IMFマニュアルでは、市場での取引が可能な金融派生商品を金融資産と見做すとの考え方が示されている。資金循環統計に計上する資産・負債の金額については、フォワード系商品は再構築価格(含み損益)、オプション系商品はオプションプレミアムの時価とされている。この点、93SNAでは、取引所で取引される金融派生商品のみが市場価値を持つ金融資産であるとの考え方が示されているが、IMFマニュアルにおいては、店頭取引であっても、取引が活発であれば市場価値があると判断されている。

 金融派生商品の範囲については、現状、IMFマニュアルでも明確に定められていないが、93SNAのEU版である95ESA(European System of National and Regional Accounts)では、相対ベースで組成される金融派生商品についても、他の商品によってポジションを相殺することができれば(相殺可能性が確保されていれば)、市場価値のある金融資産と認識すべきとの考え方が示されている。

 金利関連派生商品については、利子の受払いのネット尻を財産所得として所得支出勘定に記録するとの考え方と、他の派生商品同様、再構築価格を金融資産として計上するとの考え方との間で、必ずしも決着がついていない。

(見直しに係る論点)

 フォワード系商品は含み損益を、オプション系商品についてはオプションプレミアムの時価を計上するというIMFマニュアルの考え方(両者を部門間で移転される経済価値=ストックと考える)は妥当性を持つと思われる。一方、フォワード系商品の含み損益およびオプションプレミアムの価格変化分については、株式、債券の取り扱い(価格変化分を調整勘定に計上)との整合性を保つために、金融取引以外のフローとして調整勘定に計上することが適当と考えられる。

 取引所取引等に係る証拠金は、取引所に対する“deposits”として取り扱うとの提言がある(その他の預金の一種として例示されている)が、預金については前述の整理が適当と考えられるため、当証拠金は預金とは別の取引項目(例えば「預り金」等)を新設するか、「その他」項目に含めるのが適当と考えられる16

 現段階では、資金循環統計に金融派生商品を組み入れるための十分な基礎データは存在しないが、BIS主導の統計調査が定例的に実施されるようになれば、有用な基礎資料になると考えられる。ただし、定例市場報告が1995年4月に実施された金融派生商品サーベイと異なって、連結ベースのみで実施されると、資金循環統計に計上する計数(居住者ベース)を作成するための基礎データとして利用することは困難となる。

  1. 16 この点については、証券会社の顧客に対する委託証拠金、信用取引に関する保証金等をどのように取り扱うか、という論点も有り得よう。

(5)発生主義による金融取引の把握

(IMFマニュアルの提言)

 IMFマニュアルは、国民経済計算全体において、発生主義で取引を記録すべきとの考え方を明確に示しており、そのメリットとして、a)実体経済活動と金融取引の記録が相互に整合的になる、b)金融取引に係る取引相手同士の同時記録が確保される、といった点を挙げている17

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計は、取引項目中、企業間信用、貿易信用しか発生主義でカバーしておらず、未収・未払金等の増減が資金過不足に反映されていないことから、現金主義に近い作成方法となっている。

 このように現行資金循環統計が発生主義で記録される取引を不完全にしかカバーしない一方、国民経済計算は発生主義ベースで作成されており、このことが、資金過不足と貯蓄投資差額が乖離する一因となっている。例えば、金融機関の未収利息についてみると、国民経済計算・所得支出勘定では財産所得として計上される(金融部門の受取り、非金融部門の支払い)一方で、資金循環統計においては金融資産・負債の動きとして取り扱わないため、この部分が資金過不足と貯蓄投資差額とのギャップ発生の一因となる。

(見直しに係る論点)

 取引の記録時点に関しては、IMFマニュアルが指摘する発生主義のメリットに加え、a)資金循環統計は金融全体を包括するものであり、信用形態の違いによりカバーすべきか否かを区別すべきではない、b)資金循環統計の基礎資料は発生主義ベースで作成されるものが少なくない18、c)フォワード系金融派生商品の市場価値(含み損益)は、発生主義で収益を認識することによって初めて捕捉され得る、といった点等を勘案すると、発生主義を採用すべきである。具体的には、発生主義ベースで把握しうる金融取引を包括する項目として、未収・未払金を新設する(企業間信用は別項目とする)ことが考えられる。

 保険会社の準備金19のうち、支払準備金(未払いの保険金、支払備金とも呼ばれる)は、未収・未払金として計上することが適当と考えられる。一方、未経過保険料(前払保険料)については、IMFマニュアルでは発生主義ベースで記録される金融取引として例示されているが、責任準備金に含まれるものであるため、敢えて抽出する必要はないと考えられる。

  1. 17 発生主義とは、a)金融資産・負債の発生および消滅は所有権の発生時点、b)金融資産の売却・購入については制度単位間での譲渡時点、すなわち、何れの場合でも権利・義務および金融商品に係るリスクがバランスシート上で計上/除去される時点において記録することを意味する。
  2. 18 日計表等を作成するうえでの銀行等の経理基準は、従来の保守主義(現金主義を一段と保守的にした収益認識基準)を発生主義に切り替える形で策定された経緯がある。
  3. 19 短期見直し(本文参照)において、保険会社の負債を準備金ベースで計上する方式に変更(資産運用額と同額を計上していたのを保険準備金を計上する形に変更)。

(6)金、SDRの取り扱い

(IMFマニュアルの提言)

 IMFマニュアルでは、準備資産として中央銀行や中央政府に保有されている貨幣用金、SDR(IMF特別引出権)を各々取引項目として設けることを提言している。一方、外貨準備高は、取引項目となっていない。

(資金循環統計における現行の取り扱い)

 現行資金循環統計では、貨幣用金、SDRは、外貨準備高に含まれ、各々を特定することができない。なお、外貨準備高は海外部門の負債に計上される一方、資産サイドでは日本銀行、中央政府各部門において「その他」ないし「その他対外債権債務」の中に混在する形になっている。

(見直しに係る論点)

 IMFマニュアルの提言に沿う形で、貨幣用金、SDRに係る計数を資金循環統計において表すこととしたい。この結果、現行統計に計上されている外貨準備高は、新設項目である貨幣用金、SDR、およびその他外貨準備に振り分けられる(日本銀行および中央政府の資産サイドにおいては現行と同様の計上方法とする)。

以上