このページの本文へ移動

マネーサプライ関連統計の見直し及び新規公表について

1998年 4月16日
日本銀行調査統計局

日本銀行では、近年の金融経済環境の変化、さらには本年4月からの改正外為法施行に対応するため、金融統計の整備を進めてまいりましたが、この程、関係者のご協力をいただき、以下のとおり、マネーサプライ統計の一部見直しおよび新規統計の公表を行うこととしましたのでお知らせします。

1.在日外国銀行、外資系信託銀行等のマネーサプライ統計への算入

マネーサプライ統計については、本年4月分の計数より、外国銀行在日支店および外資系信託銀行における国内預金等の計数を、金融商品の種類に応じM1〜M3または広義流動性に算入することとします1。今回、新規に算入する金融機関の国内預金等の計数は、これまでは金額的に僅少ということもあり、マネーサプライ統計の集計の対象外としてきましたが、制度的には国内銀行のうちこれまで集計対象としていた金融機関の計数と異なる扱いをする理由がないことに加え2、近年ではその預金量等も増加していると考えられることから、この程マネーサプライ統計の集計対象とする扱いとしました。

なお、今回のこうした改正とあわせ、これまで集計の対象外としてきた協同組織金融機関の各中央機関の計数についてもマネーサプライに算入することとしました。その扱いについては、傘下の個別金融機関の区分に準じ、全国信用金庫連合会は、各商品に応じてM1、M2、広義流動性に分類する一方、それ以外の中央機関3 は、M3に分類することとします。

2.国内銀行在外支店の居住者預金計数の公表

国内銀行在外支店の計数については、本年4月分の計数より、居住者預金計数の平残および末残を、単体で公表することとします4。これは、本年4月から施行された改正外為法(「外国為替及び外国貿易法」)によって、個人や企業等本邦居住者の海外への預金等の預け入れが自由化されることに伴い、海外の金融資産を可能な限り統計的に把握しようとするものです。ただし、海外への本邦居住者の預金は、邦銀以外の金融機関(日本からみれば外国銀行)にも存在するため、これらをすべて把握することは困難です。こうしたことから、今回は、実務上把握可能な範囲である国内銀行在外支店の居住者預金計数の提供を受けることとしました。

なお、こうした国内銀行在外支店の居住者預金計数のマネーサプライ統計上の扱いについては、国によっては、マネーサプライ統計に算入して発表しているケースもみられますが5 、我が国ではこうした扱いはせず、当面単体で公表することとします。今後、データの蓄積を待って、その精度や実体経済との関連性を見極めた上で、マネーサプライ統計に算入するかどうかを決める予定です。

  1. 公表にあたっては、当初1年間は、残高は現行および新ベースの両者を掲載するとともに、前年比、前月比は今回の変更による統計的な段差の発生を回避するために現行ベースの値を掲載することとします。
  2. 外資系信託銀行は本邦の銀行法に基づき設立されており、本来国内銀行の範疇に区分されるものです。外国銀行在日支店も、国内銀行に区分される金融機関と同様の扱い(銀行法§47II)を受けるものとなっています。
  3. 全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会。
  4. 計数は、「民間金融機関海外店における本邦居住者預金」として、経済統計月報に掲載します(5月号より)。
  5. 米国では、居住者保有のドル建て海外預金について、米銀の在外支店およびカナダ、イギリスの銀行に保有されているものをM3に、また、ドイツでも、居住者海外預金について、独銀の在外支店、現地法人に保有されているものを拡張M3に含めています(図表参照)。

以上