統計

ホーム > 統計 > 統計の概要および公表予定 > 見直し・訂正等のお知らせ 1999年 > 資金循環統計の見直し

資金循環統計の見直し

1999年 6月18日
日本銀行調査統計局

日本銀行から

  • 別紙1、2はこちら (ntsj01a.pdf 22KB) をクリックして下さい。
  • 「見直し後の新書式の見本」(MS-Word、MS-Excelファイル)は、こちら (ntsj01b.lzh 27KB[MS-Word, MS-Excel] ) から入手できます。

 日本銀行調査統計局では、四半期毎に資金循環統計を作成・公表していますが、このほど大幅な見直しを行ない、本年第1四半期より、新しいベース(以下、新統計)の計数を公表(7月1日公表予定)することとしましたので、お知らせします(なお、これに伴い、従来ベースの統計<以下、旧統計>は、公表しません)。

1.見直しの背景等

 資金循環統計は、企業、家計、政府等の経済主体間の資金の流れや債権・債務関係を鳥瞰することができる金融統計として、1958年に統計作成を開始し、1978年に68SNA(1968年版の国民経済計算体系)を反映させる形で見直しを実施していますが、その後は統計の枠組みを変更するような見直しは行っていませんでした。

 このため、金融経済構造が大きく変化する中で、旧統計の枠組みでは、(1)年金基金、ノンバンクといった預金を取り扱わない金融機関の動向や金融派生商品、債権流動化関連商品といった新たな金融取引の実態を十分把握しきれない、(2)金融部門以外の部門分類が国民経済計算と異なっているため、実体経済との対応関係を正確に把握することができない、(3)金融部門についてもわが国独特の金融制度を前提に分類(公的・民間金融機関等)していたため、諸外国の資金循環統計と容易に比較できない、といった問題が生じておりました。

 こうした中、金融経済環境の変化に対応すべく、1993年に、国連統計委員会が93SNA(国民経済計算体系の改訂版)を公表し、またIMFもそれを受けて金融統計の国際標準(IMF金融統計マニュアル)の作成を進めています。日本銀行でも、わが国の金融の全体像を鳥瞰し得る信頼度の高い統計を作成することは、金融構造の変化と各経済セクターの位置付けの把握、およびその実体経済へのインプリケーションを考える上で不可欠であり、また金融諸制度を検討する際にも有用であると考え、93SNA、IMF金融統計マニュアルで提唱されている考え方を反映させる形で資金循環統計の見直しを検討してまいりました。

 今回の資金循環統計の見直しは、こうした国際標準やわが国の国民経済計算、国際収支統計等との整合性を意識しつつ、経済機能や実態を重視した枠組みに切り替えるとともに、各経済主体の分類単位(=「部門」)や金融商品の分類単位(=「取引項目」)を細分化することにより、今日の金融経済構造をより的確に反映した、使い易い形の統計を提供しようとするものです。

2.見直しの概要1

  1. 新統計の概要については、「資金循環統計の解説」(1999年6月公表)をご参照下さい。

(1)「部門」の見直し(別紙1参照)

 旧統計では、「部門」については、我が国の金融経済制度(公的・民間金融機関、業態区分等)を前提とした部門分類を行っておりましたが、新統計では、経済機能や実態を重視し、大幅に組み替えています。また、国民経済計算や国際収支統計との整合性を考慮し、「部門」を細分化しています(旧統計:21部門→新統計:46部門)。

(主な変更点)

(1) 金融部門
(預金取扱機関以外の金融仲介活動の把握)

 旧統計では、金融機関を民間・公的という形で分類し、その内訳も業態単位としていましたが、新統計では、金融仲介機能に着目して、金融仲介機関とそれ以外に分類したうえで、その内訳も機能に応じて設けています。この結果、預金取扱機関による伝統的な金融仲介活動のみならず、「保険・年金基金」、「その他金融仲介機関」といった形で、預金取扱機関以外の金融仲介活動を把握することも可能になります。

(運用実態に応じた信託勘定の部門分類)

 旧統計では、信託勘定を一つの「部門」としていましたが、新統計においては信託銀行が運用主体となる信託勘定は「合同運用信託」として預金取扱機関へ分類する一方、信託銀行が運用主体とはならない信託勘定(年金信託、証券投資信託)は、本来の運用主体(年金基金など)に統合して計上することとします。

(「ノンバンク」部門の新設)

 金融仲介機関として、近年その機能を高めている「ノンバンク」を、「その他金融仲介機関」のなかの独立した「部門」として新設します。

(2)金融部門以外の部門

 国民経済計算との整合性を意識して、金融部門以外の部門分類については、国民経済計算の「制度部門」を全面的に採り入れており、旧統計よりも詳細な分類として、「公的非金融法人企業」、「社会保障基金」、「対家計民間非営利団体」を新設しています。また、旧統計の「個人」には、概念上、「対家計民間非営利団体」が含まれていましたが、これを独立させましたので、それ以外の部分は、国民経済計算と同様、「家計」として計上しています。なお、こうした分類方法に基づき、新たな基礎データを収集することとしましたので、従来、把握し難かった特殊法人等の公的機関や非営利組織の動向も、不十分ながらも把握できるようになっています。

(2)「取引項目」の見直し(別紙2参照)

 旧統計では、伝統的な金融商品を中心に「取引項目」を設けていましたが、新統計では、近年の新しい金融商品を反映させることを念頭において、「金融派生商品」など新たな「取引項目」を設けています(旧統計:40項目→新統計:51項目)。

 また、伝統的な取引である貸出や有価証券についても、経済実態に合わせて対象範囲の見直しを行なっています。

(主な変更点)

(1)「金融派生商品」の新設

 旧統計では全く把握していなかった金融派生商品を、独立した取引項目として設け、フォワード系商品およびオプション・プレミアムの含み損益は「金融資産・負債残高表」に、オプション・プレミアムの授受は「金融取引表」に計上します。

(2)「貸出」の内訳項目として「現先・債券貸借取引」、「割賦債権」を新設

 旧統計では、「貸出」として分類される取引は、伝統的な金銭消費貸借に限定していましたが、新統計では、「現先・債券貸借取引」が事実上、資金の融通手段であること、「割賦債権」についても、貸出と同様の機能を持っていることを踏まえ、これらを「貸出」の内訳項目として、新設しました。

(3)「有価証券」の内訳項目として「債権流動化関連商品」を新設

 旧統計では、「有価証券」については、国債等の債券や株式を対象にしていましたが、新統計では、さまざまなタイプの金銭債権が流動化され、証券としての性格を帯びるようになったことから、資産担保証券、金銭債権信託の受益権、特定債権の小口債権を「債権流動化関連商品」として、「有価証券」の内訳項目の中に新設しました。

(3)計数の両建て表示への変更

 新統計では、以上のように「部門」や「取引項目」の大幅な見直しを行っていますが、分類単位を細かくすることによって、ユーザーが「部門」や「取引項目」を組み替えることができる「ビルディング・ブロック・アプローチ」という統計作成手法を採り入れています。「ビルディング・ブロック・アプローチ」では、組み替え単位となるデータを明示する必要がありますので、新統計では、全ての「取引項目」について、各「部門」内で資産・負債をネットアウトせず、両建てで表示しています。したがって、預金、貸出など旧統計においてネットアウトして表示していた「取引項目」については、金融機関などの「部門」によっては、新旧統計間で計数が大きく異なることになります。

(4)時価主義、発生主義の導入と「調整表」の新設

 新統計では、経済実態や機能を適切に把握するために計数の評価、記録方法について、時価主義(金融資産・負債を時価あるいは実質価値で評価すること)と発生主義(実際に資金が動く時点ではなく、取引が行われたり、資産・負債の増減が生じた時点で記録を行うこと)を明確に採り入れています2。なお、時価主義を採用した結果、金融商品の価格変化が生じると、「金融取引表」(フロー表)の取引金額と「金融資産・負債残高表」(ストック表)の当該期末の前期末との差額が一致しなくなります。このため、新統計では、従来から作成しているこれら2つの表に加え、新たに「調整表」を作成し、調整額として、上記の不一致額を表示することとします。

  1. 2旧統計においては、株式(上場・店頭登録株式)のみ時価評価していたほか、記録を行う時点については、現金主義(実際に資金が動く時点で計数を記録)を採用していました。

<フローとストックの関係>
 当期末の残高
=前期末の残高+当期の金融取引金額+当期の調整額(価格変化分等)

(主な変更点)

(1) 債券の時価評価

 株式については、旧統計においても時価評価を行っていましたが、新統計では、公社債のように、市場価値が把握できるものについて、可能な限り、時価評価を行います。ただし、各経済主体が保有する債券について銘柄別に把握することは不可能ですので、額面ベースの価格に市場価格インデックスを乗じることによって、時価を推計します。

(2)貸出債権の実質価値

 貸出については、単純に時価評価することはできませんが、不良債権化など、貸出についても、無視できない価値の減価がみられます。そこで、新統計では、貸出額から回収不能見積額を控除することによって、できる限り、実質価値を表示することとします。

3.新ベース統計の遡及 

 新ベース統計の遡及計数については、四半期データは、7月1日の新統計公表日に97年12月末計数(フローは、98年1〜3月計数)まで公表することとします(四半期データについては、それ以前の期間については、遡及しません)。

 主要部門・項目の年度計数については、1990年度まで9年度分遡及する予定であり、本年度中に公表する方向で準備しています。

以上