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物価指数を巡る諸問題

2000年 8月 2日
日本銀行調査統計局

日本銀行から

 以下には、(はじめに)を掲載しています。全文(本文、図表)は、こちら (ron0008a.pdf 298KB) から入手できます。

はじめに

 日本銀行は、1897(明治30)年以来100余年に亘り、わが国の卸売物価指数作成の任に当たっている。また、1991年以降は、企業向けサービス価格指数の作成も手がけている。本稿は、物価指数に対する読者の理解を深めることを目的に、その生い立ち、指数作成の具体的実務、作成過程で指数作成者が直面する諸問題等について、物価指数作成現場の目線や経験をもとに解説を試みたものである。

 物価指数は、数ある経済統計の中でも歴史の古い部類に属するが、それは必ずしも物価指数が完成度の高い統計であることを意味しない。1996年のボスキン・レポート公表以降、各国で「消費者物価指数のバイアス問題」への関心が高まったのは記憶に新しいが、これに限らず世界的に低インフレが広まる中で、物価指数の精度に一段と厳しい眼が向けられているのは自然の流れである1。その一方、統計としての物価指数は、例えば、(1)採用すべき指数算式の選択、(2)品質調整の精度向上、(3)ディスカウントの反映方法、等長年抱えてきた多くの課題に対して十分満足な答えを出しているとは言い難い。むしろ、品質把握の難しいサービス取引の拡大、一つ一つ品質の異なるオーダーメイド型商品の増加、ポイント還元方式を用いた値引きの多様化などの近年の変化は、指数作成者に新たな試練をもたらしている。

 要するに、物価指数は現在もなお発展途上の統計である。従って、指数作成の当事者が指数精度の維持・向上に向けて不断の努力を重ねるべきことは言うまでもないが、ユーザー側においても、現行指数の特徴点や限界を十分把握するとともに、物価指数が抱える課題への対応如何では、指数の性格が変化していく可能性がある点についてもある程度意識しておくことが必要であろう。

  1. ボスキン・レポートの内容については、Baker[1998]、清水[1999-2000]を、主要先進国における消費者物価指数のバイアスの推計結果については、白塚[2000]を参照。