日本銀行について

ホーム > 日本銀行について > 災害対策・業務継続体制 > 日本銀行の業務継続体制 > 日本銀行防災業務計画

日本銀行防災業務計画

第1 計画の目的

この計画は、災害発生時およびそのおそれがある場合(以下「災害発生時等」という。)において、我が国の中央銀行として、銀行券の発行ならびに通貨および金融の調節を行うとともに、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資するため、災害対策基本法第39条第1項、大規模地震対策特別措置法第6条第1項、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第5条第1項および日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第6条第1項の規定に基づき、日本銀行の業務について、防災に関し必要な体制を確立するとともに防災に関しとるべき措置の基本を定めることを目的とする。

第2 定義

この計画において、「災害」または「防災」とは、それぞれ災害対策基本法第2条に規定する災害、防災をいい、「地震防災」、「地震予知情報」、「強化地域」、「警戒宣言」または「地震防災応急対策」とは、それぞれ大規模地震対策特別措置法第2条に規定する地震防災、地震予知情報、地震防災対策強化地域、警戒宣言または地震防災応急対策をいう。また、「推進地域」とは、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第3条第1項に規定する南海トラフ地震防災対策推進地域および日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第3条第1項に規定する日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域をいう。

第3 防災に関する組織

災害発生時等における業務の円滑な遂行を期するため、あらかじめ、次に掲げる措置その他の本支店各部署における防災体制の有機的な整備を実施する。また、災害発生時等において、必要に応じ本店または支店に災害対策本部またはこれに準ずる組織を設ける。

  • 災害応急対策および地震防災応急対策の対象となる業務の選定
  • 当該業務の実施に必要な人員および物資の確保に係る計画の策定
  • 被害情報の収集に係る体制の整備
  • 地震予知情報、警戒宣言およびこれらに関連する情報(以下「地震予知情報等」という。)、南海トラフ地震臨時情報ならびに津波警報その他の防災に必要な情報および命令等の伝達経路の設定
  • 関係行政機関との連絡体制の整備

第4 災害予防対策

1.施設、設備等の整備等

災害発生時等における業務の円滑な遂行を期するため、平常時から店舗、金庫など業務関係施設、設備の整備充実を図るとともに、その維持、管理を一層強化するよう措置する。

とくに強化地域および推進地域内の本支店においては、建築物・構造物の耐震化、津波対策施設の整備について計画を策定し、その計画に沿って実施するとともに、必要に応じこれら施設の点検を行う。

2.発行元銀行券保有の充実等

  1. (1)災害発生時等における通貨供給に支障を生じないよう発行に供しうる日本銀行券および貨幣(以下「発行元銀行券等」という。)の保有高の充実を図る。
  2. (2)発行元銀行券等の備蓄および分散については次の対策を講ずる。
  1. イ、各支店の発行元銀行券等について常時適正な保有高を確保する。
  2. ロ、災害発生のおそれが強い地域または地理上要衝の地に所在する本支店に発行元銀行券等をとくに重点的に配賦するほか、必要に応じあらかじめ当該地所在の金融機関に発行元銀行券を寄託する。

3.他機関との協力体制の確立

防災対策に関し、本支店ごとに関係行政機関等と密接な連絡を保つとともに、あらかじめ緊急連絡経路、協力内容等を定めるよう努めるほか、必要に応じ緊急通信手段の確保につき、関係行政機関等に協力を要請する。

とくに強化地域については、警戒宣言発令時における預貯金払戻し集中等の混乱発生の未然防止のための具体策につき関係行政機関等と協議し、金融機関が所要の事前措置をとりうるよう協力するほか、災害発生時等の応急対策につき関係行政機関等に対し敏速な協力体制をとりうるよう、あらかじめその内容につき調整を図る。

4.職員に対する教育

災害発生時等において防災業務が迅速かつ的確に行われるよう、常時関係職員に対し災害発生時等にとるべき措置を教育し、指導する。

とくに強化地域および推進地域の本支店においては、職員に対し、次の事項を含む地震防災上の教育を実施する。

  • 地震予知および南海トラフ地震臨時情報の内容
  • 当該各地域において予想される地震および津波に関する知識
  • 地震予知情報等および南海トラフ地震臨時情報が出された場合ならびに地震が発生した場合に具体的にとるべき行動に関する知識および職員として果たすべき役割
  • 地震防災対策として現在講じられている対策に関する知識および今後取り組む必要のある課題

5.防災訓練

防災措置については、具体的な計画を定めて各種の訓練を実施する。

とくに強化地域および推進地域内の本支店においては、本支店間および関係行政機関との連携を図りながら、各地域の実情に応じて警戒宣言発令または大規模な地震および津波の発生を想定した訓練を年1回以上実施する。なお、他の防災訓練の状況等を踏まえ、広域的な防災訓練や冬期の避難訓練を実施するように努める。

6.避難対策

  1. (1)強化地域および推進地域内の本支店においては、避難場所、避難経路、避難方法および連絡方法等を平常時から確認しておき、災害発生時等への備えに万全を期すよう努めるものとする。
  2. (2)強化地域または推進地域に所在する施設のうち、津波からの避難等災害応急対策の実施上大きな役割を果たすことが期待できるものについては、その機能を果たすため、非常用発電装置の整備、水や食料等の備蓄その他必要な措置を講ずる。

第5 災害応急対策

1.基本方針

災害発生時等においては、関係行政機関と密接な連携を図りつつ、災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、その他関連法令等の規定に基づき、この計画に定めるところにより所要の措置を講じる。災害応急対策に従事する者および関係者の安全の確保を最優先とした上で災害応急対策を的確かつ迅速に実施する。

2.銀行券の発行ならびに通貨および金融の調節

  1. (1)通貨の円滑な供給の確保
    被災地における金融機関の現金保有状況の把握に努め、必要に応じ被災地所在の金融機関に臨時に発行元銀行券を寄託し、あるいは既存の寄託発行元銀行券の活用を図るほか、金融機関の所要現金の確保について必要な措置を講ずること等により、通貨の円滑な供給の確保に万全の措置を講ずる。
    なお、被災地における損傷日本銀行券および損傷貨幣の引換えについては、状況に応じ職員を現地に派遣する等必要な措置を講ずる。
  2. (2)現金供給のための輸送、通信手段の確保
    被災地における現金供給のため緊急に現金を輸送しまたは通信を行う必要があるときは、関係行政機関等と密接に連絡のうえ、各種輸送、通信手段の活用を図る。
  3. (3)通貨および金融の調節
    災害発生時等において、必要に応じ適切な通貨および金融の調節を行う。

3.資金決済の円滑の確保を通じ信用秩序の維持に資するための措置

  1. (1)決済システムの安定的な運行に係る措置
    災害発生時等において、金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図るため、必要に応じ、日本銀行金融ネットワークシステムその他の決済システムの安定的な運行に係る措置を実施する。また、必要に応じ、関連する決済システムの運営者等に対し、参加者等の業務に支障が出ないよう考慮し適切な措置を講ずることを要請する。
  2. (2)資金の貸付け
    災害発生時等において、金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図るため、必要に応じ、資金の貸付けを行う。

4.金融機関の業務運営の確保に係る措置

関係行政機関と協議のうえ被災金融機関が早急に営業開始を行いうるよう必要な措置を講ずるほか、必要に応じ金融機関に対し、営業時間の延長または休日臨時営業の実施に配慮するよう要請する。また、災害の状況に応じ必要の範囲で適宜業務時間の延長または休日臨時営業を行う。

5.金融機関による金融上の措置の実施に係る要請

必要に応じ関係行政機関と協議のうえ、金融機関または金融機関団体に対し、次に掲げる措置その他の金融上の措置を適切に講ずるよう要請する。

  1. (1)預金通帳等を滅紛失した預貯金者に対し、預貯金の便宜払戻しの取扱いを行うこと。
  2. (2)被災者に対して定期預金、定期積金等の期限前払戻しまたは預貯金を担保とする貸出等の特別取扱いを行うこと。
  3. (3)被災地の手形交換所において被災関係手形につき、呈示期間経過後の交換持出を認めるほか、不渡処分の猶予等の特別措置をとること。
  4. (4)損傷日本銀行券および貨幣の引換えについて、実情に応じ必要な措置をとること。
  5. (5)必要と認められる災害復旧資金の融通について、迅速かつ適切な措置をとること。

6.各種措置に関する広報

災害応急対策に関する情報について、新聞、放送、インターネットその他の適切な方法により、迅速に国民に提供するよう努める。

とくに4.および5.で定める要請を行ったときは、関係行政機関と協議のうえ、金融機関および放送事業者と協力してすみやかにその周知徹底を図る。

7.海外中央銀行等との連絡・調整

海外市場の混乱等を回避するために、海外中央銀行、国際機関等に対し、状況を的確に知らせるとともに、必要な連絡・調整を実施する。

8.その他

本支店の各部署は、その所掌事務に関し、1.から7.までに掲げるもののほか、所要の災害応急対策を実施するものとする。

第6 地震防災応急対策

1.地震予知情報等の伝達、避難誘導

地震予知情報等の伝達を受けた強化地域内の本支店では、その内容を迅速かつ的確に所管施設に出入している職員以外の者に伝達するとともに、必要に応じ、あらかじめ定めた誘導方法に沿って、避難誘導実施責任者の下で当該職員以外の者の円滑な避難を確保するよう努める。

2.通貨の円滑な供給の確保

第5、2.に準じて、強化地域内およびその周辺における通貨の円滑な供給の確保に万全の措置を講ずる。

3.資金決済の円滑の確保を通じ信用秩序の維持に資するための措置

第5、3.に準じて、強化地域内およびその周辺における資金決済の円滑な確保を通じ信用秩序の維持に資するための措置を講じる。

4.金融機関の業務運営に係る措置

  1. (1)必要に応じ関係行政機関と協議し、強化地域内の金融機関または金融機関団体に対し、状況に応じ適切な措置を講ずるよう要請する。
  2. (2)強化地域内の金融機関が窓口営業を必要最小限の業務に限定し、あるいは金融機関店舗の立地条件、事態の推移等により当該営業を停止せざるを得ない状況となったときは、関係行政機関と協議のうえ、これに伴う所要の措置を講ずる。
  3. (3)強化地域内の手形交換所において交換事務を中断し、または取止めざるを得ないときは、関係行政機関等と協議のうえ、状況に応じ決済時間変更、決済繰延べ等の措置を講ずるよう要請するほか、これに伴う所要の措置を講ずる。
  4. (4)強化地域外においては、関係行政機関と協議のうえ、強化地域内における金融機関店舗に対する為替の取組および手形の取立の停止等適切な措置を講ずるよう要請する。

5.地震防災応急対策に関する広報

地震防災応急対策に関する情報について、第5、6.に準じて、迅速に国民に提供するよう努める。

とくに金融機関の窓口営業の一部停止および全部停止、手形交換の停止ならびにこれらに伴う諸措置については、必要に応じ関係行政機関と協議のうえ、金融機関および放送事業者と協力してすみやかにその周知徹底を図る。

6.海外中央銀行等との連絡・調整

第5、7.に準じて、海外中央銀行、国際機関等に対し、状況を的確に知らせるとともに、必要な連絡・調整を実施する。

7.その他

本支店の各部署は、その所掌事務に関し、1.から6.までに掲げるもののほか、所要の地震防災応急対策を実施するものとする。

第7 警戒宣言解除後の対策

地震災害に関する警戒解除宣言が発せられたときは、関係行政機関と協議のうえ、金融機関が可及的すみやかに平常業務を行いうるよう必要な措置を講ずる。

以上