職員の金融取引等に関する特則
| 施行 | 2006年10月10日 |
| 改正 | 2007年 9月30日 |
| 2015年 4月 1日 |
1. 趣旨
本特則は、「服務に関する準則」第9条第3項の規定に基づき、日本銀行の職員(以下「職員」という。)による金融取引等についての同準則第9条第2項の具体的な運用に関する事項を定める。
2. 本特則の構成および運用上の留意事項
| (1) | 本特則は、以下の規定により構成される。各職員の担当事務と適用される規制との対応関係については、別表 [PDF 19KB]参照のこと。 |
|---|
用語の定義(3.)
全職員に適用される規制(4.)
特定の事務に携わる職員に適用される規制(5.)
本特則の適用に関する事前照会(6.)
その他(7.)
| (2) | 本特則の解釈は、「服務に関する準則」の規定および「日本銀行職員の金融取引等に関する内部規程のあり方についての答申」の趣旨を踏まえて行うものとする。 |
|---|---|
| (3) | 職員が金融取引等を行おうとする場合において、本特則の適用対象となるかどうかにつき疑義があるときは、6.に定める本特則の適用に関する事前照会を活用することが推奨される。 |
3. 用語の定義
本特則で使用する用語の定義は、次のとおりとする。
(1)金融取引等
次に掲げる行為をいう。
| イ. | 預貯金の預入れまたは引出し(解約に伴う引出しを含む。以下同じ。) |
|---|---|
| ロ. | 有価証券等の取得または処分 |
| ハ. | 有価証券等、通貨もしくは金利にかかる先物取引、オプション取引(ロ.に掲げる行為に該当するものを除く。)その他のデリバティブ取引またはこれに類似する取引 |
| ニ. | 年金保険、変額保険その他の保険契約(有価証券等もしくは通貨の価格または金利の変動により、保険金、返戻金その他の給付金の合計額が変動するものに限る。)の締結、解除または内容の変更 |
| ホ. | 投資目的不動産の取得または処分 |
(2)有価証券等
株券、社債券、投資信託の受益証券その他の「金融商品取引法」(昭和23年法律第25号)第2条第1項に規定する有価証券および同条第2項の規定により有価証券とみなされる権利をいう。
(3)投資目的不動産
居住用不動産以外の不動産であって、現に職員がその使用の対価を得ているものおよび将来において職員がその使用の対価または売却益を得ることを予定するものをいう。
(4)居住用不動産
職員またはその親族の居住の用に供する不動産をいう。
(5)職務上の関係者
「日本銀行員の心得」別紙に定める職務上の関係者をいう。
(6)私募ファンド
「金融商品取引法」第2条第2項第5号または第6号に掲げる権利であって、同条第3項に規定する有価証券の私募が行われたものをいう。
(7)未公開株式
「金融商品取引法」第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されておらず、かつ、同法第67条の11第1項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されていない株式をいう。
(8)取引先株式等
当座預金取引の相手方またはその持株会社等の株式、新株引受権、新株予約権、新株予約権付社債、社債および金融債(金融債にあっては預金保険の対象となるものを除く。)をいう。
(9)持株会社等
「日本銀行の当座預金取引または貸出取引の相手方に関する選定基準」1.(4)に規定する持株会社等をいう。
(10)管理職
企画役級以上、専任職またはこれらに相当する職員をいう。
4. 全職員に適用される規制
(1)職務上知ることができた秘密を利用した金融取引等の禁止
職務上知ることができた秘密を利用した金融取引等は、日本銀行法第29条に定める秘密保持義務違反であり、厳に行ってはならない。
(2)日本銀行における地位や職務を利用した私募ファンド等の取得の禁止
職員は、(1)に掲げる行為に該当しない場合であっても、次に掲げる行為を行ってはならない。
| イ. | 職務上の関係者からの私募ファンドの取得または職務上の関係者のあっせんを受けてする私募ファンドの取得 |
|---|---|
| ロ. | 職務上の関係者からの未公開株式の譲り受け |
| ハ. | 職務上の関係者をして、第三者に対しイ.またはロ.に掲げる行為をさせること |
(3)短期売買等の自粛
イ.管理職は、(1)または(2)に掲げる行為に該当しない場合であっても、次に掲げる行為(他人の名義によるものを含む。以下「短期売買等」という。)を自粛するものとする。
| (イ) | 有価証券等の取得の後6か月以内における当該有価証券等と同銘柄の有価証券等の処分または有価証券等の処分の後6か月以内における当該有価証券等と同銘柄の有価証券等の取得 ただし、個人向け国債、マネー・リザーブ・ファンド(MRF)、元本の補填の契約をした金銭信託(貸付信託を含む。)の受益権および預金保険の対象となる金融債の取得および処分を除く。 |
|---|---|
| (ロ) | 外貨預金の預入れの後6か月以内に外貨預金の引出しまたは外貨預金の引出しの後6か月以内における外貨預金の預入れ ただし、流動性預金の引出しであって当該引出し前の残高(複数の外貨預金がある場合にはすべての外貨預金の残高の合計をいう。以下同じ。)が5万米国ドル相当額を超えないものおよび流動性預金の預入れであって当該預入れ後の残高が5万米国ドル相当額を超えないものを除く。 |
| (ハ) | 投資目的不動産の取得の後6か月以内における投資目的不動産の処分または投資目的不動産の処分の後6か月以内における投資目的不動産の取得 |
| (ニ) | 有価証券等の信用取引 |
| (ホ) | 有価証券等、通貨もしくは金利にかかる先物取引、オプション取引その他のデリバティブ取引またはこれに類似する取引 |
ロ.管理職でない職員は、(1)または(2)に掲げる行為に該当しない場合であっても、次に掲げる行為(他人の名義によるものを含む。以下「取引先関連短期売買等」という。)を自粛するものとする。
| (イ) | 取引先株式等の取得の後6か月以内における当該取引先株式等と同銘柄の取引先株式等の処分または取引先株式等の処分の後6か月以内における当該取引先株式等と同銘柄の取引先株式等の取得 |
|---|---|
| (ロ) | 取引先株式等の信用取引 |
| (ハ) | 取引先株式等にかかる先物取引、オプション取引その他のデリバティブ取引またはこれに類似する取引 |
ハ.イ.およびロ.の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
| (イ) | 相続または親族からの贈与による場合 |
|---|---|
| (ロ) | 租税公課の支払に充てる場合 |
| (ハ) | 教育、医療その他生活の維持のための支出に充てる場合 |
| (ニ) | 居住用不動産の取得または維持保全の費用に充てる場合 |
| (ホ) | 管理職が管理職となる前に締結された契約の履行として短期売買等を行う場合および管理職でない職員が日本銀行職員となる前に締結された契約の履行として取引先関連短期売買等を行う場合 |
| (ヘ) | その他(イ)から(ホ)までに準ずるやむを得ない事情がある場合 |
| ニ. | 管理職は、ハ.に掲げるやむを得ない事情により短期売買等を行った場合には、その行った日から1か月以内に、その行った行為の内容をコンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者に報告し、本特則に違反しない旨の確認を受けるものとする。 ただし、ハ.(ヘ)に掲げる場合に該当するとの判断にあたっては、あらかじめ、6.(1)に規定する照会を行うよう努めるものとする。 |
|---|---|
| ホ. | 管理職でない職員は、短期売買等を行った場合には、取引先関連短期売買等でない短期売買等またはハ.に掲げるやむを得ない事情により行った取引先関連短期売買等のいずれであっても、その行った日から1か月以内に、その行った行為の内容をコンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者に報告し、本特則に違反しない旨の確認を受けるものとする。 ただし、ハ.(ヘ)に掲げる場合に該当するとの判断にあたっては、あらかじめ、6.(1)に規定する照会を行うよう努めるものとする。 |
5. 特定の事務に携わる職員に適用される規制
(1)金融政策決定会合に出席する職員
| イ. | 金融政策決定会合に出席する職員は、4.に掲げる行為に該当しない場合であっても、金融政策決定会合開始日の7日前からその終了日まで、自己または他人の名義をもって、金融取引等を行ってはならない。 ただし、流動性円預貯金の預入れおよび引出し、定期性円預貯金の引出し、元本の補填の契約をした金銭信託(貸付信託を含む。)の受益権の処分ならびに預金保険の対象となる金融債の処分を除く。 |
|---|---|
| ロ. | イ.本文の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。 |
(イ)相続または親族からの贈与による場合
(ロ)租税公課の支払に充てる場合
(ハ)教育、医療その他生活の維持のための支出に充てる場合
(ニ)居住用不動産の取得または維持保全の費用に充てる場合
(ホ)イ.本文に規定する職員となる前に締結された契約の履行としてイ.本文に掲げる行為を行う場合
(ヘ)その他(イ)から(ホ)までに準ずるやむを得ない事情がある場合
| ハ. | ロ.に掲げるやむを得ない事情(ロ.(ホ)に掲げる事情を除く。)によりイ.本文に掲げる行為を行おうとする職員は、あらかじめ、その行おうとする行為の内容を、コンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者に報告し、本特則に違反しない旨の確認を受けるものとする。 ただし、あらかじめその報告をするいとまがない場合には、当該行為を行った後すみやかに報告し、確認を受けるものとする。 |
|---|
(2)金融市場調節またはこれを補助する事務に携わる職員
| イ. | 金融市場調節またはこれを補助する事務に携わる職員は、4.に掲げる行為に該当しない場合であっても、自己または他人の名義をもって、金融市場調節において日本銀行が売買の対象とする国債その他の債券の取得または処分を行ってはならない。当該職員に異動があった後1年間も、同様とする。 |
|---|---|
| ロ. | (1)ロ.および(1)ハ.の規定は、イ.の規定の適用について準用する。 |
| ハ. | 所属長は、イ.に規定する職員を任命した場合には、当該職員に対し、イ.およびロ.の規定の適用がある旨を適宜の方法により告知する。 |
(3)外国為替平衡操作またはこれを補助する事務に携わる職員
| イ. | 外国為替平衡操作またはこれを補助する事務に携わる職員は、4.に掲げる行為に該当しない場合であっても、自己または他人の名義をもって、次に掲げる行為を行ってはならない。当該職員に異動があった後1年間も、同様とする。 |
|---|
| (イ) | 外貨預金の預入れまたは引出し ただし、流動性預金の預入れであって当該預入れ後の残高が5万米国ドル相当額を超えないものおよび流動性預金の引出しであって当該引出し前の残高が5万米国ドル相当額を超えないものを除く。 |
|---|---|
| (ロ) | 外国通貨で表示される有価証券等の取得または処分 |
| (ハ) | 通貨にかかる先物取引、オプション取引その他のデリバティブ取引またはこれに類似する取引 |
| (ニ) | 保険契約(通貨の価格の変動により、保険金、返戻金その他の給付金の合計額が変動するものに限る。)の締結、解除または内容の変更 |
ロ.(1)ロ.および(1)ハ.の規定は、イ.の規定の適用について準用する。
ハ.所属長は、イ.に規定する職員を任命した場合には、当該職員に対し、イ.およびロ.の規定の適用がある旨を適宜の方法により告知する。
(4)当座預金取引もしくは貸出取引の相手方に関する選定基準の企画立案、当座預金取引先もしくは貸出取引先もしくは金融市場調節の対象先の選定、考査、オフサイトモニタリングまたはこれらを補助する事務に携わる職員
| イ. | 当座預金取引もしくは貸出取引の相手方に関する選定基準の企画立案、当座預金取引先もしくは貸出取引先もしくは金融市場調節の対象先の選定、考査、オフサイトモニタリングまたはこれらを補助する事務に携わる職員は、4.に掲げる行為に該当しない場合であっても、自己または他人の名義をもって、取引先株式等の取得または処分を行ってはならない。当該職員に異動があった後1年間も、同様とする。 |
|---|---|
| ロ. | 支店において考査もしくはオフサイトモニタリングまたはこれらを補助する事務に携わる職員に対するイ.の規定の適用については、イ.中「取引先株式等」とあるのは、「取引先株式等(当該職員が所属する支店の業務区域(「日本銀行組織規程」別紙に定める業務区域をいう。)内に主たる営業所を有する当座預金取引の相手方またはその持株会社等が発行者であるものに限る。)」とする。 |
| ハ. | (1)ロ.および(1)ハ.の規定は、イ.の規定の適用について準用する。 |
| ニ. | 所属長は、イ.に規定する職員を任命した場合には、当該職員に対し、イ.からハ.までの規定の適用がある旨を適宜の方法により告知する。 |
(5)上席考査役および考査役
| イ. | 職員は、上席考査役または考査役に任命された場合には、任命日において保有する取引先株式等の種類、銘柄および数を、任命日から1か月以内に所属長に報告するものとする。 |
|---|---|
| ロ. | 上席考査役または考査役である職員は、イ.の規定により報告した事項に異動を生じた場合には、当該異動を生じた日から1か月以内に、当該異動を生じた事項および当該異動を生じた日を所属長に報告するものとする。 |
6. 本特則の適用に関する事前照会
| (1) | 職員は、自己が行おうとする具体的な金融取引等に関して、当該金融取引等が本特則の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめコンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者またはその者が代理者として指名する職員に照会することができる。 |
|---|---|
| (2) | (1)の照会およびこれに対する回答中、特定の個人を識別することができる情報(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)は、照会者の所属長その他の第三者に開示しない。 |
7. その他
本特則の諸規定は、金融環境の変化ならびに個人の財産権およびプライバシーの保護についての考え方の変化を踏まえて、適切な時期に見直しを検討する。
