【特定職(業務分野特定タイプ)】文書局 N.M. さん

N.M. さん
![]()
文書局 総務課
業務運営管理グループ
企画役補佐

中央銀行業務における縁の下の力持ち
私が所属している日本銀行の文書局は、企業の内部管理セクションの一部を担う、一般的には「総務部」に当たる部署であり、中央銀行業務を推進していくうえで、いわば“縁の下の力持ち”の役割を担っています。
具体的には、文書局ではセキュリティ確保、建物の維持管理、職員の健康管理、福利厚生など、コーポレートサービスに当たる様々な業務を行っています。これらの業務は、日本銀行が我が国の中央銀行であることに伴って、いくつかの特徴があります。
中央銀行としてのセキュリティ確保
日本銀行には様々な方が来行されます。お札の引換え、国庫金の納付のために来られる一般のお客様のほか、 打合せ等のため官公庁、金融機関、民間企業の方も来行されます。また、海外中央銀行関係者等を招いての国際会議なども行われます。こうした方々が安心、安全に日本銀行で過ごしていただくためには、確実な警備が必要であり、日本銀行では、入退管理や手荷物検査、施設内外のきめ細かな巡視などを行い、セキュリティに万全を期しています。このように、日本銀行は、身近な金融機関としての顔、金融政策運営に代表される金融当局としての顔の2つがあり、日本銀行の建物は様々な人が行き交う重要な公共財となっています。文書局は、日本銀行のセキュリティを24時間365日守っています。
確実な電力供給
文書局が担う建物の維持管理の中には、電力の安定供給も含まれます。日本銀行の業務では、日銀ネットなどの大規模なネットワークシステム、パソコンや電話、FAXなど様々なIT機器等を使いますが、これらが所要の能力を発揮するためには、当然ながら安定した電力供給が不可欠です。この点、日銀ネットについていえば、日本銀行とその取引先金融機関との間の資金や国債の決済をオンライン処理する役割を担っており、中央銀行業務としての高い可用性が要求されます。文書局では、トラブルや災害時などの初動対応に備えて、上述のセキュリティ確保と同じく、24時間365日体制で電力の供給状況を管理しています。また、常用電力のみに頼らないエネルギー源として自家発電機を複数台備えています。このように、中央銀行の役割に即した、万が一のケースをも考慮した電力供給体制が求められます。
建物の耐震性確保
日本銀行は、平時はもちろん有事の際にも、中央銀行として日本銀行法に規定される責務(現金の供給、決済システムの安定的な運行等)を果たすことが求められています。
こうした責務を果たすためには、震災等があっても業務が問題なく継続できるよう、日本銀行の建物・設備等に十分な耐震性が備わっている必要があります。これまで、文書局では、全国各地にある本支店を対象に耐震補強工事を実施してきました。この際、耐震補強といっても、構造材(柱、壁、梁等)、非構造材(外壁材、窓サッシ、扉等)、IT機器(サーバー等)やOA機器によって対応も異なりますし、本支店建物によって構造が全く同じという訳でもありません。文書局では、本支店の建物ひとつひとつ、構造の違いはもとより、被災時にどのエリアがどのような中央銀行業務で使われるか、そのためにはどのような工事が適当かを検討して実施しています。耐震性の確保は、建物・設備と中央銀行業務の関係を踏まえて施策が行われなければなりません。
こうした文書局の機能を果たしていく上では、各種の物品・サービスが必要となりますが、これらは、外部の民間企業から調達することも少なくありません。建物工事であれば建設会社による工事が行われます。事務用品が必要な場合には外部の企業から購入することとなります。こうした物品やサービスの品質を確保し、コストを抑制するために、様々な工夫が行われますが、その一つに契約事務があります。
契約事務について
契約事務は、物品・サービスについて、品質を確保し、より経済的、且つ公正に調達するために行う仕事です。現在、私は、文書局にある総務課業務運営管理グループという部署に所属し、文書局内の各部署が外部の民間企業と契約を締結する際の事務面のサポートに加え、環境変化等を踏まえた先行きの契約事務のあり方に関する企画・検討事務などを担当しています。
ある日の私の行動をご紹介します。
| 午前10時 | 建物工事を担当する部署と、契約書に関する打合せ |
|---|---|
| 午前11時 | 文書局内会議に出席し、物品調達の契約方法に関する議論に参加 |
| 午後1時 | 他局から、契約書の書き方に関する照会があり、弁護士に諮問する事項についてのペーパーを作成 |
| 午後2時 | 福利厚生担当部署と契約金額に関する打合せ |
| 午後3時 | 今後の契約事務のあり方の検討のため、官公庁に出向いてヒアリング |
| 午後5時 | ヒアリング結果を踏まえ、文書局幹部への説明ペーパーを作成 |
このように、外部の民間企業と取り交す契約について、契約書の書き方の相談から、契約金額や契約手続の在り方に関する検討まで、様々な仕事があります。
契約事務を行っている文書局では、契約書をどのように書けば外部の民間企業に品質要件が正確に伝わるか、より経済的で公正な調達ができるか、等の議論が日々行われています。こうした中での私の役割は、他の公的機関における事例などを基に、“入札参加条件を〇〇のようにしてはどうか”、“新規に参加する企業には品質要件が分かりにくくないか”等の提案や問いかけを通じ、よりよい契約の姿に向けて、議論や判断をサポートすることにあります。
調達を巡る環境は変化します。契約事務を適切に行うためには、世の中の現在のベスト・プラクティスが何かを学ぶ必要があり、私自身も日々、新たな発見と学習の連続です。世の中のベスト・プラクティスを吸収し、契約事務の面から、日本銀行の仕事を支えていることにやりがいを感じています。
私は、入行後、最初に名古屋支店に配属となり、文書系統に特定された後は、文書局の福利厚生担当部署と工事契約担当部署、発券局における予算・契約部署、政策委員会室における役員サポート部署、そして現在の部署を経験してきました。これらの職務経験を通じて大切と感じたことが二つあります。
グラデーションの中で考える
一つは、“グラデーション”の中で最適解を見つけていくことです。仕事において「以前に起こった案件と全く同一の案件」というものは殆どありません。同様にみえる案件であっても、外部環境の変化に対応して、新たな工夫が必要になります。日頃から、この点を意識して、臨機応変の対応を心がけていることで、東日本大震災のような非常時にも、政府からの節電要請や交通機関の運行予定の大幅変更等の環境変化を踏まえて、外部の民間企業との間で適切な契約の見直しを行うことができました。
定跡を知り、応用し、つくる
もう一つは、“定跡を知り、応用し、つくる”ことです。私の趣味のひとつに「将棋」があります。将棋では、過去の対戦例に基づいて展開される安全策、いわば定型的な進行を「定跡」と呼びます。そして「定跡」にはない新たな局面になると、将棋の棋士は研究や経験を応用した戦術を用いていきます。将棋の醍醐味は、新たな定跡を自らつくり出すこと、定跡から外れた局面でどれだけ地力を発揮できるかにありますが、まさに文書系事務でも同じことがいえます。
文書系事務は頭の柔らかさが大切です。そして中央銀行の中と外を知るおもしろい仕事です。今後も契約事務を中心に文書系事務の定跡を知り、応用し、次代の文書系事務の定跡をつくれるよう、努力していきたいと思います。
N.M. さんのあゆみ
| 2002年4月 | 名古屋支店入行 発券課 業務課 文書課 営業課 |
|---|---|
| 2006年7月 | 文書局 |
| 2010年4月 | 発券局 |
| 2012年7月 | 政策委員会室 |
| 2014年9月 | 文書局 |