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2022年5月10日
日本銀行国際局
1998年(平成10年)4月に外為法が改正され、これまで資本取引(すなわち資金の移動のみで物・サービスの移動を伴わない対外的な金融取引)を中心に残っていた「事前届出・許可制」が原則として廃止されました。この結果、外為法上の規制は、対外取引を行ったあとに当該取引の内容を財務大臣や事業所管大臣等に報告するいわゆる「事後報告制」になりました。
ここでは、これまで外為法にあまり接する機会の少なかった方々にも、外為法の大枠を理解していただき、必要な報告書をもれなく提出していただけるよう、「外為法の概要」、次いで「報告制度の概要」の順に説明していきます。
なお、各項目の記述については、ポイントを絞りできるだけ分りやすく簡潔に記載しています。したがいまして、外為法の報告制度についてより詳しくお知りになりたい方は、本ホームページに掲載されているほかの外為関係資料にも目を通していただくことをお勧めします。また、外為関係法令の条文をご確認なさりたい方は、市販されている「外為小六法」*1や「官報」等をご参照ください。
外為法の正式名称は「外国為替及び外国貿易法」です。その名前が示すとおり、外為法は、日本と外国との間における「資金の移動」や「物・サービスの移動」等の対外取引*に適用される法律です。
外為法は、その目的として第1条に、「対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もって国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与すること」を掲げています。
外為法は「対外取引」を適用対象にした法律です。しかし、その適用対象になる対外取引は「取引当事者」と「取引を行う場所」の組合せによって、次の4通りに分類することができます。
なお、本邦法人の海外支店等は非居住者、外国法人の在日支店等は居住者、になります。しかし、以下のような取引を行う場合は、居住者、非居住者の属性にかかわらず、外国為替法令の適用を受けます。
本邦法人の海外支店等と外国法人との取引・行為 | 本邦法人の財産や業務に影響する場合は外国為替法令の適用を受ける |
---|---|
同一の本邦法人の海外支店間の取引・行為 | 本邦法人の財産や業務に影響する場合は外国為替法令の適用を受ける |
本邦法人の本店と海外支店との取引・行為 | 居住者と非居住者との取引・行為として外国為替法令の適用を受ける |
日本法人の海外支店が、本社の資金でかつ本社の指示のもとに外国法人の株式を購入した場合は、外国為替法令の適用を受けます。
株式の取得金額が1億円相当額超の場合であって、出資比率10%未満の外国法人が発行するものであれば資本取引に係る「証券の取得又は譲渡に関する報告書」、取得金額が10億円相当額以上の場合であって、出資比率10%以上の外国法人が発行するものであれば「対外直接投資に係る証券の取得に関する報告書」の提出が必要となります。
外国法人の在日支店が本邦法人との間で行う取引で、外国為替法令の適用を受ける場合(対内直接投資等に該当するもの*)は、次のとおりです。
ここで用いている外為法上の用語の定義は次のとおりです。詳しくは外為法第6条等をご参照ください。
外為法は、第1条において「対外取引に対し必要最小限の管理・調整を行う」と定めています。そして、実際に対外取引に対し必要最小限の管理・調整を行う場合に必要な発動要件は、それぞれの取引・支払等ごとに定められています。
外為法上の管理を行う場合の発動要件は、「日本が締結した、国際約束(国連安保理制裁決議等)を誠実に履行するため必要があると認めるとき」、「国際平和のための国際的な努力に日本として寄与するため特に必要があると認めるとき」又は「(我が国の平和及び安全の維持のための対応措置を講ずる)閣議決定が行われたとき」等に限られています。また、管理の方法としては、対外取引や支払等を行う前に、主務大臣の許可や承認を得ることが義務付けられています。
一方、調整については、居住者や外国投資家が特定の対外取引を行おうとする場合に、主務大臣や事業所管大臣が当該取引の内容等について、「日本の経済(産業)運営に悪影響をおよぼすおそれ」がないかどうか、また「国際平和を損なうおそれ」がないかどうか、あらかじめ審査する必要があるため、事前に取引の内容等を届出させること(事前届出)を義務付けています。現在、事前届出の対象となる取引は、「対外直接投資」、「対内直接投資等」、「特定取得」、「技術導入契約の締結等」のうちの一部取引に限られています。
なお、許可・承認の対象となる取引は、「許可・承認」を得るまでの間(許可申請書または承認申請書を提出したあと、許可証や承認証が交付されるまでの間)、届出の対象となる取引は、届出書を提出したあと、財務大臣より事務委任を受けている「日本銀行国際局長」から取引可能日の公示又は通知があるまでの間、当該取引を行うことができません。
外為法では、その目的である「対外取引の正常な発展や国際収支の均衡および通貨の安定」を図るための手段として、財務大臣に国際収支統計や対外資産負債残高統計等の作成を義務付けています。このため、外為法では統計の作成や対外取引の実態把握を目的として、対外取引の当事者に対して様々な報告書の提出(事後報告)を義務付けています。
なお、国際収支統計については、財務省・日本銀行が毎月対外公表しております。また、わが国は、IMF(国際通貨基金)加盟国の報告義務としてIMFに国際収支統計の内容を報告しています。
外為法では、取引の規制(許可・承認、届出)や事後報告を義務付ける一方、その実効性を確保するために、違反の内容によって、例えば、「5年以下の懲役若しくは5百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とか、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」といった罰則規定を設けています。詳細は、外為法第9章「罰則」をご参照ください。
外為法における主務大臣(許可・承認等を行う大臣)は、財務大臣と経済産業大臣です。
財務大臣の所管は、貿易を除く取引全般(貿易外取引:資本取引、直接投資等)にわたります。
経済産業大臣の所管は、貿易取引や役務取引に係るもの、貿易に直接伴う取引(貿易関係貿易外取引:貿易代金の決済や賠償金・調整金の決済等)になっています。
外為法第69条には、財務大臣・経済産業大臣は「その事務の一部を日本銀行に取り扱わせることができる」と定められています。
日本銀行は、この規定に基づき定められた外為関係政省令等により、財務大臣が行う事務の一部(具体的には、許可申請書、届出書、報告書の受理事務や国際収支統計等の作成事務)を行っています。
なお、日本銀行では、外為法上の手続相談を承っておりますが、ときどき「支払手段や証券を携帯輸出・輸入する場合の手続き」についてのご照会を受けることがあります。しかしながら、本件に係る事務は、財務大臣から税関長に権限が委任されており、日本銀行の窓口では、取扱っておりません。したがいまして、支払手段や証券の携帯輸出・輸入に係る具体的な手続きについてお知りになりたい方は、最寄りの税関にお問合わせください。
また、日本銀行では、現在、経済産業大臣の所管に属する事務の委任は受けておりません。したがいまして、日本銀行の窓口では、経済産業大臣の所管に属する貿易取引や役務取引、貿易に直接伴う取引に係る事務を取扱っておりませんので、輸出入等の手続きについてご照会なさりたい方は、経済産業省にお問合わせください。
現在、居住者または非居住者が取引や支払等を行う前に許可や届出を必要とする主なものは、次のとおりです。
資産凍結対象者との取引等、外為法令で定められた一部の取引については、事前に許可を得る必要がある場合があります。財務大臣所管の許可対象取引については、財務省ホームページ(「経済制裁措置及び許可手続の概要」(外部サイトへのリンク))をご覧ください。この他に経済産業大臣所管の許可対象取引もありますのでご注意ください。
上記の許可・届出の手続きについては、「外為法の報告書についてよく寄せられる質問と回答」に詳しく説明してありますので、ご参照ください。
以下では、金融機関以外の一般の企業や個人が日本銀行に提出する(日本銀行を経由して財務大臣に提出する)報告書を前提に、「報告の種類」(2−1)、「報告者」(2−2)、「報告負担の軽減措置」(2−3~2−5)の順に説明していきます。
また、各項目とも説明をできるだけ簡略化するため、原則として報告書の名称は記載していません。したがいまして、報告書の名称を個別にご確認なさりたい方は、「報告書様式および記入の手引等」をご参照ください。
外為法上の報告は、以下の3つに大別されます。
上記3種類の報告を行う場合は、外為法上、それぞれ取引の内容に応じて個別に定められた報告書により提出することが義務付けられています。
「取引に関する報告」や「支払等に関する報告」は、原則として取引や決済を行った都度*、報告が求められています。一方、「個別の業務等に関する報告」については、1か月間の状況や月末・年末の残高を定期的に報告するよう求められています。
事例 1:本邦法人が、米国子会社(100%出資)に対し、50百万米ドルの追加出資を行い(増資新株を取得し)、当該資金を日本の銀行から米国子会社あてに送金した。
報告の種類:米国子会社に対する追加出資(増資新株の取得)については「取引に関する報告」を、出資金の送金(支払)を実行したことについては「支払等に関する報告」をそれぞれ提出していただきます。
事例 2:米国法人が、本邦法人から本邦不動産を営利目的のために購入し、当該購入代金10百万米ドルを本邦法人が海外金融機関に保有する口座に振込んだ。
報告の種類:米国法人が、本邦法人から本邦不動産を取得したことについては「取引に関する報告」を、本邦法人が売却代金を受領したことについては「支払等に関する報告」を、さらに、本邦法人の海外預金口座の月末残高が1億円相当額を超える場合には「個別の業務等に関する報告」をそれぞれ提出していただきます。
「取引に関する報告」を行う場合は、下記の取引区分ごとに定められた報告書を使用します。
「資本取引」、「対外直接投資」、「対内直接投資等」、「特定取得」および「技術導入契約の締結等」
報告書には、取引年月日、取引内容、取引金額、取引の相手方等を記載します。
各報告書の様式や記入例、提出方法については「報告書様式および記入の手引等」をご参照ください。
「支払等に関する報告」を必要とする場合には、「支払又は支払の受領に関する報告書」を提出していただくことになります。「支払又は支払の受領に関する報告書」は、支払等の方法によって、次の二つの報告書に大別されます。
「支払又は支払の受領に関する報告書(銀行等又は資金移動業者を経由する支払又は支払の受領):報告省令別紙様式第3・4」
本邦にある銀行等又は資金移動業者の為替を利用して、(1)居住者が外国への支払、外国から本邦に向けた支払の受領を行った場合、および(2)本邦内において居住者が本邦に開設している非居住者の預金口座に支払、同口座からの支払を受領した場合に使用するもの
なお、「外国への支払」とは、日本からの外国へ向けた資金移動を指します。この場合、外国で送金を受取る者は非居住者、居住者を問いません。
「支払又は支払の受領に関する報告書(銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領):報告省令別紙様式第1・2」
上記の銀行等又は資金移動業者を経由する支払又は支払の受領による方法以外で行った場合に使用するもの(具体的には次のとおりです)
外国の取引の相手方から代金を受領する場合に、外国にある金融機関の自社口座へ直接振り込んでもらう
外国の取引の相手方との間で互いに債権・債務を相殺して決済(清算)する
国外へ現金を持ち出し(携帯輸出)、外国で取引の相手方に直接現金を支払う
外国の取引の相手方が指定した日本の第三者(代理人)に対し代金を支払うことで当該取引の決済が完了する
報告書には、報告者(支払等を行った者)、取引の相手方、支払金額または支払の受領金額、支払等の目的に対応した国際収支項目番号*等を記載します。
*
それでは、「銀行等又は資金移動業者を経由する支払等」と「銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等」の違いについて具体的にどのようなものがあるか、参考例をもとに説明していきます。
「銀行等又は資金移動業者を経由する支払等」
参考例:本邦法人が米国子会社に対し5百万米ドルの貸付資金を日本にある銀行から送金した。
説明:この場合は、居住者である本邦法人が非居住者である米国子会社に対する貸付資金を日本にある銀行等又は資金移動業者の為替を利用して米国に送金(外国への支払)しましたので、「銀行等又は資金移動業者を経由する支払等」に該当します。
「銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等」
参考例:本邦法人が、米国子会社に対し5百万米ドルを貸付けることになり、当該貸付資金を米国にある金融機関に開設されている自己口座から米国子会社の預金口座に振替払いを行った。
説明:この場合は、居住者である本邦法人が非居住者である米国子会社への支払を、日本にある銀行等又は資金移動業者の為替を利用せずに、海外にある本邦法人の預金口座からの振替払い(外国における非居住者との間の支払)で処理しましたので、「銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等」に該当します。
本例の場合には、本邦法人は、米国子会社に対する貸付資金の支払のほかに、もう一つ、別の非居住者である外国にある銀行から支払の受領(預金の引き出し)も行っています。
しかしながら、「非居住者である銀行から預金の引き出し(すなわち、非居住者からの支払の受領となる)」については、「銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等の報告」が不要になっています。
「個別の業務等に関する報告」とは、以下の会社または個人が投資先法人の財産状態や取引のその後の状況、特定の業務に係る収支状況等を定期的に報告するものです(ここでは、金融機関が提出する外為業務に関する報告については、説明を省略します)。
「個別の業務等に関する報告」の主なものには、次のようなものがあります。
報告の種類 | 報告者 |
---|---|
外国法人の内部留保等に関する報告 | 外国法人に対し10億円以上の出資を行っており、その出資比率が10%以上(議決権の割合)となる居住者 |
本邦にある会社等の内部留保等に関する報告 | 外国投資家から10%以上(議決権の割合)の出資を受けている、資本金が10億円以上の日本の会社及び特定目的会社 |
証券の償還等の状況に関する報告 | 証券の発行・募集の報告を行っている居住者・非居住者で、毎年12月末における当該証券の発行残高が10億円相当額以上、かつ、前年の12月末以降に買入償却等の実施により発行残高が減少している場合 |
海外預金の残高に関する報告 | 非居住者に対し月末残高で1億円相当額を超える預金を保有している居住者 |
航空会社・船会社の事業収支に関する報告 | 本邦にある航空会社・船会社、本邦にある外国の航空会社・船会社の支店及び代理店 |
貨物の輸出入等に係る保険に関する報告 | 本邦にある損害保険会社 |
上記報告書の様式や記入例等を参照したい方は、「報告書様式および記入の手引等」をクリックしてください。
「取引に関する報告」、「支払等に関する報告」および「個別の業務等に関する報告」の報告者は次のとおりです。
報告の種類 | 報告の内容 | 報告者 |
---|---|---|
取引に関する報告 | 資本取引 | 証券の発行・募集:居住者または非居住者 不動産等の取得:非居住者 証券の取得・譲渡:居住者 暗号資産の売買又は交換に係る媒介等:居住者 |
対外直接投資 | 居住者 | |
対内直接投資等 | 非居住者外国投資家(居住者による代理報告が必要)、居住者外国投資家 | |
技術導入契約の締結等 | 居住者 | |
支払等に関する報告 | 支払・支払の受領(支払等) | 居住者 |
個別の業務等の報告 | 外国法人の内部留保等 | 居住者 |
本邦にある会社等の内部留保等 | 居住者 | |
証券の償還等の状況 | 居住者、非居住者 | |
海外預金の残高 | 居住者 | |
航空会社・船会社の事業収支 | 居住者 | |
貨物の輸出入等に係る保険 | 居住者 |
報告書の提出は、原則として、前述の「2−2報告者」において表で示したとおり、報告書の種類、報告の内容に応じて定められた報告者が行うことになります。このうち、対内直接投資等および特定取得については、報告者(外国投資家)が非居住者である場合には、必ず居住者である代理人により当該報告を行う必要があります。
これ以外の報告書を代理人が書面(紙)により作成・提出する場合には、報告書の記載内容等に関する責任は本来の報告者にあることにご留意の上、報告書の「代理人欄」の「責任者の氏名」の箇所、または「報告者欄」の「責任者の氏名」の箇所に、報告者から委任を受けた方の氏名を記入してください(その際、報告書に委任状を添付する必要はありません)。
なお、報告書のあて先欄に「○○○○大臣殿(日本銀行経由)」と記載されているものについては、当該報告書を日本銀行国際局国際収支課の窓口(支店の場合は、最寄りの日本銀行支店営業課または総務課の窓口)に提出していただくことになりますが、なるべく、下記の日本銀行本店あてに直接郵送していただきますよう、お願いします。
(報告書の郵送先)
〒103-8660 日本郵便株式会社日本橋郵便局私書箱30号
日本銀行国際局国際収支課 外為法手続グループ
または 国際収支統計グループ
なお、代理人により「支払又は支払の受領に関する報告書」を提出される場合には、「報告者欄」の「担当者の氏名」(電話番号)を記載する箇所に、実際に委任を受けた方の氏名・連絡先電話番号を記入してください。
また、書面(紙)による報告のほか、電子報告により行うことも可能です。代理人として電子報告を行う際の手続きの詳細は、「よく寄せられる質問と回答:『電子報告』関係」をご覧ください。
報告を必要とする場合は、当該取引・行為または支払等を行った日から、下記の取引区分ごとに定められた提出期限内に、所定の報告書1通を作成し、日本銀行に提出していただくことになります。報告者におかれては、提出遅延・提出もれのないよう、ご留意ください。
<資本取引、対外直接投資>
<対内直接投資等、特定取得>
<技術導入契約の締結等>
<銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等>
報告省令別紙様式第1または2による「支払又は支払の受領に関する報告書」を使用
「支払等に関する報告」を必要とする場合には、原則として、一度の支払もしくは一度の支払の受領ごとに所定の「支払又は支払の受領に関する報告書」を提出する必要があります。しかしながら、報告者の負担軽減を図るため、銀行等又は資金移動業者を経由する支払等の報告については、報告省令別紙様式第4による取りまとめ報告が認められています。書面報告の場合は、事前に財務大臣への通知を行うことにより、支払等を取扱った銀行等又は資金移動業者ごとに1か月間の支払等の全部または一部を取りまとめ、報告書1通を作成し、当該支払等をした日の属する月の翌月10日までに当該取扱い銀行等又は資金移動業者に提出する扱いとなります(詳しい手続きは、財務省国際局外国為替室までご照会ください)。ただし、電子報告の場合は、事前に財務大臣への通知は不要であり、翌月20日までに直接日本銀行へ提出する扱いとなります。
また、銀行等又は資金移動業者を経由しない支払等についても、1か月間の支払等の全部または一部を取りまとめ、報告省令別紙様式第2による報告書1通を作成し、当該支払等をした日の属する月の翌月20日までに日本銀行に提出する扱いが認められています(ただし、事前に財務大臣への通知を行う必要はありません)。
報告者の負担軽減を図るため、「取りまとめ報告」の扱いが認められているほか、取引や支払等であっても小規模なものについては、「取引に関する報告」および「支払等に関する報告」そのものを提出不要にしているものがあります。
報告が不要になる取引や支払等の事例は次のとおりです。なお、報告が不要になる取引や支払等は、以下の「外国為替法令の規定」*によりそれぞれ定められています。
報告の種類 | 報告が不要になる支払等や取引の内容 |
---|---|
取引に関する報告 (資本取引) |
居住者・非居住者間の預金契約、信託契約、金銭の貸借契約、債務の保証契約、対外支払手段又は債権の売買契約、および金融指標等先物契約 |
居住者間で行う外貨建取引(預金契約、信託契約、金銭の貸借契約、債務の保証契約、対外支払手段又は債権の売買契約、および金融指標等先物契約) | |
居住者による海外不動産もしくはこれに関する権利の取得 | |
非居住者が他の非居住者から本邦不動産もしくはこれに関する権利を取得した場合 | |
非居住者による本邦不動産もしくはこれに関する権利の取得が「自己または親族もしくは使用人その他の従業員の居住用」、「自己の事務所用」、「非営利目的の業務遂行用」である場合 | |
(対外直接投資) | 取引の金額が10億円相当未満*のもの 報告者と完全子会社を合計した出資割合が10%未満の場合は、対外直接投資に該当する取引でも、対外直接投資にかかる報告は不要。ただし、証券の取得については、1億円相当額超の場合には報告省令様式13にて報告が必要。 |
金銭の貸付契約 | |
海外支店・工場その他の営業所の設置・拡張資金の支払 | |
(対内直接投資等) | 相続・遺贈・株式無償割当て・取得条項付株式の取得事由の発生による株式等の取得 |
出資比率、議決権比率ともに10%未満(密接関係者との合計)の株式又は持分の取得(ただし、外国投資家の国籍が掲載国および日本、発行会社の定款上の事業目的が事後報告業種に該当する場合) | |
変更後の事業目的が事前届出業種に該当しない会社の事業目的の変更 | |
事業目的が事前届出業種に該当しない支店等の設置 変更後の事業目的が事前届出業種に該当しない支店等の種類または事業目的の変更 |
|
(技術導入契約の締結等) | 外国企業の在日支店等が独自に開発した技術導入契約の締結等 |
事業の経営に関する技術の指導に係る技術導入契約の締結等 | |
指定技術以外の技術導入契約の締結等
|
|
支払等に関する報告 | 非居住者による外国へ向けた支払及び外国からの支払の受領 貨物を輸出入する者がその輸出入に直接伴ってする支払・支払の受領 |
3千万円相当額*以下の支払等 |
外為法に基づく届出・報告書については、「日本銀行外為法手続きオンラインシステム」を利用することでインターネット経由でのオンライン提出が可能となっています。詳細は「届出・報告手続きの電子化」をご覧ください。
最後に、外為法上の各種報告書が国際収支統計の構成項目とどのような対応関係にあるか、次表にまとめてみましたので、ご参照ください。
各種報告書は、「国際収支統計」および「対外資産負債残高統計」を作成するうえで大変重要な資料になっています。日本銀行では、今後とも精度の高い統計の作成、維持に努めてまいりますが、それには、是非とも報告者のご協力が必要になります。したがいまして、報告者におかれましては、報告書の遅延や提出もれ等がないよう、報告期限内に報告書を日本銀行に提出(郵送)していただきますようお願いいたします。
項目 | 報告書等 ( )は報告書の報告省令別紙様式番号 |
主な報告者等 | ||
---|---|---|---|---|
経常収支 | ||||
貿易収支 |
|
財務省公表資料 | ||
|
取引者 | |||
サービス収支 | ||||
輸送 |
|
船会社 | ||
|
航空業者 | |||
|
取引者 | |||
旅行 |
|
取引者 | ||
その他サービス |
|
損害保険会社 | ||
|
取引者 | |||
第一次所得収支 |
|
銀行等、金融商品取引業者、保険会社、投資信託委託会社等 | ||
|
銀行等、金融商品取引業者、保険会社、投資信託委託会社等 | |||
|
投資企業 | |||
|
被投資企業 | |||
|
取引者 | |||
第二次所得収支 |
|
取引者 | ||
資本移転等収支 |
|
取引者 | ||
金融収支 | ||||
直接投資 |
|
取引者 | ||
|
投資企業 | |||
|
被投資企業 | |||
証券投資 |
|
取引者 | ||
|
銀行等、金融商品取引業者、保険会社、投資信託委託会社等 | |||
|
取引者 | |||
|
取引者 | |||
金融派生商品 |
|
銀行等、金融商品取引業者、保険会社、投資信託委託会社等 | ||
|
取引者 | |||
その他投資 |
|
取引者 | ||
|
取引者 | |||
|
銀行等 | |||
|
保険会社 | |||
|
銀行等、金融商品取引業者、保険会社、投資信託委託会社等 | |||
|
銀行等、金融商品取引業者、保険会社、投資信託委託会社等 | |||
|
銀行等 | |||
外貨準備 |
|
日本銀行作成資料 |