このページの本文へ移動

質問考査では、具体的にはどのようなことを調査しているのですか?

教えて!にちぎん

回答

考査では、オフサイト・モニタリングと同様、金融機関が貸出や有価証券投資等の業務を行うことを通じて負っている信用リスク(注1)、市場リスク(注2)、流動性リスク(注3)、オペレーショナル・リスク(注4)などに着目し、その実態の把握に努めています。例えば、以下のような点を調査しています。

  1. (注1)与信先(貸出先、保有有価証券の発行体、債務保証先等)の財務状況の悪化などにより、貸出や有価証券等の資産価値が減少ないし消失するリスク。典型的には、貸出先の倒産により元利金の支払いが受けられなくなるリスク。
  2. (注2)金利や株価、為替レートの変動等に伴い、有価証券、外国為替など保有している資産・負債の経済価値が変動し、損失が発生するリスク。
  3. (注3)運用と調達の期間が一致していないため、多額の預金流出などが生じた場合に、必要な資金を運用の見直しにより迅速に確保できないリスク。また、通常より高金利での資金調達を余儀なくされるリスク。
  4. (注4)事務ミス、法令・規則違反、システム障害、自然災害等により業務継続が困難となることにより損害が発生するリスクや、顧客や市場からの信任の低下といったリスク。

貸出業務

金融機関の貸出業務に伴う信用リスクの管理状況を把握することに努めています。例えば、与信管理の枠組みや、信用リスク管理に関わる関連部署の役割・機能状況等の調査などにより、リスク管理体制が有効に機能しているか検証しています。

市場関連業務

金融機関による市場リスクの把握・コントロールに関する運営方法や、保有有価証券のポートフォリオの状況等を調査することにより、その構成の変化や市場価格の変動などが経営に及ぼし得る影響、リスク管理体制の機能度等を検証しています。

資金の運用・調達動向

金融機関が決済に必要な資金を日々安定的に調達できているか、自らの信用度や金融環境に照らして過大な流動性リスクを抱えた運用・調達構造となっていないか、といった点を確認しています。また、実効性のある危機管理計画(コンティンジェンシー・プラン)を策定できているか、グローバルな流動性リスク管理体制を確立しているかなどについても、必要に応じ検証しています。

事務処理体制

事務処理体制がミスや事故を抑止する仕組みとなっているかなど、金融機関のオペレーショナル・リスクの管理体制を検証し、実際の事務の現場におけるそうした体制の機能度について調べています。また、コンピュータ・システムの運営等に関するリスク管理体制やサイバーセキュリティ、業務継続体制の整備状況についても検証しています。

経営管理

金融機関の内部監査が適切に行われているかなどについて確認しています。また、多様なリスクを統合的に把握する体制の整備状況等について、金融機関との議論を深めています。さらに、金融機関が行うストレス・テストに関し、シナリオの妥当性やテスト結果の活用状況等について確認するとともに、同テストの定着・活用を促しています。

収益・経営体力

金融機関が持続性の高い利益を確保し、十分な経営体力を保持しているかを確認しています。その際には、金融機関の業務内容、業務を行うことを通じて負っている各種のリスク、経営管理やリスク管理の状況等を踏まえたうえで、収益力や自己資本の充実度についてシミュレーションや各種の分析を行い、意見交換等を通じて、金融機関と認識を共有するよう努めています。

参考