このページの本文へ移動

質問 日本銀行によるマクロ・プルーデンス面での取り組みについて教えてください。

教えて!にちぎん

回答

現在、わが国では、行政権限を持って業態横断的に監督・検査を行う金融庁と、中央銀行である日本銀行が中心となり、それぞれの機能を活かすかたちで協力しながら、金融システム全体のリスクや金融不均衡の状況を注視しつつ、マクロ・プルーデンスに関する活動に取り組んでいます。

日本銀行のマクロ・プルーデンスを重視した具体的な取組みを挙げると、以下のとおりです。

金融システムの安定性に関する分析・評価

日本銀行は、金融システム全体のリスク動向を分析・評価し、その結果を金融システムレポートとして原則年2回公表しています。

考査やモニタリング等との連携

日本銀行は、金融システムの不安定化を防止するため、マクロ・プルーデンスおよびミクロ・プルーデンスに関する活動の運営面での連携を強化しています。

例えば、マクロ統計の持つ遅行性などの制約を補完する狙いから、考査オフサイト・モニタリングから得られた様々なミクロ情報を、金融システム全体のリスク動向の把握、分析にも活用しています。一方で、マクロ・プルーデンスの視点に立った金融システムの分析・評価は、考査およびオフサイト・モニタリングの運営や金融高度化センターの活動、国際会議での議論等に反映させています。

金融庁との意見交換

マクロ・プルーデンスにかかる金融庁と日本銀行の連携強化を図っていく観点から、金融システム・金融市場の諸情勢に関する意見交換を行うことを目的として、「金融庁・日本銀行連絡会」を、2014年(平成26年)6月から半年に1回程度開催しています。

金融庁がカウンターシクリカル資本バッファー(金融市場における信用の供与が過剰な場合に、将来の景気の変動によって生じるおそれのある損失に対するバッファー<金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」(外部サイトへのリンク)より>)の水準を変更する際には、この連絡会における協議を踏まえて決定することとなっています。詳細については、金融庁「カウンター・シクリカル・バッファーの運用の大枠」(外部サイトへのリンク)をご覧ください。

金融システムの安定に必要な施策の実施

日本銀行は、金融システムの安定が脅かされるリスクがあると判断した場合、金融システム全体の安定を確保する観点から、必要な施策を実施しています。

具体的には、個別金融機関の経営破綻等のショックが金融システム全体を不安定化させるおそれがある場合、必要に応じ、最後の貸し手としての流動性の供給を行います。その際、システミック・リスクの顕在化を防止する観点から真に必要と判断される場合には、いわゆる特融等に関する4原則に基づき、政策委員会の決定を経て、担保を徴求せずに資金供給を行うこともあります。

決済システム面での取組み

日本銀行は、わが国決済システムの中核をなす日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)について、利用先金融機関のニーズも踏まえながら、その安全性、効率性の向上に不断に取り組んでいます。また、各種民間決済システムのオーバーサイト(運営状況等のモニタリング・評価や改善に向けた働きかけ)も行っています。これらの活動を通じて、金融システムの安定の確保に貢献しています。

金融政策運営

金融政策と金融システムの安定の間に密接な関係があることを踏まえ、日本銀行は金融政策運営において、マクロ・プルーデンスの視点も重視しています。具体的には、2つの「柱」に基づく経済・物価情勢の点検の中で、「第2の柱」における先行きの中長期的なリスク要因の一つとして、金融システム面のリスクについて点検を行っています。

参考