公表資料・広報活動

ホーム > 公表資料・広報活動 > 講演・記者会見 > 記者会見 1998年 > 総裁定例記者会見要旨 (10月15日)

総裁定例記者会見要旨 (10月15日)

1998年10月16日
日本銀行


—— 平成10年10月15日(木)
午後 3時から45分間

【問】

13日の金融政策決定会合では現状維持の決定となったが、日銀の景気の現状認識および先行き見通し如何。また、当面の金融政策運営スタンス如何。

【答】

本日の「金融経済月報」——アイボリーペーパー——にも書いてあるように、私どもでは、わが国の経済情勢の現状について、「依然として悪化を続けている」と判断している。 

すなわち、少し個別に申すと、設備投資が大幅に減少しているほか、個人消費も依然として低迷が続いている。こうした最終需要のもとで、大幅な減産が続いている訳で、企業収益は当然の結果として悪化している。雇用・所得環境もこのところ一段と厳しさを増しており、生産・所得・支出を巡るこの循環が依然としてマイナス方向に働いていると認めざるを得ない。この間、物価は下落しているし、金融機関の融資姿勢は一段と慎重なものとなっているように思う。

私どもでは、これから、先般の金融緩和措置の効果や総合経済対策の効果が現われてくることを期待しているので、これまでのような景気の悪化テンポは次第に和らいでいくであろうことは十分見込めると思う。しかし、経済に働くマイナスの循環の強さや、金融面からの制約などを考えると、速やかな景気回復を展望することも難しいように思う。

こうした状況を踏まえると、やはり、金融機能の再生と健全化のための施策が、今後早期に具体的な実施に移されることが重要であると思う。また、現在政府内で検討されている財政面からの景気対策についても、早急に具体化されることを期待している。

一昨日の金融政策決定会合では、このような金融経済情勢に対する認識を踏まえて討議をしたが、当面の金融政策運営について、先月以来の思い切った金融緩和スタンスを引続き維持することを決定したところである。

金融市場の動きをみると、12月は海外では外貨が詰まる時期であることもあって、年末にかけての邦銀の外貨手当に対する不安感も強まっている。国内市場においても年末越えの金利に強い上昇圧力が働いている。私どもとしては、これらを踏まえて、現在の金融調節方針を維持することにより、年末越え資金をできる限り潤沢に供給し、引続き金融市場の安定に万全を期していく考えである。

【問】

このところの円高の進行をどうみているか。また、日本経済に及ぼす影響如何。

【答】

為替相場の動きや水準について、私の立場から評価を申し述べることは適当でないと思うが、私としては、為替相場は経済のファンダメンタルズに応じて、安定的に推移していくことが望ましいと考えている。ただ為替は相手国との相対関係であるし、かつ国際通貨市場の流れと直接結びついているだけに、今回のようなケースはとりわけ大きく響いた感じがする。

日本経済への影響については、本日の「金融経済月報」の中でも述べたように、為替相場の変動は企業収益や物価面に影響を及ぼしうるものである。したがって、私どもとしては、今後の相場動向を見極めつつ、その影響を十分注意してみていくつもりである。

【問】

金融再生法案に続いて、早期健全化のスキームも纏まり、これに関連して、金融機関への公的資金の強制注入の論議が出ているが、資本注入についてどういうあり方が望ましいと思っているか。

【答】

私どももずっと待望してきた金融再生法と金融機能早期健全化法が、色々な曲折を経つつも、今般成立し施行される運びとなったことは非常に喜ばしいことだと思う。

特に、早期健全化法については、これまでの30兆円という公的資金の枠が60兆円と大幅に拡充される見込みである。その中で、特にリキャピタリゼーションというか、資本強化のために25兆円の資金が用意されることは、私どもとしては非常に喜ばしいことであるというふうに思っている。

これを早く実現していくことが必要だと思うし、同時に不良債権の償却を早期に行うということが望ましい訳であるが、その場合にどういうふうにこれを各行に割当て、あるいは配布していくのかというやり方については、おそらくこれからまだ議論が行われるのではないかと思っている。

やり方は色々あると思うが、どの銀行も資本勘定——直接、償却財源として使用できる資金——は必ずしも十分とは言えないと思う。そういう意味で健全である銀行も、やや資本不足が目立つと言っているところも、やはりこの際は一斉に自ら手を挙げて政府の資本注入・資本強化の動きに——公的資金による資本増強という新しく決まる政策に——応えていって貰いたいというふうに思っている。

これは、やはり一つ一つということではなく、できることならば一斉に手が挙がるということが、特に大手18行について申しているのであるが、そういう形になることが望ましいと私は思っている。そのことが市場と国民の信頼を得る道ではないかと思う。

そのためにはやはり前々から申しているように、一斉にディスクローズすることが必要であると思うし、また資本注入だけで全てが良くなるというものではないと思う。前回も申し上げたように、自らの判断でリストラクチャリングを早くやること、そしてもう一つは、金融再編の流れをみながら自らの銀行の将来の方向をこの際決めて、その方向に動き出すということ——こういうことは2度3度とあることではないと思うが、この機会を逸することなく、一斉に動いて頂きたいというふうに思っている。

【問】

先般のG7後の記者会見での邦銀の過少資本を巡る発言が国内外でかなり波紋を呼んで、邦銀の外貨調達にも影響を与えたようであるが、やはり総裁は邦銀は過少資本であると考えているのか。

【答】

私の発言について誤解に基づく報道がなされたことについては極めて迷惑であり、かつ遺憾であると思っている。

都銀、長期信用銀行、信託銀行、これらの主要19行では、国内、海外合わせて、98年6月末時点で372兆円の貸出を持っている。これに対して、19行の98年3月末時点における新たな償却財源として使用可能な資本勘定 ——これは、BIS比率でいう所謂自己資本ではなく、tier Iからさらに税効果を除いた、すぐに使える資本勘定のことである——は約15兆円である。内訳を申すと、資本金、資本準備金、利益準備金、任意積立金、未処分利益金であり、3月末の決算に出ている19行の数字が約14兆7千億円となっている。この約15兆円は、372兆円と比較すると、約4%に当る。償却しようとする場合は、この14兆7千億円が償却の財源としてすぐその場で使える訳である。

私は、BISの自己資本比率を否定もしなければ、間違っているとも必ずしも思わないが、(BIS自己資本比率は)分母も分子も今申し上げた数字とは違う——(4%というのは)分母は貸出金だけであり、分子は資本勘定だけである。そこのところが間違って報道されていたように思う。記者会見でははっきり「コア・キャピタル」ということで、資本勘定で約15兆円というふうに申した訳であるが、それが19行の内外を含めた総貸出372兆円に対して4%になっている。この数字は決して多い数字ではない。

こういう状況に対応して参るためには、各金融機関が不良債権の内容とその抜本的な処理の道筋を明確に示していくとともに、市場の信認を回復するだけの十分な資本調達を図っていくことが急務であるというふうに強調したつもりである。

民間金融機関の資本調達は、本来、民間ベースでなされるべきものであるが、最近の資本市場の動向、あるいは今申し述べたような状況を考えると、公的資金による思い切った資本増強策をできるだけ早い時期に講じていくことが必要であるということを強調したかった次第である。そういうことを言ったつもりでいる。それを最初の数字のところだけを取り上げて、「4%は低い」あるいは「間違っている」といったような記事が出たことは非常に残念かつ迷惑であったというふうに思っている。

主要各行ではこの9月末においてもBIS規制でいけば、各行とも8%を超えていたのかもしれない。しかし、直ちに償却のできる資本勘定と総貸出の比率でみると、これはやはり過少であると言わざるを得ないと思う。それをどうやって早く埋めるか——これは今では公的資金を大量に入れる以外にはないと思い、そのことを強調した訳である。

【問】

有価証券の評価方法は低価法ベースとする方が良いと思われるか。また、第2分類の債権に対しては、10%とか15%など、ある程度思い切って引当を行った上で、資本注入をした方が良いと考えているか。

【答】

どっちみち有価証券の利益を使うのであれば、それは低価法にしておいた方が健全かもしれないが、今直ちにそれを変えることによってこれまで続いてきたBISベースの自己資本比率が急に落ちるということになると、これは若干の混乱を招くことになるかもしれないから、その辺のところは情勢を考えて決めるべきではないか。しかし、繰り返して申し上げているように、今の情勢において株の含み益といったようなものが資本として使えるものでないことだけは確かであると思う。

第2分類債権については、私も何とも申し上げられないが、第2分類債権の自己査定を早く自ら見直して、それをディスクローズすることが市場や取引先の信認を得る手っ取り早い道ではないかというふうに思う。私が以前にこのことを申し上げてから、ご承知のように1行は先月(ディスクローズ)致したが、結果として私はやはりディスクローズしただけの効果は出つつあるとみている。こういうことをやっていかないといつまで経っても市場、あるいは国民、取引先からの信認は得られないのではないかというふうに思う。

【問】

金融再生法が成立して、今後長銀の国有化が予定されている中で、住友信託が合併を事実上白紙撤回したと受け取られるような発言をしているが、日銀として長銀問題の取扱いについて、今後どういうふうに政府に働きかけていくか、あるいはどういうふうに考えることになるのか。

【答】

10月12日に金融再生法が成立して、与野党間で長銀問題への適用が合意されていた特別公的管理という枠組みが新たに作られ、整備されたと思う。

日本銀行としては今後早期に金融再生法が施行されて、その枠組みの下で内外市場の混乱を回避しながら、長銀問題に適切に対処していくことが重要と考える。

住友信託銀行におかれても、これまで長銀との合併案を検討してこられた合併検討委員会を経営強化委員会に発展的に改組されて、長銀問題への対応も含めてより幅広く経営戦略を具体的に検討・推進されていくというふうに聞いている。いずれにしても、同行が長銀との合併構想を白紙に戻すことを決定したとの報告はまだ聞いていない。

法律が施行されるのは来週末になろうが、その後間髪を入れずに長銀も必要な措置を取っていくことが必要だと思う。そうしないと、つまらないところでデフォルト宣言が出てきたりして困るから、前もって十分内外に予告ないし根回しをしておく必要があろうかと思う。デリバティブについても、ISDA(International Swaps and Derivatives Association)へ事前に届けるとか、あるいは関係の取引先、取引銀行あるいは中央銀行によく連絡を取って、国有化に引き継がれていくことを十分事前に説明をすると同時に、あまり時間を置かないで施行後直ちにそれが実行されていけばよいというふうに願っている。

【問】

入札方式という議論もあるが、それよりも住友信託との合併の方が望ましいと考えているのか。

【答】

それは、もうちょっとみてみないと分からないけれども、とにかく国有化して、それで公的資金も入る訳だろうから、落とすべきものも落として、その上で、どういうふうに買取り銀行への引渡しを行っていくのか、そのことは、まだ今の段階ではなかなか先が読めないんじゃないかというふうに思っている。できることなら、私は住友信託があそこまで手がけて下さった訳だから、予定通り行けばよいがなと思っているけれども、そこは——話が始まった6月の頃と少し情勢が変わったので——また双方が話し合い、あるいは国有化されれば、その新しい線の中で、買い手を見つけていくということになっていくのだろうと思う。

【問】

先程資本注入の所で、「特に大手行は一斉に自主申請するのが望ましい」旨発言されたが、そのやり方は今年の3月の資本注入のやり方と非常によく似ていて、極めて中途半端であり、なおかつ護送船団の復活になってしまい、かえって日本の金融の問題の処理を遅らせるという批判も強いと思うが、総裁の見解如何。

【答】

先程から申し上げたように、資本強化だけで全て終わりという訳ではないと思う。考査、検査の結果も出てくるだろうと思うし、私はできることなら、各行が一斉に、ディスクローズを含めて、手を挙げて資本を入れてもらう——自分の所はどれ位手許で消せるから、あとどれ位貰いたいといったふうに話が進んでいく——ことが望ましいと思う。ワン・バイ・ワンで行くと前のとどうだという比較が色々な形で出てくることになろうかと思う。

それと同時に、今盛んに議論されている責任問題についても——これは銀行によって、自己資本比率のパーセンテージ別に、経営責任をどこまで問うかという細かい所まで配慮した案が出たようであるけれども——今から資本を入れ、リストラをやり、新しい方向を打ち出そうといって、トップを初め役員方が前向きに動いている時に、やれ責任問題だというふうになってしまうことは、やはり新しい変革、これからの進め方に対して、少し足を引っ張ることにもなるし、それが景気に影響を及ぼす——どうしても後ろ向きになって貸し渋りを生ずる——といったようなことや、新しく展開していく方向も出てこないということになっていくと、せっかくの金融再生、あるいは健全化というシステム改善の絶好のチャンスであるにも拘らず、これだけ時間と資金を用意して決めたポリシーの効果が期待した程に出ないことになる。したがって、これを契機に、先程申し上げたように自己開示あるいはリストラクチャー、そしてまた将来への方向の決定といったようなことを決めるのが望ましいというふうに私は思っている。

【問】

今の話であると、経営責任のとり方についての具体論がはっきりしない。短期的に資本注入を行って、3年後なりに経営状態をみて、その段階で経営責任を追及するとか、あるいは優先株を入れる場合には、「現在の株価と3年後の株価を比較して、3年後の株価が下回った場合にはどうする」といった経営責任についての具体論がないと、あまり意味がないと思うが、如何か。

【答】

私もはっきりとした細かい腹案を持っている訳ではない。かつて出ていた「銀行がけしからん」という考え方に対しては、先程から申し上げているように、バブルの崩壊とその後の景気低迷の結果、邦銀の資産内容がこの7〜8年の間に大きく悪化してきた訳である。日本のように間接金融のウエイトの高い国であると、1,200兆円という国民の金融資産のうち、800兆円位が民間金融機関・郵便貯金に入っている訳である。それに企業からの預金も200兆円位入っている。それを、700兆円位の貸出と、株に100数十兆円運用している訳である。長年の間に、いわゆる「資産デフレ」——戦前には一度あったのだろうが、かつて経験しなかった長期にわたる「資産デフレ」——が起こって、その皺が集中的に金融機関の貸出の減価というかロスになっている。随分、償却も引当もしたのであろうが、とても資本金では足りないということである。今の700兆円の貸出のうち、19行だけで370兆円位の貸出がある訳である。預金の方は額面通り払い戻しをするが、運用の方は、国の経済が「資産デフレ」で総価値がずっと下がってくるのが、銀行の貸出に一番皺が寄って響いている。

そういうことを考えると、必ずしも経営者がすべて悪かったというものではないのではないか。そういう立場に立って、公的資金で国の経済を復興するということに、国会が方向を決めて、法律を作って下さった訳である。その立場からいっても、全ての経営者が悪かった責任をとるべきだという議論には、私は必ずしも賛成できない。むしろ注入後のリストラや今後の前向きの経営でどれだけのリカバリーをやってくれるのか、そのことによって、経済も良くなり、株価も上がって、注入した資本が返ってくるということになる。これは入れ放しではないのだから、そこのところを見定めてからでも遅くないというふうに思っている。その仕振りをよくみて決めるべきことである。

シティ・コープの場合、リード会長が短期間に見事にリカバリーさせて前向きにぐっと上がってきた。そういうケースもあるので、むしろこれからが経営者の腕の見せ所であるという気持ちさえする。

【問】

日本経済の大きなうねりの皺が銀行の貸出に集約的に出ているので、大手銀行のほぼ全てについては、かなりの程度資本が不足しているということか。

【答】

一般的にはそう言ってもよいと思うが、それはBISの自己資本比率ではない。分母を内外に対する貸出金にして、分子を今すぐ償却に使える資本金、資本準備金等の資本勘定のバランス・シートに出ている残高にした4%という数字は、かなりの幅はあるにせよ、過少であると言ってもよいと思う。

【問】

過少資本という点に関し、約370兆円の貸出に対して、どの位資本勘定があれば適当であると考えているのか。    もう1点は、経営者の責任は問わないし、任せてみようという気持ちで法律が作られてきたという経緯は分かるが、それは今年の初めの資本注入の際にも再三聞いた話で、それを13兆円使い切らないうちに、袋だけ大きくしても、このまま本当に活かされるのかどうかという疑問を強く持つが、この制度を活かす鍵というのは、どんな所にあると考えているか。

【答】

まず後の方のご質問については、3月に1兆8千億円しか入れられなかったということは、今から思うと、やはりもう少しあの時に思い切って入れておくべきものではなかったかというふうに思う。まだそういう世論になかったのだろうと思う——そういう感じがしてならない。せっかくあれだけのものを作っておいて、1兆8千億円しか入れなかったというのは、それはそれなりに、その後の償却や銀行の貸し倒れを防ぐのに役に立っていることは間違いないけれども、もう少し思い切ってやった方が良かったかなという感じは、私個人ではしている。

それから、どれ位が良いかというのは、今の700兆円の貸出のうち第2分類以下のものが88兆円位あるのだから、——少なくとも1割以上はノンパフォーミングというか、要注意貸出であることは間違いないので——それを自己査定でどれ位まで引当て、ライトオフできるような体制にするかということをお考え頂ければ、4%では無理だろうということはすぐお分かりになると思うが、それじゃどれだけが良いのかというのは、ちょっと私はこの場で自信を持って申し上げる勇気はまだない。それは各行によってかなり違っていることは確かだと思うが、もう少し各行の今度の考査結果とか、そういうものを見た上で考えてよいことだというふうに思う。

【問】

13日の金融政策決定会合では、議長提案に対しどのような反対意見があったのか。また、預金準備率の引下げ等の追加的な金融緩和の議論はあったのか。

【答】

今度も随分、色々な意見が出たし、特に、前回の緩和措置をとってからちょうど一月余りであるので、金融市場にはかなりの効果が出て、それぞれ金利が下がり、市場の資金が潤沢になってきていたが、まだもう少しみてみないと実体経済への影響というのは、判断するには早いように思う。

金融システム関連の法案も成立する見通しが立ったということや、それからアメリカの経済がここ2、3週間で非常に大きく変わって、——これは私も、ワシントンでびっくりする位変わってきた訳で——ヘッジファンド等が非常に大きな損をして、日本と同じような、貸し渋りというか、金融機関その他が流動性を選好するという動きが出てきている訳で、こういうことになっていくと実体経済に絶対に響いてくるなというふうに思った。

そういう変化が今起こりつつある中で、為替相場も大きく変わっている。色々な議論もあったが、もう少し今のままで潤沢に資金を供給することでよいのではないか、ということが大多数の意見であった。

それに対して、金利をいつまでも超低金利に保っておくことは必ずしも良くないのではないか、という議論をする方がいた。その方が反対ということになっている訳で、その他の方々は、多少ニュアンスの違いがあったかもしれないが、前回の金融市場調節方針変更の際の「尚書き」を含めた、0.25%前後の無担保翌日物のコールレートを維持していこうと、これによって市場に潤沢な金を流していこうと、年末に備えて特に外貨の調達とか、そういう必要が生じるようなことがあれば、あの「尚書き」を発動することもできる訳であるから、「現状維持」という決定になった訳である。

【問】

金融監督庁が長銀を「債務超過である」と認定するのではないかという報道がここ数日あるが、日銀では、現状これをどう認識しているか。また、日銀として、資金繰り等を含め、長銀に対し何らかの対応を考えているのか。

【答】

金融監督庁から、長銀が債務超過状態にあると判断したという連絡はまだ受けていない。

これまで申し上げているように、長銀が自己査定結果を踏まえて、外部監査によるチェックを経て公表した本年3月期決算では同行は債務超過とはなっていない。そうした点について、5月から6月にかけて実施した考査結果を踏まえた、私どもの認識も同様であると申し上げておきたい。

それ以上のことは、まだこの段階で、検査の計数の取り纏め中であるというふうに承っているので、申し上げかねる。

【問】

総裁の認識では、銀行の将来発生し得る潜在的な損失額は資本勘定を上回るということか。

【答】

まあ、そう言ってよいであろう。

【問】

そのような状態の中で、政府はペイオフせずに預金の払い戻しはすべてすると言っている訳であるから、その不足分は公的資金で補うしかないという論理なのか。

【答】

そうである。

以上