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総裁記者会見要旨 ( 2月14日)

2001年 2月15日
日本銀行

―平成13年 2月14日(水)
午後 6時から55分間

【問】

日銀の景気の現状認識について伺う。昨日公表した金融経済月報でも、景気の下振れリスクが高まっているというかたちで、景気の認識を一層厳しくしていると思われるが、この点についての総裁の所見はいかがか。

また、物価下落の問題について、良い物価下落とか色々な議論があるが、やはりデフレ圧力がかなり強まっており、日銀の認識よりも現状はもっと厳しいという議論があるが、その点についてどうお考えか。

【答】

先週の決定会合のことは、先日も申し上げたと思うが、「景気は緩やかな回復を続けているけれども、そのテンポは輸出の減速によって鈍化している」と判断した。そして、こうした景気の現状の判断自体は変わっていないけれども、先行きについては「景気の下振れリスクが高まっている」ということで、判断をより警戒的なものとしたわけである。

まず、設備投資は増加基調を維持しているし、企業収益も改善を続けている。また、家計の所得環境は、引き続き厳しい状況であるが、底固く推移している。個人消費関連の一部指標にはやや明るさが窺われている。この前も申し上げたかもしれないが、コンビニとか旅行とか自動車販売とかサービスなどで増えてきているのが、数字の上で出ている。

こういうことを踏まえると、回復テンポが鈍化しているということは言えると思うけれども、「民需主導の緩やかな回復」という基本的な見方の枠組みまでは、変える必要はないと判断をしている。

ただ、リスク要因として、やはり米国等の海外経済の減速を背景にして、輸出は当面減少が避けられない。こうしたもとで、生産は増加テンポがかなり鈍化して、当面横ばい程度で推移するとみられている。また、株価の下落が、家計、企業のマインドや企業金融面にどのような影響を与えるのか、注視する必要があると思う。

このように、先行き、海外経済が更に減速する可能性とか、内外の資本市場の動きといった景気に対する二つの下振れリスクが高まっていく可能性については留意する必要があると思う。

金融政策運営面では、こうしたリスクの強まりを踏まえて、流動性供給方法の改善策および公定歩合の引き下げにより金融面から景気回復を支援する力を強化することが適当であると判断した。

物価については、私どもはかねてから、需要と供給の両面から整理する必要があるということを言い続けてきたつもりである。

まず、需要サイドの方では、景気のボトムであった2年程前と比較すると、現在は需要の弱さに由来する物価の低下圧力は大きく後退して、状況は相当程度改善していると思う。ただ、景気の回復が緩やかなものに止まっているし、そのテンポも鈍化してきているということであるので、需要面での改善テンポもそれに見合って緩慢なものとなってきていることも事実だと思う。

一方で、供給サイドの方は、技術革新や流通合理化、規制緩和といったような様々な要因が、引き続き物価の下落方向に作用していると思う。

問題は、こうした物価情勢が、企業収益とか雇用者所得を圧迫して、再び景気と物価の悪循環、すなわちデフレ・スパイラルをもたらすかということであるが、この点は企業収益が改善を続けているし、雇用・賃金情勢も厳しい状況ながらも底固く推移していることなどを踏まえると、これまでのところでは、経済が再びデフレ・スパイラルに陥るという状況には至っていないとみて良いと思う。

ただ、景気回復テンポが鈍化してきており、海外経済の減速の影響とか内外資本市場の動向といったようなものなど、景気の下振れ方向のリスクをより注視していく必要はあると思う。それだけに、今後の物価動向については、需要・供給の両面から、これまで以上に入念に点検していくべき局面になっていると思っている。

【問】

休み明けの株価を見ると、公定歩合の引き下げを含めた施策に対する反応は、それほど好意的でないという状況ではないかと思うし、今日も自民党でも議論があったが、やはりこういった施策ではまだまだ足りないのではないか、必要に応じて量的金融緩和とか、ゼロ金利政策への復帰といった一段の緩和策を考えるべきではないかという議論も出ているが、総裁の現在のスタンスはいかがか。

【答】

今回の措置というのは、最近の内外経済情勢や金融資本市場の動向を踏まえて金融市場調節の柔軟性を高めるということと、より幅広く安定的に資金供給を行っていくということで、金融面から景気回復を支援する力を強化するという観点で、実施したものである。

今回の措置の狙いは、只今申し上げたところにあるが、これらにより金融市場の安定性が確保されて、景気回復の足取りがより確実なものとなれば、金融システム全体の安定強化にも好ましい影響を及ぼすものと思っている。

今回のこのタイミングで私どもが行った措置については、週末に香港で中央銀行の総裁の方々との会合があり、そこで話をしたが、皆理解してくれたというふうに私は思っている。

「量的緩和」という言葉がこの頃新聞でも随分使われているし、政治家、エコノミストの方々も使っているが、「量的緩和」という言葉は、──昔はこういう言葉はあまりなかったと思うが──何を指しているのかということが、あまり的確でないように思うので、ここで整理させて頂き、基本的な私どもの考え方を4つのポイントで整理して説明させて頂きたいと思う。

第1に、金融市場に対して潤沢な流動性を供給して、これによって金融緩和を実現するという意味であれば、日本銀行はこれまで内外の歴史に例をみない低金利のもとで、金融市場に対して潤沢な流動性供給を続けて、金融緩和に最大限努力してきたつもりである。また、先週金曜日に公表した措置によって、流動性調達に関する安心感が更に高まって、金融市場全体の安定確保につながるものというふうに期待している。

第2に、金利でなく、マネタリーベースなどの「量」に目標値を設けて金融調節を行ったらどうかというような意味に使っている方がいるように思う。こういうことだと、技術的に非常に難しいし、今これを行うのは適当ではないというのが、これまでの政策委員会における議論の大勢である。こうしたやり方が有効であるためには、1つには、量的な金融指標と実体経済の関係とが安定しているということが必要だと思うし、第2には、量的目標をある程度自由にコントロールできることが必要な条件になってくるように思う。現時点では、この2つとも難しい条件だと思う。

第3に、「量的緩和」という場合に長期国債の買い切りを増額する、というような意味で使っている方もいるように思う。日本銀行は、従来から経済活動の拡大に伴う長期的な銀行券の増加トレンドとほぼ見合うようにして、長期国債の買い切りオペを行ってきており、現在も行っている。こうした長期国債の買い切りを増やすという場合、その目的とか効果、あるいは副作用を慎重に検討する必要があると思う。例えば、長期金利の低下を狙うという場合には、オペの増額にどのような効果があるのか。一方で、金融政策や経済政策全般に対する信認がこれで毀損されてしまって、かえって国債自体の信認も低下する、あるいは長期金利が上昇してしまうリスクもあるように思う。

第4には、為替の介入により為替相場を円安に持っていくという政策のことが言われる場合があるように思う。この方法には、そもそも介入というのは財務省の権限であるということをさておいても、介入で為替相場の人為的なコントロールはどこまで可能なのか、輸入コストの上昇とかアジア諸国へのマイナスの影響をどう考えるか、といったようなことを慎重に考える必要があると思う。

このように、「量的緩和」という言葉は、本来の「資金を潤沢に供給する」という意味から離れてしまって、いわば「通常は行われないような極端な、あるいは実験的な手段」の総称のようになって使われているように思う。日本銀行としては、様々な政策運営の選択肢をできるだけ幅広く考えていく方針であるが、同時に、こうした手段は効果が不確実なうえに副作用も大きいということも十分意識しておく必要があろうかと思う。あえてそこまで踏み込むべきかどうかは、つまるところ、経済や物価の情勢判断の問題にこれは帰着するように思う。

現在、日本経済は、ペースは鈍化しているものの「緩やかな回復過程」にあって、こうした「実験的な手段」に訴えるべき状況ではないと、私どもは考えている。

【問】

香港での会合で、今回の公定歩合引き下げの話をしたということだが、今週末のG7開催を念頭に置いて公定歩合の引き下げを行ったのではないかという見方がある。それについて伺いたい。G7では今回の公定歩合引き下げについて総裁自身どのように説明して、各国からどのような反応があるとお考えか。併せて、米国では、グリーンスパン議長が追加的措置を匂わすような発言をしているが、日銀あるいは速水総裁として、公定歩合の引き下げに続く何かしらの措置──金利の引き下げ、量的緩和、色々なものを含め──を考えているのかどうか伺いたい。

【答】

今週末のG7には私も出席するつもりだが、今回私どもが採った措置は、あくまでも最近の経済情勢や金融市場動向を踏まえて実施することとしたものであり、週末のG7を念頭に置いたというような措置ではない。

私としては、今回のG7でもこれまでと同様に中央銀行の立場から日本経済の現状や、金融政策運営の考え方などについて説明したいと考えている。

米国が採った措置──米国の経済が急速に減速した昨年終り頃からの動きに対して米国が手早く採った措置──に対して各国の評価は非常に高いと思うが、どういうふうにこれが展開していくか、米国のこれからの動向を注視していきたいと思っている。私どもの方は、そういうことで、何か起これば別だが、今までのところはこれだけの手を打っておけば市場は安心感を持って期末を越してくれると思っている。

【問】

総裁からは、先月官邸で、「円が安過ぎる」といった発言があり、その後、「現状で落ち着いていれば、そんなに心配することはない」と発言されたと記憶している。改めて今の為替相場の水準について、認識を伺いたい。

【答】

為替相場の動向や水準の評価について、具体的にコメントすることは差し控えたい。

日本銀行としては、今後とも、為替相場の動向とその経済への影響について注意深く点検していく方針である。

なお、ご指摘の私のいくつかの発言は、(1)為替相場は経済のファンダメンタルズを反映したかたちで推移することが望ましいこと、(2)為替相場がファンダメンタルな要因から離れて動いた場合、やや長い目でみれば、必ず市場は行き過ぎだと思えば戻してくるものであるということを、私の経験から申し上げたわけである。特定の相場水準についての評価を述べたわけではない。

為替相場については、私のかねての持論であるが、日本は1971年のニクソンショックでフロートになって以来、30年の間多少の波はあったが、1ドル360円から、1ドル116〜7円と、3倍以上も円の対外購買力が強くなったということは、——方向としては非常に円が海外に高く評価されていることなので——これは決して国益に反するものでないと思う。

その背景にあるものは、80年以降の日本の経常黒字が、GDPの2%〜3%程度、場合によっては3%を超えた状態がずっと続いているということである。昨年の経常黒字が今日発表されたが、約12兆円ということは、約1,000億ドルである。日本のGDPは約500兆円だから2%程度の黒字である。そういうものが積み重なって、対外純資産——ネット・エクスターナル・アセット——が、1兆ドル近いものになっている。これは、大部分がアメリカ等に国債などのかたちで投資されているわけで、アメリカの赤字をファイナンスする働きをしている。そういうものには必ず利回りがあって、仮に5%位で回るとすれば、約500億ドルである。そういうものが、経常収支の黒字にのっているわけであるから、輸出が多少減って貿易黒字が減っても、経常収支の黒字はかなり続いていくということになっている。そういう背景を考えれば、そんなに円が弱くなっていくことは、あまりないのではないかと思う。その辺を市場も知っているので、行き過ぎれば円が買い戻されるし、1月に少し円売り株売りが起って、どうなるかと思った時期もあったが、時が経てばまた戻ってきているわけで、それはそういう背景を頭の中において市場が動いていると思っている。24時間常に動いている市場であるから、売りも買いも随分多く、一方的に動いてしまうわけではない。もし、そういうことになった場合は、色々手の打ちようがあると思うが、そういう情勢ではないと思う。比較的安定して動いていると思う。

【問】

報道振りをみても、一般国民の受け止め方をみても、公定歩合というのは、従来から公定歩合を操作することによって市場金利全体の水準を上げたり下げたりして、景気を刺激するという意味合いで受け取っている向きが多いが、現実は、市場金利全体の低下を促すという意味合いではなく、むしろロンバート型貸出の金利的な意味合いが強いように思う。実際マーケットもそういう評価で、短期金融市場の安定にはつながるものの、従来のような全体の市場金利低下を伴うかたちで景気を刺激する効果がないと見ているが、公定歩合の持つ意味は、従来と変わったのか。そこを明確にしないと、日銀の金融政策スタンスは国民から理解が得られないような気がするが、公定歩合の意味合いを改めて伺いたい。

【答】

それは、皆さんによく説明して頂きたいが、公定歩合が下がったとは言ってくれても、ロンバート型の貸付け、今までやったことのない新しい貸付けを始めるということは、あまり報道されていない。これは私どもの説明の仕方が悪かったのかもしれないが、これの意味というのが、今度の公定歩合の引き下げを決断したきっかけである。

ご承知のように公定歩合は1990年に6%位だったのが、バブルに対応するためにどんどん下げてきて、1995年には0.5%になって、そのままきたわけである。その間、政策金利は動かしたが、公定歩合はそのままにして、特別の場合──例えば、預金保険機構への貸出とか、日本銀行が金融機関を救済するための特別の貸付を一時的に行う場合──は公定歩合あるいは公定歩合プラスマイナスいくらといったような貸し方をしているだけであった。今度のロンバート型貸付というのは、日本では初めてだが、今度、私も香港でこの話をしても、ほとんどの人が知っていた訳である。ドイツで長く使われてきたが、ECBでも今は名前が違うが、ロンバート型貸付がかなり使われている。アメリカでも今はほとんど使われていないが、同じようなシステムはある。海外要因や資本市場がどう展開していくか分からないという情勢の中で、銀行及び企業がうまく期末を越してくれるかどうかという問題があった。金融機関の方は年度末は大丈夫だと思うが、企業の方でどういう変化が起っていくのか、また株価がどこまで下がっていくか分からなかったし、アメリカも極めて急速な変化が起こり、手早い対応を受けて、経済がどの程度のスピードで戻っていくのか、──その辺のところがまだ読めない状態の中で、私どもとしては、何が起っても、金融機関が資金を必要とするようなことが起っても、ロンバート型貸付で取引先の金融機関が日本銀行に駆け込んできた時には、担保の範囲内で公定歩合で貸せるようにした。

公定歩合で貸し出すに際しては、0.5%では今の市場金利との関係では高すぎるので、0.35%でいつでも応じるということを決めた。このことは、金融機関にとっては、どこかで資金が不足してもコールレートが0.35%を上回ることはないということが示されたということで、市場は安心してくれることになる。そういうことをよく分かっている方は、理解してくれると思うが、今回は、そうしたことを考えて、0.5%を0.35%まで15ベーシスポイント引き下げたということである。

【問】

今後金利水準を動かす時に、公定歩合を動かすこととなるのか。

【答】

それは判らない。今後、どういうことになるのか判らない。日本銀行が今までこちらから貸していたものを、初めて、受け身で飛び込んできた銀行に対して担保の範囲内なら応じるということを公表したわけであるが、その時の金利は0.35%にした方が市場金利との関係で適切であると思ったわけで、今の0.25%というのは、それはそれで十分機能しているから、これを変えるつもりは今のところ全くない。

【問】

すると、今回は日銀のマクロの景気認識を変更して、それに伴って公定歩合を動かしたというケースではないということで良いのか。

【答】

ロンバート型貸付といったものを始めたことの背景には、何が起こるか判らない、下振れの懸念が外から出てくる可能性がある、あるいは、証券・株式市場から出てくる可能性があるといったような懸念があって、こういう制度を創ったわけである。

それからもう一つは、流動性を増やす、市場に安定感を与えると同時に、1年以内のTB、FBの買い切りオペをするということ、これも市場にとっては、期限のない資金の調達が出来るわけであるから、言ってしまえば、返済圧力がかからない短期の流動性が供給されると受け止めてくれていると思う。これはもう今週から始めており、今後も積極的に活用していくつもりである。

もう一つの手形買いオペを全店で実施するということについても、導入は7月くらいになるかと思うが、地方でも、地方銀行や地方の金融機関がアージェント(緊急)に資金が必要になった時には、支店に駆け込むということもできるようになるわけで、これも新しい制度である。

こうした流動性を市場に供給するルートが3つ増えたと考えて頂いて良い。広く、しかも、かなりの幅を持って資金を供給していくことを決めたわけである。公定歩合が0.35%に下がったということだけではなく、やっぱり資金供給を潤沢にしようと思うんだなということは解って頂けると思う。

公定歩合を引き下げたことで、長期金利、期末越えの中期の金利が下がってきているから、これはやはりそれなりの効果があったと思って良いのではないかと思う。

【問】

先週の金曜日の会見の時に、総裁は景気下振れの可能性も出てきているという認識を踏まえて、今後も十分状況を見て更に手を打つなら打つ、とおっしゃった。それは中央銀行として当然と言えば当然であるが、どういう事を考えているのか。今度のG7でも各国にそういった話をされると思うので、その辺をちょっと伺いたい。

【答】

今のところは、これを決めて、順調に市場が期末越えをしてくれれば良いがと思っている。当然のことながら、中央銀行として、日々の金融市場調節を通じて、この今ある政策金利に基づいた調節と同時に、公定歩合の新たな機能も活かして適切な金融政策運営を行っていきたいと思っている。

コールレート変動の上限を画すという格好になるので、そのこと自体が、短期市場金利の安定性を確保するという新しい機能を担うことになると考えて頂いて良いと思う。

【問】

今回の措置というのは、あくまでも緊急時の保険的措置で、「金融緩和に踏み切った」ということではないという理解で良いのか。

【答】

これはやはり、買いオペをどんどんやるということは──金融緩和、量的緩和と言っていいのかどうか、その辺は知らないが──資金を市場に供給するルートを増やしたということには違いないと思う。流動性を市場に供給する方法が今までのやり方でいいかどうか、ということを執行部に検討してもらって、上がってきた案を決定会合で議論をして決めたということである。

【問】

マーケットの一部にゼロ金利の復活を織り込む動きが出ているようであるが、市場との対話という観点からは、こうした動きをどう評価するか。

【答】

今の市場金利、政策金利は、0.25%(無担保コールオーバーナイトレート)である。この間も申し上げたが、資本市場経済の下で、大量の資金を、オーバーナイトで、ただで無担保で貸すというのは、これはやはりリスクを考えずに平気で貸すという話であるから、余程、デフレ・スパイラルのような危険が生じた時でないとやれない。こうした措置を、今この時点でもう一回採れというのは、筋の通らない話だと思う。

今回の措置は、今申し上げたようにadditional(追加的)なルートを作ることによって、資金が潤沢に流れるようにしているわけである。確かに景気の回復テンポが鈍化してきているし、景気に対する下振れリスクが高まっていると思うが、日本経済は、依然として民間需要が主導するかたちで緩やかな回復を続けていると思うし、これから必要なことは構造改革ということである。先行き競争力が保証される、あるいは需要にミートするものはどんどん伸ばしていくが、そうでないものは早く競争力のあるものに切り替えていくということが課題であって、それは民間主導でやってもらいたい。そのために、金融はそういう環境ができるように支援していきたいと、そういう考え方でいる。

現在のオーバーナイト金利0.25%という金融市場調節方針の下で、今回の一連の措置が、更に付け加えられたというふうに考えて頂きたいと思う。これによって、金融面から景気回復を支援する力を強化するということになると思っている。

【問】

9日の決定会合の最中に、去年8月のゼロ金利解除の時と同じように会合の様子が漏れ伝わってきた。特に、今回は、それによって政策の内容までもが変わったのではないかという報道もあったが、それについてはどのように考えているのか。市場としては、当局に対する不信感というのが非常に高まっていると思うが、どうか。

【答】

私どもでご指摘の報道を調べた限りでは、そういう内容自体も、今回私どもが決めて公表したものと違っている。金融政策決定会合の開催時間中に、あたかも決定内容を先取りしたような報道がなされたということは極めて遺憾だと思う。

【問】

先程から、短期国債の買い切りオペをかなり積極化し、潤沢な資金を供給するということを言われているが、より潤沢な資金を供給すれば、0.25%のコールレートは下がるのではないか。また、今日の国会で鈴木議員がおっしゃっていたように、0.25%にオーバーナイト金利を据え置いている限り、お金の量は需要がなければ伸びないと思うが、どう考えているか。

【答】

私たちの供給している資金が量的に不十分であるとは必ずしも思っていない。平均で0.25%となるように、金融市場局で日々苦労をして調節しているわけで、それだけの効果は十分出ていると思っている。

これから先、何が起こるか、それから地方でも、何か起こった場合に資金を手当てできるという途が開かれたわけだし、3か月物以上、1年以内の短期証券であれば、あと何か月残っていようとも、それを買うということを言っているわけである。

【問】

日銀の支店廃止の問題について、昨年の10月にこうした方針を出してから既に4か月以上が経ち、当初の方針でいけば2001年中に廃止するという想定であったが、現実問題としては、小樽では2回説明会が開かれたとは言え、北九州では交渉のテーブルにすら着いていない。こうした現状を踏まえ、どのようにこの廃止問題について対処するつもりか。

【答】

小樽については、2月10日に第2回目の懇談会が開かれて、地元からの意見・要望を私どもも虚心に聞かせていただき、幅広く様々な意見・要望を伺うことができ、大変有意義であったと思っている。地元の方は引き続き支店として業務を行うかたちの支店存置を要望しており、支店廃止が適当とする私どもの考え方との間には、まだ隔たりが残っている。

今回、地元の一部からは、現在の支店をどのようなかたちでもよいから日銀の拠点として残して欲しい、札幌支店を縮小してでも小樽支店を残して欲しい、といった意見もあったように聞いている。そういうことの是非は別としても、私どもの支店に対する地元の方々の熱い思い、思いの強さを改めて認識した次第である。私どもとしては、更に地元のご意見、ご要望を伺って、対話を積み重ね、相互理解を深めていきたいと考えている。できるだけ早い時期に次の対話の機会を設けたいと思っている。

北九州については、私どもの考え方を言えば、北九州関係者との間でも、相互の信頼関係を前提にして対話の場を設けたいと考えている。支店廃止の方針に変わりはないが、どのようなかたちで北九州との話し合いを行っていくのがよいのか、これから考えていきたいと思う。

私どもは、ここ2、3年、随分リストラ作業を続けてきた。売るものは随分売ったし、給与の削減などもやったわけである。人員も減っている。そういう合理化の中で、支店の整理というのは、最後に残ったリストラの課題であるので、これは時間を掛けてでも一所懸命実現していきたいと思っている。

【問】

先程、量的緩和、実験的な政策について、「結局のところ経済実態次第だ」というようなことを言っていたと思う。足許では依然民需主導の緩やかな回復が続いているとの評価だが、この評価が変われば、ゼロ金利に戻すとか、そういった実験的な政策もありうると受け取ってよいのか。

【答】

それは先のことだから、事態がどのように変化していくか、その辺りは今の段階で仮定の変化を前提にした政策といったことは議論できない。ただ、言えるのは、ゼロ金利を採ったのは、ご承知のように99年2月、本当にデフレスパイラルが起こるかもしれない──大銀行の破綻が起こって、まだ法律の整備もできておらず、公的資金の導入も実現していなかった──といった時期であり、財政とともに、金融の方で何ができるかということでゼロ金利に踏み切った。これは、かなり思い切った、いわば緊急措置であったと理解して欲しいと思う。

以上