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総裁記者会見要旨 (10月16日)

2001年10月17日
日本銀行

―平成13年10月16日(火)
午後 3時から約45分間

【問】

アメリカで発生した同時多発テロに伴って、アメリカの空爆が始まっている。こうしたことにより世界経済が一層悪化するのではないかという見方がある。また日本を見てみると、デフレ・スパイラルに陥るのではないかという懸念も強まっている。こうした状況を踏まえて、総裁自身、日本の景気あるいは世界経済を含めてどのような景気判断を持っているのか、あるいはデフレ・スパイラルに陥る懸念はないのか、伺いたい。

【答】

昨日公表した金融経済月報でお示ししたように、今回の決定会合では、全体として、景気判断を前月に比べさらに慎重化させたことになる。

そのポイントは、第一には、生産減少の影響が雇用や所得の面にも拡がっており、いわゆる「調整」が厳しさを増していること、第二には、米国におけるテロ事件の発生を契機にして、先行き不透明感が一段と高まっていることである。

このように、わが国の景気については、年初来の輸出の減少を起点とする調整が徐々に内需面に拡がっていくことは避けられず、同時に、輸出の一段の減少が起こって景気を下押しする懸念も強まっているというのが現状ではないかと思う。

また、金融市場動向をみると、無事に9月中間期末を越えたものの、先行き不透明感は依然として根強い。それは、積みの動きその他にも出ている通りである。今後とも、内外の金融資本市場の動きやその実体経済への影響については、注意深くみていく必要があると思う。

この間、物価の下落傾向は続いており、今後、需要の弱さに起因する低下圧力の方がさらに強まっていく可能性にも留意をすることが必要であると判断する。

こうした動きを踏まえると、日本経済が、物価下落と景気後退の悪循環、いわゆるデフレ・スパイラルに陥らないかどうか、きわめて注意深く情勢を点検していくべき局面にあると考えている。

【問】

世界的に危機的な状況にある中で、日銀もさらにより一層の緩和策を打ち出すべきではないかという声もある。このような声に対して、総裁はいかがお考えか。

【答】

日本銀行は、物価が継続的に下落することを防止するという断固たる決意のもとで、思いきった金融緩和措置を講じてきた次第である。

先週の政策決定会合においても、最近の景気・物価情勢や金融市場動向を踏まえ、日銀当座預金残高の目標を特定しないかたちで、柔軟かつ潤沢に流動性供給を続けることを決定した。

しかし、これまでも繰り返して申し述べているとおり、我々は構造問題が残存している状況では、金融緩和だけで物価の下落を回避するのは困難であると思う。

物価の下落を防止するためには、経済の構造改革を通じて、企業の前向きな設備投資活動や、家計の消費意欲を引き出し、そういった需要を喚起していくことが不可欠だと思う。こうした取り組みが進んでいけば、これと、日本銀行の金融緩和政策の効果とが相まって、デフレ対策としても大きな力を発揮していくものと考えている。

【問】

今、当座預金残高は目標を特定しないという話があったが、ここのところ当預残高は6兆円を上回る状態が続いており、この6兆円を上回った状態の効果を総裁はどのようにみているのか。また、こうしたことが続いているのであれば、6兆円という下限を引き上げてもよいのではないかという声があるが、そうした声についてどのようにお考えか。

【答】

テロ事件発生後の日本銀行による潤沢な資金供給は、資金決済の円滑化と金融市場の安定性を確保して、金融緩和効果の途切れのない浸透を図っていく上で、大きな役割を果たしていると思っている。

しかし、欧米の金融市場と異なって、わが国では、10月に入った後も流動性需要がなお不安定な状況が続いているように思う。こうした情勢のもとでは、特定の残高目標を設けずに、流動性需要の変動を踏まえて、柔軟かつ潤沢に資金供給を続けていくことが適当であると判断した。

昨日は丁度10月15日で、積みの最終日であったわけで、9兆2千億円であった。今日はさすがに少し資金が出始めているように思う。外銀ではまだどれだけ出していくか判らないが、今日やった手形の売りオペ等をみると、3倍以上の買いが出てきているから、かなりその辺は変わってきているのではないかと思う。

5千億円を2回やって、1兆円の吸収ができているということは、この2日くらいでやや変わり始めたという感じはする。何と申してもまだ今のところ、先般大幅に出した資金が市場であまり運用されずに日銀で残っているということであり、要するに日銀に預けている資金には、既に円転コスト等で儲けを取った資金が、そのまま無理をしてどこかへ移しても金利が安いから日銀に預けておくのが一番安全だといったような動きがあるように思う。

こういうものがこれからどう動いていくかということを良く見ていく必要があるし、そういうものを見ながら、次の手は何が良いのか、あるいはどうするのか、考えていくことになると思う。

【問】

与党内で現在整理回収機構が不良債権を入札で時価購入できるようにするほか、政策投資銀行などとともに、企業再生ファンドを設立するといったRCC(整理回収機構)の機能強化に向けた準備が進んでいるようだが、この動きについてどうみているか。

【答】

整理回収機構の機能強化に向けた与党の金融再生法改正案については、様々な論点があると思うけれども、ここでは私どもの基本的な考え方を少し述べておきたいと思う。

一つは、不良債権処理というのは、個々の金融機関自身が、いわゆるセルフヘルプとしてタイムリーかつ主体的な対応をしていくというのが基本であるべきであり、整理回収機構の機能活用はその上に立って考えるべきものであるというふうに思う。

その上で、整理回収機構の機能強化が不良債権をバランスシートから切り離す手段として積極的に活用され、各金融機関の不良債権処理が促進されるように対応していくことが重要なことだと思う。

もう一つは、今回は、企業再生ファンドの設立が打ち出されるなど、整理回収機構には、企業再生の役割が与えられる方向になってきているわけだが、そうした企業再生機能が、効果を発揮できるように、いろいろ工夫していく必要があるように思う。

いずれにせよ、私どもとしては早期に成案が得られて、整理回収機構が不良債権処理の促進と企業再生に資することを強く期待している次第である。

【問】

金融緩和の効果を高めるためには不良債権処理を進めることが不可欠だと総裁は常々言っているが、金融機関が相次いで中間決算を修正している状況の中で、これまでの不良債権への取り組み姿勢についてどう見ているか。

【答】

最近の不安定な株価動向を背景にして、日本の金融システムに対する内外の見方というのは非常に厳しい。この間のG7へ行っても、各国とも不良債権はどうしてるか、それからそれを含めた構造改革が動き出したのかということを皆さんから聞かれた。為替よりも、そっちの方を本当に見ていてくれるという感じがする。日本の存在というのは、海外にとっても大きなものであるから、日本経済がどういうふうに動いていくのかということを、そこの所で判断したいというふうに思っているのではないかと思う。中央銀行の総裁方にもお会いしたが、日本が金融政策面で、非常に苦労しながら、──過去340年か──中央銀行ができてから歴史始まって以来の思い切った緩和政策を採っているということは皆知っている。そういうものが、「物」のサイドというか構造改革の動き出しに伴って、効果を発揮するであろうということもよく理解してくれているように思った。

悪化している最近の経済環境を踏まえると、この際、金融機関、特に市場での取引の多い大手銀行においては、経営健全化に向けた取組みを更に強化し、市場の信認を回復することが重要であると思う。そのためには、不良債権処理のほかに、株価リスクへの対応、収益力の強化といったような点を中心にして、これまでより一歩前に進んだ対応を取っていく必要があるように思う。特に不良債権問題については、政府から示された「改革先行プログラム」の新しい枠組みに従って自己査定、引当の見直し、整理回収機構の活用によるオフバランス化の推進といったようなことで、内外の市場の信認回復に繋がるような、より積極的な対応を求めていきたいというふうに思っている。

これは私もこの3年間言い続けた3つのこと、──これもかつてグリーンスパンから3年前に聞いた言葉だったのだが──彼らもやはり80年代にS&L(Savings and Loan Associations、貯蓄金融機関)の不良貸出問題、NPL(non- performing loan、不良債権)で随分苦労した経験を持っておられるだけに、経験を通じて得た3つの大事だということを言われたのを今でも記憶している。

その一つは、いくら引当を積んだりしてみても、それだけではだめなので、やはりバランスシートから落としていかなければまた悪くなる、あるいはどういうふうに変わっていくか分からないので、だめだと思ったらバランスシートから引き落とすことが大事であるということ。第二は自己資本と言っても、やはりいつでも償却に使える──コアキャピタルと言っているが──資本金というものを増やしておかないと、──日本も11%と言っているが、コアキャピタルでいくと、半分程度の数字になっていると思うが──そういうことを心がけるように金融機関を指導すべきだということを言っていた。三つ目が自己査定が大事だけれども、自己査定によってまだNPLでなくても、要注意貸出という段階で、これはこういうふうにすればサバイブできると、あるいは立ち上がれるというような判断、あるいはこれはやはりここで方向を変えて他と一緒になるとか、何か手を打たないと、中途半端なことをしていてはだめなのである。そういった自己査定の判断を早い時期にして対応をしていく、手を打っていくということが大事であり、結果として日本は3年経って残高がほとんど減らないが、随分償却も大手行でも年間3兆円とか4兆円とかの値でやっているわけである。それに、いわゆる予備軍から入ってくる要注意貸出がこのNPLになって、またその残高としては減っていかなかったというのが、この3年間の実績だったと思う。そういうことをこれからはなくしていこうと、今の三つのことを、私は随分あちらこちらでも言ったつもりであるが、なかなかそれが実現しないままで来ていたが、今度の先行プログラムに──まだこれは確定したわけではないけれども──書かれている考え方とか、あるいはその前に出た基本方針とか、そういうもので大体この三つの線が実現する方向で動き始めつつあるように思っている。ある人は日銀がもっと準備を整えなければいけないじゃないかと言うが、確かにその通りだと思うけれども、私がかつて98年のあの危機の時に、法律的な手順はほとんどまだできていない中で、大きな銀行、証券会社が倒れたわけで、全くあの時期は危機であったと思うし、日本銀行の特融もかなり大量に動いたわけである。そういう時期に比べて、今はやはりセーフティネットがかなりできてきて準備されている。日銀としてもここで何が起こっても、そう慌てないで対応していけると思っている。そういう意味では、97年から98年にかけてのあのクライシスの時よりは、今の方が自信を持って起こってくることに対応していけるのではないかという感じはする。しかし何が起こるか分からないし、海外でもまた何が起こっていくか分からないから、十分注意をする必要があるけれども、私自身はそういう感じでいる。

【問】

今日自民党の方のワーキングチームの会合に、増渕理事が出席されていて、例の日銀法改正の議論に意見交換ということで応じていると聞いているが、この件についての日銀としての見解を改めて伺いたい。一部の議員の方々が提言されているインフレ目標の設定を日銀法に明記するということについて、総裁の考えを改めて伺いたい。

【答】

今までもここで何回かお答えしたと思うが、インフレ・ターゲティングについての我々の考え方は変わっていない。すなわち、「インフレ率を高めるためには様々なリスクや副作用に目をつぶって、あらゆる政策手段を動員する」というような政策をとるつもりは、全くない。

一方で、金融政策運営の透明性を高めていく手段としての「インフレ・ターゲティング」について、これからの一つの検討課題と位置付けていることは、前回にも言った通りである。しかしわが国の物価動向や金融政策を取り巻く環境を踏まえると、現時点でこれを採用することは適当でないと考えている。デフレ下でインフレ・ターゲットを採用するケースは今まで前例がない。戦前のスウェーデンの例を引く人がいるけれども、あれはそういう方向を打ち出そうとしている時に金解禁になって為替レートが変わって、為替の方で救われていったといったようなことはあったようだが、デフレ下で採用するとその帰結は、やはり流動性は更に増えるかもしれないけれども、物価上昇に繋がっていくかどうかという点は極めて疑問だと思う。

本日開催されたワーキングチームの会合には私どもからも出席して、インフレ・ターゲティングを巡る諸問題について日本銀行としての考え方などを説明させて頂いている。本日その場でどのような議論になったのかは私は承知していないが、具体的なコメントは差し控えたいと思う。

【問】

今の質問に関連するが、インフレ・ターゲットの問題で、もし仮に政府の方から今の財政政策を転換して拡大し、国を挙げて物価を上げるという目標を一緒に設けようという議論があった場合においてのインフレ・ターゲティングというのは可能なのか。

【答】

そういうのをインフレ・ターゲットと言うのか知らないが、私どもは3月の時に、CPI上昇率がゼロを超えて安定するまで今の政策を続けていきたいということをステートメントで出している。それが目標なのではないかと言われればそうかもしれないが、それがいつ来るかというのはまったくわからない。

インフレ・ターゲットをデフレの国で実施するのはおかしいというのは、各国の中央銀行の人達──学者やその他は知らないが──は皆よく分かっておられるから、今実施するのはおかしいというのは経験の深い中央銀行の方々は賛成して下さっているように思う。

【問】

先ほど、量的緩和を拡大しているが、大部分は日銀の当座預金口座に残ってしまって市場に出回っていないという、政策の限界にぶち当たっている話をされたが、これから不良債権処理が進んだり、あるいは海外経済が一段と減速してくる中でやはり次の備えを検討しないといけないということだと思う。その場合は、金融機関を通して金融機関に資金供給するのではなく、場合によってはABSとか市場に直接供給するとか、そういった方法も考えていく必要があると思うが、今後の金融政策はどういう方向で検討していくのか、方向性を教えて頂きたい。

【答】

今一番問題なのは、かつて表をご覧に入れたこともあるが、8%近いマネタリーベースの伸びを過去5年平均して維持しているが、それがマネーサプライ、銀行の預金の段階になると3〜4%のところに落ちてしまい、貸出はむしろマイナスになっている。それでいて、実体経済はGDPも1%前後の増え方で、物価の方は横這いである。そういう中で、さらに流動性を増やせと言われても、これはなかなか「物」の方に繋がっていくものではないと思う。今問題なのは、先ほどの構造改革あるいはNPLの話とも繋がるが、銀行部門が信用仲介機能を果たしていないということである。こちらから出しても、それを企業に貸していくという機能が動いてない。非銀行部門の方でも、資金分配機能が十分に機能していないという面もあると思う。そういった中で、日銀だけがいくら金を出しても、流動性が増えるだけであって、構造改革あるいは税制や構造改革関連の補正といったことが機動力となり、民間が動き出すということがあって初めて緩和の効果が出てくるわけである。今のままで出したのでは、今までの流動性の増加を繰り返すだけだと思う。

この間国会でも申し上げたが、流動性だけがどんどん増えて、物とサービスの方が増えていかないとどういうことが起るかというと、物価は多少上がるかもしれないが、それどころでは済まない。何かをきっかけに「物」が燃え上がるように上がっていくほどの流動性の供給が行われているわけだから、「それだけをやれ」と言われただけで私どもが「はいそうですか」と言って動くわけにはいかない。やはり「物」の方を動かすだけの新しい動きが出て、それが動き始めたのであれば、その情勢を見て新しい資金の供給の仕方もあり得ると思うが、今のところはこのままもう少し様子を見ているのがよいのではないか、というのが先日の決定会合での多数決の判断である。

【問】

今、財政政策が採るべき方向について、総裁のご見解を伺いたい。財政は今年度も30兆円の国債発行枠の中でかなり限られた対応しか取れないとの見方がある一方、一段と厳しい経済情勢となっているため、もっと弾力的、機動的に運用した方が良いのではないかとの見方もあるが、この点についての総裁の考えはいかがか。

【答】

来年度予算の問題は経済財政諮問会議でも議論されているが、本年度も30兆円で良いのではないかという意見と、もう少し増えて良いのではないかという意見があると思う。一般論として申し上げれば、民間需要を引き出してデフレを防止していく上で、適切な財政運営の果たすべき役割は極めて大きいと思う。しかし、お尋ねのような事項に関しては、政府・国会においてご判断されるべきものであり、私の立場からコメントすべきではないと思う。

ただ、私が感じている、特に諸外国との比較、あるいはサッチャリズムとの比較で申し上げられることは、構造改革を急ぐ必要はあるが、効果が出るまでの初期には、財政支出というのはやはり出て行くものだと思う。その財源を国債の増発に持っていくとすれば、次世代にさらに大きな負債を引き継ぎ、残すことになる。そういう方法よりは、サッチャー元首相がやったように、国が持っている資産の売却を行う、売却代金で賄って構造改革を成し遂げたというのが、サッチャー元首相がやった大成功のもとだったと思う。日本も国の資産の中で売れるものがあれば売って歳出を埋めていく。歳入の方も所得が減っているから、むしろ減る方向に動くかもしれない。そういう中で、早く構造改革を動かしていくために必要な財政資金を、なるべく国債を増やさないで出していくということであるならば、政府の売れる資産──不動産あるいは証券、その他特殊法人の売れるもの、あるいはその中で民間に売却できるもの──そういうものを売ることによって歳入を作ることはできると思う。サッチャー元首相がやったのは正にその例で、日本でそういうことができるかどうかは、私も素人であるから──予算あるいは決算をどういうふうにするのか、どういう手続きがいるのか──その辺は私も詳しくは知らない。ただ、考え方としては、そういう前例もあるし、やろうと思えばやれる時期ではないかという感じがする。これはまったく私の個人的な感じであって、特に中央銀行の方々と話していて、そういったやり方があるということを知った次第である。

【問】

少し前に小泉首相や柳沢大臣が、「公的資金を入れた銀行の頭取は退職金を返還するべきだ」というような趣旨の発言を行ったが、総裁自身はそうした意見について、どのように考えているのか。

【答】

公的資金を入れている銀行ということになると、前回の分はかなり大手の銀行に入れているが、責任を取るということは大切なことだなというように思う。しかし、それは私どもの立場から誰が責任を取るべきかということについては何とも言えない問題ではないかと思う。これ以上のコメントは控えさせて頂くが、財界その他では、そういうことが必要だという声が強いと思う。

【問】

それは公的資金を入れたことに対する責任か、それとも、その後、公的資金が毀損されるようなことが生じた場合に責任を取るべきだということか。

【答】

それは、もちろんそうだ。公的資金を入れて、うまくしっかりと立ち上がったところは立派なものだと思うし、政府のやり方も間違っていなかったと思う。

【問】

そうすると、現状ではまだ判断できないということか。

【答】

できるところとできないところはあるだろうが、これから段々勝敗が決まっていくことになっていくと思う。

【問】

先ほどの財政の話の中で、政府はいろいろと売るものがあると総裁はおっしゃった。私もその通りだと思うが、仮にその通りとなって構造改革が動き出した場合、どのようなことが考えられるのか。

【答】

RCCは、預金保険機構の子会社であり、日銀から預金保険機構経由でお金を出したこともあるし、今後も出せるわけで、そういう形でRCCに日銀が資金を出していくということは十分有り得ると思う。預金保険機構経由で日銀から借入ができるという仕組みは既にできている。こうしたことも踏まえつつ、日本銀行としては、今後各方面での不良債権問題への取り組みが抜本的に進められていく過程で、中央銀行の立場から成し得る貢献を考えて参りたいと思う。

また、銀行の資金ショートが起こって、他に波及する可能性があるという時は、Lender of Last Resortとしての日銀特融という方法もあるわけで、これこそまさに危機管理計画、コンティンジェンシー・プランといえる。それに関しては、4つの原則を我々は持っており、これをクリアできるものであれば、日銀特融の対象とすることができる。そのひとつは、これを放置すればシステミックリスクになるリスクがあるということ。二つ目は、他に方法がなく、これしか手がないという場合。三つ目は、その金融機関に対してモラルハザードを起こさせることが防止できること。それから四つ目として日銀の財務の健全性——銀行券を出しているわけであるから、その見合いの資産はしっかりしたものでなければならない——を壊さない範囲でなければならない。このLender of Last Resortの4原則が通るのであれば、日銀貸出を行う方法は前からできている。今のところ、まだ、山一證券が少し残っていたり、一部、中小金融機関に若干出ているケースもあるが、新しく出ているものはほとんどないわけであり、それをみても98年の頃は厳しかったと思う。

以上