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岩田副総裁記者会見要旨 ( 9月22日)

2004年 9月24日
日本銀行

―平成16年9月22日(水)
午後1時30分から約45分間
於 札幌グランドホテル(札幌)

【問】

 本日の金融経済懇談会での議論なども踏まえ、北海道の景気の現状について、どのように見ているか。

 また、日本全体としては景気回復基調にあり、それが力強くなってきている中で、北海道だけが各種の指標で「独り負け」の状態にある。どうして北海道だけが全国的な流れから取り残されているのか、どうすればそれを改善できるのか、副総裁のご意見を伺いたい。

【答】

 ただいま、財界の方々と懇談をさせて頂き、北海道経済の現状についていろいろ有益なお話を伺った。こちらに来る前から予想していたが、北海道経済の現状はなかなか厳しいというのが、まず一番目の印象である。北海道経済は、全国に占めるウエイトから「5%経済」と呼ばれていたが、その比率が4%台まで下がっている。これは、今の景気回復局面では、輸出関連の加工・組立産業の比率が低い一方で、食料品や生活関連、素材型の産業の比率が高いこと、あるいは公共投資に依存する場合が多いことが影響していると思われる。本日の金融懇談会では、北海道の開発が始められて130年であり、まだインフラが未整備な部分が残っている結果、どうしても公共投資に依存するところが大きくならざるを得なかったといったお話もあったが、その公共投資の削減がかなり大きいということで、マイナスの要因になっていると思う。

 ただ、同時に、公共事業あるいは政府依存体質を変えていこうという試み、新産業創出に向けた動き──情報関連、バイオテクノロジーのクラスターや、北海道大学を中心とした大学発ベンチャーでシーズを見出して事業化していく試み──が同時に進展していることも伺った。こういう努力が1日も早く実を結んで、北海道経済が活性化していくことを期待している。

【問】

 第1に、金融経済懇談会の岩田副総裁挨拶において、米国の名目フェデラル・ファンド・レートの中立的な水準が2.5%であってもおかしくないとおっしゃったが、改めてその点について詳しく伺いたい。

 第2に、景気は循環的には拡大局面にあり、世界経済の減速は一時的なものであろうといった見通しの下で、本年度末から来年度にかけての日本経済の姿とそれに基づくコアCPIの見通しについて伺いたい。

 第3に、政府税制調査会が定率減税についての議論をキックオフしたが、定率減税存続の是非について、岩田副総裁の考え方を伺いたい。

【答】

 まず、米国の名目フェデラル・ファンド・レートの中立水準については、米国のエコノミストの間でもいろいろな議論が行われており、一つの有力な考え方として、テーラー財務次官が主張している「テーラー・ルール」で用いられているものがある。20〜30年といった歴史的な長い年月をみて、平均的なフェデラル・ファンド・レートは概ね4%程度──実質金利で考えると2%、残りの2%が平均的なインフレ率ということになるが──が中立的な水準に近いのではないかといった有力な議論がある。なお、中立的な水準に向けて次第に金利が上がっていくことをグリーンスパン議長が議会証言で述べられていると思うが、その時の中立的な水準とは何パーセントなんだろうかということについて、マーケットでもいろいろと憶測がなされて、4%くらいではないかとの議論があった。

 私が先程申し上げた議論は、別のあるエコノミストが主張されているもので、歴史的な平均と理論的に考えた中立的な水準というのは別のものではないかというものである。中立的な実質の短期金利というのは、通貨──マネー、キャッシュ──を使うときのインフレ税に当たる部分であるとの考え方である。米国経済の経済全体の限界税率が25%くらいで、これに平均的なインフレ率の2%を掛けると0.5%となり、この0.5%部分が中立的な実質の短期金利水準であり、これに2%分の平均的なインフレ率を乗せると2.5%となると議論される方がいる。私は、議論として有力なのは、この2つであると思っている。従って、米国のフェデラル・ファンド・レートの中立水準は2.5〜4.0%程度の間のどこかに決まっておかしくないのではないかと申し上げた。グリーンスパン議長自身も、中立的な水準が何%であるかはっきり言っておらず、「実体経済をよく見極めながら中立的な水準はいくらかということを探っていく」と説明しており、私自身も現実にできることはそういうことだと考えている。単に機械的に4%まですぐにどんどん上げていくことでは必ずしもない。その幅としては、2.5〜4.0%くらいの間が考えられると思っている。

 さらに付け加えれば、原油価格上昇の効果は、インフレ期待にはそれほど影響が出ておらず、先行きもあまり出ないと考えられる。過去に原油価格が上昇した時と随分違うが、その一つの要因として、中央銀行がインフレを野放しにすることはないというマーケットの強い信頼があり、その結果、原油価格の上昇に伴い、インフレ期待が強まることにはならないと個人的には思っている。そうすると、成長率が若干低下するときにどう考えるのか、そことの見合いでも中立的な水準を探っていくことになると思っている。

 2番目の日本の成長率については、今年前半についてみると、今年1-3月期、4−6月期の前期比年率の平均をとると3.8%になるが、年後半はどうかということになると、基本的には潜在成長率を上回るような成長を持続すると思っている。今回は、設備投資等をみても、回復の持続力の腰が強い。もちろんハイテクの一部で調整が将来ある──今もある程度起っているが──としても、成長の持続性は高いと判断しているので、個人的には、同様に潜在成長率を上回るような成長が2005年度も続いていくと考えている。もちろん一本調子ではなく、今年の1−3月期、4−6月期の成長率でみられたように、四半期ごとに振れはあるが、全体の流れとしては、成長率は、潜在成長率を上回り、回復を持続できるのではないかと考えている。また、コアCPIについては、個人的に昨年10月の時点では、今年の夏ぐらいにプラスになってもおかしくないと考えていた。GDPギャップが1%縮小するとコアの消費者物価が0.4%程度上がってもおかしくないといった、いわゆるフィリップス・カーブの図を展望レポートでも示していたが、現実に2003年度の実質成長率は3.2%となった。これに対し、潜在成長率がいくらかという点については、議論があるところであるが、労働生産性の5年前対比変化率は、大体プラス1.5%となっている。一方、労働投入量の伸びは、増えたり減ったりしているが、均してみれば、ほとんどゼロに近く、その結果、潜在成長率は1.5%くらいなのではないかと個人的には思っている。内閣府の調査でも、最近時点では低いが、平均をとると私の数値とあまり変わらないと思われる。このように、潜在成長率を上回る成長を遂げていけば、GDPギャップが縮小していき、タイミングはいつになるか非常に予測は難しいが、やがてある時点では、コアの消費者物価指数もプラスになっていっておかしくないと思われる。ただ、現在は、原油価格や米価といった、やや一時的と考えられる要因で動く部分がかなりあるので、そういったものが一応出尽くすということを、一応見届ける必要があると考えられる。見届けるには、ある程度の時間が必要である。米も、最初は豊作と言われていたが、台風の影響でどうやら平年並みになるなど、いろいろ事態は流動的であるので、なかなかいつからということは難しい。しかしながら、ある時点では、プラスになっていっておかしくないと思っている。

 定率減税の話については、内閣府にいたときは、正面から議論し提案もしたが、日本銀行の所管ではないので、直接のコメントは差し控えさせて頂きたいと思う。

【問】

 生産性の上昇やユニット・レーバー・コストの低下によって物価がなかなか上がり難い状況の中で、CPIの上昇に関しては、以前の副総裁の予想に比べて、若干見方が下方修正され、物価に対して弱気になっているということか。

【答】

 以前、私が考えていたメカニズムとどこが違うかを整理すると2つあると思っている。まず一つは、先程申し上げたフィリップス・カーブの傾きについては、過去20年の平均でみると、GDPギャップが1%縮まれば、コアのCPIに0.4%の物価上昇圧力が加わるというのが、歴史的な経験である。今回の回復期は、それがその通りには十分反応していない。CGPI(企業物価指数)は極めて素直に反応しているのに対して違いがある。これは、フィリップス・カーブの傾きが、現在までのところ、過去の20年間の経験よりも、より非感応的でフラットになっていることが一つ言えると思う。そこが昨年10月の時点で思っていたのと違うところである。

 もう一つは、期待の部分である。人々が期待する物価上昇率がどのようになるかという期待調整の部分について、思っていたよりもデフレ期待がビルトインされている力が強いという要因があると思っている。

 フィリップス・カーブの傾きがよりフラットになっている理由としては、生産性の伸びが高い中で、賃金への波及が、過去の歴史的な経験よりも遅いためと思われる。単位労働費用のマイナス幅が、過去の回復局面ではみられないほど大幅なマイナスになっている。私は、単位労働費用の前年比がプラスにならないと、コアのCPIがプラスにならないとは思わないが、ある程度マイナス幅が縮小することが必要だと思っている。コアのCPIがマイナスになっている時期が86〜87年と95〜96年にあり、98〜99年くらいから現在までマイナスが続いているが、そのいずれの時も、単位労働費用の前年比はマイナス4%くらいになっている。必ずゼロに戻らなければ動かないといった話ではないが、ある程度マイナス幅が縮小することが必要ではないか。ごく最近の動きは、若干マイナス幅が縮小する方向に動いており、この辺を注目していきたいと思っている。

【問】

 1点目としては、タイミングが難しいという一方で、ある時点でコアCPIがプラスになってもおかしくないという話であるが、ある時点というのは、来年度を展望しているのか。

 2点目は、定率減税の是非についてはコメントを控えられたが、2006年から定率減税圧縮の可能性がある中で、そうなった場合の日本の景気に対する影響についてはお答え頂けるのではないか。

 3点目は、米国の中立金利が2.5%あるいは4%の間のどこかとおっしゃったが、日本の中立金利については、どのくらいとお考えか伺いたい。

【答】

 ある時点がいつかというのは、なかなか難しい質問だが、例えば、マーケットでこの問題についてどうみているのかというのは、一つの情報であると思っている。最近、「ESPフォーキャスト調査」の民間予測(38社)で、上位・下位各8社および全体の平均というかたちで、成長率だけでなくて、コアの消費者物価についても、それぞれ予測を定期的にやるようになっている。それを拝見すると、成長率については、全体の平均は2004年度は3.5%程度となっているが、上位8社では4%に近いような、少し高めの成長率を見込んでいたと思う。そのときに上位8社のコア消費者物価指数をみると、今年の10−12月期ぐらいから、ゼロないし若干のプラスになっていくという姿を描いていて、私自身は、例えば4%成長という前提が仮にあるとすれば、年末ぐらいからコアCPIがプラスということが十分にあり得るとみている。もちろん、これは、米や原油、諸々の外生条件によって変化するし、今後の雇用の情勢や、あるいは賃金の動向がどうなるのかによっても変わってくると思われるが、それ程おかしい予測だとは思っていない。

 税制改革については、定率減税だけを取り出して議論が行われるかのように報道されているが、これは税制改革全体の姿、あるいは社会保障制度、特に年金制度の改革、それから税源移譲3兆円というようなものもあり、幾つか複数の要因で解いていくことが必要なのではないかと思われる。税制でも他の部分をどう変えていくかとのバランス、あるいは社会保障制度を改革するとすれば、そこの改革のインパクトとのバランスを考えながら、定率減税の問題が景気にどのような影響を与えるのかを判断する必要があると思っている。

 日本の中立金利については、実質でみた中立的な短期金利というのは、言ってみるとインフレ税の部分であり、日本の限界税率を米国と仮に同じとすれば、25%掛けるインフレ率ということになるかと思われる。ただし、このインフレ率が0%なのか、1%なのか、2%なのか、米国の場合は、歴史的経験により2%くらいでコンセンサスがあるようにみえるが、日本はそのところが明確ではない。中長期的にみて存在するであろうインフレ率を掛け算したものが、恐らく実質の中立的な金利水準である。インフレ率については、いくらが良いのかというのは、必ずしもコンセンサスがないので、その辺で瀬踏みするということになるかと思われる。

【問】

 違った次元でお尋ねするが、副総裁は、熱烈なプロ野球ファンであったと伺っている。また、日本ハムが北海道に本拠を移して、「北海道日本ハム」というかたちになって、非常に経済効果、道民の志気を高めているということに関心をもっていらっしゃるとお聞きしている。そこでお尋ねしたいが、現在の日銀のデフレ脱却政策と同じように、球界においても、観客動員数が激減している、テレビの視聴率が落ちているということで、プロ野球デフレ説というのがある。これを脱却しようとして、新規参入やそれを支持する選手会がストライキをするなど、日本のプロ野球70年の歴史で、まさに激動期に来ている。この動きについて、副総裁はどのようにお考えになっているのか、日銀マンという立場を若干離れて、示唆に富む話をして頂きたい。

【答】

 熱烈なプロ野球ファンだというのは私が子供の頃のことで、中学のときは軟球のクラブにも入ったことがあるが、子供の頃は、私は東京出身なので巨人ファンで、ちょうど長嶋、王が活躍した時代で、川上哲治さんをテレビでみた覚えがあり、だいぶ古い時代ということになる。その頃は、後楽園とか川崎球場に行っていた。

 今のご質問は、プロ野球について、活力あるものにしてはどうかという話であるが、一つ私が日本のプロ野球について思うことは、イチロー選手とか、日本の選手があれだけ米国の大リーグで活躍しているというのは、私が子供の時は考えられないことであり、日米親善試合をやると、大人と子供の試合かなと思ったくらい実力の差があった。実はものすごく日本の選手が力を付けてきて、本当に国際的なところで活躍できるようになったのは、それ自体、非常に素晴らしいことだと思っている。日本のプロ野球も、大リーグと同じように潜在的には優れた選手を抱えているわけで、大リーグと同じように人気があり、商業活動としても十分成り立っているような、そういう球団になって、そこで皆さんが野球を楽しむということが起こっても全くおかしくないと思う。

 また、一つ思うのは、国際化している中で、もう少し国際的な視点でこの問題を議論したら良いのではないか。新規参入もいろいろ議論はあるが、もちろん今の野球チームだけでなく、将来、国際的なところに視点を広げていくことも、日本のプロ野球を活力あるものにしていく原動力になるのではないかと思っている。

【問】

 北海道拓殖銀行が破綻してから、道内の金融界の再編が進んだが、現状について、どうみていらっしゃるのか。また、本年9月には北陸銀行と北海道銀行が経営統合して、地銀では初の飛び地統合ということで統合効果を一部疑問視する声があるが、それについて副総裁のお考えを伺いたい。

【答】

 最初のご質問は、地域金融機関の動向についてどう考えるかという話であると思うが、来年の4月にペイオフの全面解禁があるということで、地域の金融機関も不良債権問題を早期に克服するということ、そして新しいビジネスモデルを作って、その下で収益力を強化するという経営問題に真剣に取り組んでおられると理解している。全体としてみると、貸出に占める不良債権比率というのも低下しており、不良債権処理が全体として進展していると思う。また、中堅・中小企業向けの貸出を増強する、あるいはシンジケートローン、投信・保険の窓口販売を拡充するというような収益力を強化する動きもみられていると思う。さらに、ご指摘のあった地域金融機関における再編の動きも強まってきていると思う。しかし、私が特に重要だと思うのは、顧客である家計や企業の多様なニーズに的確に応えて、その中で収益力を上げていくことではないかと思っている。

 北海道銀行と北陸銀行の経営統合については、個別の事例であるため、直接のコメントは申し上げ難いが、今申し上げたような流れの中で起こっているのではないか。そうした意味では、北海道においても、ダイナミックなかたちで地域金融機関の再編が進められていくのは、歓迎すべきことであると思っている。

【問】

 同じところで恐縮ではあるが、本年度のコアCPIの見通しについて、副総裁は、前年10月にはプラスと見通されているが、現時点でもプラスと見通されているのかどうか。また、需給ギャップが大きく縮小してくれば、コアCPIがプラスになるということも考えられるとおっしゃったわけだが、来年度もCPIがプラスでいけるとみておられるのか伺いたい。

【答】

 最初の成長率のほうから申し上げると、民間の強気の予測だと4%ぐらいを見込むところもあると申し上げた。4%というのはどういう意味合いかというと、昨年10−12月期と今年1−3月期の伸びが非常に高い、年率でいうと7%とか6%とか、そういう高い伸びとなったので、いわゆるゲタと呼んでいるが、今年度の出発点が既にかなり高いところから出発する分が、私の計算だと2.1%ほどある。仮に2004年度に4%成長すると高く見えるが、出発点で既に2%くらい稼いでしまっているので、あと4四半期で残りの2%分伸びていくというインプリケーションかと思う。それは、潜在成長率をやや上回る成長を続ければ、十分に達成する可能性がある大きさ、範囲内ではないかと思っている。それから、2005年度については、民間でも見方はそれほど定まっておらず、数字がそもそもないので、予測は振れがかなり大きいと言えると思うが、途中に紆余曲折はあっても、基本的には潜在成長率をやや上回る成長が持続するというのが私の予測である。仮にコアCPIが2004年度中にプラスになって、基調的にプラスの方向に動くことがあるとすれば、当然2005年度はプラスになると思う。

 もう1点付け加えると、若干技術的ではあるが、フィリップス・カーブが非常にフラットになって、なかなか反応しないという点があるが、GDPギャップがゼロを超えだすと、少し傾きが立ってくる可能性がある。需給ギャップ自体が、マイナスの需給ギャップ、すなわちデフレギャップだったのが、今度は逆に需要のほうが上回りだす。足許のGDPギャップについては、私は今年1−3月期でゼロに近いのではないかと何度か申し上げた覚えがあるが、内閣府では今年4−6月期にほとんどゼロとみている。大体、足許のGDPギャップがゼロだとすると、それ以降、潜在成長率を上回る率で成長すると、プラスアルファが加わってくる。そのアルファの分により、1%のGDPギャップ縮小によるCPIに対する押し上げ効果は、0.4%ということではなくて、恐らくそれをいくらか上回る可能性がある。このところは期待の問題も絡むため、その大きさがどのくらいあるか細かく断定できないが、方向性としては、後押し要因になるというふうに思う。

【問】

 4%成長が仮にあれば、年末にCPIがプラスになることも十分にあるとのことであるが、これは安定的に0%以上ということになる入口になるとお考えか。また、副総裁は、以前から望ましい物価上昇率として1〜2%とおっしゃっているが、来年度は1%の下限を達成できるとお考えか。

【答】

 4%成長が実現するかどうかというのは、もちろんわからないわけで、幅をもってみる必要があるが、仮にそういうことがあるとすれば、年末くらいからプラスになっても、マクロ経済的に考える限りは、十分説明がつく範囲の数字で、しかもそれは、基調としてなっていってもおかしくないと思っている。また、デフレに再び戻らないための糊代(のりしろ)がどのくらい必要か、これは人によって随分意見が違う可能性があるが、私は1%はどうしても必要なのではないかと思っている。これは、もちろん、日本の経済が非常に活力のある経済であれば、必ずしも糊代が1%ない中でデフレ・ショックがあっても、それを跳ね返してしまうような可能性もあるとは思うが、確定した話ではないが、現状の日本経済を考えれば1%というのは糊代としてあったほうが望ましいと思っている。

 2005年度については、まさに経済成長、あるいは賃金の決定、あるいは雇用の動きがどこまで強い方向で持続していくか──基本的には持続すると思っているが──、力強さがどこまであるかということに依存していると思う。今の時点で1%いけるかどうかというのは、私にも申し上げられない。

以上