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総裁記者会見要旨(2月5日)

G7終了後の谷垣大臣・福井総裁内外記者会見における総裁発言要旨

2005年2月7日
日本銀行

―於・ロンドン
2005年2月5日(土)
午後3時50分から約40分(現地時間)

冒頭発言

 今回のG7の特徴は、BRICsおよび南アフリカがゲストとして参加したこと、特に中国は前回に続いて今回もゲストとして参加したことがひとつだと思います。もうひとつは、貧困の削減、いわゆる開発支援の問題 —— 英・ブラウン蔵相のイニシアチブがあったわけだが —— に焦点を当てて議論が行われことであったと思っています。全体を通じて言えることは、BRICsと南アフリカがゲストとして呼ばれて来たということに示されるとおり、世界経済において、本当のグローバル化の進展がここまで進み、ひとつの経済、市場になりつつある、あるいは大きな市場経済としての循環メカニズムが出来上がる過程に入っているということを象徴的に表しているという気がしました。そうした大きな市場経済の循環メカニズムの埒外に貧困国をいつまでも置いておくわけにはいかない。おそらくそういう意識から、今回、開発支援の問題に強い焦点が当たったということではないかと思っています。

 日本経済については、日本の金融機関と企業双方の体質改善努力が一定の成果を生み出しつつあるということに対して、各国の理解と評価が得られているということが感じられました。本年4月からペイオフの完全解禁が行われるが、この点についても、今申し上げたような変化を象徴するものとして、極めて好意的に受け止められていると思いました。私からは、今後ともこうした民間部門の構造改革努力を後押しし、最終的に日本経済を持続可能な回復軌道にきちんと乗せていき、併せてデフレ脱却を実現していく。そのために現在の量的緩和の枠組みを堅持していくということを説明しました。

 なお、為替相場についての議論ですが、これも今申し上げた通り、世界経済全体として大きな循環メカニズムが出来上がりつつある。このメカニズムを強化していかなければならないが、その鍵は、資源の再配分機能が市場機能に基づいてきちんと効率的になされていくということにある。従って、それぞれの国において規制緩和をさらに進め、柔軟な経済・社会の仕組みを作っていくことが重要である。個人的な受け止め方ではあるが、為替相場の柔軟性もその重要な一環だという感覚が、次第に広く共有されるようになってきているという印象を受けました。

以上