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岩田副総裁記者会見要旨 (11月30日)

2005年12月 1日
日本銀行

―平成17年11月30日(水)
午後1時30分から約45分間
於 鹿児島市

【問】

 金融経済懇談会の冒頭でもお話があったが、鹿児島県の景気の現状について、どのようにお考えか。また、今後どのような方向に向かうと判断されているか伺いたい。

【答】

 先程、金融経済懇談会でも申し述べた通り、九州・沖縄地域の景気については「緩やかに回復している」としているが、鹿児島県の景気については、「足踏み状況ながらも緩やかな回復に向けた基調を維持している」と判断している。私どもが四半期毎に実施している全国企業短期経済観測調査(短観)の業況判断をみると、平成14年(2002年)の一時期はマイナス超幅が40%ポイント程度であったが、足許ではマイナス5%ポイントとなるなど、依然として足踏み状況を脱し切れてはいないが、一頃と比べると、水面下ではあるが改善に向けた動きが基調として働いているのではないかと考えている。

 今後は日本経済全体がこれからも持続的な回復が期待できるという状況のもとでは、まさに緩やかではあるが鹿児島県経済も足踏み状況を少しずつ抜け出していけるのではないかと思っている。

【問】

 全国的にみれば景気が回復する中、鹿児島県経済は足踏み状態を続けているなど、地方では景気回復を実感するまでには至っていない。今の景気回復基調が続くという前提のもとで、鹿児島県でも回復を実感できるようになるにはどれくらい期間がかかるとお考えか。また、そのためにはどのような取り組みが必要か伺いたい。

【答】

 今回の景気回復局面の中で、地域間での格差、地域内部での格差など、いろいろな意味での格差が生じている。北海道の場合でも札幌に一極集中する傾向があると思う。地域の中でも強い所と弱い所が出てくるなど、いろいろなかたちの格差を伴いながら緩やかな景気の回復が続いているのが特徴だと思っている。もう少しグローバルな視点で考えると、世界経済全体が急速な構造変化を遂げている。特にBRICsと呼ばれるような新興国が急速に台頭してきた中、日本経済にも大きな構造変化が起こってきたが、これからもこうした流れに直面し続けるであろう。こうした流れの中で格差が生じていると理解している。これは、先端部門であるIT部門においても同様であって、いわゆる「勝ち組」と「負け組」が発生している。格差の問題というのは大きな構造変化とグローバリゼーションが進展している状況のもとでは避けられないと考えている。

 しかしながら、鹿児島県全体が今の足踏み的な状況から脱していくには、日本経済が全体として持続的に回復を続けることが重要なポイントだと思う。それでも、個別の地域で各主体が回復しているという実感を得るには、産業・業種別にやや濃淡が残ったかたちにならざるを得ないところがあると思っている。例えば、鹿児島県の短観の中で食料品製造業の業況判断を見ると、鹿児島支店集計の業況判断D.I.はプラス40%ポイント程度と、全国よりもむしろ鹿児島県の方が良い。鹿児島県が比較優位性を持っているこうした分野では、他の業種に比べると回復を実感できる状況になっているのではないかと思っている。

【問】

 金融経済懇談会の冒頭挨拶の中での食料品業界に関連し、鹿児島県は農畜産物の生産県であると同時に自然環境に恵まれているという話があったが、全体の景気が上向きつつある中で、鹿児島県の成長の可能性について伺いたい。

【答】

 金融経済懇談会でもいろいろなご意見を伺った。私がとても印象深く思った話の一つは、鹿児島大学との産学連携、共同プロジェクトが軌道に乗ってきつつあるとのことで、大変心強いお話であった。鹿児島大学は以前から工学系、医学系分野で優れた潜在的な技術開発能力を持っている研究者がおられるが、国立大学の改革によりこれまで以上に積極的に産業界と直接手を組んで研究・開発を進めるという動きをはっきり示されているようである。また、鹿児島県の産業界も、大学における研究との組み合わせの推進を通じ、新しいシーズ(種)、技術を見つけていこうとされている。こうした動きを通じ、優秀な人材が鹿児島県で育ち、鹿児島県に残って活動していくことも十分期待でき、将来の成長・発展に大いにプラスになるのではないかと思っている。そのほかにも、自然環境がとても豊かな所であることから、それを利用した観光業等をさらに振興していくことが重要ではないか。また、鹿児島から博多まで、現在は九州新幹線を利用しても所要時間は2時間くらいであるが、これが全線開通すれば1時間10分で行けるようになるとか、少し時間がかかるかもしれないが東回り九州自動車道の整備が進展していけば、インフラストラクチャーがさらに整い、飛躍につなげられるものと考えている。

【問】

 金融経済懇談会において伊藤知事とお話をされたと思う。地方都市がある程度似たような状況にある中、鹿児島県は財政改革を進めている。これは、ある意味で痛みを伴う施策であり、鹿児島県のような行政依存度の高い地域では、経済面へのマイナス影響も大きく、日本全体の景気が回復していても、景気回復が難しいと思うがこの点について如何お考えか。

【答】

 本日の金融経済懇談会では伊藤知事の話も伺うことができた。伊藤知事は17年度を大胆な改革元年として県政を刷新するための大綱を発表されて、財政再建に積極的な姿勢で取り組んでおられると理解している。日本全体もそうであるが、公共投資は45兆円から半分くらいまで縮小している。鹿児島県においても平成14年くらいから歳出額の削減努力を続けてこられている。歳出削減で景気へのマイナスの影響はないのかというご意見もあるかと思う。その点は、民間の活動をさらに強める方向で財政部門が支えていた部分の縮小を民間の活力で補い、それを上回るような活動を展開することが大事である。そのために必要な環境を整備していくという方向性が重要な点であると考えている。先程申し述べたように、大学との連携であるとか、企業の誘致という面でも九州は全国で第4番目に新規の工場立地が多い所であって、鹿児島県でも県内外を含め新しい事業を構築するような動きが出てきている。そうした動きを支援し、活発化させることが大事だと思っている。

【問】

 先程の話にあった通り、伊藤知事が財政面の非常事態宣言を出され、建設事業費とか人件費の圧縮など、県の財政再建に着手されてきたが、知事のこうした取り組みをどう評価されているか伺いたい。

【答】

 本日、伊藤知事とお会いしてお話をお伺いした。一つは21世紀に向けて鹿児島をさらに発展させるべく、「21世紀新かごしま総合計画」の第2期実施計画(平成16年度〜18年度)を推進していくというお話があった。一つのプロジェクトとして「マリンポートかごしま」を観光拠点とすべく整備してきたが、現在はさらに防災の拠点としても位置付けられて、プロジェクトを継続していく方針とのお話を伺った。伊藤知事は、歳出削減により財政を立て直すことと地域の発展という両面にわたり大変ご努力されていると思っている。

【問】

 鹿児島県は、アジアからみると南の玄関口と位置付けられ、副総裁の挨拶の中でも将来に向けて新たな事業拠点の構築が進むとあったが、対アジアの視点からみてどのような事業拠点構築が望まれるか。また、先程、食料品業界の業況判断D.I.がプラス40%ポイントということであったが、米国産の牛肉輸入が再開された場合、この業況感がどう変化するか伺いたい。

【答】

 沖縄を含め九州はアジアに距離的に近い。鹿児島県は奄美大島をはじめ沢山の島を抱えているほか、沖縄にも非常に近い。九州全体としてアジア経済の発展に対して、産業戦略を構築していくことが重要な論点ではないかと思っている。産業界では九州を一つとして考え、シリコン・アイランドのような位置付けにしたらどうかという構想があると伺っている。その中で鹿児島県は離島を抱え地理的に優位な所に位置していると思う。特に中国が高い成長を遂げているほか、インドも台頭してきている中、新たな国際分業の姿をいかに構築していくかが大変重要な論点だと思っている。アジアと鹿児島県の関係は、九州の中の一部としてアジア経済の拠点になっていくことが重要な点ではないかと思う。

 畜産業については、肉用牛、豚、ブロイラーの農業産出額が全国第1位となっている。2〜3年前から海外のBSE問題を背景に国内産への需要が高まっている面がある。海外のBSE問題が解消しても、日本の農産品は一般的に品質が高く、質の面で十分な国際競争力を備えているのではないかと思う。畜産業、農林水産業をベースとした食品加工業という分野は鹿児島県の重要な一翼を担える産業ではないか。

【問】

 2点伺いたい。1点目は最近、政府・与党から量的緩和政策への早期解除への牽制発言、なかんずく日銀法改正にまで言及した発言も一部にみられるが、これに対する所感を伺いたい。2点目は本日5年振りに日経平均株価が一時1万5千円を超えたことについての所感を伺いたい。

【答】

 1点目は、このところ多くの議論が行われている。私どもは、先行きの物価がどうなるかを考えながら政策運営をやっていくべきだということ、金融政策を変更する場合、その効果が現れるまでに財政政策よりも少し時間がかかるのが実態であり、1年とか1年半とか期間を経て初めてその効果が現れるということを念頭に置きながら政策運営を行っている。こうした点についてはもう少し説明すべきであったと感じている。それから、足許のコアの消費者物価指数がようやくゼロ%になったもとでの量的緩和政策解除は早すぎるのではないかというご意見が聞かれる。私どもも、1か月だけコアの消費者物価指数がゼロ%になったからといってすぐに量的緩和政策を解除するとは申し上げていない。量的緩和政策の解除については、既に2003年10月に3つの条件を、非常にわかりやすいかたちで述べている。コアの消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になることを足許だけでなく、先行き見通しについても約束している。そのためには、先行きの物価を注視しながら、いろいろな情報発信をすることも必要であると思っている。「足許の数字がゼロ%なので量的緩和政策の解除は早過ぎる」といったように、着目している数字についての議論がかみ合っていなかったことがあるのではないか。

 それから、どの物価指数を重要と考えてこの問題を考えるかが論点である。基本的には私どもが以前から約束している生鮮食品を除く消費者物価指数を基本に考えることについては、変更するわけにはいかないと考えている。もちろん、他の指標を無視するということではなく、それぞれが持っている情報量は異なったものであるので、そうしたものにも十分目を配りながら政策運営を行っていくことは申すまでもない。

 2点目の株価の上昇については、国内外の投資家の間で日本経済は新しく生まれ変わりつつあるという認識が広まってきたことが背後にあると思う。株価は、金融政策と同様に足許の数字だけでなく、半年や1年ぐらい先の経済がどうなりそうかということを織り込んで動くものである。この意味では、日本経済のファンダメンタルズが急速ではないが着実に良くなってきていることを表しているとみることができる。また、物価については、コアの消費者物価指数が既にゼロ%のところまできているほか、先行きも着実にプラスの幅が広がっていくのではないか。少なくとも株式市場はそのように評価しているのではないかと思っている。

【問】

 量的緩和政策解除後の政策運営についてお伺いしたい。講演の中でも、「物価安定化のアンカー」という表現をお使いになったが、量的緩和政策は消費者物価指数にリンクすることで、政策の透明性とか期待の安定化に役立ったと思う。しかし、量的緩和政策の解除後、政策の透明性とか期待の安定化をどう維持していく方策があるのかについて、インフレ・ターゲットについての見解とともに、考えを伺いたい。

【答】

 この点は今すぐというわけではなく、量的緩和政策が終了する時点で、しっかりと考えなければいけない論点だと理解している。いずれにしても、これまで量的緩和政策について、その継続期間について相当の透明性を持ったやり方を示してきており、それが市場の期待を安定させ、デフレ・スパイラルに陥ることを未然に防止し、過去マイナス1%くらいだったデフレ幅も漸くゼロ%のところまで改善してきた。これは、3つの条件で金融政策運営の透明性を高め、特にコアの消費者物価指数を重視しながら、「それが安定的にゼロ%以上となるまでしっかりやります」という約束をし、そして、その約束をこれまでしっかりと守ってきたことが、ここまでデフレの幅を縮小させてきた非常に重要な要素だったのではないかと評価している。もちろんコアの消費者物価指数が安定的にゼロ%以上となる条件がクリアされた場合には、約束通りに量的緩和政策を解除することになる。例えば、物価の安定といっても、これはいろいろな水準での安定というものが考えられ、安定的にゼロ%以上になった後、さしあたりどの辺りを目処にしながら政策運営を行っていくのかということについては、市場との対話の中ではやはり重要な論点だと考えている。どのようなかたちで物価安定化のためのアンカーを置くかについては、いろいろなやり方があるとは思うが、こうした点をしっかり工夫し、可能な限り透明性の高いかたちで市場にとって分かりやすい情報発信を考えていくべきではないかと思っている。

 インフレーション・ターゲティングについては、日本銀行に入る前に国会でも申し上げたが、量的緩和政策に入る時に、「コアの消費者物価指数がゼロ%以上になるまで」ということを既に日本銀行は約束しており、これはコミットメントのかたちを借りているが、中央銀行がインフレ率はゼロ%以上が望ましいと考えていることを間接的に情報提供していると思う。そういう点では、広い意味でのインフレーション・ターゲティングと言うか、インフレーション・ターゲティングと言うよりは物価安定目標──プライス・スタビリティ・ターゲット──という言い方がむしろ誤解がなくて良いのではないかと思っている。暗黙のかたちであり、表立って掲げているわけではないが、ゼロ%以上が望ましいと、あるいは安定的にゼロ%を上回る方が望ましいと、「3つの条件」の中でより明確にしたと私は考えている。こういうことが物価安定に役立っており、物価安定のアンカーになっている。それは、いわゆるターゲティングと呼ばれているものの、金融政策上の重要な機能を実際上は果たしてきているのではないかと思っている。先行きについては、これをどういうかたちでお示しするのが皆さんにとって一番わかりやすく、しかも期待が安定化できる仕組みなのかをしっかりと考えていくべきだと思っている。

【問】

 講演の最後のほうで、米国の金融政策に言及されたが、「デフレ・リスクの回避を確認した後に、初めて金利引き上げのプロセスに入ったことは示唆的である」とおっしゃったが、これは基本的な考え方の部分が日本の金融政策にそのまま当てはめられるのか。デフレ・リスクの回避を確認する場合、例えば日本ではどういうイメージで判断できるのかを伺いたい。

【答】

 米国の経験でとても印象深く思うのは、実質金利がマイナスの期間が続いたということもあるが、コアの消費者物価指数であれ、コアの個人消費デフレータであれ、それが1%のところに来た時に、「このまま行ってしまうと1%を割っていき、デフレのリスクが相当高まってくる」という判断を米国の連邦準備制度理事会はされたのではないかと思う。偶然ではあるが、フェデラル・ファンド・レートも1%という相当低い水準にもっていき、しかもそれを相当の期間やるということを約束しながら、透明性の高いかたちで政策運営をされたのではないかと思う。そのことを考えると、少なくとも米国の中央銀行は、デフレにならないための「のりしろ」というものを1%程度辺りに置いておられるのではないかと考えられる。私は日本の場合にも、そういう考え方があり得ると思っている。ただ、私がもう一つ付け加えなければいけないと思うのは、足許の数字が1%にまでならないとデフレ・リスクがなくならないかというと、必ずしもそうは思っていないということ。経済の先行き、例えば予測期間、今後1年半とか、場合によって2年ということになると思うが──展望レポートのタイミングによって、多少ずれがあるが──そういう期間において、基調的なコアの消費者物価指数、実力ベースのコアの消費者物価指数で1%程度が展望できるといった考え方について、日本も考えていいのではないかと思っている。

【問】

 今の点について、例えば展望レポートなどで日銀が1%程度の物価上昇、コアCPI、あるいは岩田副総裁のおっしゃる実力ベースのコアCPIが1%程度にならない限り、ゼロ金利にしたままがいいというお考えなのか伺いたい。

【答】

 量的緩和政策を離れれば、ゼロ金利を含めて金利を中心にして政策運営していく。ご質問の答えについては、展望レポートに書いてある通りであり、経済・物価情勢をしっかりと点検しながらということでお答えしたいと思う。ただそういうことを考える場合も、私が先程申し上げたのは、(例えば「のりしろ」が1%とした場合)1年の平均として1%が展望できると考えるべきなのか、それとも、予測期間の最後のほうで1%程度が展望できるのか、この辺はやはり議論をしていくことが必要な論点の一つではないかと思っている。

【問】

 先程の質問に少し逆戻りするが、実力ベースのCPI、あるいはいわゆるコアのCPIというものを、政府の方がそれを見るということに同意したとしても、ある程度のパーセンテージになるまで、ある意味では「のりしろ」というものを重視して、量的金融緩和政策の解除を待って欲しいという言い方をする可能性があるかと思うが、その点について伺いたい。

【答】

 政府のご意見、いろいろな方が様々なご発言をしていると思う。私はこの問題について、講演でも少し触れたつもりだが、一つの重要な点はデフレを脱却するという大きな目標について──これは経済政策の基本的な論点であるが──、日本銀行と政府の間に、何らかの相違があるということではないと理解している。その認識においてあまり差はないと思う。ただ、「のりしろ」がいくらなのかという点は、人によって大きな差があるのではないかと思う。これは日本経済の構造的な変化がどういうかたちで現れているのかとか、あるいは物価の形成がどういうメカニズムで行われているのか、一つの例として私の講演では単位労働費用の動きについて取り上げたが、そのようないろいろな面をしっかりと点検していく中で、その答えは出てくるのではないかと考えている。

【問】

 そうすると、必ずしも何%までいったらとかそういうことは考えない、むしろその背後にある需給の実勢だとか、それで判断して、例えば、経済実勢がしっかりとしていれば、パーセンテージは足許低くても、構わないということもあり得るのか。

【答】

 何度も申し上げるが、もちろん足許の物価の動きも大事だが、先行きの物価見通しがどうなるのか、先行き仮に+0.5%、+1.0%であるとしてもその時の上昇率を支えるメカニズムがどういうことになっているのかが重要な点である。そういった点をよく点検しながら、いわばすぐにデフレには戻らないような物価上昇率は、現在の日本経済が置かれた状況のもとで、どのくらいなのかということを煮詰めていく必要があると思う。それで、先程の米国の例で言えば、どうやら「のりしろ」として1%くらいを考えている様だと、私は受け取っているということである。そうした外国の経験も、参考になると思う。

【問】

 先程の講演の中で、量的緩和政策を終了後の政策対応で日銀当座預金残高の引き下げとおっしゃられたが、これは量的緩和政策を解除してから当座預金残高を引き下げていくという順番なのか伺いたい。

【答】

 当座預金残高の引き下げについては、政策委員会の中にもいろいろな意見がある。別に量的緩和政策のフレームワークの中でも当座預金残高を引き下げることは約束違反ではなく、そういうことがあってもいいのではないかという意見もある。私もその点については同意している。ただ、個人的には、早めに当座預金残高を引き下げるよりは、量的緩和政策を解除した後で、当座預金残高を自然体であまり市場にストレスをかけないかたちで下げていくほうが、現在の日本の景気動向や物価動向からみて、早く安定的に消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%以上となるという差し当たりのゴールを確実なものにするために、良いのではないかと判断している。

以上