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「貯蓄広報中央委員会委員総会」における総裁挨拶要旨

2001年 3月29日
日本銀行

(1)貯蓄広報中央委員会の委員総会にあたり、ひとことご挨拶申し上げます。

(2)最初に、最近の経済情勢と、日本銀行の金融政策運営について申し上げます。

日本経済の状況をみますと、昨年末以降、海外経済の急激な減速の影響等から景気回復テンポが鈍化し、このところ足踏み状態となっています。先行きについても、ここしばらくの間、停滞色の強い展開を続けるものと予想されます。

こうした状況に鑑み、日本銀行は、先週月曜日の金融政策決定会合において、思い切った金融緩和措置を実施しました。これは、物価が継続的に下落することを防止し、持続的な経済成長のための基盤を整備する観点から、断固たる決意をもって実施に踏み切ったものです。

今回の措置が持つ金融緩和の効果が十分に発揮され、日本経済を持続的な成長軌道に乗せるためには、不良債権問題の解決をはじめとする金融システム問題の解決やそれと裏腹の関係にある企業経営の建て直しといった構造改革の進展が是非とも必要です。日本銀行としては、構造改革に向けた抜本的な取り組みが速やかに進展し、民間主導で生産性の向上が進められることを強く期待しています。

(3)さて、貯蓄広報中央委員会におかれましては、豊かな国民生活の実現を目標に、金融に関する知識や情報の提供を中心とした広報活動を中立・公正な立場から展開してこられております。こうした活動は、消費者の適切な資産選択やリスク管理能力の向上を促し、ひいては健全で効率的な市場機能の強化にも繋がるという点で、日本経済の安定成長に少なからぬ貢献をしてこられたと思います。

特に現在のように、金融ビッグバンの進展につれて、金融商品やサービスの内容が一段と多様化・専門化する一方、消費者としてはその選択に一層の自己責任が求められている状況のもとにおきましては、貯蓄広報中央委員会の役割は、ますます重要となってきております。

日本銀行といたしましても、貯蓄広報中央委員会がこれまで果たしてこられた日本経済への貢献に対しまして、深く敬意を表しますとともに、今後ともできる限りの支援を続けてまいりたいと思っております。

こうした中で、貯蓄広報中央委員会におかれましては、その活動内容に合わせて「金融広報中央委員会」への名称変更を打出されておられますが、このことは大変時宜にかなったことと思われます。新たな名称のもとで、一層の成果を上げられることを期待しております。

最後になりましたが、皆様方におかれましても、当委員会の活動に引続き格段のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。

以上