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宮城県金融経済懇談会における山口副総裁挨拶(骨子)

2001年 7月 5日
日本銀行

 日本経済は、米国をはじめとする世界経済の急激な減速を受けて、昨年末頃から景気回復テンポが鈍化し、最近では、調整が深まりつつある。

 企業部門では、IT関連分野を中心に輸出・生産の大幅な減少が続く中、収益環境は厳しさを増しており、ごく最近まで増加を続けてきた設備投資も減少に転じつつある。一方、家計部門は底固い動きを続けているが、先行き、企業収益の動向やその雇用・賃金面への影響を注視する必要がある。このような状況下、当面は調整局面が続くと考えられる。

 日本銀行は、こうした厳しい景気展開を先取りする形で、3月19日の金融政策決定会合において、思い切った金融緩和策を決定した。

 その後3ヶ月余りが経過したが、金融市場においては、長短金利がゼロ金利政策の頃をさらに下回るレベルまで大きく低下し、CPや社債など資本市場を通じる資金調達環境も好転するなど、所期の効果が表れている。

 ただ、こうした効果が実体経済面に力強く波及していくためには、金融面および産業面の構造問題を解決することが不可欠である。

 現在の金融緩和策は、構造調整が進展する中で企業等に前向きの動きが出てくれば、これを力強く後押しする効果を有している。日本銀行としては、今後とも、(1)IT関連分野を中心とする世界経済の動向や、(2)構造調整の進展度合いなどを丹念に点検しながら、適切な金融政策運営に努めていく方針である。

以上