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仙台での各界代表者との懇談における総裁挨拶要旨

(岩田副総裁代読)

2003年10月 1日
日本銀行

[目次]

  1. はじめに
  2. 1.日本経済の現状
  3. 2.金融政策運営についての考え方
  4. 3.企業活動の活発化と地域経済
  5. 4.金融システムの現状と課題
  6. おわりに

はじめに

 東北経済界を代表する皆様方とお話をする機会を頂き、大変嬉しく存じております。また、平素より、私どもの支店が大変お世話になっており、本席をお借りして厚く御礼申し上げます。本日は、金融経済情勢や金融政策運営、金融システムの問題などについて、私どもの考え方をお話したいと思います。

1.日本経済の現状

日本経済の現状

 日本経済は、経済のグローバル化の進展の下で、ますます世界経済と一体的に動くようになってきています。そこで、本日は、世界経済の状況からお話したいと思います。

 米国経済は、これまで堅調な個人消費に支えられて緩やかに回復してきましたが、ここに来て世界的にIT関連需要が上向きつつあることを受けて、製造業の受注や設備投資に持ち直しがみられるなど、回復に向けた動きが企業部門にも広がりつつあります。また、連邦政府による大幅減税も、個人消費にプラスの効果を与え始めているようです。雇用調整圧力が依然として根強いといった点については、注意してみていく必要がありますが、今後米国の成長率が加速していく可能性は次第に高まっていると言えます。また、東アジア経済においては、中国がSARSの影響をほぼ払拭し、従来の安定的な成長軌道に復しつつあるほか、NIEsやASEAN諸国でも、世界的なIT関連需要の回復を背景に域内外への輸出の増加が見込まれるなど、全体として経済活動は持ち直しに向かっています。欧州については、回復に向けた動きはまだ明確ではありませんが、企業のマインドなどに改善の兆しが窺えるようです。

 このように、米国や東アジアを中心に世界経済が回復基調にあるとの基本的な認識については、先般、中東ドバイで開催されたG7(財務相・中央銀行総裁会議)においても確認されたところです。

 一方、国内経済に目を転じますと、企業収益の改善を背景に設備投資が緩やかに回復しています。今年4−6月の実質経済成長率は、市場の予想を大幅に上回る年率+3.9%となりましたが、内訳をみると、設備投資の増加が寄与しています。また、今回の短観の結果をみると、2003年度の設備投資計画は、製造業大企業では前年比11%もの増加となっているほか、非製造業を含めた全規模合計でも前年をやや上回る水準となっており、今後は回復傾向がより明確になっていくのではないかと予想されます。

 この間、個人消費は、冷夏の影響もあって、このところ弱めの動きを続けています。しかしながら、雇用・所得環境の面では、パートなどの臨時雇用を含む雇用者数が下げ止まっているほか、賃金の下落にも歯止めがかかってきているなど、厳しいながらも変化の兆しがみられています。

 このように、日本経済は、全体としてはなお横這い圏内の動きを続ける中で、景気回復に向けた明るい兆しが次第にみられるようになっています。今後、日本経済は、今申し上げたような世界経済の回復を背景とする輸出環境の改善と、設備投資の持ち直しを起点として、生産の増加や企業収益のさらなる回復といった形で前向きの循環が働き始め、緩やかながらも自律的な成長軌道に復していく蓋然性が高まっているように思います。

 今回の短観でも、製造業大企業の業況判断が2000年12月以来の「良い」超となるなど、全般に企業の景況感が改善を続けていますが、こうした点は、今申し上げた私どもの認識と一致するものといえます。

 ただ、日本経済が抱える過剰債務・過剰雇用といった構造調整圧力はなお根強く、このところの回復に向けた動きが経済のすみずみにまでどの程度の強さと広がりをもって及んでいくのか、依然不確実な面が多く、引き続き注意深くみていく必要があると考えています。

金融資本市場の動向

 金融資本市場の動きをみると、株価は、このところの為替円高の影響などもあってやや弱含んでいますが、日経平均でみて1万円を超える水準で推移しており、春先のボトムからみれば3割を超える大幅な上昇となっています。こうした株価の動きは、只今申し上げた日本経済の回復の兆しを反映した、自然なものと受け止めています。

 一方、長期金利は、10年物金利が0.5%を下回る水準にまで低下した6月頃に比べれば大きく上昇しています。

 長期金利は、基本的には経済の先行きに対する市場参加者の見方を反映して形成されるものです。夏場以降の長期金利の上昇も、先程から述べてきたように、日本経済が少しずつ明るい兆しを窺わせていることを基本的な背景とするものであり、このことは、金利上昇と株価の上昇が同時並行的に生じていることからも裏付けられるように思います。

 もちろん、相場はさまざまな要因に反応するため、短期的にはオーバーシュートして、経済の実態を離れて動く可能性は常に存在しています。今回の長期金利の変動局面では、日本銀行の金融政策を巡る思惑で市場が不安定化した面もあったという指摘が聞かれることもありましたが、日本銀行は現在の量的緩和政策を「消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続する」という約束を行っています。この約束は、予想物価上昇率ではなく、毎月発表される消費者物価指数の実績値を基準としている点で明確かつ具体的な約束であり、市場の理解が行きわたりさえすれば、市場の安定化に十分資するものであると考えています。私どもとしては、この約束を今後とも堅持していく方針であり、こうしたスタンスを必要に応じ市場に対しても発信していきたいと思います。

 一方、為替相場については、先日のG7前後あたりから、円高が進行しています。市場では、G7の共同声明に関し多少偏った解釈がなされ、それが相場の動きに影響を与えているようにみられます。G7各国は、従来から、「為替相場は経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましく、短期的な為替相場の動きについて、過度の変動がある場合には、必要に応じて協力しながら適切な対応をとる」という基本的な考え方に立っており、こうしたスタンスにはいささかの変更もありません。円相場が安定的に推移していくことは、日本経済の回復にとって極めて重要であり、日本銀行としても、今後とも為替相場の動向やその経済への影響については、長期金利や株価の動向ともあわせ、十分注意してみていきたいと考えています。

2.金融政策運営についての考え方

 日本銀行は、量的緩和政策の枠組みの下で、潤沢かつ機動的な資金供給を行うことで、金融市場の安定を確保し、景気回復を確かなものとすべく努力しております。今後の金融政策運営に当たっても、そうした姿勢を堅持することによって、景気回復に向けた動きを金融面からしっかりとサポートしていく考えです。

 また、金融緩和の効果を経済のすみずみにまで浸透させていくためには、金融緩和の波及メカニズムを強化していくことが大事です。先般、中堅・中小企業関連資産を裏付けとする資産担保証券の買入れスキームを導入したほか、シンジケート・ローンを私どもの担保として受け入れることについて実務的な検討を進めているのも、そうした観点に立ったものです。

 資産担保証券は、わが国ではいまだ発展の初期段階にあり、皆様方には馴染みが薄いかもしれません。しかしながら、資産担保証券は、売掛債権などを裏付けとした新たな資金調達の途を拓くものであり、企業にとって有力な資金調達手段となり得るものです。また、金融機関にとっても、貸出債権を流動化することによって自己資本を有効に活用することができるといったメリットがあります。従って、資産担保証券は、新たな金融仲介手段として潜在的には大きな可能性を有するものであり、今後は、地域の企業や金融機関にもその利用が広がっていくことが期待されます。実際、地方自治体が資産担保証券の組成に協力している例も次第に増えてきているように見受けられます。

 日本銀行による資産担保証券の買入れは、民間債務の信用リスクを直接負担することとなる点で中央銀行にとって異例の措置ですが、金融緩和の効果を少しでも広く浸透させるべく踏み切ったものです。今後とも、資産担保証券市場の発展を支援するため、市場関係者と協力して市場環境の整備にも積極的に取り組んでいく方針です。ご意見やご相談があれば、遠慮なく私どもにお寄せ頂きたいと思います。

 また、シンジケート・ローンは、企業の資金調達チャネルの多様化や、大口資金の機動的な調達などを可能とするものであり、このところ市場規模が着実に拡大してきています。日本銀行が担保として受け入れることも一因となって、市場が一層発展することになれば、企業金融のさらなる円滑化に資するものと考えています。

3.企業活動の活発化と地域経済

 今後、日本経済が持続可能な景気回復を実現していくためには、経済の持つ自律的な発展メカニズム、すなわち、企業活動の活発化が家計の所得や消費の増加を促し、それがさらなる企業活動の活発化につながるというメカニズムが作動することが必要です。したがって、企業活動の活発化をいかにして実現していくかが出発点であり、鍵となるということです。

 経済のグローバル化や情報通信革命の進展の中で、わが国経済や企業を取り巻く環境は、従来の高度成長期とは大きく異なってきています。従来、日本企業は、大量生産によって市場シェアを拡大し、価格支配力を発揮することによって収益を確保してきました。しかしながら、エマージング諸国の市場経済化に伴って供給力が飛躍的に拡大し、世界の市場がますます一体化していく中にあっては、コストの面での優位性を維持し、価格支配力を発揮することはもはや困難となっています。企業に求められているのは、グローバルな競争を前提として、高い付加価値を創り出し、それによって競争を勝ち抜いて行く力です。言い換えれば、人々が求める新しい価値を探り当て、それをどのようにして付加価値の高いビジネスモデルに具現化していくか、ということです。決して容易なことではありませんが、わが国企業の潜在力からすれば、十分に可能なことと信じています。

 今申し上げたような視点は、今後の地域経済のあり方を考えるうえでも重要です。これまで、地域経済は多かれ少なかれ公共事業や企業の生産拠点誘致などに依存しながら発展を遂げてきたという面があります。しかしながら、経済を巡る環境が大きく変化しつつある中で、こうした従来型の対応では限界があると思います。財政改革が進められる中で、これまでのように公共投資による地域経済の振興に多くを期待することはできません。また、中国や東南アジアなど、労働力の安価な地域に生産拠点がシフトしていくことも、経済のグローバル化の中での大きな流れとして受け入れていかざるを得ません。今後は、地域経済においても、従来の枠組みにとらわれず、しかもグローバルな視点に立って企業の「付加価値の創出力」を高め、自律的な経済発展を実現していくことが重要になってくるのではないかと思います。

 この点に関連して、ポイントは2つあると思います。ひとつは、中国をはじめとするアジア諸国の台頭を「脅威」としてではなく、新たな市場の拡大という意味での「チャンス」として前向きに理解すべきであるということです。当地においてもみられるように、わが国の生産拠点がアジア諸国にシフトしていくことは、地域の雇用や生産に影響を及ぼすことは否定できませんが、アジア諸国の経済発展は、輸出の増加などにつながるビジネスチャンスにもなるはずです。市場が拡大する中で、付加価値の高い製品やサービスの開発とそれへのシフトを絶え間なく進めることによって、地域経済の発展につながる形で、交流密度の高い、新しいタイプのアジア諸国との相互関係を築いて行くことができると考えています。

 もうひとつは、人口の高齢化や環境問題の重要性の高まりの中で、医療・福祉サービス、環境関連ビジネスなど、地域においても潜在的に大きな需要が見込まれる分野が存在するということです。こうした需要を喚起し、魅力的で高付加価値の商品やサービスを提供することによって、新たなビジネスが発展するチャンスは大いに残されているのではないでしょうか。

 幸い、当地には、ユニークな商品やサービスの提供によって、高い業績を挙げている企業も少なくないと伺っております。また、地元の経済界などにおかれては、新たな企業や産業を育成し、地域経済の活性化を図るために、産学連携の推進やベンチャー企業の支援など、さまざまな取り組みを実施しておられ、次第に成果が現われつつあると承っております。今後とも、高い水準の技術力を活かしつつ、民間の英知と創意工夫によって、従来にも増してダイナミックで競争力のある企業や産業が発展していくことを強く期待しています。

4.金融システムの現状と課題

 次に、金融システムの動向について申し上げます。わが国金融システムは、依然厳しい道のりを歩んでいると言わざるを得ませんが、徐々に健全化に向けてこれまでの取り組みの成果が出始めているように思います。

 以下、昨年の秋以降、金融機関をはじめとした関係者の間で、不良債権問題を克服し、金融システムを健全化していくポイントとして意識されてきた4点について申し述べます。

不良債権の経済価値の把握

 まず、不良債権の経済価値の把握とそれに基づく引当・償却ですが、全国銀行の昨年度決算は、大手企業の破綻が相次いだ一昨年度に引続き大幅な赤字決算となりました。これは、金融システムが大変厳しい状況にあることの現われですが、主要行を中心に不良債権残高の大幅な減少や引当強化に示されているように、問題への対応が進行したという結果の表われでもあると思います。

 不良債権の経済価値の適切な把握とそれを踏まえた引当・償却は、金融機関の財務の健全性を確保していくうえでの基本であり、極めて重要な課題です。また、次にお話する企業再生との関連でみても、金融機関が、その抱えている信用リスクに対して早めに適切な備えを行っておけば、再生支援に伴う追加損失の発生を限定することができます。加えて、引当の前提として、日頃から取引先のキャッシュフロー等の状況を把握しておくことにより、タイミングを失することなく企業の再生支援に着手することができることとなります。

産業・金融一体となった対応

 そこで第2のポイント、産業・金融一体となった対応の重要性について述べます。不良債権問題への対応過程で、企業の経営資源を徒らに散逸させることなく、むしろ、産業構造改革にも役立てていくという観点から、企業再生に向けた気運が高まっています。

 企業再生に関しては、近年、再生プロセスの迅速化、簡素化の方向での倒産法や商法の改正、税制上の優遇措置など多方面にわたる制度整備が図られてきています。民間金融機関の多くで、再生専門会社や専担部署を設けたり、弁護士、公認会計士といった外部の専門家と提携するなどの動きも広がっています。今年5月に業務を開始した産業再生機構の活動もここへ来て本格化してきており、これまでに6社の支援決定を行いました。今後、非メイン銀行から貸出債権を買い取り、再建計画を決定、実施するというプロセスに入っていくことになります。なお、産業再生機構による債権買取りの期限は17年3月末と、あと1年半であり、事前準備等に数ヶ月を要するケースが多いことも考慮に入れますと、残された時間は必ずしも多い訳ではありません。関係者の積極的な対応が期待されるところです。

 企業再生に当たって必要なことは、企業および金融機関双方の経営者が、スピード感を持って果断に対応していくことです。そのためにはまずもって企業と金融機関が、企業経営の現状と先行きについて、経営レベルで十分な対話を進めることが重要であることを強調しておきたいと思います。

株価変動リスクの削減

 第3のポイントは、金融機関が保有する株価変動リスクの軽減です。株価は上下に変動するものではありますが、既に資本基盤に余裕が乏しくなっている中で、金融機関が大量に株式を保有していると、万一の場合には、金融システム全体の安定を脅かしかねません。また、金融機関と企業との間の株式持合いが解消されることは、コーポレートガバナンスの強化の面からも望ましいものと考えられます。

 既に、銀行の株価変動リスクの削減は、かなり進展してきています。すなわち、主要行が中核的自己資本(Tier1)を超えて保有する株式の全体額は、14年9月末時点では5.7兆円でした。これが、最近のヒアリングを踏まえた15年9月末時点の見込みでは、1.5兆円前後まで縮小してきています。

 この間、日本銀行は金融機関から累計約1.8兆円の株式を買い取りました。しかし、金融機関の中には、なお中核的自己資本を上回る株式を保有する先があると見込まれることや、私どもの株式買入れに対しても相応の利用ニーズがあることを踏まえ、今般、買取期間を1年延長することとしたところです。

金融機関の収益力と資本基盤の強化

 最後のポイントは金融機関の収益力の強化です。金融システム健全化の最終目的は、金融機関が、わが国経済の継続的な成長をサポートしていくうえで、十分な金融機能を発揮していくことにあります。具体的には、例えば、大手の金融機関については国際的な金融市場においても他国の主要銀行に伍してやっていけるための競争力を身につけること、地域の金融機関については地域経済発展のための金融サービスを円滑に提供する能力を高めていくことにあるわけですが、いずれも十分な収益力と資本基盤を伴わなければ実現できない命題です。

 とはいえ、収益力を高めていくことは容易なことではありません。取引慣行の見直し、新規業務の開発、ビジネスラインの再編成などをポイントとしつつ、個々の金融機関の経営者が各々の実情に沿って、「選択と集中」を大胆に進めていく以外にありません。その際の重要な理念として、私は金融もひとつのサービス業であることを常に念頭に置き、顧客ニーズへの対応というサービス業の原点に立ちかえることが肝要だと思っています。そうした方向での前向きの動きも徐々にみられ始めており、今こそ金融機関経営者は、力強く経営の意思を行内外に示してほしいものと願っております。

金融システムにかかる今後の展望

 最後に金融システムの今後の展望について若干触れてみたいと思います。

 皆様ご承知のように、平成17年4月にはペイオフの完全解禁が予定されています。

 私は、ペイオフ解禁を、単に「預金保険上の保護範囲の変更」と認識して、金融機関と預金者との間の問題と小さく捉えるべきではなく、金融機関にとっては「混乱回避のための特別扱い」の終了であり、政府の保護に頼らず、自らの力で自律的な経営改革を実現していくうえでの大きな一里塚と考えるべきだと思っています。従って金融機関には、ペイオフの完全解禁に明確に照準を合わせ、更に経営健全化のための努力を重ね、一段とダイナミックな経営展開を図っていくこと─先ほどお話した収益力強化に向けての明確な戦略を明らかにしていくこと─が求められます。

 申すまでもなく、金融機関は、自ら指向するビジネスモデルを実現していくうえで、それに伴うリスクとの対比でみた資本基盤が十分かどうか、改めて確認することが必要です。そして、資本が不足していると判断した場合には、必要な策を講じなければなりません。もちろん、資本増強は、まずは金融機関自身が、自ら市場の評価を高めて取り組むべき課題です。ただ、これまでの不良債権処理の過程で脆弱化した資本基盤を回復していくには、相当な努力が必要です。従って、私としては、ペイオフ完全解禁までの限られた時間的距離をも考え合わせると、自力では必ずしも十分な資本調達ができない場合に備えて、「最後の公的サポート」という位置付けで、新しい公的資本注入制度を手当てしていくことが望ましいのではないかと考えています。こうした制度手当により、金融システムの健全化、活性化への道をより平坦にすることができるのではないかと考えている次第です。

おわりに

 以上、ご説明して参りましたように、日本経済は厳しい中にも、景気回復に向けた胎動が感じられつつあります。これを真の景気回復につなげていくためには、企業や金融機関が創意工夫によって競争力を高めることにより、経済の持つダイナミズムが遺憾なく発揮されることが必要です。日本銀行としても、金融緩和を堅持することにより、中央銀行の立場から、全力でサポートしていきたいと考えております。

 ご静聴、誠にありがとうございました。

以上