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北京事務所開設記念式典における総裁挨拶要旨

2003年12月24日
日本銀行

平成15年12月23日
北京

 尊敬する中国人民銀行周小川行長、ご来賓のみなさま、本日はお忙しいところ、日本銀行北京事務所開設記念式典にご来駕いただきまして誠にありがとうございます。

 皆様のご支援とご協力によりまして、日本銀行北京事務所を、去る12月18日をもって、開設することができました。深く感謝いたします。特に、開設にあたりましては、中国人民銀行の皆様には多大なるご支援を頂戴いたしました。重ねて御礼申し上げます。

 日本銀行では、1972年に日中の国交が正常化されて以来、30年以上に亘り、北京の日本大使館に14人の職員を出向させて参りました。その間、日本大使館には大変お世話になりました。本日ご来駕いただいている、阿南大使はじめ日本大使館の方々には、改めて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

 この間、日本銀行と中国人民銀行の間では、1981年に当時の日銀三重野理事を団長とする第1回実務訪問団が訪中し、その後、双方の幹部による実務訪問団が一年おきに相互に訪問しております。このほか近年においては各層に亘る職員の相互交流が一段と活発になっております。また、1991年には東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(EMEAP)が創立され、日本銀行と中国人民銀行はそのメンバーとして活発に活動してまいりました。

 また、1993年には中国人民銀行が東京に事務所を開設されました。このたび、日本銀行が北京に事務所を開設したことにより、今後、より一層両国中央銀行間の交流が強化されることが期待されます。

 近年、東アジアにおいては、貿易や投資を通ずる相互依存関係が急速に深まりつつあります。そうした中で、東アジア、なかんずく中国の力強い成長が現に日本経済の回復を支え、また日本経済が東アジア経済に大きな影響を及ぼすという関係が強まっています。

 このような状況で、日中双方ともに、正確な知識を共有しながら、相互協力関係を深めていくことが今後の課題となりましょう。日本銀行の北京事務所では、北京において皆様と交流を深めさせていただくと同時に、事務所員に中国各地を訪問させ、自分の目で中国の実情を確かめてもらうつもりです。一方、中国の方々も日本の現在の金融経済情勢には大きな関心をお持ちのことと存じます。また、日本の過去から現在にいたる制度、政策の変遷も、中国にとっていろいろと参考になるところもあるでしょうし、また、教訓となるところも多いものと思われます。従いまして、これら日本の事情を中国にお伝えすることも重要です。こうした視点で両国間の議論が深化することを期待しております。

 既に日本銀行と中国人民銀行は昨年スワップ協定を締結し、金融面の協力を一段と深めて参りました。今後とも、金融政策、金融システム、経済統計など、さまざまな分野で実務的な交流を深めていきたいと考えております。

 最後に、日本銀行北京事務所の設立が、日中両国の相互理解・友好関係の強化にお役に立てれば私にとって望外の喜びであります。今後とも日本銀行北京事務所に皆様のご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。

以上