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全国信用組合大会における総裁挨拶要旨

2004年10月15日
日本銀行

はじめに

 本日は、全国信用組合大会が盛大に開催されましたことを、心よりお慶び申し上げます。

 信用組合の皆様におかれましては、地域や顧客に密着した金融機関として、地域の発展に貢献してこられました。また、皆様には日頃から、日本銀行の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いております。本席をお借りして、あつく御礼を申し上げます。

経済金融情勢と金融政策運営

 わが国の景気は、世界経済が拡大を続けるもとで、昨年夏頃から回復を続けています。輸出、鉱工業生産は、伸びが鈍化しつつも増加を続けており、企業収益の改善が続くもとで、設備投資も引き続き増加しています。この点、先日公表された9月短観でも、企業の業況感は一段と改善し、企業収益と設備投資も増加基調にあることが確認されています。また、雇用面でも改善傾向が続いており、雇用者所得は下げ止まってきています。個人消費もやや強めの動きを続けています。

 先行きについても、景気は回復の動きを続け、前向きの循環も明確化していくとみられます。

 この間、物価面では、景気の回復に伴う需給バランスの改善や原油高の影響もあって、国内企業物価は上昇しています。一方、消費者物価の前年比は小幅のマイナスとなっています。これは、基本的には、生産性の向上や人件費の抑制を通じて、原材料価格の上昇が企業部門において吸収されていることによるものです。

 経済情勢に関する当面の注目点としては、まず、原油価格の上昇が挙げられます。原油価格は、世界需要の拡大や地政学的リスクに対する懸念等を背景にこのところ既往ピークの水準で推移しています。原油価格上昇が、経済および物価の両面で如何なる影響を及ぼすか注意してみていく必要があると考えています。また、中国における投資過熱抑制策の影響や、世界的に需要増大が減速気味であるIT関連財の動向についても見守っていく必要があると考えています。

 こうした情勢のもとで、日本銀行は、「消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上となるまで量的緩和政策を継続する」という「約束」に沿って、潤沢な資金供給を続けています。これに伴う景気支援効果は、景気が回復を続け企業収益が改善するもとで、より強まっていくと考えられます。日本銀行としては、このような政策効果を踏まえつつ、「約束」に沿って量的緩和政策をしっかりと継続していく方針です。

金融システム面の課題

 次に、金融システム面をみますと、不良債権問題も、全体としてみれば大きな峠を越え、システム全体として健全性と前向きな経営ダイナミズムを回復していく過程にあるように思います。

 信用組合においても、不良債権問題に取組んでこられたほか、中小企業の再生支援などの課題にも努力を払ってこられました。来年4月のペイオフ全面解禁も念頭に置きつつ、今後とも、経営健全化に向けて一層ご努力頂くことを強く期待しています。

 信用組合は、協同組織金融機関として、地域の中小企業などの金融をしっかり支える機能を果たされていますが、近年、大きな環境変化に直面していることも事実です。IT化の進展、中国経済の台頭などに伴う産業構造の変化は、協同組織金融機関の顧客基盤にも影響を及ぼしています。また、顧客の金融ニーズの多様化・高度化が続いているほか、協同組織金融機関が強みを発揮してきたリテール業務についても、銀行の取組み姿勢が積極化してきています。

 こうした環境変化への対応が、皆様方にとって大きな課題になってきているように思います。

 海外でも、協同組織金融機関を取巻く環境変化はみられるところであり、各国では、それぞれの実情に応じ様々な対応を図っています。例えば、IT投資面などにおける経営効率化を目指して、多くの国で業態内における統合が着実に進展しています。また、業態があたかもひとつの企業グループのように統一的な経営戦略を策定、実施している例もみられます。

 今後とも、信用組合業界の皆様方が、経営を巡る環境の変化やわが国の実情を踏まえ、協同組織としての特性を活かしつつ、経営改善に向けて創意工夫していかれるよう期待しています。

おわりに

 以上、いろいろと申し上げてまいりましたが、最後に皆さま信用組合業界の今後の一層のご発展を祈念いたしまして、私の挨拶といたします。

以上