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「通貨及び金融の調節に関する報告書」概要説明

平成18年6月16日、衆議院財務金融委員会における福井日本銀行総裁報告

2006年6月16日
日本銀行

目次

はじめに

 日本銀行は、先般、平成17年度下期の「通貨及び金融の調節に関する報告書」を国会に提出いたしました。本日、日本銀行の金融政策運営について詳しくご説明申し上げる機会を頂き、厚く御礼申し上げます。

日本経済の動向

 最初に、最近の経済金融情勢について、ご説明申し上げます。

 わが国の景気は、着実に回復を続けています。

 この点をやや詳しくご説明しますと、輸出や生産は、増加を続けています。また、企業収益は高水準で推移しており、設備投資は引き続き増加しています。こうした企業部門の好調の影響は、家計部門にも波及しています。すなわち、企業の人手不足感が強まるもとで、雇用者数は着実に増加しており、賃金も緩やかな上昇基調を続けています。その結果、雇用者所得は緩やかに増加しています。このように雇用・所得環境が着実に改善するもとで、個人消費は増加基調にあります。

 先行きについてみると、海外経済の拡大を背景に、輸出は増加を続けていくとみられます。また、国内民間需要も、高水準の企業収益や雇用者所得の緩やかな増加を背景に、引き続き増加していく可能性が高いと考えられます。このように、わが国経済は、生産・所得・支出の前向きの好循環が作用するもとで、内需と外需、企業部門と家計部門がバランスのとれた形で、息の長い成長を続けると予想しています。

 もとより、景気の先行きには様々なリスク要因が存在しています。原油価格などの国際商品市況は、引き続き高値圏で推移しています。こうしたもとで、米国などを中心に、世界経済がインフレのリスクを適切に抑制しつつ、持続的な成長を続けていくことができるか、といった点について、注視していきたいと考えています。

 物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に上昇を続けており、先行きも当面は上昇を続けるとみられます。消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比については、昨年11月から小幅のプラスとなり、本年1月以降は比較的はっきりとしたプラスで推移しています。経済全体の需給ギャップは、長く続いた供給超過状態が解消し、現在はゼロ近傍にあるとみられます。今後、需給ギャップが緩やかに需要超過方向に向かっていくとみられる中で、消費者物価指数の前年比は、プラス基調を続けていくと予想されます。

 金融面では、企業金融を巡る環境は、引き続き緩和的な状態にあります。民間銀行が積極的な貸出姿勢を続け、民間の資金需要が下げ止まるもとで、民間銀行貸出の増加幅は拡大しています。CPや社債といった資本市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いています。

 この間、金融市場では、このところ、世界的に振れの大きな展開となっています。金融市場の動向については、これが実体経済に与える影響を含め、注意深くみてまいりたいと思います。

金融政策運営

 次に、金融政策運営について、申し述べさせて頂きます。

 当委員会における前回の「通貨及び金融の調節に関する報告書」に関する質疑においてもご説明申し上げた通り、日本銀行は、3月8日、9日の金融政策決定会合において、量的緩和政策を解除し、無担保コールレート(オーバーナイト物)を金融市場調節の操作目標とする金利政策に移行しました。それ以降、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、概ねゼロ%で推移するよう促す」という金融市場調節方針を継続しており、一昨日、昨日の金融政策決定会合においても、こうした金融市場調節方針の維持を決定したところです。

 日本銀行は、このような金融市場調節方針のもとで、短期金融市場の安定に配慮しながら、日本銀行当座預金残高の削減を進めてきました。この過程で、オーバーナイト金利は、一時的に僅かながら上昇する局面を挟みつつも、ゼロ%近傍で安定的に推移しています。また、コール市場における金融機関どうしの取引も徐々に増加してきています。

 この先の金融政策運営については、4月末の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)において、経済・物価情勢の見通しとあわせて、基本的な考え方をお示ししたところです。すなわち、わが国経済が、内需と外需、企業部門と家計部門のバランスがとれた形で息の長い拡大を続けるのであれば、無担保コールレートを概ねゼロ%とする期間の後も、極めて低い水準による緩和的な金融環境が当面維持される可能性が高いと判断しています。そうしたプロセスを経ながら、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えています。もとより、具体的な政策変更のタイミングや金利水準については、あくまで今後の経済・物価情勢次第であり、現時点では何らの予断ももっていません。

 日本銀行としては、今後とも、経済・物価情勢の変化に応じて金融政策を適切に運営し、物価安定のもとでの持続的成長の実現に貢献していく所存です。

 ありがとうございました。

以上