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全国地方銀行協会頭取懇談会における総裁挨拶要旨

2006年7月12日
日本銀行

 わが国の金融システムは、最大の課題であった不良債権問題を克服し、全体として安定性を取り戻した状態にあります。そうした大きな流れの下で、最近の金融機関経営を巡る環境を見ますと、幾つかの変化が生じています。

 まず、流動性リスク管理の面では、量的緩和政策の解除後、市場を通じた金融機関相互間の資金繰り調整が重要度を増しております。私どもでも、金融機関の資金繰り状況をモニタリングしながら、補完貸付の円滑な提供を図るなど、所要の対応を行っております。市場の資金過不足調整機能は、各金融機関の資金繰り機能の集合体とも言えますので、引き続き、人員などの体制面なども含め、適切な対応をお願いしたいと思います。

 また、地方銀行では、地元での借入需要が盛り上がりを欠く情勢が続いてきた中で、市場性資産の保有が増大しており、オルタナティブ投資などリスクが複雑な商品への投資も行われています。各金融機関では、投資商品のリスク属性を的確に把握したうえで、市場リスクの点検を適切に行っていただく必要があります。

 日本銀行では、そうしたリスク管理の向上も含め、金融機関の取り組みを支援する趣旨から、昨年7月に、金融機構局に金融高度化センターを設け、様々な活動を行ってきました。地域銀行との対話にも力を入れており、地方セミナーを既に全国7か所で実施したところです。同時に、先端的な金融技術等の研究・紹介にも注力しており、様々な公開セミナーを実施してきましたが、今年度上期には、オペレーショナル・リスクのシナリオ分析に関する国際的なワークショップや、業務継続をテーマにした大規模なセミナーを計画しております。

 私どもでは、引き続き、考査・モニタリングの活動も含めて、民間金融機関の皆様の金融機能向上に向けた創造的な取り組みを精一杯サポートして参りたいと考えております。今後ともご理解、ご協力を賜りたく、宜しくお願いいたします。

以上