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「通貨及び金融の調節に関する報告書」概要説明

平成18年10月31日、参議院財政金融委員会における福井日本銀行総裁報告

2006年10月31日
日本銀行

目次

はじめに

 日本銀行は、去る6月、平成17年度下期の「通貨及び金融の調節に関する報告書」を国会に提出いたしました。本日、日本銀行の金融政策運営について詳しくご説明申し上げる機会を頂き、厚く御礼申し上げます。

日本経済の動向

 最初に、最近の経済金融情勢について、ご説明申し上げます。

 わが国の景気は、緩やかに拡大しています。

 この点をやや詳しくご説明しますと、まず、輸出は、海外経済の拡大を背景に、増加を続けています。また、企業収益が高水準を続け、業況感も良好な水準で推移する中、設備投資は引き続き増加しています。こうした企業部門の好調の影響は、家計部門にも波及しています。すなわち、企業の人手不足感が強まるもとで、雇用者数は着実に増加しており、賃金も緩やかな増加を続けています。そのもとで、個人消費は増加基調にあります。このような内外需要の増加を背景に、生産は増加を続けており、在庫も概ね出荷とバランスしている状態にあります。

 先行きについても、このように生産・所得・支出の前向きの好循環が作用するもとで、景気は息の長い拡大を続けていく可能性が高いと考えられます。

 もとより、景気の先行きには様々なリスク要因が存在しています。原油価格をはじめとする国際商品市況は、夏場にかけて既往最高値を更新したあと、反落しましたが、引き続き高値圏で推移しています。こうしたもとで、世界経済がインフレのリスクを適切に抑制しつつ、持続的な成長を続けていくことができるか、引き続き注視していきたいと考えています。

 物価面では、国内企業物価は、足もと上昇していますが、先行きは、最近の国際商品市況の反落などを背景に、当面、上昇テンポが鈍化していくとみられます。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比については、基準改定により遡及して下方改定されましたが、新基準でみてもプラス基調で推移しています。経済全体の需給ギャップは、需要超過となっており、先行き超過幅を緩やかに拡大していくとみられます。そうしたもとで、消費者物価の前年比は、先行きもプラス基調を続けていくと予想されます。

 金融面では、企業金融を巡る環境は、引き続き緩和的な状態にあります。CPや社債といった資本市場を通じた資金調達環境は良好な状況にあるほか、民間銀行の貸出姿勢も引き続き積極的です。また、民間の資金需要は増加しており、民間銀行貸出は増加を続けています。

金融政策運営

 次に、金融政策運営について、申し述べさせて頂きます。

 日本銀行は、今年3月に量的緩和政策を解除し、7月には、無担保コールレートのオーバーナイト物の誘導目標を概ねゼロ%から0.25%前後に変更しました。これにより、短期金融市場は、およそ5年ぶりに「金利のある世界」に戻ったことになります。その意味では、大きな環境変化があった訳ですが、金融市場は安定して推移してきています。このように円滑に政策変更が行われた背景の一つとしては、私どもが3月の量的緩和政策解除の際に導入した「新たな金融政策運営の枠組み」が、市場参加者などとの対話の手段の一つとして有効に機能したことが挙げられると思います。

 この先の金融政策については、「新たな金融政策運営の枠組み」のもとで、今後とも経済・物価情勢を丹念に点検しながら、運営していきたいと考えております。経済・物価情勢が展望レポートに沿って展開していくと見込まれるのであれば、政策金利水準の調整については、経済・物価情勢の変化に応じてゆっくりと行うことになると考えています。もとより、具体的な政策変更のタイミングや金利水準については、あくまで今後の経済・物価情勢次第です。日本銀行としては、今後とも、経済・物価情勢の変化に応じて金融政策を適切に運営し、物価安定のもとでの持続的成長の実現に貢献していく所存です。

 ありがとうございました。

以上