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全国信用組合大会における武藤副総裁挨拶要旨

2007年10月19日
日本銀行

はじめに

 本日は、全国信用組合大会が盛大に開催されましたことを、心よりお慶び申し上げます。

 信用組合の皆様におかれましては、地域や顧客に密着した金融機関として、その発展に貢献してこられました。また、皆様には日頃から、日本銀行の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いております。本席をお借りして、厚く御礼を申し上げます。

 私からは、最近の経済・物価情勢や金融政策運営、ならびに金融システム面での課題に関しまして、私どもの考えを申し述べ、ご挨拶に代えたいと存じます。

経済・物価情勢

 わが国の景気は、緩やかに拡大を続けています。

 世界経済の拡大が続く中で、輸出は増加を続けています。また、企業収益が高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にあります。先日公表された9月短観をみますと、企業の売上高経常利益率は既往最高水準で推移しており、企業の業況感も、部門によって慎重さはみられますが、総じて良好な水準を維持しています。企業の設備投資計画は、本年度で5年連続の増加となっています。

 企業部門の好調は家計部門にも緩やかに波及しています。一人当たり名目賃金は、賃金水準の高い団塊世代の退職や賃金水準の低い新規採用の増加なども影響して、やや弱めの動きとなっていますが、雇用者数の増加が続く中で、雇用者所得は緩やかに増加しています。また、株式配当の増加など様々なルートによる波及も続く中で、個人消費は底堅く推移しています。

 こうした内外需要の増加を背景に、生産は増加基調にあります。そうしたもとで、労働や設備といった資源の稼働状況は高まっており、失業率は98年初以来の水準まで低下しています。

 物価面に目を転じますと、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、3か月前比でみて上昇している一方、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比はゼロ%近傍での推移が続いています。消費者物価は、目先、ゼロ%近傍で推移する可能性が高いとみられますが、より長い目でみると、設備や労働といった資源の稼働状況はさらに高まっていくとみられ、基調として上昇していくと考えられます。

 このように、わが国経済は、物価安定のもとでの持続的な成長を続けていく可能性が高いとみられます。もちろん、こうした先行き見通しへのリスク要因も十分念頭に置く必要があります。米国サブプライム住宅ローン問題に端を発して、国際金融資本市場において不安定な状況が続いているほか、米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性があります。今のところ、米国以外の地域の高成長によって世界経済全体としては拡大を続ける可能性が高いと思いますが、国際金融資本市場や世界経済の動きについては、引き続き注視していく必要があると考えられます。

金融政策運営

 現在の日本銀行の金融政策運営の考え方につきましては、4月末に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)において、経済・物価情勢の見通しとあわせて、基本的な考え方をお示ししています。すなわち、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられます。日本銀行としては、公表される指標や情報、内外の金融市場の状況などを丹念に点検し、金融政策を適切に運営することを通じて、物価安定のもとでの持続的成長の実現に貢献していく所存です。

金融システム面の課題

 次に、金融システム面の動向について申し述べます。

 わが国の金融システムは、全体として安定した状態を維持しています。先に述べた米国サブプライム住宅ローン問題も、現時点において、その安定性に大きな影響を及ぼすものとはみられません。

 こうした金融システムの持続的な安定を将来にわたって確保していくためには、金融機関がそれぞれの顧客基盤や業務に応じた経営体力とリスク管理態勢を備えていくことが重要です。経済社会環境の変化の中で、金融機関には、変化し、多様化する顧客ニーズを的確にとらえつつ、より付加価値の高い金融サービスを提供していくことが、これまで以上に期待されていると申せましょう。

 信用組合の皆様方は、これまでも、家計や中小企業向け金融などを通じて、地域経済の発展のために重要な役割を果たしてこられました。今後も、将来を見据えた経営基盤の更なる強化や、業務内容に応じたリスク管理態勢面の整備を進めつつ、地域経済の活性化に金融面から貢献されることを期待しています。

おわりに

 最後に皆さま信用組合業界の今後の一層のご発展を祈念いたしまして、私の挨拶といたします。

以上