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平成20年度入行式における白川副総裁挨拶要旨

2008年4月1日
日本銀行

 皆さん、日本銀行への入行、誠におめでとうございます。希望に満ち溢れた皆さんのお顔を拝見し、たいへん頼もしく、また嬉しく感じます。これから皆さんと一緒に仕事をする日本銀行の役職員を代表して、心より歓迎の言葉を申し上げます。

 中央銀行の仕事を表わす言葉として、皆さんは「通貨の番人」という言葉を聞かれたことがあると思います。「通貨の番人」には様々な側面があります。まず、銀行券や中央銀行当座預金からなる中央銀行通貨を供給すること、金融機関の決済を円滑に遂行することが出発点になります。その上で、物価の安定と金融システムの安定を実現することが求められています。日本銀行はこれらすべての仕事を通じて、経済の持続的な成長・発展に貢献するという重要な役割を担っています。勿論、経済が発展し社会が安定するためには様々な前提条件が必要であり、中央銀行の力だけで実現するものではありませんが、日本銀行はこの通貨の価値を守るという仕事については、日本国民から負託を受けています。日本銀行はこの仕事を遂行するために、高い専門的能力に基づいて、この負託に応える組織でなければなりません。日本銀行の責任は誠に重大です。

 皆さんは、今日から日本銀行の一員です。これから配属されるそれぞれの職場で日本銀行員としての仕事の第一歩を踏み出すことになります。皆さんが、今後それぞれの職場で、思う存分力を発揮し、日本銀行の仕事に大いに貢献されることを期待していますが、私からいくつかのお願いを申し上げたいと思います。

 第一にお願いしたいことは、仕事に対しては責任感をもって取り組んで欲しいということです。皆さんが最初に任せられる仕事はそれほど大きなものではないかも知れませんが、職場ではあなた方がその仕事をきちんと遂行してくれるという信頼感を前提に組織として仕事を行っています。まずは与えられた役割をしっかりと果たしてください。そうした個々人の責任ある仕事の結果として、組織に対する信頼が生まれてきます。どの組織もそうですが、日本銀行という組織の仕事は顧客、つまり、国民からの信頼のうえに成り立つものです。

 第二にお願いしたいことは、仕事を進めるに当たっては常に学び続ける姿勢を忘れないで欲しいということです。経済や金融は不断に変化していっています。最初に変化に気付く人は少数ですが、徐々にその変化を認識する人が増え、ある段階を超えると、誰もが気付く大きな奔流のような変化となっていきます。過去20年近くの内外の経済や金融市場の動向を振返ってみると、バブルの崩壊、グローバル化の進展、情報通信技術の発達等、多くの変動や変化を経験しました。こうした変動や変化の結果として、経済に関する認識の方法や金融政策の運営の仕方、中央銀行の様々なサービスの提供のあり方をはじめ、中央銀行の仕事の様々な分野で見直しが求められてきました。変化は今後も間違いなく続きます。職場はそうした変化や変化のもたらす意味を学ぶ上での材料に満ち満ちています。仕事を通して様々なことを学び、それを次の仕事に活かしてください。そうすると、自分の仕事がさらに面白くなり、チャレンジをしたくなります。

 第三にお願いしたいことは、良き社会人、良き市民であって欲しいということです。この点では、個人として、また組織として法律やルールをしっかり守ることが大前提となります。それと同時に、法律やルールの背後にある健全な常識に照らして、自らの行動を律することが求められます。

 日本銀行は明治15年10月に総員55名で開業しました。仕事の具体的な内容は時代と共に変化してきましたが、中央銀行の仕事に対する姿勢やスピリットは脈々と引き継がれています。皆さんは、今、日本銀行の一員として、大きな希望を胸に抱いていることと思いますが、諸先輩の築いてきた伝統をあなた方がさらに磨き上げていくことを大いに期待しています。

 最後になりましたが、環境が変わると、体調に変化をきたしやすくなります。健康管理に留意された上で、今日の初心を忘れることなく、明日から元気に仕事をされることを心より祈念して、私からの挨拶といたします。

以上