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支店長会議総裁開会挨拶要旨(2008年7月)

2008年7月7日
日本銀行

  1. (1)わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している。輸出は、足もと幾分鈍化しつつも増加を続けている。企業収益は、交易条件の悪化等を背景にこのところ減少している。そうしたもとで、設備投資は増勢が鈍化している。個人消費は、雇用者所得の緩やかな増加を背景に、底堅く推移している。生産は、横ばい圏内の動きとなっている。景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。
  2. (2)国際金融資本市場においては、米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した不安定な状態が続いている。また、米国経済は停滞しており、金融市場・資産価格・実体経済の負の相乗作用が、いつ、どのように収束に向かうのか、不確実性が大きい。国際商品市況の高騰が続くなど、世界的にインフレ方向のリスクは高まっている。海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響などに、引き続き注意する必要がある。
  3. (3)物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、当面、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、プラスを続けていくと予想される。
  4. (4)日本銀行は、経済・物価の見通しとその蓋然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく方針である。
  5. (5)わが国の金融システムは、ここ数年、着実に安定化の方向に向かってきたが、金融機関の2007年度決算をみると、全体として減益となり、自己資本比率の上昇トレンドも一服した。昨年来の国際金融資本市場の不安定化に加え、内外経済の不透明感の増大など、金融機関経営を取り巻く環境にも変化がみられる。日本銀行としては、日々の金融機関モニタリングや考査を通じて、金融機関のリスク管理や金融システムの状況を引き続き注意深く点検していく考えである。

以上