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支店長会議総裁開会挨拶要旨(2009年4月)

2009年4月17日
日本銀行

  1. (1)国際金融資本市場は、依然として緊張感の強い状態が続いている。また、海外経済は、全体として悪化している。
  2. (2)わが国の景気は大幅に悪化している。輸出は、海外経済の悪化などを背景に大幅に減少している。企業収益の減少幅が拡大し、企業の業況感も著しく悪化する中、設備投資は大幅に減少している。また、雇用・所得環境が厳しさを増す中で、個人消費は弱まっており、住宅投資も減少している。こうした内外需要の動向や在庫調整圧力を背景に、生産は大幅に減少している。
  3. (3)先行きについては、輸出や生産は減少を続けるとみられるが、内外の在庫調整の進捗を背景に、減少のテンポは緩やかになっていくと予想される。もっとも、国内民間需要については、企業の厳しい収益・資金調達環境が続き、雇用・所得環境も厳しさを増すもとで、設備投資が大幅な減少を続け、個人消費も引き続き弱まっていくとみられる。このため、わが国の景気は、当面、悪化を続ける可能性が高い。
  4. (4)物価面では、国内企業物価は、国際商品市況の下落の影響などから、当面、下落を続けるとみられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して、足もと低下しており、今後は、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。
  5. (5)この間、わが国の金融環境をみると、CP・社債市場の発行環境は改善しているものの、企業の規模を問わず、資金繰りや金融機関の貸出態度が厳しいとする先が増加するなど、全体としては厳しい状態が続いている。また、今後、株価下落に対する懸念や景気悪化の影響などから、金融機関の金融仲介機能や経営体力が低下し、金融システムの安定性に影響が及ぶ可能性にも十分な留意が必要である。
  6. (6)日本銀行では、金融政策面からわが国経済を支えるため、昨年秋以降これまでの間、政策金利の引き下げ、金融市場の安定確保、企業金融円滑化の支援という3つの柱を中心に様々な措置を実施してきた。また、金融システムの安定を図るため、金融機関保有株式の買入れを再開したほか、金融機関に対する劣後特約付貸付の供与を実施することとした。日本銀行としては、今後とも、わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰していくため、中央銀行として最大限の貢献を行っていく方針である。

以上