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【挨拶】第85回信託大会における挨拶

日本銀行総裁 白川 方明
2010年4月14日

目次

はじめに

本日は、伝統ある信託大会にお招き頂きまして、誠にありがとうございます。信託業務に携わる皆様方におかれましては、日頃から、企業や家計のニーズに応えて、肌目細かな金融サービスの提供に努めておられ、これを通じて日本経済の発展に貢献されています。このことに対し、日本銀行を代表して、先ず敬意を表したいと思います。また、皆様方には、平素より、日本銀行の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いていますが、このことに対しても、この席をお借りして、厚くお礼を申し上げます。

経済・物価情勢と金融政策運営

折角の機会ですので、私からは、先ず、わが国の経済・物価情勢について簡単にお話します。わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、海外経済の改善や各種対策の効果などから、持ち直しを続けており、その持続傾向がより明確になっています。輸出や生産は増加を続けており、設備投資は下げ止まっています。今月初めに発表した短観の調査結果をみると、企業の業況感は、製造業大企業に加え、非製造業や中小企業にも拡がりを伴いながら、引き続き改善しています。個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、耐久消費財を中心に持ち直しています。

先行きについては、当面、わが国経済の持ち直しのペースは緩やかなものとなる可能性が高いとみています。ただし、海外経済の改善が続く中、一頃市場等で懸念されたような、景気が再び大きく落ち込む、いわゆる「二番底」に陥る惧れは、かなり後退したと判断しています。その後は、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくるとみられるため、成長率は徐々に高まってくると予想しています。

物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は引き続き下落していますが、その幅は昨年8月をピークに縮小傾向を続けています。先行きについても、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、前年比下落幅は縮小していくと考えています。

日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識しています。このため、政策金利を実質的にゼロ水準としているほか、昨年12月には、金融緩和の一段の強化を図るため、固定金利方式の共通担保資金供給オペレーションを新たに導入しました。先月には、このオペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充したところです。

日本銀行としては、今後とも、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針です。金融政策運営に当たっては、極めて緩和的な金融環境を維持していく考えです。

金融システムの動向

次に、金融システム面について申し述べます。わが国の金融システムは、2008年秋から2009年春にかけて国際金融危機の影響を受けつつも、米欧に比べると、相対的に安定性を維持してきました。また、最近では、金融機関が増資により自己資本基盤の強化を図るなど、金融システムの安定性を高める動きもみられています。

改めて言うまでもありませんが、経済の発展を実現していくうえで、金融が果たすべき役割は非常に大きいと言えます。この点で、委託者や受益者からの信頼をベースに、受託者が高度な専門性を発揮するという信託は、多様な金融ニーズに対応しうる柔軟性と使いやすさを兼ね備えており、重要な役割を担っていると考えています。信託協会におかれては、これまで、「信託制度の健全な発展」、「信頼の確保」、「信託機能の発揮による社会・経済への貢献」という3つを柱として活動を展開されてきていますが、私どもとしては、皆様方が、今後とも、信託機能の一層の向上を通じて、わが国経済の発展に貢献されることを期待しています。

この間、日本銀行としても、わが国の中央銀行として、金融システムの安定・発展に向けて、引き続き最大限の貢献を果たしていきたいと考えています。皆様方のご協力をお願いします。

以上、私からの挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

以上