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【挨拶】全国信用金庫大会における挨拶

日本銀行副総裁 西村 清彦
2010年6月23日

目次

はじめに

本日は、全国信用金庫大会にお招き頂き、誠に有り難うございます。皆様方には、日頃より、日本銀行の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いております。本席をお借りして、厚く御礼を申し上げます。

最近の金融経済情勢

最初に、最近の金融経済情勢についてご説明します。

わが国の景気は、地域や業種によるばらつきを伴いつつも、全体として緩やかに回復しつつあります。輸出や生産は、海外経済の改善、とりわけ新興国経済が力強い成長を続けていることなどを背景に、増加を続けています。設備投資は、企業収益が回復してきているもとで、持ち直しに転じつつあります。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にありますが、その程度は幾分和らいでいます。そのような状況のもと、個人消費は、各種対策の効果もあって、耐久消費財を中心に持ち直しています。このように、わが国の経済には、このところ、輸出や生産の増加の影響が国内民間需要に波及する動きがみられ始めています。先行きも、わが国経済は、回復傾向を辿るとみています。

このような経済の先行きには、上振れ・下振れ両方向の不確実性があります。景気の上振れ要因としては、新興国・資源国経済の強まりなどが挙げられます。実際、新興国・資源国経済は、内需を中心に、国際機関や民間の予想を上回る力強い成長を続けています。

一方で、国際金融面での動きなどの下振れリスクもあります。欧州金融市場は、依然不安定な状態が続いており、一部欧州諸国における財政状況を巡る動きが、国際金融や世界経済に与える影響には引き続き十分な注意が必要だと考えています。

物価面をみますと、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にあるもとで下落していますが、高校授業料無償化の影響を除いた基調的な動きをみますと、下落幅は縮小を続けています。先行きも、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、消費者物価の前年比は下落幅が縮小していくと考えています。

日本銀行の政策運営

次に、日本銀行の政策運営についてご説明します。

日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識しています。そのために、政策金利を0.1%で維持するとともに、やや長めの金利の低下を促す措置を実施するなど、強力な金融緩和策を講じています。また、主要国の中央銀行と協調して、ドル資金供給オペレーションを再開するなど、金融市場の安定にも努めています。

日本経済は、こうした物価安定のもとでの持続的成長経路への復帰という循環的な課題に加えて、潜在成長率や生産性の引き上げという中長期的な課題にも直面しています。潜在成長力の低下は、先行きの所得増加期待の低下を通じて需要の低迷をもたらし、デフレの問題にも大きな影響を与えています。経済の成長力強化の点では、企業や金融機関などの民間経済主体の果たす役割が大きいと認識していますが、政策当局も、民間経済主体の革新的な経済活動を促す環境を整備する観点から、その役割を果たすことが必要だと考えています。

こうした認識のもとで、日本銀行は、先週開催した金融政策決定会合において、成長基盤強化を支援するための新たな資金供給の枠組みを決定しました。この資金供給の狙いは、民間金融機関が、生産性の向上や新たな需要の創出に資する事業への融資や投資など、成長基盤強化に向けた取り組みを進める上での「呼び水」となることであり、金融機関が自らの判断で行う多種多様な取り組みを出来るだけ幅広く後押しすることです。日本銀行としては、本措置の実施を通じて、企業や金融機関などによる日本経済の成長に向けた取り組みが、一段と活発化することを期待しています。

金融システムの動向

次に、金融システム面について申し述べます。

信用金庫業界をはじめとする金融機関の2009年度決算をみますと、有価証券関係損益の改善や信用コストの減少から、前年度の赤字決算を脱し、黒字を確保しました。もっとも、借入需要の低迷による貸出残高の減少や、貸出利鞘の縮小などから、基礎的な収益力は低下を続けています。わが国の金融機関にとって、安定的な収益基盤の確立が引き続き重要な課題であることが改めて明らかになったと思います。

こうした中、信用金庫業界が相互扶助の理念に則って金融仲介機能を持続的に発揮していくためには、前向きな企業活動のサポートや事業再生支援の実効性向上に向けた取り組みが一段と求められると思います。その際に重要となるのは、中小企業経営の実態をきめ細かく把握し、経営改善に向けた支援や指導を的確に行うことです。これにより、取引先企業の経営実態が改善し、そのことを通じて、信用金庫にも、「貸出債権の質の向上」、「経営体力の強化」というプラスの効果がもたらされます。これがひいては、「中小企業に対する資金供給能力の更なる向上」という良い循環に繋がっていくものと期待しています。

おわりに

信用金庫業界では、中小企業に地域を越えたビジネスマッチングの機会を提供するビジネスフェアの開催など、地域社会の活性化に向けた様々な取り組みをされてきております。信用金庫業界が一体となって、こうした活動を進められていることについて大変心強く感じています。今後とも、信用金庫業界が、地域の顧客から寄せられるニーズに適切に応え、地域経済の発展に貢献されることを祈念いたしまして、私からのご挨拶とさせて頂きます。ご清聴有り難うございました。

以上