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【挨拶】第89回信託大会における挨拶

日本銀行総裁 黒田 東彦
2014年4月16日

目次

はじめに

本日は、第89回信託大会にお招き頂き、誠にありがとうございます。信託業務に携わる皆様におかれましては、常日頃より、信託の特性を生かした、付加価値の高い金融サービスの提供を通じ、わが国経済の発展に貢献されています。こうしたご努力に対し、日本銀行を代表して心より敬意を表したいと思います。また、皆様方には、平素から、日本銀行の政策や業務運営に多大なご協力を頂いております。この場をお借りしてお礼申し上げます。

金融政策運営と経済・物価情勢

私からは、まず、日本銀行の金融政策運営と最近の経済・物価情勢について簡単にお話しします。

昨年4月、日本銀行は、15年にわたるデフレから脱却するため、「量的・質的金融緩和」という異次元の金融緩和政策を導入しました。それから1年が経ちましたが、これまでのところ、「量的・質的金融緩和」は着実にその効果を発揮しています。

すなわち、予想物価上昇率は全体として上昇しており、一方で、日本銀行の巨額の国債買入れもあって、長期金利は安定的に推移しています。この結果、実質金利は低下しており、設備投資など民間需要を刺激しています。また、銀行貸出残高は前年比2%台前半の伸びで増加しています。日本経済は、生産・所得・支出という前向きの循環メカニズムが働くもとで、消費税率引き上げの影響による振れを伴いつつも、基調的には緩やかな回復を続けています。物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1年前には−0.4%でしたが、最近では1.3%までプラス幅が拡大しています。

このように、日本経済は、「量的・質的金融緩和」のもとで、2%の「物価安定の目標」実現への道筋を順調にたどっており、今後ともこの政策を着実に推進することで、デフレからの脱却をできるだけ早期に実現したいと考えています。

信託業界への期待

次に、信託業界の皆様方への期待について申し上げます。

信託業界では、これまでも、資産運用、財産管理、証券化など、多様な分野で高度な専門性を発揮し、家計・企業の幅広いニーズに応えてこられました。最近では、個人金融資産の世代間移転により消費の活性化を促す観点から創設された、教育資金贈与の非課税制度に対応した商品など、少子高齢化社会にマッチした信託商品の導入・普及に尽力されています。また、今後拡大が見込まれる社会インフラ整備・更新事業の資金需要に応えていく観点から、こうした分野への円滑な資金供給に資する、個人向け信託商品の検討などにも、精力的に取り組んでおられると伺っています。

昨年来、家計の資産運用において投資信託等のリスク資産が増加するなど、世の中の資金の流れが活発になってきています。わが国の実体経済と金融面の前向きの流れをさらに強めていく上で、信託機能の果たせる役割は大きいと思います。この点、先ほど触れましたような信託業界の皆様方のご努力、取り組みを大変心強く感じています。今後も、家計や企業のニーズを的確に捉え、信託ならではの取り組み、創意工夫を進めていかれることを期待しています。

おわりに

最後に、皆様方のますますのご発展を祈念し、私のご挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。