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【挨拶】全国信用金庫大会における挨拶

日本銀行副総裁 中曽 宏
2015年6月19日

目次

はじめに

本日は、全国信用金庫大会にお招き頂き、誠にありがとうございます。

信用金庫業界の皆様方におかれては、地域に密着した金融機関として、中小企業や地域経済の活性化に積極的に取り組んでおられます。こうしたご努力に対し、改めて敬意を表したいと思います。また、皆様方には、日頃より、日本銀行の政策や業務運営に多大なご協力を頂いています。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

本日は、はじめに最近の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営についてお話しし、次に金融システム面の話題について申し上げたいと思います。

最近の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営

わが国経済は、企業、家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが作用するもとで、緩やかな回復を続けています。企業部門では、収益が過去最高水準まで増加していることなどを背景に、前向きな投資スタンスが維持されています。また、家計部門では、雇用・所得環境の改善が続き、マインド面の改善も明確になる中、個人消費が底堅く推移しており、住宅投資も持ち直しつつあります。先行きについても、わが国経済は、緩やかな回復を続けていくとみています。

物価面をみると、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、エネルギー価格下落の影響から、0%程度となっています。もっとも、物価の基調は着実に改善しています。すなわち、需給ギャップは概ね過去平均並みの0%程度まで改善し、予想物価上昇率も、やや長い目でみれば、全体として上昇しています。先行きについては、消費者物価の前年比は、当面0%程度で推移するとみられますが、物価の基調が引き続き着実に高まり、原油価格下落の影響が剥落するに伴って、「物価安定の目標」である2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。2%程度に達する時期は、原油価格が現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度前半頃になると予想されます。

日本銀行は、一昨年4月に導入し、昨年10月に拡大した「量的・質的金融緩和」を着実に進めています。「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行としては、今後とも、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続していきます。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、2%の「物価安定の目標」を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行う方針です。

金融システム面の話題

次に、金融システム面の話題について、お話しします。

金融機関の貸出は、企業向けを中心に緩やかな増加を続けており、貸出が増加する業種や地域にも徐々に広がりが出てきています。信用金庫の貸出も、全体として緩やかに伸びを高めています。景気が緩やかな回復を続ける中、信用金庫の皆様が、資金需要の広がりに丁寧に対応してこられてきたことの反映だと思っています。

また、信用金庫業界では、本年度から新たな長期経営計画をスタートされ、中小企業や地域に対する支援力を強化する取り組みを、一段と積極的に進めておられます。この一環として、業界内において、起業・創業や事業承継に関する情報やノウハウの共有を図っていくため、体制の整備を進めているとお伺いしており、大変心強く感じています。

人口減少と高齢化は、信用金庫の経営に大きな課題を投げかけるものです。特に地方圏では、人口動態が企業活動や資金需要の強い下押し要因となっています。しかし、「地域の企業や家計の経済活動に、金融サービスを通じて貢献していく」という地域金融の本質が変わる訳ではありません。地域社会の活力を高めるために、信用金庫が果たせる役割は大きいと考えています。

地域の企業は、地域資源の活用や、域外・海外の需要の開拓、高齢化のもとで必要とされる財やサービスの提供などを通じて成長できます。そうした企業の育成・支援は、地域にコミットし、地域を知り尽くしている地域金融機関が真価を発揮できる仕事です。また、高齢化とともに変化する家計の金融ニーズにきめ細かく応えていくことも、地域に立脚する金融機関の重要な役割です。

協同組織金融機関としての特徴を発揮しながら、社会の変化に対応して金融サービスの付加価値を高めていくことは、チャレンジングな課題ですが、信用金庫の皆様が、明確な戦略を持って、この難しい課題に対応していかれることを強く期待しています。日本銀行としても、皆様の取り組みを様々な形で支援させて頂きたいと考えています。

おわりに

最後に、今後、信用金庫業界が、ますます発展していかれることを祈念いたしまして、私からのご挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。