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平成27年度入行式における黒田総裁挨拶

2015年4月1日
日本銀行

皆さん、日本銀行へのご入行、おめでとうございます。本店と支店、合わせて141名の新しい仲間をお迎えすることができました。こうして、若々しくエネルギーに満ちた皆さんを見ていると、大変うれしく、そして心強く感じます。日本銀行の役職員を代表して、心より歓迎したいと思います。

皆さんもご存知のように、日本経済は様々な課題に直面しています。この中でも、長年続いたデフレからの脱却は、日本銀行が果たすべき大事な使命です。その実現のため、日本銀行は「量的・質的金融緩和」政策を進めており、日本経済は2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、着実に歩を進めています。

さらに、日本銀行がわが国の中央銀行として果たすべき使命は、まだまだ沢山あります。金融システムの安定に向けた取り組みや安全で効率的な決済システムの提供も大事な使命です。現金通貨の円滑な供給は「お金を安心して使えるようにする」日本銀行の基本的使命の一つです。日本銀行がこうした使命をしっかりと果たしていくためには、役職員一人ひとりが中央銀行員としての使命感を持ち、日々の仕事でしっかりと成果をあげていくことが大事です。皆さんも、本日からこうした日本銀行職員の一員に加わってもらうことになります。そうした観点から、皆さんに意識しておいて欲しいことを3つお話しします。

第一に、中央銀行業務のプロになれるように理論と実践の両面で研鑽を積んで欲しい、ということです。日本銀行は、政策を「立案」するだけでなく、業務の「遂行」を通じて政策を実現していく組織です。皆さんがこれから経験する仕事は、金融政策の企画・立案、考査・モニタリング、発券、決済システムの運営、調査、組織運営など幅広いものがあります。いずれの仕事においても、長期的な視点で体系的にものを考える理論的思考と、それを実施に移すための実務的な「基本動作」の徹底が重要です。このいずれかを疎かにしては、日本銀行の使命達成は覚束ないことになります。しっかりと理論を身につけ、これをベースに仕事に取り組んでいく姿勢と、仕事を実践していくための「基本動作」を徹底的に身につけてください。

第二に、日々の仕事には外部から見えやすいものと、そうでないものがありますが、皆さんが担う全ての仕事が「物価の安定と金融システムの安定」という日本銀行の使命達成に結びついていることを忘れないで欲しい、ということです。普段は気付かれにくい仕事を含めて、我々の仕事は国民の経済活動を基盤部分で支えています。そのことに誇りを持つとともに、自分の仕事が日本銀行の使命達成にどのように結びついているのか、常に自分の頭で考えていく習慣を身につけて欲しいと思います。

第三に、環境変化を的確に捉えながら、チャレンジ精神を持ち、日々新たな気持ちで仕事に取り組んで欲しい、ということです。日本経済、そして日本銀行を取り巻く環境は絶えず変化しています。環境変化を的確に捉えるためには、国内外の幅広い分野の人々や組織と積極的に交流を図る中で、広い視野を身につけ、オープンな姿勢で学ぶことが大事です。また、そうした環境変化を政策と業務に適切に反映させていく上では、自分が慣れた現在の仕事の進め方に満足せず、見直しの要否を常に模索していく姿勢が大切です。新入行員の皆さんは、まさにフレッシュな気持ちとチャレンジ精神にあふれていると思います。今のその気持ちを大切にしながら、仕事に励んでください。

これから皆さんの長きにわたる社会人生活が始まります。色々なことがあると思いますが、是非、本日お話しした3つのことを念頭において、自分を律しながら、日本銀行を支える存在になれるように努力を続けて欲しいと思います。中国の春秋時代、衛の国にきょ伯玉(注)という名高い重臣がいました。この人を評した言葉に「年五十にして四十九年の非を知る」また「六十にして六十化す」というものがあります。50歳になって、それまでの49年間の誤りを知り、60歳になっても、60歳になっただけ変化した、という意味です。人間は、幾つになっても直すべきところはあり、より良くなっていかなければならない、ということを示唆しています。皆さんが、いつまでも変化し、成長し続けてくれることを期待しています。

私からの話は以上です。皆さんの晴れやかで希望に満ちた表情を拝見し、日本銀行が新たな推進力を得たことを確信しています。日本銀行の使命達成に力を尽くす仲間として、一緒に頑張っていきましょう。皆さんが元気に活躍されることを祈念して、私からの歓迎の挨拶とさせて頂きます。

  1. (注)HTM形式で表示できない文字を含むため、原文はPDFファイルをご覧ください。