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【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策福岡県金融経済懇談会における挨拶要旨

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日本銀行政策委員会審議委員 政井 貴子
2018年11月29日

I.はじめに

本日は、福岡県の行政および金融・経済界を代表される皆様との懇談の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃より日本銀行福岡支店の業務運営に多大なご協力を頂いております。この場をお借りして御礼申し上げます。

金融経済懇談会は、日本銀行の政策委員が、金融経済情勢や金融政策についてご説明申し上げるとともに、各地の経済・金融の現状や日本銀行の政策に対するご意見などを拝聴させて頂く機会として開催しております。

本日は、まず、私から、わが国の経済・物価情勢や日本銀行の金融政策などについてご説明させて頂き、その後、皆様から当地の実情に即したお話やご意見などを承りたく存じます。

II.経済・物価情勢

日本銀行は、10月末の政策委員会・金融政策決定会合において、「経済・物価情勢の展望」、いわゆる「展望レポート」を取りまとめ、2020年度までの経済・物価見通しを公表しました。

経済・物価情勢については、「展望レポート」の内容に沿って、お話したいと思います。

1.海外経済の動向

はじめに、海外経済の動向ですが、現状については、「総じてみれば着実な成長が続いている」と判断しています。

最近の海外経済をみると、一頃喧伝された「世界経済の同時成長」ほどの勢いはなくなってきていますが、多くの国で内需が堅調に推移するなど、景気の前向きなサイクルは持続しています。10月に公表されたIMFの世界経済見通しによれば、2018年と2019年の世界全体の実質GDPの伸び率は、いずれも前年比+3.7%と予想されています(図表1)。3カ月前の前回見通しと比べると、-0.2%ポイントずつ下方修正されているほか、地域間のばらつきも幾分拡大していますが、+3.7%という数字は、過去の平均を上回る水準であり、決して低いものではありません。

主要地域別にみると、米国では、拡張的な財政政策に支えられ、今後とも景気の拡大が続くと見込まれるほか、欧州経済も、徐々に減速しつつも回復を続けると考えられます。中国経済は、先行き、米国による関税率引き上げの影響を相応に受けると見込まれますが、当局が財政・金融政策を機動的に運営するもとで、概ね安定した成長経路をたどるとみています。

2.わが国の経済情勢

(1)現状

次に、国内の経済情勢についてお話します。

わが国の景気については、「所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」と判断しています。

資本や労働の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、2016年末以降、本年4~6月期まで、7四半期連続でプラス幅を拡大しています(図表2)。先日公表された7~9月の実質GDPは、前期比年率で-1.2%のマイナスとなりましたが、これについては、夏場に相次いだ自然災害による一時的な影響が大きいと考えており、実際、この時期にやや減少した輸出や生産は、その後、回復の動きをみせています。企業収益は、過去最高レベルでなお増加基調を辿り、設備投資も、増加傾向を続けています(図表3)。9月短観で集計した2018年度の投資計画は、前年比+8.7%と、この時期の平均的な伸び率をはっきりと上回りました。こうした中、労働需給は、着実な引き締まりを続けており、一人当たりの名目賃金も緩やかに上昇しています(図表4)。こうしたもとで、各種の販売・供給統計を合成した消費活動指数は、4~6月に続き、7~9月も前期比増加となっています(図表5)。

(2)先行きの見通し

先行きについては、2020年度までの見通し期間中、「緩やかな拡大を続ける」と予想しています。2018年度については、海外経済が総じてみれば着実な成長を続けるもとで、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、0%台後半とみられる潜在成長率を上回る成長を続けるとみています。2019年度から2020年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引き上げの影響などから、成長ペースは鈍化するものの、外需にも支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれます。これを「展望レポート」における政策委員見通しの中央値で表しますと、2018年度の実質GDPの成長率は+1.4%、2019年度と20年度は、いずれも+0.8%と予想しています(図表6)。

このように、日本銀行は、わが国の景気は緩やかな拡大が続くとの見通しを示しており、私自身も、こうしたメインシナリオは維持されていると考えています。この理由として、2つのプラス材料を指摘したいと思います。第1に、先ほど述べた設備投資の強さが挙げられます。単に投資額の伸びが大きいだけでなく、幅広い業種で、能力増強投資や研究開発投資、省力化・合理化投資や災害等に備えた事業活動継続のための投資など、幅広い投資が計画されていることを心強く感じています。第2のプラス材料は、夏場の災害による経済活動への影響が、幸いなことに、一時的なものにとどまるとみられることです。私どもの支店を通じたヒアリング調査などによれば、生産・物流面で被害を受けた多くの企業は、既に挽回生産に取り組んでいるほか、復旧・復興に向けた公共投資も、今後、本格化してくると考えられます。当初心配されたインバウンド需要に対する影響も、官民挙げての情報発信などが功を奏し、想定以上に早い立ち直りをみせています。過去の災害の経験を活かし、復興・復旧に繋げていくという取組みが、今回も奏功しているのだと思います。

(3)景気を巡る不確実性

こうした中心的な見通しについては、同時に、様々な不確実性も存在します。この点、最近では、海外経済を中心にリスクが下方に厚くなっているように思われます。

海外経済を巡るリスクとしては、米国のマクロ政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含めた新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、イタリアの財政問題、地政学リスクなどが挙げられます。

このうち、私自身は、特に米中間の貿易摩擦問題を始めとする保護主義的な動きを引き続き注視しています。実際、中国企業の景況感は、輸出入関連項目を中心に悪化が目立っています。中国の輸出入統計などには大きな変調はみられていませんが、制裁関税が実際に適用される前の駆け込みによって、一時的に押し上げられている可能性を指摘する声もあります。

これまでのところ、この問題がわが国経済に及ぼす影響は限定的となっていますが、その解決に時間がかかるようであれば、貿易活動を通じた直接的なインパクトに加え、企業マインドの悪化や国際金融市場の不安定化といった経路を通じた負の影響が大きくなる可能性も指摘されています。貿易摩擦が世界経済に与える影響に関する、IMFなどの国際機関による試算をみても、貿易活動を通じた直接的なインパクトは限定的ですが、企業マインドの悪化や国際金融市場の不安定化といった経路も加わると、影響が大きくなるとの結果になっています。NAFTAの再交渉が合意に達したことや、米中の問題解決に向けた対話が続いていることなどから、私自身は、極端な悲観論に傾斜するべきではないと考えていますが、保護主義的な動きの影響については、今後とも注意してみていきたいと考えています。

3.物価情勢

続いて、わが国の物価についてお話します。

生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、春先にいったん伸び率が縮小しましたが、夏場以降、再び伸び率が高まり、足もとでは+1%程度まで上昇してきています。もっとも、生鮮食品に加え、エネルギー価格の影響も除いた消費者物価をみると、足もと、前年比ゼロ%台半ばで推移しており、わが国の基調としての物価は、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べれば、なお弱めの動きを続けています(図表7)。

この背景には、主に2つの要因があると考えています。1つは、賃金や物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残っていることです。このため、企業の賃金・価格設定スタンスや家計の値上げに対する見方は、依然として慎重なままであり、明確に転換するには至っていません。こうした粘着的なマインドの背後には、15年にわたって続いた、かつての低成長や、マイルドではあったものの物価が持続的に下落するという経験があり、その意味では、わが国固有の理由に起因する物価観、あるいはある種の「ノルム」(規範)と評価することもできます。弱めの物価をもたらしているもう1つの要因は、デジタル技術の進歩に伴う活発な省力化投資や競争環境の激化、さらには女性や高齢者の労働参加の高まりなど、経済の供給面の変化に起因するものです。例えば、スーパーなどで慎重な価格設定が続いている一因として、インターネット通販の拡大が指摘されていますが、こうした技術進歩に伴う競争環境の激化は、日本だけでなく、グローバルにみられる構造変化の一例といえます。

このように、わが国では基調としての物価が上がりにくい状況が続いていますが、一方で、プラスを続けるマクロ的な需給ギャップは、物価を押し上げる原動力として、しっかりと作動しており、消費者物価の前年比は、「物価安定の目標」である2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられます。こうした見通しを、「展望レポート」の数字で申し上げますと、2018年度の消費者物価の前年比は+0.9%、2019年度と2020年度は、消費税率引き上げの影響を除いて、それぞれ+1.4%、+1.5%と予想しています(前掲図表6)。

III.日本銀行の金融政策

1.基本的な考え方

(1)強力な金融緩和の継続

ここまで、わが国の経済・物価情勢についてお話してきました。続いて、日本銀行の金融政策についてご説明します。

日本銀行は、長年続いたデフレを克服するため、2013年4月に、「量的・質的金融緩和」というそれまでにない非常に強力な金融緩和政策を導入しました。その後も、日本銀行は、きわめて緩和的な金融環境を維持することにより、企業や家計の経済活動をサポートし、需給ギャップの改善に貢献してきました。現状では、わが国の経済は大幅に改善し、物価面でも、「物価が持続的に下落する」という意味でのデフレではなくなっています。

先ほど申し上げたように、現在、わが国の基調としての物価は、景気の拡大に比べて、弱めの動きを続けています。もっとも、需給ギャップの改善を起点とする物価上昇メカニズムは作動し続けており、2%に向けたモメンタムは失われてはいません。したがって、現在の極めて緩和的な金融環境を息長く続けることにより、プラスの需給ギャップをできるだけ長く持続させ、前向きのモメンタムを途切れさせないようにすることが適当だと思います。具体的には、2016年9月に導入された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みのもとで、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要だと考えています。

なお、この枠組みは、「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」という2つの要素から成り立っています。「イールドカーブ・コントロール」とは、長短金利を低位に安定させることを目的として、短期政策金利を「-0.1%」、10年物国債金利の操作目標を「ゼロ%程度」とする金融市場調節方針を定め、これを実現するよう国債の買入れを行う政策です。また、「オーバーシュート型コミットメント」とは、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベース、つまり日本銀行が直接供給するお金の総量を拡大し続けることを約束するというものです。これにより、「物価安定の目標」の実現に対する人々の信認を高めることを狙っています。

(2)政策の効果と副作用

金融緩和には、景気を刺激する効果がある一方、長期間にわたって金利全般が低位で推移すると、国債市場の機能や金融機関の収益にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。このため、日本銀行としては、政策の効果と考え得る副作用について、あらゆる角度から検討し、コストとベネフィットをきめ細かく点検しながら、政策を進めていく必要があると考えています。

このような問題意識のもとで、日本銀行は、その時々の状況に応じた、強力な金融緩和を推進してきましたが、7月末の金融政策決定会合において、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みをさらに強化することとし、政策金利の「フォワードガイダンス」を導入するとともに、金融市場調節や資産の買入れを弾力的に運営することを決定しました(図表8)。例えば、長期金利については、「ゼロ%程度」という操作目標を維持しつつ、実際の金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうることを示しました。また、ETFについても、年間約6兆円の買入れ目標を維持しつつ、市場の状況に応じて買入れ額を上下に変動しうることとしました。こうした弾力的な措置が、市場機能を維持することに繋がっていくと考えています。

今後も、金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて、十分注視のうえ、「物価安定の目標」の実現に向けて、経済・物価・金融情勢を踏まえて、適切な金融政策運営を行っていきたいと考えています。

2.経済構造の変化への対応

以上、具体的な金融政策運営についてご説明いたしました。残された時間を利用して、金融政策に関する基本的な考え方につき、私自身が心に留めていることをお話したいと思います。

日本銀行は、毎回の金融政策決定会合において、経済・物価・金融情勢の現状と先行きについて議論し、「物価安定の目標」を実現するために適切と考えられる金融政策を決定しています。こうした政策運営に当たっては、デジタル・イノベーションなど、日本経済を巡る様々な環境変化を踏まえたうえで、総合的に判断していくことが重要だと考えています。

近年のデジタル・イノベーションは、人々が日常的に得る情報を質・量ともに飛躍的に増加させました(図表9)。スマートフォンが本格的に登場してから10年ほどしか経っていませんが、今や、日本人の6割が保有するほど爆発的に普及しています。老若男女、かつてのスーパーコンピュータ並みの端末をいつもポケットに持ち歩き、世界中の情報に瞬時にアクセスできる状況が出現しています。こうしたもとで、音楽や動画をネット配信で楽しんだり、ショッピングや旅行の予約をスマートフォンで済ませたり、検索機能を利用して従来よりも短時間で物事を調べたり、SNSなどを使って友人とコミュニケーションを取りながら余暇時間を過ごしたりと、人々のライフスタイルは大きく変わってきましたし、変化は加速しつつあるように思います。

このほかにも、構造変化は様々な面で生じています。一般にはあまり知られていませんが、毎年8月、中央銀行関係者や経済学者の高い注目を集める経済シンポジウム(ジャクソンホール・シンポジウム)が、米国のカンザスシティ連邦準備銀行によって開催されています。今年のテーマは、「市場構造の変化と金融政策へのインプリケーション」であり、第一線の研究者から、「企業間格差の拡大」、「無形資産の重要性の高まり」、「銀行間の競争激化」など、最近の経済構造の変化をテーマとする興味深い論文がいくつか発表されました1。このうち、例えば無形資産に関する論文では、近年、設備などの従来型の有形資産よりも、ソフトウエアや知的財産、ブランド力といった無形資産の割合が増しているとしたうえで、こうした変化を十分に考慮していない既存のデータでは、理論的に最適と考えられる水準よりも、投資額が少なく見えてしまう点が指摘されています2。詳しい説明は割愛しますが、こうした無形資産の増加が、金融政策の有効性を低下させる可能性にも言及していました。同様の指摘は、実業界からも聞こえてきます。マイクロソフト社の共同創業者として有名なビル・ゲイツ氏は、経済活動におけるソフトウエアやデータの重要性が益々高まる中、景気を刺激する最良の方法は何かといった重要な問題を、各国の政策当局はもっと議論すべきであると主張しています3。アカデミックと実業の双方から、同時期に同様の問題提起がなされたことは、決して偶然ではないのだろうと思います。それだけ大きな構造変化が、世界中で急速に進行していることの証左といえるのではないでしょうか。無形資産は、文字通り我々の目には見えにくいものではありますが、このような例を一つとっただけでも、その影響を無視したまま、企業の投資活動や金融政策の効果を評価することは難しくなってきており、こうした変化としっかり向き合っていく必要があると考えています。

中央銀行が対峙している現実の経済は非常に複雑であり、時間とともにダイナミックに変化しています。教科書に載っている経済理論などはもちろん大切ですし、過去の経験を分析することも大変重要です。しかしながら、当局や各種の経済主体が意思決定を行う際には、例えば経済モデルでは必ずしも描写しきれないこうした構造変化など、様々な要因についても目配りしたうえで、今何をすべきかを模索し続けていくことが求められていると感じています。

  1. 発表された論文は、以下のウェブサイトから入手可能。
    https://www.kansascityfed.org/publications/research/escp/symposiums/escp-2018 (外部サイトへのリンク)
  2. Nicolas Crouzet and Janice Eberly, "Understanding Weak Capital Investment: the Role of Market Concentration and Intangibles", Prepared for the Jackson Hole Economic Policy Symposium, August 23-25 2018.
  3. https://www.gatesnotes.com/Books/Capitalism-Without-Capital (外部サイトへのリンク)

IV.おわりに

最後に、福岡県経済についてお話させていただきます。

福岡県は、地理的にも、歴史的にも、中国や朝鮮半島との繋がりが深く、また、九州と本州を結ぶ交通の要衝を占めるという立地にも恵まれ、古くから栄えてきました。しかし、歴史を振り返ってみると、常に順調な発展を続けていたわけではありません。明治から昭和にかけては石炭の産出が盛んになり、これを活用した素材型の製造業の発展が日本の近代化を支えましたが、高度経済成長期のエネルギー革命は石炭産業に対する大きな打撃となりましたし、1971年のニクソン・ショック以降の円高などの外部環境の変化は、製造業を厳しい状況に追いやりました。こうした苦難に直面するもとで、商業やサービス業への大胆な産業構造の転換が進み、現在は福岡県の全産業のうち第3次産業が占める割合は8割に達しています。

商業やサービス業がこのような発展を遂げてきた背景として、居住者と来訪者の両方の増加に伴う街の活気の高まりが指摘できます。九州の経済や行政、学術や文化などに関する様々な機能が集積するもとで、福岡県の人口は増加傾向にあります。また、九州他県を中心とした国内各地からの来訪者のみならず、アジアをはじめとする世界各地からのインバウンドも増加しています。内外からの来訪者の増加には、国際的な会議やイベントの開催も大きく寄与しています。来年にはG20関連会合やラグビーワールドカップの開催地の1つとなることが決定していますほか、今後も天神ビッグバンやウォーターフロント地区の再整備を始め、各地で商業施設やホテルなどの開発が予定されていることから、当地の集客力は一層高まるものと思われます。

また、製造業についてみると、先端成長産業の育成・集積の取組みが奏功し、自動車、先端半導体、ロボットといった産業の集積地となっています。さらに、福岡県を中心に産学官が連携した「北部九州自動車産業アジア先進拠点プロジェクト」のもとで、地元企業の開発力・技術力の強化などの取組みを進めておられるほか、「グリーンアジア国際戦略総合特区」においては、環境を軸とした国際競争力の強化に取り組んでおられ、既に特区制度を活用した設備投資や新規雇用が相次いでいると伺っております。

このように様々な明るい話題が聞かれている福岡県でも、推計によれば、2045年には県内人口が現在よりも1割程度減ることが見込まれるなど、今後は他地域と同様に、高齢化や人口減少の影響が懸念されています。こうしたもとで、中小企業を中心とした経営者の高齢化に伴う事業承継や人材不足といったことが喫緊の課題となっていると伺っています。

このような課題に対応するために、商工会議所では「地域を支え、成長し続ける商工業者の支援」として創業から承継に至るまでの企業サイクルに合わせた伴走型支援に取り組んでおられるほか、企業の採用活動への支援を強化されているとのことです。

日本経済が持続的な成長軌道に復することは極めて重要な訳ですが、全国のGDPの3.5%を占める福岡県が、こうしたわが国共通の課題に取組み、克服されていくことは、日本全体の自信にも繋がると思っています。

福岡県が以前から持つ強みと官民挙げての新たな取組みとが相まって、より一層活力が高まっていくこと、さらには、「九州はひとつ」の理念のもとに設立された九州地域戦略会議の取組みなどが奏功するかたちで、九州全体が益々発展していくことを心より願っています。

ご清聴ありがとうございました。