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【概要説明】通貨及び金融の調節に関する報告書衆議院財務金融委員会における概要説明

日本銀行総裁 黒田 東彦
2021年3月5日

はじめに

日本銀行は、毎年6月と12月に「通貨及び金融の調節に関する報告書」を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しくご説明申し上げる機会を頂き、厚く御礼申し上げます。

経済金融情勢

まず、最近の経済金融情勢について、ご説明致します。

わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にありますが、基調としては持ち直しています。輸出や生産は、海外経済の持ち直しなどを背景に増加を続けています。設備投資は、輸出・生産の増加により機械投資が持ち直すもとで、全体としては下げ止まっています。一方、個人消費は、感染症の影響により、飲食・宿泊等のサービス消費において下押し圧力が強まっています。先行きのわが国経済は、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、外需の回復や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調を辿るとみています。もっとも、感染症への警戒感が続くなかで、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられます。

物価面をみると、消費者物価の前年比は、感染症や既往の原油価格下落の影響などから、当面、マイナスで推移するとみられます。その後は、原油価格下落などの影響が剥落し、経済が改善するもとで、消費者物価の前年比はプラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えています。

先行きの経済・物価見通しについては、下振れリスクが大きいと認識しています。ワクチン接種の開始は心強い動きですが、感染症の帰趨やそれが内外経済に与える影響の不透明感はきわめて強く、引き続き注意が必要です。また、成長期待は大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されるとみていますが、これらの点にも不確実性があります。さらに、より長期的な金融面のリスクとしては、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かう惧れがあります。一方、利回り追求行動などに起因して、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあり、先行きの動向を注視する必要があります。

金融政策運営

次に、金融政策運営について、ご説明申し上げます。

日本銀行は、感染症への対応として、(1)新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、(2)円貨および外貨の潤沢かつ弾力的な供給、(3)ETF等の積極的な買入れの3つの措置を講じています。こうした対応は、緩和的な資金調達環境を維持することなどを通じ、経済を支える効果を発揮しています。昨年末には、特別プログラムを本年9月末まで延長し、引き続き、資金繰りを支援していくことを決定しました。さらなる延長も、必要に応じて検討します。今後も、感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じていく方針です。

感染症の影響は、経済・物価への下押し圧力として、長期間継続すると予想されます。そうしたもとで、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、日本銀行では、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととしました。その際、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは、現在まで適切に機能していますので、その変更は必要ないと考えています。この枠組みのもとで、イールドカーブ・コントロールの運営や資産買入れなどの各種の施策について点検します。点検の結果は、今月の金融政策決定会合を目途に公表します。日本銀行としては、点検の結果も踏まえ、引き続き、適切な金融政策運営に努めていく考えです。

ありがとうございました。