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【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策静岡県金融経済懇談会における挨拶要旨

日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司
2021年6月2日

1.はじめに

日本銀行の安達でございます。この度は、静岡県の行政、財界、金融界を代表される皆様とオンライン形式で懇談させていただく貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃から日本銀行静岡支店の業務運営に対し、ご支援、ご協力を頂いておりますことを、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。

本日は、わが国の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営につきまして、私の考えを交えつつお話しします。その後、皆様から、静岡県経済の動向や日本銀行の業務・金融政策に対する率直なご意見をお聞かせいただければと存じます。

当初、静岡県を訪問し、皆様と対面で懇談させていただくことを考えておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今回、やむなくオンライン形式により開催させていただくことになりました。訪問が叶わず大変残念ですが、皆様との懇談を通じて、静岡県の現状や課題に対する理解を深めるとともに、頂いたご意見を日本銀行の業務や政策判断に活かしてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2.内外経済の現状

感染症の動向

はじめに、新型コロナウイルス感染症の動向を振り返ります。今回の感染症は、昨年1月に中国で流行が確認され、2月下旬から欧州へと拡大し、やがて世界中に拡大しました。新規感染者数は、各国・地域で大きな振れを伴いつつ、増加を続けてきました。しかし、本年入り後はやや二極化の様相を呈しつつあるようです。すなわち、ワクチン接種が着実に進捗している米国や英国、イスラエル等では感染者数が頭打ちから減少傾向に転じている一方、ワクチン接種が相対的に遅れている新興国では、変異株の影響もあり、感染者数が高止まりしています(図表1)。

この間、わが国でも、本年の春先以降、主に大都市圏において感染者数が再び増加したことから、政府が3回目の緊急事態宣言の発出に踏み切りました。

海外経済の動向

こうした感染症の拡大に歯止めをかけるべく、昨年の春頃は、多くの国が外出・移動制限によって経済活動を抑制する措置を講じました。このため、昨年4~6月期には、世界各国の実質GDP成長率が大幅な落ち込みを示しました。

しかし、時間の経過とともに感染症の特性がある程度判明してきたこともあり、その後の感染拡大局面では経済活動の全面的な抑制は行われず、グローバルに業況が改善しつつあります(図表2)。製造業に限ってみると、世界生産と世界貿易量は感染症流行前の水準を既に上回り、なお拡大傾向にあります(図表3)。こうした傾向は、先進国のみならず、感染症が拡大している新興国においても当てはまります。そうした意味では、感染症拡大の影響は、主として対面型サービス業において目立っているといえそうです。

国内経済の動向

日本経済に目を転じますと、特に米国と中国の急速な景気回復を背景に、外需を中心に回復基調にあります。ITセクターに加え、日本の企業が競争力を有する機械産業の需要が、世界的な設備投資拡大の機運の高まりを受けて増加している点が特徴的です。わが国の輸出を財別にみると、足もとにかけて情報関連や資本財がはっきりと増加していることが確認できます(図表4)。

しかし、業況が改善基調にあるのは、製造業のみではありません。内需関連の非製造業のうち、財を提供する小売業の業況は、休業なども実施されていますが、感染症拡大により外出機会を失った家計の巣ごもり消費に支えられ、基調としてはしっかりしています。小売業者の中には、オンラインによる販路拡大に商機を見出し、Eコマースへの投資を積極化する動きもみられ始めており、国内の設備投資を下支えする一因になっています。また、感染症拡大下で厳しい状況に直面している対面型サービス業の中でも、高級・高付加価値志向の強い業態では、徹底的な感染対策を付加価値に結びつけ、顧客の強いニーズを捉えている先もみられるようです。

このように、今回の感染症拡大による影響は、企業の属性によって大きく異なっており、回復ペースも様々といえます。こうした現象は、他の主要国でも観察されています。

政策効果

感染症拡大以降、政府と日本銀行は連携して、日本経済の下支えのために各種の施策を講じてきました。これらの施策によって、企業の資金繰りの逼迫は回避され、銀行借入やCP・社債発行といった外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されています。また、企業の倒産・廃業も極めて低い水準で推移しています。私は、昨年3月末に審議委員に就任した際の記者会見において、今はとにかく企業の資金繰りを支える局面であり、積極的な流動性供給を実施すべきであると申し上げました。その後、昨年4月、5月の金融政策決定会合では、企業の資金繰りを支える観点から迅速に流動性供給策の強化を打ち出しました。こうした政策対応は、政府の経済対策と相俟って、感染症拡大による日本経済の底割れを防ぐ効果があったと考えています。

3.内外経済の先行き

先行きを巡る不確実性

以上のように、内外経済はこれまでのところ改善基調を続けているといえます。もっとも、先行きに関する不確実性は極めて高い状況が続いていると、私は考えています。以下において、3点を指摘したいと思います。

第一に、わが国におけるワクチン接種の進展ペースを巡る不確実性です。ワクチン接種が相応に進展して社会全体で集団免疫の獲得が実現しない限り、今後も感染拡大の波が訪れる度に、飲食・宿泊等の対面型サービス業の経済活動が抑制され、当該産業の回復が遅れる懸念があります。こうした事態が繰り返されると、家計の消費マインドの持続的な改善をなかなか展望できません。このように、わが国におけるワクチン接種の進捗ペースは、日本経済の持続的な回復を展望するうえで重要な要素となるため、その動向を注視してまいりたいと思います。

この点に関連して、米国では、ワクチン接種の加速に加えて、大規模な経済対策の後押しもあって、昨年来、半ば強制的に抑制されてきたサービス消費が急速に回復しつつあります(図表5)。歴史を振り返れば、こうした消費の急速な回復は、第二次世界大戦が終了し、戦後に移行する過程で米国において生じた消費の急拡大と類似しているのではないかと考えています。当時は、戦争によって抑制されていた耐久財消費やサービス消費の需要が終戦によって解き放たれたといえますが、今回、ワクチン接種による感染者数の減少が、抑制されてきた需要を解き放つことになるのか注目されます。詳細は後述しますが、個人的には、米国が戦後に経験した消費の急速かつ大幅な拡大は、わが国の文脈に照らせば、長らく直面してきたデフレを解消する好機となり得るのではないかと考えています。

第二の不確実性は、米国の株式市場をはじめとした国際金融市場の動向です。国際金融市場では、ワクチン接種の進展や一部先進国での追加経済対策などを背景とした世界的な景気回復期待の高まりから、市場センチメントの改善傾向が続いており、株価を含むリスク資産の価格が上昇しています(図表6)。上述のとおり、米国では消費が急速に回復しつつありますが、これまで株式市場に流入していたとみられる資金が財・サービス等の実物市場にシフトしていくことが先行きの株式市場に及ぼし得る影響については、同国の実体経済、さらには日本経済の回復を下支えしている外需に影響するリスクがあることから、留意しておく必要があると考えています。

第三の不確実性は、「地経学的リスク」です。ここでは、「地政学」ではなく「地経学」という言葉を使わせていただきました。個人的な見解ですが、昨今の国際関係においては、外交・安全保障政策と経済政策をより一体的に議論する傾向がみられるようになってきていると感じています。一般的に、「地政学」では外交・安全保障政策が念頭に置かれていると思いますが、「地経学」では経済政策もこれらと同列に位置付けられます。例えば米国と中国の関係においても、国境をまたぐ技術や資本の移転等に関して様々な議論がなされていく可能性があるもとで、こうした議論がわが国の企業活動や貿易等に与える潜在的な影響についても、留意する必要があります。

このように、私自身は、引き続き内外経済を取り巻く不確実性は極めて大きいと考えており、先行きについては予断を持つことなく評価していく必要があります。

今後の政策対応

こうした中、当面の政策対応上の課題は、本年9月末に期限を迎える「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の取扱いであると考えています。これまでのところ、倒産を含めた企業金融の環境は総じて安定を維持しており、感染症拡大の影響を強く受ける業種も限定されてきているように見受けられます。また、企業金融面における課題も、資金繰りの問題からソルベンシーの問題に移行しつつある時期でもあり、それに伴い、資金調達のニーズも、借入から資本へとシフトする企業がみられ始めるなど、当該プログラムを取り巻く環境は変化しつつあります。

その一方で、ワクチン接種の普及により集団免疫を獲得するまでは、対面型サービス消費が明確に回復する状況を見通すことは難しいため、感染症拡大の波が断続的に訪れる限り、資金繰りの問題が生じる可能性は否定できません。

こうした企業金融を取り巻く様々な環境を踏まえると、本年10月以降の当該プログラムの取扱いについては、今後の企業金融の動向を慎重に見極めながら、議論を深めていく必要があると考えています。

4.ポストコロナの展望と2%の「物価安定の目標」の実現に向けて

2%の「物価安定の目標」の重要性

本年3月、日本銀行は、より効果的かつ持続的な金融緩和政策を企図して、これまでの金融政策の効果や副作用等に関する点検を実施しました(図表7)。点検の内容は詳細かつ多面的なものでしたが、特に私が興味深く感じたことは、わが国の物価が、過去の慣習や実績等に従って適合的に定まるという、いわば物価観のようなものに影響される側面が非常に強いことが改めて確認された点でした。2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、こうした岩盤とでも言えそうな物価観を何とかして変えていく必要があることを強く認識しました。

もちろん、物価に対する認識は個々の企業や家計によって様々です。現在、日本銀行が目指している2%の「物価安定の目標」についても、これが実現すれば、家計にとっては生活に影響するのではないか、もしくは、企業にとってはコストの増加によって採算が悪化するのではないか、と懸念されている方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

しかし、過去のデフレといわれた時代を振り返れば、多くの企業が、存続を図る中で雇用形態の見直し等により労働コストを削減しようとしました。その結果、賃金が減少したことで家計の所得環境が悪化し、消費が抑制されたことで企業の売上が減少し、企業は雇用を調整せざるを得なくなるという悪循環に陥っていました。さらに、デフレのもとで、深刻な円高となったことも、デフレが続く要因となりました。

2013年から始まった大胆かつ大幅な金融緩和は、日本経済を長期にわたって苦しめてきたデフレの流れを止める役割を果たしました。その過程で、雇用環境が回復し、企業も将来の収益見通しが改善する中で、人手不足を感じるようになりました。わが国における労働力不足の存在は、日本経済の中長期的な課題の一つとして2013年以前から広く認識されていたと理解していますが、2013年以降、世の中で人手不足が広く話題になるようになった背景には、デフレ克服の見通しが立つようになったもとで、将来にわたって事業を継続あるいは拡大しようとする企業が増えてきたことも一因ではないかと考えています。それまでは、デフレが継続するという前提のもとで、企業は事業規模の縮小を考えざるを得ず、少子高齢化に起因する人手不足の問題が顕在化してこなかったのではないでしょうか。

このように、わが国を取り巻くデフレ的な環境は大きく緩和されましたが、まだ十分ではありません。私から申し上げるまでもなく、わが国の雇用環境をみれば、現在でも、働く意欲がありながら労働市場に参加できない方がいらっしゃるほか、特に地方では業況が厳しい中小企業も数多く存在しています。

つまり、日本経済にはまだ十分に稼働していないスラックが存在しており、その削減を金融政策面からサポートする枠組みこそが、2%の「物価安定の目標」の実現であると私は考えています。この目標の実現は、決して物価のみを引き上げようとするものではなく、最適な経済環境をもたらす最適な物価の水準を実現することができれば、生活水準は大きく向上するものだとご理解いただきたいと思います。日本銀行にとって、2%の「物価安定の目標」は堅持すべき重要な政策目標であることを改めて強調したいと思います。

2%の「物価安定の目標」の実現に向けて

今般の点検の結果、わが国の物価は適合的に定まる物価観に影響される側面が強いことが確認され、2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、この岩盤のような物価観を変えていく必要があります。そのためには、期待成長率が持続的に上昇するもとで、企業や家計の物価観を上方修正させていくことが重要になってくると思われます。そしてこのことは、2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、長期戦を想定せざるを得ないことを意味すると考えています。

この期待成長率の押し上げに日本銀行がどのように関わっていくべきかという点は、かなり難しい問題です。現在、わが国の期待成長率は低いと言わざるを得ません(図表8)。私見となりますが、日本銀行が日本経済の成長期待の引き上げに貢献できる役割を考えると、今後も粘り強く現在の金融緩和を継続することによって、例えば設備投資の拡大等を通じて企業の生産性向上を後押しするということではないかと考えています。また、長期戦を覚悟するとすれば、その間に何等かの外的なショックによって日本経済に大きな下押し圧力がかかることも考えられます。こうした場合には、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる必要があります。本年3月の金融政策決定会合では、点検結果を踏まえ、こうした持続的かつ機動的な金融政策運営が可能となるよう、政策手段の見直しを行いました(図表9)。

ポストコロナと物価安定目標の実現

こうした政策手段の見直しのもとで、粘り強く金融緩和を続けることで、2%の「物価安定の目標」の実現は可能であると考えています。さらに個人的には、今般の感染症を経験したことによるわが国の企業や家計の行動変容が、これまでの物価観を変える可能性に注目しています。感染症は、いつかは収束するとはいえ、ウイルスが完全に撲滅されることは想定しにくい状況です。ワクチンの効果が相応に期待できるとはいえ、感染症との共存を余儀なくされる状況においては、特に飲食・宿泊等の対面型サービス業で感染抑制に相応のコストをかけ続ける必要が生じる可能性があります。このほか、わが国における高齢化の進行を踏まえると、価格が高くても付加価値が高い財・サービスの消費が個人消費全体を牽引していく可能性も考えられます。こうした高付加価値の財・サービスを提供できる人材の賃金は、自ずと高く設定されるのではないでしょうか。こうしたことを踏まえると、ポストコロナの局面は、サービス業にとって、質を見直しつつ対価を引き上げる機会になるかもしれないと考え始めています。過去、わが国のデフレ局面では、内需のサービス業の価格がほとんど上昇しなかったことが特徴的であったことを考えると、ポストコロナは2%の「物価安定の目標」を実現する大きなチャンスになるかもしれません。

もちろん、今申し上げた見方には大きな不確実性があり、実際にどうなるかは、企業の皆様が、ポストコロナを見据えてどのように経営方針を定めていかれるか次第です。わが国では、漠然とした将来不安が消費マインドの改善に水を差す懸念があるため、企業が販売価格を引き上げることは難しいのではないかというご意見もお聞きします。日本銀行としては、ある程度の継続的な値上げが社会的に許容されるような経済環境を整えていけるよう、引き続き日本経済を支えていきたいと考えています。

これに加えて、物価が想定以上に上昇するかもしれないという要因は他にも指摘できます。例えば、企業のESGへの対応です。この中で私が特に注目しているのは、米ハーバード大学・ビジネススクールのジョージ・セラフェイム教授らが取り組んでいる「インパクト加重会計イニシアチブ」1です。これは、気候変動リスクに対する世界的な問題意識の高まりの中で、ESG投資の普及に繋がる重要な研究であると考えています。この研究では、地球温暖化に繋がる二酸化炭素の排出を企業のコストとして企業会計に取り込む試みも行われていますが、個人的には、従業員への手厚い給与が、人間の社会生活の向上という経済活動本来の価値を創造しているという考え方に基づき、企業にとってのコストではなく、生み出された付加価値として会計に反映しようとする試みに注目しています。こうした試みが企業会計の新たな潮流となれば、賃金の引き上げを通じた物価の上昇にも寄与する可能性があります。

  1. インパクト加重会計イニシアチブ(Impact-Weighted Accounts Initiative)は、企業や投資家の意思決定において、財務面のみではなく、環境面や社会面でのインパクトを勘案できるよう、財務諸表にこうしたインパクトの金銭価値の反映を試みる取り組み。

歴史に学ぶ

2%の「物価安定の目標」の実現に向けては、長期戦を覚悟する必要があるということを申し上げました。現在、日本銀行は大胆な金融緩和を実施していますが、ポストコロナの局面で日本経済が正常化する見通しが立ってきた場合には、金融政策についても早期に見直した方がよいという指摘が出てくるかもしれません。しかし、拙速な政策の見直しは、景気回復の芽を摘み、新たな危機を誘発してきたことは、大恐慌期等の歴史から得られた教訓でもあります。この点は、政策当局者として肝に銘じておきたいと思います。

この点に関連して、日本銀行は、現在の政策枠組みにおいて、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続することを約束しています。とりわけ、消費者物価上昇率の見通しではなく、実績値に基づいて金融緩和の継続を約束する非常に強力なコミットメントにより、2%の「物価安定の目標」の実現に対する信認を高めることを意図したものです。

5.おわりに ――静岡県経済について――

最後に、静岡県経済について、日本銀行静岡支店の調査を通じて承知している情報も踏まえて、お話ししたいと思います。

静岡県経済は、2008年のグローバル金融危機以降、主力製造業の海外生産シフトなどを受けて、製造品出荷額や事業所数などが大きく減少したほか、大都市圏に挟まれていることもあって、若年層や働く世代を中心に人口流出が続いています。また、昨年以降の動向をみると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年上期に製造業・非製造業ともに大きく悪化した後、2020年下期以降は持ち直し基調を辿ってきましたが、足もとでは、感染症の再拡大や半導体不足などを背景に、足踏み状態にあると認識しています。

ただ、先行きは感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、内外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、持ち直し基調に復していく見通しにあり、過度に悲観的な見方が目立つ状況にはありません。この点、日本銀行静岡支店が4月1日に公表した日銀短観をみると、2021年度の設備投資計画は、前年度に感染症の影響で先送りされたこともあり、感染症流行前の水準に復する見込みであるほか、高付加価値化や生産性向上に向けた研究開発投資についても再開の動きがみられており、企業の前向きな投資マインドは維持されていることが窺われます。

この間、県内企業では、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた取り組みも始まっており、例えば、県内宿泊業においては、メインターゲットを団体客から個人客に切り替え、客室露天風呂付きの高級路線に舵を切るなど、消費者ニーズの変化に合わせてビジネスモデルを見直す動きがみられます。

また、行政・業界団体や地域金融機関におかれては、感染症による打撃を受けている県内企業の経営支援に取り組まれており、実質無利子・無担保融資をはじめとした資金繰り支援や、事業再構築などの経営課題に対する「伴走型支援」などに注力されていると伺っております。さらに、アフターコロナを見据えた地域経済基盤の育成・強化にも積極的に取り組まれており、例えば、次世代産業の育成、DXの推進、デジタル人材の育成、近隣県との広域経済圏の形成など、関係者が緊密に連携しながら様々な取り組みが進められていることは大変心強く感じています。

静岡県には、全国有数の「ものづくり県」として培われた優れた技術力のほか、世界遺産をはじめとした豊かな地域資源が数多く存在しています。今後は、先に述べたような新分野への挑戦や技術革新といった取り組みが一層拡大し、静岡県経済が新たな発展を遂げていくことを祈念しています。ご清聴ありがとうございました。