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バーゼル銀行監督委員会による「Basle Core Principles*」の公表について

バーゼル銀行監督委員会による公開協議用公表文書(日本銀行仮訳)

  • 正式名称は「Core Principles for Effective Banking Supervision
    (「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」)。

1997年 4月 9日
バーゼル銀行監督委員会

日本銀行から

以下には、プレス・ステートメントの部分のみを掲載しています。
全文(英語のみ)は、文中でも触れられているとおり、BISのホームページ (http://www.bis.org/)(外部サイトへのリンク)で入手できます。

プレス・ステートメント

バーゼル銀行監督委員会は、G10諸国の中央銀行総裁の了承を得て、本日、実効的な銀行監督のための「バーゼル・コア・プリンシプル」を公開協議のために公表する。当文書には、監督体制が実効的たりうるために、バーゼル委員会がなくてはならないと考える25の諸原則が提示されている。コメントは6月16日までに求められる。

「バーゼル・コア・プリンシプル」は、15の新興市場諸国の監督当局との緊密な協力の下にバーゼル委員会によって作成されたもので、その他多数の世界中の監督当局とも幅広く有益な協議が行われた。

諸原則は、実効的な監督システムの基本的な要素を述べている。そのカバーする範囲は包括的であり、実効的な銀行監督のための前提条件 (preconditions for effective banking supervision) 、免許と銀行組織 (licensing and structure) 、健全性規制 (prudential regulation and requirement) 、継続的な銀行監督の手法 (methods of on-going supervision) 、徴求情報 (information requirements) 、監督当局の公式の権限 (formal powers of supervisors) 及びクロスボーダーの銀行業務 (cross-border banking) といった問題を取り上げている。

「バーゼル・コア・プリンシプル」は、世界中の監督当局及び他の公的当局がその管轄内の全ての銀行に対して監督を行ううえでの基礎的な参考資料となるよう意図されている。公開協議を経て、世界中の監督当局は「コア・プリンシプル」を遅くとも1998年10月までに正式に了承を図ることとなる。この場合の了承には、現行の監督体制を当諸原則に照らして点検し、重大な欠陥がある場合にはそれを是正するためのスケジュールの設定を行うことが含まれる。監督体制に所要の変更を加えるために要する時間は、監督当局が既に必要な法的権限を有しているかどうかに依存するため、様々であろう。法改正が必要である場合には、各国の立法者は、当諸原則が全ての重要な面で適用されうるために必要となる法改正につき、早急に検討するよう望まれる。

「バーゼル・コア・プリンシプル」と併行して、バーゼル委員会は、3巻から成る、これまでに作成した提言、指針及び基準の「Compendium」(集大成)を近々公表する予定である。これは当諸原則(コア・プリンシプル)を補完するために用意されたものであり、諸原則の該当個所には「Compendium」内の参照すべき関連文書が注記されている。

本諸原則のテキストは、4月9日より、インターネット上のBIS Web Siteのhttp://www.bis.org/(外部サイトへのリンク)、各国監督当局、ないしは国際決済銀行にあるバーゼル委員会事務局から入手することができる。「Compendium」は今月中に入手可能になるであろう。

1997年 4月 9日

  1. バーゼル銀行監督委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スウェーデン、スイス、英国及び米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表により構成される。委員会は通常、常設事務局が設けられているバーゼルの国際決済銀行において開催される。
  2. バーゼル銀行監督委員会は、直接または世界各地の銀行監督者との数多くの接点を通じて、この分野における活動を何年にも亘って続けてきた。過去1年間、バーゼル委員会はこれまでに培ってきた非G10諸国との関係、ならびにメンバー諸国内の銀行監督の強化のための作業を用いて、全ての国における銀行監督の強化に向けての努力を拡大していくうえでの最善の方法を検討してきた。当委員会は2種類の文書を公表すべく作成した:
    • G10、非G10諸国の双方に適用可能な、実効的な銀行監督のための包括的な内容を盛り込んだ「コアとなる諸原則」(「バーゼル・コア・プリンシプル」);及び、
    • これまでに作成されたバーゼル委員会の提言、指針及び基準の「Compendium」(集大成)。

    両文書ともG10諸国の中央銀行総裁に了承を得たものである。両文書は、全ての国における金融安定の強化のためのメカニズムを提供することを展望し、デンバー・サミットの準備のために G7及びG10諸国の蔵相に提出されることとなっている。

  3. 当諸原則を作成するに当たり、バーゼル委員会は非G10諸国の監督当局と緊密に連携してきた。当文書はバーゼル委員会及び、チリ、中国、チェコ、香港、メキシコ、ロシア、タイの代表で構成されるグループで準備された。他の8ヶ国(ブラジル、ハンガリー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ポーランド及びシンガポール)も作成作業に密接に関与してきた。当諸原則の起草作業では、さらに、直接ないしは地域銀行監督者会議を通して、より広い範囲の個別の監督当局とも幅広く有益な協議が行われた。IMF及び世銀は様々な段階でこの作業を見ており、コメントを寄せている。
  4. 「バーゼル・コア・プリンシプル」は公開協議のために公表されるものである。コメントは1997年6月16日まで募集される。コメント期間の最後に当文書は最終化されるが、これは、1997年9月下旬のIMF・世銀の年次総会の前に行われることが望ましい。
  5. 各国の監督当局はその管轄内の全ての銀行に対する監督に当諸原則を適用すべきである。当諸原則は最低基準であり、多くの場合、個別国の金融システムに特有の状態やリスクに対処するための他の措置によって補完されることが必要となろう。
  6. 「バーゼル・コア・プリンシプル」は、全ての国において、また、国際的に、監督当局及び他の公的当局の基礎的な参考資料となるよう意図されている。当文書を用いて、その法的権限の範囲内でできる限り早急に欠陥を是正するための計画を起動するのは各国の監督当局であろうし、実際、多くの監督当局は積極的に現行の監督体制を強化することを目指している。IMF・世銀や他の関心を持つ機関が、マクロ経済及び金融システム全体の安定性を促進するためのそれぞれの作業との関連で、個別国が自らの監督体制を強化することを支援する際に、当諸原則を用いることが勧められる。
  7. 世界中の監督当局は、「バーゼル・コア・プリンシプル」の最終版を正式に了承することが推奨される。バーゼル委員会のメンバー及び起草作業に参加した15ヶ国の銀行監督当局は全て当文書の内容に同意している。
  8. 11の地域銀行監督者会議の議長はバーゼル委員会の作業に協力的である。これらのグループの殆どはこの先数カ月以内に開かれる会合で当「コア・プリンシプル」についての議論を行う予定である。彼らは全てその加盟国当局間での公開協議プロセスを積極的に促進するであろうし、コメント手続きが完了する時期までにはこれらのグループが全般的な支持を確認する立場にあることが望まれる。
  9. 当諸原則の実施には、現行の監督体制を点検することと、これが何らかの重大な面で当諸原則と非整合的である場合には、これを是正するための期間を区切ることが含まれるであろう。当諸原則は、各監督当局、各地域銀行監督者会議、さらには市場全般によって検証できるように設計されている。当諸原則の実施状況はバーゼル委員会によって調査され、1998年10月の世界銀行監督者会議において、また、その後は2年ごとに、再調査が行われることとなっている。
  10. バーゼル委員会は、全ての国が当「コア・プリンシプル」と整合性を確保することは、国内的及び国際的に金融の安定性確保のプロセスの中の大きな前進になることを確信している。この目的を達成するのにどの程度の時間がかかるかは様々であろう。多くの監督当局は現在、諸原則全てを実施する法的権限を有していないため、多くの国で本質的な法的枠組みの変更や監督当局の権限の変更が必要となるであろう。バーゼル委員会は、こうした場合には、当諸原則が全ての重要な面で適用されうるよう所要の法改正につき、各国の立法者が早急に検討することが不可欠である、と確信している。そうした新たな法律制定の必要性に関しては、実施に向けてのモニタリング・プロセスの中で、バーゼル委員会によって斟酌されるであろう。
  11. バーゼル委員会は、Compendium に掲載されている文書で行ったように、主要なリスク分野及び銀行監督上の主要な項目について、その基準設定活動を追求し続けるであろう。「バーゼル・コア・プリンシプル」は、当委員会が将来の活動を、適切な場合には他の機関と協力して、行っていくうえでの基点となるであろう。当委員会は、他の監督機関や関心を持つ関係者と共に、個別国レベルで当諸原則を実施に移す作業を推奨する用意がある。最後に、当委員会は、非G10諸国の監督当局との交流を強化し、技術支援及び研修に対するこれまでの大きな投資を維持していくことにコミットしている。
  12. 25のコアとなる諸原則は以下に示されている。

実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則のリスト

実効的な銀行監督のための前提条件

  1. 実効的な銀行監督システムでは、銀行監督に関与している当局のそれぞれに明確な責任および目的が与えられているであろう。該当する各当局は、機能上の独立性や適切な資源を有するべきである。また、銀行設立の認可及び継続的な監督、法律及び健全性基準 (safety and soundness concerns) の遵守状況に対処する権限、監督官への法的保護といった規定を含め、銀行監督に関する適切な法的枠組みが必要である。監督当局間での情報の共有及びこれらの情報の機密保持のための取決めもなされているべきである。

免許と銀行組織

  1. 免許を付与され、銀行として監督に服すべき組織が行うことのできる業務は、明示的に定義されなければならない。また、「銀行」という名称の使用は、可能な限り管理されるべきである。
  2. 免許付与当局は、免許付与の基準を設定し、一定の基準に満たない企業の申請を却下する権限を有していなければならない。免許付与のプロセスでは、最低限、銀行の株主構造、取締役及び上級管理職、業務計画及び内部管理、資本基盤を含めた財務状況の見積もりに対する評価を行わなければならない。提案されている所有者あるいは親会社が外国銀行である場合は、母国監督当局の事前の同意が得られているべきである。
  3. 銀行監督当局は、現存の銀行に対する主要な所有権や支配力を他の主体に移譲させる提案を点検し、棄却する権限を持っていなければならない。
  4. 銀行監督当局は、銀行による大型の買収や投資を点検し、関連会社との関係や銀行の組織構造が銀行を不当なリスクに晒したり、実効的な監督を妨げることがないようにするための基準を設ける権限を有していなければならない。

健全性規制

  1. 銀行監督当局は、銀行が引受けるリスクを反映した最低所要自己資本の量を設定し、損失を吸収する能力を勘案したうえで自己資本の内容を定義しなければならない。国際的に業務を行っている銀行に関しては、こうした規制は、バーゼル自己資本合意で設定された所要自己資本量を下回ってはならない。
  2. 監督システムの重要な要素は、貸出や投資の決定、貸出・投資ポートフォリオの継続的管理に関する銀行の方針、慣行及び手続きに関する独立の評価である。
  3. 銀行監督当局は、資産内容や貸倒引当金・準備金の妥当性を評価するための適切な方針、慣行及び手続きを銀行が設定し、それが守られていることに関し、納得させられなければならない。
  4. 銀行監督当局は、ポートフォリオ内の集中を経営陣が認識することが可能な経営情報システムを銀行が有していることに納得させられなければならず、単一の借り手あるいは関連のある借り手グループに対するエクスポージャーを制限するような健全性維持のための上限を設定しなけなければならない。
  5. 関連貸出による乱用を防ぐため、銀行監督当局は、銀行が関連ある会社や個人向けには arm's-length ベースで貸出を行うこと、当該貸出が実効的にモニターされること、リスクを管理ないしは軽減するための他の適切な方策が採られることを条件としなければならない。
  6. 銀行監督当局は、銀行が、その国際的な貸出・投資活動に付随するカントリー・リスク及びトランスファー・リスクを識別・モニターし、管理するために適切な方針及び手続きを有し、こうしたリスクに対して適切な引当が行われていることに関し、納得させられなければならない。
  7. 銀行監督当局は、銀行がマーケット・リスクを正確に測定・モニターし、適切に管理するシステムを有していることに納得させられなければならない。監督当局は、正当な理由がある場合に、マーケット・リスク・エクスーポージャーに対して特定の上限を設定する権限と、特定の自己資本を賦課する権限の双方ないしはいずれかを有していなければならない。
  8. 銀行監督当局は、銀行が、その他の全ての重要なリスクを識別・測定し、モニター・管理し、適切な場合にはこれらのリスクに対して自己資本を積むための包括的なリスク管理プロセス(適切な役員会および上級管理者の監視を含む)を有していることに納得させられなければならない。
  9. 銀行監督当局は、銀行が業務の性質及び規模に応じた内部管理を実施していることを確認しなければならない。これには、権限及び責任の委譲のための明確な取決め、銀行の与信・資金の支払い・資産及び負債の経理のそれぞれの機能の分離、これらのプロセスの統合、資産の保全、適切な独立した内部あるいは外部監査及び適用される法律・規則の遵守状況を検査するためのコンプライアンス機能、といったものが含まれるべきである。
  10. 銀行監督当局は、銀行が、金融部門における高水準の倫理的・職業的基準を促進し、銀行が意図的ないしは意図せずして犯罪分子に用いられることを防ぐための、厳格な「顧客を知る」ルールを含む、適切な方針、慣行及び手続きをとることを確認しなければならない。

継続的な銀行監督の手法

  1. 実効的な銀行監督のシステムは、何らかの形態のオン・サイトおよびオフ・サイトの双方の監督によって構成されるべきである。
  2. 銀行監督当局は、銀行の経営者との定期的なコンタクトを有し、金融機関の業務に精通していなければならない。
  3. 銀行監督当局は、単体及び連結ベースで、健全性に関する報告書及び統計報告書を徴求し、調査し、分析する手段を持たなければならない。
  4. 銀行監督当局は、オン・サイトの検査・考査もしくは外部監査人の活用を通して、監督に関する情報について独自に検証する手段を持たなければならない。
  5. 銀行監督の重要な要素は、監督当局が連結ベースで銀行組織を監督しうることである。

徴求情報

  1. 銀行監督当局は、銀行の財務状況や業務の収益性について正確かつ公正に把握することを可能にする、整合的な会計基準や慣行に沿った適切な記録が各銀行で保管されていることに納得させられなければならない。また、当局は、銀行が、財務状況を公正に反映する財務諸表を定期的に公表していることに納得させられなければならない。

監督当局の公式の権限

  1. 銀行監督当局は、銀行が健全性基準(例えば、最低自己資本比率規制)を満たせなかったとき、規制違反が存在するとき、もしくはその他の何らかの形で預金者が不安を抱かされた場合には、是正のための措置を採り得るような適切な監督手法を持ち合せていなければならない。

クロスボーダーの銀行業務

  1. 銀行監督当局は、世界中に広がる銀行組織の業務、特に外国の支店・子会社の業務の全ての主要な側面に対し、適切にモニターし、適切な健全性基準を適用するようなグローバルな連結ベースの監督を行わなければならない。
  2. 連結ベースの監督の主要な要素のひとつは、現地監督当局を始めとする様々な他の関係する監督当局と接触を設け、情報交換を行うことである。
  3. 銀行監督当局は、外銀の現地業務が国内の金融機関に求められるのと同様の高い水準で行われることを要求しなければならず、母国監督当局が連結ベースの監督を実行するうえで必要とする情報を共有する権限を持っていなければならない。