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ジョイント・フォーラムによる金融コングロマリットの監督に関するペーパー

(日本銀行仮訳)

1999年 2月19日
バーゼル銀行監督委員会
証券監督者国際機構
保険監督者国際機構

日本銀行から

 資料全文の仮訳は、こちら(bis9902a.pdf 286KB)から入手できます(2000年 2月28日掲載)。

プレス・ステートメント

 バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)、証券監督者国際機構(IOSCO)および保険監督者国際機構(IAIS)は、金融コングロマリットに関するジョイント・フォーラムが作成した、金融コングロマリットの監督に関する資料を公表する。

 これらのペーパーは、金融コングロマリットの継続的な登場、および銀行・証券・保険各分野の金融機関活動の区分の不鮮明化から発生する最も重要な監督上の問題に対処する上で、重要な前進となるものである。ペーパーで取り上げられている問題は、次のとおりである。

  • 過度のギアリングの発見を含む、コングロマリットの自己資本充実度を評価するための技術
  • 監督者間の情報交換の促進
  • 監督者間の協調
  • コングロマリットの経営者および主要株主の適格性のテスト

 世界の監督当局は、金融コングロマリットの登場により発生する問題に対処するため、着実に行動している。バーゼル委並びにIOSCOおよびIAISの専門委員会は、各機関のメンバーがこれらのペーパーに規定されている諸原則を実行するよう、推奨している。

 これらのペーパーを作成するに先立ち、ジョイント・フォーラムは、国際的に活動する14の主な金融コングロマリットに対して集中的な調査を行った。また、ペーパーを完成するまでの間、業界および広範囲の監督者より、広く意見聴取を行った。

 ジョイント・フォーラムに関する基礎情報と公表された文書の概要は、別添のとおりである。

 ジョイント・フォーラムの文書は、BISのWebsite (http://www.bis.org(外部サイトへのリンク))およびIOSCOのWebsite (http://www.iosco.org(外部サイトへのリンク)) から入手可能である。


(別添)

解説ノート

金融コングロマリットに関するジョイント・フォーラムの基礎情報

 ジョイント・フォーラムは、金融コングロマリットに関する監督上の諸問題を検討していた前身のグループである「三者会合」の作業を前進させるために、1996年の初めにバーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)、証券監督者国際機構(IOSCO)および保険監督者国際機構(IAIS)により、設立された。ジョイント・フォーラムは、各監督分野を代表する、各同数の銀行、保険、証券の主要な監督者から構成されている。ジョイント・フォーラムには、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国および米国の13カ国の代表が参加しており、また、オブザーバーとしてEU委員会が参加している。

 オーストラリア証券取引投資委員会のアラン・キャメロン委員長が、1997年11月27日からジョイント・フォーラムの議長を務めている。オランダ中央銀行のトム・デ・スワン前理事から引き継いだものである。金融コングロマリットの登場と広範化、および金融各分野における企業活動の区分の不鮮明化により、監督の手法およびアプローチをより効果的にするための協調の必要性が高まっている。バーゼル委、IOSCOおよびIAISは、ジョイント・フォーラムにおいて各監督分野からの代表が一同に会することは、金融コングロマリットから発生する監督上の課題に対処するために必要な協調精神を築く上で大きな意義を有するものであると考えている。

 ジョイント・フォーラムではそのマンデートを履行するため、過去に次のことを行ってきている。(a)同一分野内および異なる分野間での監督者間の情報交換を容易にするための、国内および国際的なレベルでの実用的な手段を追求し、(b)同一分野内および異なる分野間での監督者間の情報交換を妨げている法的その他の障害を調査し、(c)コーディネーターの責務を特定し、かつ明確にするための基準を設けることの利益および不利益を含め、監督上の協調を強化するための方法を検討し、(d)金融コングロマリットに属する規制対象企業に対するより効果的な監督のための原則を策定した。

 ジョイント・フォーラムは、複合的な組織上および管理上の構造を持ち、国境および金融分野の境界をまたぎ広範な活動を行っている多角化した金融業に主な焦点を当ててきた。しかしながら、ジョイント・フォーラムは、ここで得られた教訓および作成されたガイダンスが、より小さなコングロマリットあるいは国内的に活動しているコングロマリットにも適用できるものと確信している。

金融コングロマリットの監督に関するペーパー

 ジョイント・フォーラムが作成した以下のペーパーは、バーゼル委並びにIOSCOおよびIAISの専門委員会による承認の上、公表された。監督当局に対し、以下のペーパーで規定されている諸原則を実行することが勧告されている。

  1. A 「自己資本の充実度に関する諸原則」
  2. B 「自己資本の充実度に関する諸原則の補論」
  3. C 「経営陣の適格性(Fit and Proper)についての諸原則」
  4. D 「監督上の情報交換に関する枠組」
  5. E 「監督上の情報交換に関する諸原則」
  6. F 「監督上の情報交換のためのコーディネーター」
  7. G 「監督者に対するクエスチョネア」

 「自己資本の充実度に関する諸原則」は、金融コングロマリットについてグループ全体の自己資本評価を容易にするための測定手法および原則について述べている。測定手法は、様々な監督者によって利用されている既存のアプローチの組合せに基づいており、おおよそ各アプローチと同等の結果をもたらすこととなっている。このペーパーは、すべての場合に適用されるひとつの手法を奨励するものではなく、むしろ既存の各分野毎のアプローチに依拠するものである。指針としての諸原則は、グループ全体の金融コングロマリットの自己資本を評価するうえで特定されるべき個別の問題に対処しており、監督者がその裁量を行使するにあたって評価結果が受入れ可能な範囲に収まるよう、補助することを意図している。「自己資本の充実度に関する諸原則の補論」は、測定手法を実際に適用する場合において発生する複雑な状況を例証し、説明するために作成された理論上の例示から構成されている。

 「経営陣の適格性についての諸原則」は、銀行、証券会社および保険会社のトップマネジメントの誠実さと能力が監督上重要であるという認識に立ち、金融コングロマリットに属する企業の監督者が、当該企業が確実かつ健全に経営されているか否かを評価する責任を果たすことを可能とするための指針を提示している。さらに、本ペーパーでは、個人および規制対象企業に関する、監督者間の協議および情報交換を促進するためにアレンジメントを推奨している。

 「監督上の情報交換に関する枠組」は、国際的に活動している金融コングロマリットに属する規制対象企業の監督者間の情報交換を容易にするための一般的な枠組について述べている。この枠組は、いくつかの金融コングロマリットの構造と運営を分析するために、ジョイント・フォーラムにより設けられたタスク・フォースにより実施された実態調査(マッピング・エクササイズ)に基づいており、金融コングロマリットに属する規制対象企業の監督のために特別の意味合いを持つ2つの次元、すなわち、1)企業活動の構成が業務系統に沿っているのか会社の法的構造に沿っているのか、2)会社の管理機能の構造がグローバルあるいは中央集権的なベースであるのかローカルベースであるのか、に焦点を当てている。このペーパーでは、金融コングロマリットの4つの「象限」への分類について述べるとともに、各象限の基本的な特徴および各象限ごとに発生する監督上の諸問題について概説している。

 「監督上の情報交換に関する枠組」に付属しているのが、タスク・フォースにより策定された「コングロマリット・クエスチョネア」であり、監督者が金融コングロマリットの構造と運営について理解を深めることに資する有益な手段であると考えられる。このクエスチョネアは、一方的、双方的、あるいはマルチのベースで、監督者により利用することができ、コングロマリットの代表者との議論を促し、監督者がコングロマリットのリスク・プロファイル、コントロール・システム、および組織やマネジメントの構造について理解を深めることに資するものである。緊急時において監督者に有益な情報のタイプの概要についても本ペーパーに付属している。

 「監督上の情報交換に関する原則」は、金融コングロマリットに対する監督上の枠組をより効果的なものにすると考えられる監督者間の情報交換のアレンジメントを促進するために監督者を補助する、いくつかの指針となる原則について述べている。ガイダンスは、監督者にとっての情報のニーズが、監督者自身の目的とアプローチ、および個々の金融コングロマリットの組織や構造を含む多くの要因により大きく異なることを認識したものとなっている。本ペーパーにはG7蔵相により発出された監督上の情報交換に関する重要な10原則が付属している。

 「監督上の情報交換のためのコーディネーター」は、単独または複数のコーディネーターの特定を可能にするための指針、および緊急時と非緊急時における監督者が選択できる単独または複数のコーディネーターの役割と責務についてのコーディネーションの要素のカタログを、監督者に提示している。

 「監督者に対するクエスチョネア」は、タスク・フォースにより策定され、利用された。このクエスチョネアは、監督者が、相互の目的と実務をよりよく理解することに資するための手段である。ジョイント・フォーラムによる今後の継続作業およびクエスチョネアの利用により得られた経験は、そのカバレッジをより高め、このクエスチョネアを監督者の目的と実務をより良く理解するための、また金融コングロマリットに関する監督者間の情報交換を一段と容易にするための、より有益な手段とするであろう。

市中協議手続

 1998年2月半ば、バーゼル委、IOSCOおよびIAISは、業界および広範囲の監督者に対し一定期間の市中協議にかけるため、これらのペーパーを公表した。コメントは、公式には、1998年7月31日に締め切られた。世界中の金融機関、政府・監督機関、その他の関係者より、約60の文書によるコメントが寄せられた。これらのコメントは、全体的にはジョイント・フォーラムの活動をサポートするものであり、多くの有益な助言により、ペーパーに修正、改善、明確化が施された。

 ジョイント・フォーラムでは、資本充実度原則に関する実際的なテストを行い、さらにコーディネーターの特定がもたらす実務的な問題を考慮して、協議手続を補完した。

 ジョイント・フォーラムは、市中協議期間中に提出されたコメントとテストの結果を考慮して、このペーパーを確定した。

継続作業

 ジョイント・フォーラムは現在、1)金融コングロマリットにおけるグループ内取引およびリスク集中、2)コングロマリット構造の透明性に関する作業を継続中である。