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レバレッジの高い業務を行う機関(HLIs)に関するバーゼル銀行監督委員会のレポート——1年目の検証

(日本銀行仮訳)

2000年1月25日
バーゼル銀行監督委員会

日本銀行から

 「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引:バーゼル委員会が提言したサウンド・プラクティスの実施状況」は、こちら (bis0001b.pdf 66KB) から入手できます。

プレス・リリース

 バーゼル銀行監督委員会は本日、レバレッジの高い業務を行う機関(Highly Leveraged Institutions、以下HLIs)がもたらすリスクへの対処について、銀行と監督当局の双方が進歩を遂げていると公表した。これは、1998年のロングターム・キャピタル・マネジメント社(Long-Term Capital Management)の破綻危機に学んだ教訓に沿ったものである。もっとも、HLIsに対する銀行のリスク管理アプローチにおける改善を定着させ、強化するためには、更なる努力が必要であると当委員会は考えている。

 この見解は、当委員会が、「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引に関する健全な実務のあり方」と題するレポートを公表して以来一年の間に、銀行および監督当局がどのような措置を採ったかを検証した本レポートの中で述べられている。バーゼル委員会の議長を務めるニューヨーク連邦準備銀行のWilliam J McDonough総裁は、「HLIsは今後とも活動を拡大し、金融市場の重要なプレイヤーであり続けると見込まれるだけに、当委員会が今回、自らの昨年の提言に対して銀行および規制当局が如何に反応したかを検証したことは重要である」と述べて、本レポートを歓迎した。

 本レポートは、当委員会の提言に対する銀行と監督当局双方の反応について、読者の注意を喚起している。HLIsとの取引における潜在的リスクと問題点に対する銀行の認識、HLIsに対する与信政策におけるデュ−・ディリジェンス、担保管理取極め、およびリスク計測の実務といった分野において、様々な度合いの進歩がみられた。こうした改善は、HLIsの業務が金融システムに及ぼす潜在的なリスクを削減する上で重要な役割を果たしている。監督当局は、自国の銀行にバーゼル委員会の懸念と提言を知らしめるため、様々な措置を採ってきた。銀行が対HLIs取引を大規模に行っている国をはじめとして、一部の国の監督当局は、定期的なオンサイトの検証に際しHLIsに係るリスク管理の方針と実務を検証するようになった。また、対HLIs貸出、あるいはHLIsとの間のデリバティブ等の取引からもたらされる有担および無担のエクスポージャ−など、詳細なエクスポージャー情報の提供を求め、そうした情報を入手した監督当局もある。

 当委員会のHLIsワーキンググループの議長を務め、当委員会メンバーでもあるJan Brockmeijer 氏は、更なる努力が必要であることに注意を喚起して、こう述べている。「過去一年間に進歩が見られたとはいえ、業界レベルにおいても個々の金融機関レベルにおいても、更なる努力を要する重要な分野が残っている。そのような分野には、将来の潜在的エクスポージャーの測定、担保管理技術、ストレステストといった技術的な分野が幾つか含まれる」

 本レポートは、監督当局が個別金融機関に対して更なる努力を促し続けることが必要である旨強調する一方、そのためには業種間の調整が必要であることを十分に認識している。その意味で、当委員会は、1999年11月に証券監督者国際機構(IOSCO)が「Hedge Funds and Other Highly Leveraged Institutions」と題する報告書を公表したことを歓迎する。当委員会としては、IOSCOが規制対象証券会社の節度ある実務に関して行ったこれらの提言は、当委員会自身が銀行に対して行った提言と軌を一にしていると考えている。こうした共通のアプローチを採ることは、競争圧力により節度ある実務が損なわれることを回避する上で不可欠である。

 こうした気運を維持するため、バーゼル委員会の代表者とIOSCOのHLIsタスクフォースのメンバーがグループを組成し、HLIsとの取引における銀行と証券会社のリスク管理実務について、共通の関心分野を明確にすることが提案される。IAISもまた、同機構メンバーにとって特に関心の対象となる保険関連事項があれば、このグループに参加することもあり得よう。

 本グループはその後、一定期間のうちに、難易度の高い技術的案件(将来の潜在的エクスポージャーの測定、流動性の評価、ストレステストなど)およびリスク管理プロセス全般の改善の双方について、業界の進歩を定期的に評価することとなろう。

バーゼル銀行監督委員会

 バーゼル銀行監督委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スウェーデン、スイス、英国及び米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表により構成される。現在の議長は、ニューヨーク連邦準備銀行のWilliam J McDonough総裁である。委員会は通常、常設事務局が設けられているバーゼルの国際決済銀行において開催される。

レバレッジの高い業務を行う機関についてのワーキンググループ(HLIsワーキンググループ)

 HLIワーキンググループは、HLIsがもたらすリスクの性質を分析し、HLIsに対する銀行のリスク管理実務を評価し、それらのリスクに対処するための今後の政策対応を検討することを使命として、1998年10月にバーゼル委員会により設立された。本ワーキンググループは、バーゼル委員会メンバー機関の一部から選ばれた監督当局の専門家から成り、オランダ中央銀行のJan Brockmeijer次長が議長を務めた。本ワーキンググループは既に解散し、HLIsに係る今後の作業はバーゼル委員会のリスク管理小委員会およびその他の適切なワーキンググループにより行われる。

HLIとは何か

 バーゼル委員会は、HLIsを正確に定義することが極めて難しいことを認めている。当委員会が1999年1月のレポートにおいて行った分析は、直接的な規制・監督を殆どないし全く受けておらず、ディスクロージャー義務も限られており、かつ、レバレッジの高い大規模金融機関に焦点を当てたものとなっている。当委員会は、いわゆるヘッジファンドの全てではないが一部はこうした性質を備えており、また、銀行・証券会社といった中核的な金融機関の中にもこれらの性質の一部を備えている例が多いことを認識している。従って、本レポートは、業態の如何を問わず、これらの性質に起因する特殊なカウンターパーティー・リスクを抱える機関との間で銀行が行う取引を対象としている。

当委員会の既公表レポート

 当委員会は、金融市場の変化に対応するため、かつ、銀行に対して節度あるリスク管理実務を促すために当委員会が継続的に行っている努力の一環として、1999年1月に2つのレポートを公表した。すなわち、「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引」、および、そうした取引に係るガイダンスとしての「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引における健全な実務のあり方」である。いずれのレポートも、BIS website(http://www.bis.org(外部サイトへのリンク)の、"publications"コーナー)から入手可能である。

カウンターパーティー・エクスポージャー合計値のモニタリング

 カウンターパーティー・エクスポージャー合計値のモニタリングは、「与信に相当する」エクスポージャーの適切な計測手法に基づいて行われるべきである。HLIsに対するカウンターパーティー・エクスポージャー合計値のかなりの部分を占めるOTCデリバティブ契約から生じるエクスポージャーを測定するためには、現在のエクスポージャーに係る情報のみならず、将来の潜在的エクスポージャーを測定するための整合性のある手法が必要となる。当委員会は、銀行業界に対し、将来の潜在的エクスポージャーを測定する手法を改善し、かつ標準化する努力を継続するよう勧奨する。

本レポートの全文をどこで入手できるか

 「銀行と、レバレッジの高い業務を行う機関との取引:バーゼル委員会が提言したサウンド・プラクティスの実施状況」のテキストは、2000年1月25日の欧州中央時間の12時より、BIS website(http://www.bis.org(外部サイトへのリンク)の、"publications"コーナー)から入手することができる。また、バーゼル委員会の事務局(e-mail:baselcommittee@bis.org)や、バーゼル委員会のメンバーである銀行監督当局や中央銀行からも入手可能である。