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電子バンキンググループの活動の趣旨および白書

(日本銀行仮訳)

2000年10月
バーゼル銀行監督委員会

日本銀行から

 白書(「クロスボーダー電子バンキングにおける監督上の課題」および「電子バンキングのリスク管理における監督上の課題」)を含む全文は、こちら (bis0010a.pdf 99KB) から入手できます。

活動の趣旨の概要

 電子バンキンググループ(Electronic Banking Group、EBG)の作業計画には、電子バンキング業務に関する健全な監督ガイダンスを設定・共有するために銀行監督当局は積極的に協力し合うべきである、との共通認識が反映されている。こうした努力は、電子バンキングに対する世界各国の銀行監督当局の監督アプローチを調和させるための礎となろう。また、こうした努力は、銀行サービスを電子的に提供するための効率的な市場の発展を妨げる要因を減じることにもつながるであろう。

 EBGは、電子バンキングが未だ初期の段階にあることを考慮し、技術革新を制限しかねない規制色の強い提言や規範的な基準を提示することは不適切であると考える。従って、EBGの現段階における作業計画は、監督当局による問題の分析と対話を支援することを主眼とし、それによって電子バンキング業務に対する健全性監督の枠組みが発展してゆくことを期待するものとなっている。合理的な健全性基準は、銀行業界および同業界のサービスを享受する消費者を利するであろう革新や競争を阻害することなく、安全かつ健全に業務が遂行されるようなものでなければならない。

 こうした観点から、EBGの活動は以下の項目に焦点を当てたものとなる。

1.EBGは、今日までに行われた作業や現在進行中の作業を踏まえ、電子バンキング業務における慎重なリスク管理のあり方を指し示す原則(guiding principles)を策定する

 本ガイダンスは、特に電子バンキングを対象として、バーゼル委員会の既存のリスク管理原則を延長したものに相当する。本ガイダンスは、電子バンキングに係るリスクを認知・査定・管理・統制する際に銀行がどのようなアプローチを採ることが望ましいかについて、監督当局が銀行に期待すべき事柄を概説したものである。

 EBGは本作業の一環として以下のことを行う。

  • 銀行業界と協力し、テクノロジーのアウトソ−シング、ネットワークとデータのセキュリティ、および急速に進展するその他の分野において、健全なリスク管理実務を把握し、その適用を促進する。
  • 新しいテクノロジーおよび生成する電子バンキングのビジネスモデルが銀行業界に及ぼす潜在的な影響を継続的に分析する。情報サービスやテクノロジー関連企業の金融部門への参入も含めた状況展開は、銀行の商品・サービスのグローバル化および均一化(commoditization)を加速する可能性があり、その結果、銀行業界のみならず商取引全般に多大な影響が及ぶことが予想される。

 銀行および銀行監督当局の間には、電子バンキング業務に対しては伝統的な銀行業務と同様のアプローチで臨むべきであるという一般的な了解があるが、電子バンキングの特殊な性質を考えれば、なお分析と継続的な検討が必要である。テクノロジーの変化が急速であること、および、銀行がアウトソ−シングや業務提携のかたちでサービス・プロバイダーに依存する傾向にあるため、一部の伝統的リスクは様相を変えたり拡大したりする可能性がある。

 電子バンキングに対する監督プロセスは、状況変化に対応し得るよう十分に動的でなければならない。テクノロジーのアウトソーシングに係る管理やデュー・ディリジェンス、セキュリティ管理、金融サービスと非金融サービスのウェブサイト上でのリンク、アグリゲーション(aggregation1など、電子バンキングを巡る重要な諸問題は、銀行監督当局と銀行業界代表との間で協力的な意見交換を行うことが有益であることを示している。

2.EBGは、クロスボーダー電子バンキング業務の適切な監督を支援するため、バーゼル委員会が公表した既存のガイダンスを修正する必要があるか、また、必要があるとすればどの点かを判断する

 EBGは、標記の努力の一環として、如何なるクロスボーダー銀行業務に対して現地当局の承認を求め、また現地規制を適用するかについて、各国監督当局が採用し得る様々なアプローチについての実務的な意味合いを検討する。

 ウェブ・サーバー、バックオフィス処理、その他の技術サポートを含め、電子バンキング事務が地元(ないし母国)の法域外において行われる可能性を展望すると、母国当局と現地当局が協力し、電子的に行われるクロスボーダー業務を有効かつ先験的に監督し得る体制を確保することの重要性は増しつつある。

3.EBGは、電子バンキングのリスクおよび同リスクに対処するための健全な実務を把握するため、銀行業界内部および公的部門と民間部門の間の国際的な協調努力を促進する

  • EBGは、電子バンキングの進展についての情報伝達、および関連リスクに対する適切な監督対応やクロスボーダー調整の促進を図るため、地域銀行監督者グループと協力する。
  • EBGは、電子バンキングの絶えず変化する現状と関連リスクを見極めるため、金融機関およびサービス・プロバイダーから継続的に情報を収集する。
  • EBGは、銀行・証券・保険業務およびそれらの市場に共通する電子商取引問題(リスク管理、法律問題、事務処理上の問題、セキュリティ問題等)について整合的な監督ガイダンスを策定するため、IOSCO、CPSS、IAIS等の国際金融市場監督団体との協調を図る。

 急速な発展を遂げつつある電子バンキングのデリバリー・チャネルは、本来的にボーダーレスな性質を帯びている。従って、全世界の金融市場監督当局は、共通のリスクについて情報を交換したり、適切なリスク管理実務の開発を支援したりするため、積極的に協力する必要がある。また、EBGメンバーは、それぞれの属する法域内の銀行およびインターネット・サービス・プロバイダーとの協議を継続し、状況変化、リスク、およびリスク管理に係る進展を分析すべきである。

4.EBGは、銀行監督当局が開発しつつある電子バンキングに関連する監督研修プログラムおよび教材の交換を奨励・促進する

 電子バンキングのデリバリー・チャネルは、技術的に複雑であるとともに急速に進化する性質を帯びているため、銀行監督当局は状況変化に遅れをとらないよう相当な努力を払わなければならない。従って、EBGメンバーやその他の世界各国銀行監督当局が開発した検査員向け研修教材やガイダンスを積極的に交換することは、極めて有益であろうと思われる。

 これにより、国際的な銀行監督界は、銀行システムの安全性と健全性を促進するとともに、電子バンキング業務の監督において競争条件の平等(level playing field)を実現・維持する能力を高めることにもなる。

  1. アグリゲーター(aggregator)は、銀行、異業種の何れでもあり得る。アグリゲーターは顧客の代理人として行動し、顧客が複数金融機関に有する口座に係る総合情報を提供する。顧客から所要のセキュリティ・パスワードないしID番号を渡されたアグリゲーターは、主としてスクリーン・スクレーピング(screen scraping)という技術(他の金融機関のウェブサイトからデータを抜き取る技術、ウェブサイトの所有者である金融機関はこれを把握していない場合が多い)により口座情報を統合する。