公表資料・広報活動

ホーム > 公表資料・広報活動 > 公表資料 2006年 > 学生向けコンテスト「日銀グランプリ~キャンパスからの提言2006~」上位入賞論文(全文)と審査員の講評

学生向けコンテスト「日銀グランプリ~キャンパスからの提言2006~」上位入賞論文(全文)と審査員の講評

2006年 3月24日
日本銀行

 3月10日(金)に日本銀行本店にて、第1回日銀グランプリ~キャンパスからの提言2006~の決勝を開催しました。当日、最優秀賞、優秀賞に選ばれた論文の全文、および審査員の講評を、別紙1~4の通り公表します。

別紙1~3は、各チームから提出された論文を、そのまま画像イメージで転載しています。

別紙1:【最優秀賞】

別紙2:【優秀賞】

別紙3:【優秀賞】

別紙4:審査員の講評

本件に関する問合せ先

日本銀行情報サービス局 総務企画担当

加賀山(直通03-3277-2578)、外川(直通03-3277-2168)

以上


(別紙4)審査員の講評

審査員長:
岩田 一政 (日本銀行副総裁)
審査員:
須田 美矢子 (日本銀行政策委員会審議委員)
中原 眞 (日本銀行政策委員会審議委員)
山本 晃  (日本銀行理事)
湯本 崇雄 (日本銀行情報サービス局長)

総評

 日銀グランプリは、今回が初めての開催とあって、どのような成果が得られるか、主催者として少なからぬ期待感を持って臨みました。最終審査を終えた現時点では、当初期待していた通り、あるいはそれ以上の成果が得られたのではないかと感じています。決勝進出チームの作品はもとより、応募作品全49篇いずれにおいても、わが国の金融・経済の現状と将来について、自分達の問題として捉え、そこに見出される課題への対応策につき、若者らしい、みずみずしい感性に基づいた新鮮な提言がなされていました。力作揃いだったと思います。また、決勝進出チームに関しては、改めて申すまでもなく、提出作品が質的な面で僅差な中にあって、共通してプレゼンテーションも優れていて、手際よく自分たちの主張を展開されました。
 日銀グランプリは今後も毎年度開催していきます。次回以降も、ますます質的に充実したものとなり、金融・経済を巡る様々な問題についての柔軟で独創的な考察が、この場から生まれてくることを期待したいと思います。

個別の論文について

【最優秀賞】「電子ペーパーマネー・システムの構築」

 銀行券の取扱には、個々の生活者から中央銀行に至るまで、社会の様々な場面でコストがかかっています。本作は、こうしたコストの解消を実現するための新たな「おカネ」の在り方を提案した意欲作であると思います。具体的には、リアルマネー(紙幣、コイン)とバーチャルマネー(クレジットカード等)の双方の長所を兼ね備えた「電子ペーパーマネー」(電子ペーパーとICチップの組合せ)の導入という、斬新なアイデアを提起しています。
 こうした問題を論じる場合、様々なリスクに関する考察が欠かせません。この点、本提案には、セキュリティー面、プライバシー保護、導入と普及のための社会的コストといった各面で、解決すべき多くの問題が残されていることは否定できません。しかし、本提案の独創性、そして今後の決済インフラの在り方を考える上で、極めて示唆に富んだ内容であったという点を評価したいと思います。

【優秀賞】「自立的な地域経済へ向けた郵貯銀行による産業ファンド案」

 本作は、地域における中小企業金融の現状に関する肌理細かい分析を踏まえ、課題への対応策として、現在議論が進行している郵貯銀行に新たな機能を持たせることを提言した努力作であると思います。
 地域において、一般に不足しがちなリスクマネーの供給方法に工夫を要するという着眼点には共感できます。郵貯銀行の地域密着性の活用や産業ファンドの投資対象を「地域内の産業連関」に特化させるという興味深い発想もみられます。ただ、これが現実のビジネスモデルとして成立するかどうかは、文字通りハイリスク・ハイリターンの案件がどれだけ確保でき、提案されている産業ファンドおよびこれに出資する郵貯銀行が存続可能なだけの収益を上げられるか、という点にかかっています。そもそもそうした有望な案件が各地域にどの程度存在しているのか、また、的確なリスク評価を行い、案件を選別していける人材を十分に確保できるか、という点で、現実に存在するかなり高いハードルをクリアし得るような現状突破力のある提言が期待されます。

【優秀賞】「教育から考える若者の金融力育成~難しい金融から知りたい金融へ~」

 本作は、教育学部で実際に教職を目指している立場から、身の回りの学生に対するアンケート結果や、教育現場での実習の経験等を材料に、金融教育分野における現在の課題を具体的に浮き彫りにしています。身近な実体験に基づいているだけに、説得力を感じました。
 提案されている7つの施策の内容には、やや斬新性に欠けるとの印象も受けました。ただ、金融教育の問題を、単なる金融知識の習得という次元に止めず、いわば「生き方の教育」にも繋がるような幅の広い問題意識に立って考察している点に意義深さが認められます。
 これからも、具体的な施策の検討もさることながら、「なぜ金融教育が必要なのか」、「どのような内容の金融教育が求められるのか」という、より本質的な議論についても、一層の掘り下げを行っていって頂きたいと思います。

【敢闘賞】「補完通貨『輪(りん)』導入企画案」

 本作では、地域における中小企業金融の強化を図るため、公的機関が保有する国債を原資とする中小企業向け貸出を、補完通貨「輪(りん)」の発行という形を通じて行う興味深いスキームを提案しています。ただ、「輪」を導入することの必然性、また、「輪」を発行する管理銀行の業務に関する細部とその実現可能性について、考察不足が否めなかったという印象が残りました。
 独創性の高い提案であるだけに、今後の堀り下げを期待したいと思います。

【敢闘賞】「持続的経済成長への金融的アプローチ」

 本作では、景気の長期低迷と各経済主体の金融緩和依存に基づく「弱気期待」が、将来の金融力を阻害するリスクがあるとの問題意識の下で、その望ましい克服過程について考察しています。
 論旨は明快で、プレゼンテーションも理路整然としたものでしたが、問題提起に止まっている点に物足りなさを感じました。提言された課題への具体的かつ独創的な処方箋の提示が望まれました。

以上