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学生向けコンテスト「第2回 日銀グランプリ~キャンパスからの提言~」入賞論文(全文)と審査員の講評

2006年12月25日
日本銀行

12月9日(土)、日本銀行本店にて「第2回日銀グランプリ~キャンパスからの提言~」の決勝を開催しました。当日、最優秀賞、優秀賞に選ばれた論文の全文、プレゼンテーション資料、および審査員の講評を別紙1~5の通り公表します。

別紙1~4は、各チームから提出された論文、プレゼンテーション資料をそのまま画像イメージで転載しています(別紙2~4は決勝での発表順)。

別紙1:【最優秀賞】

別紙2:【優秀賞】

別紙3:【優秀賞】

別紙4:【優秀賞】

別紙5 :審査員の講評

本件についての照会先

日本銀行情報サービス局 総務企画担当

成毛(なるけ)(直通03-3277-2405)、外川(とがわ)(直通03-3277-2168)


(別紙5)審査員の講評

審査員長:
岩田 一政(日本銀行副総裁)
審査員:
池上 彰(ジャーナリスト)
渡邉 正太郎(前経済同友会副代表幹事・専務理事)
春 英彦(日本銀行政策委員会審議委員)
西村 清彦(日本銀行政策委員会審議委員)

(総評)

 日銀グランプリは、今回で2回目となりますが、全国から初回に劣らぬ力作が35篇集まりました。2回目ということもあり、前回の入賞作品の出来栄えなども参考にされたのでしょうか、全体として明快で、手際よく纏まった作品が多かったように思います。特に、本日の決勝もそうでしたが、首都圏だけでなく地方の大学から、地域の視点・問題意識に根ざした作品が多数寄せられた点が印象的でした。また、本日発表いただいた4チームの作品を始めとして、自らの「頭」と「足」を使って、わが国の金融・経済の現状を自分達の目線で捉え、分析し、オリジナリティのある提言に繋げているケースが数多くみられました。

 今回応募いただいた方々を始め、全国の学生の皆さんには、こうした新鮮で率直な問題意識と思考を今後も是非大事にしていただきたいと思います。そして、大胆で思い切った若者らしい発想も積極的に盛り込みながら、来年以降の日銀グランプリに新たな風を吹き込んでいただくことを、大いに期待したいと思います。

(個別の論文について)

【最優秀賞】「貯蓄から参加へ ~the longest journey~」

 「貯蓄から投資へ」の風潮が強まる中で、現在のわが国におけるその意味合いを改めて問い直し、「貯蓄から参加へ」という新機軸を打ち出した点は非常に新鮮で、魅力的です。人間の生活、生き方の中で貯蓄、投資をどう位置付けるか、という深みのある問題意識が窺われました。ソリューションの中核となる「現物配当型地方債」にもユニークさ、斬新さが感じられます。同時に、現物配当の中身の具体的提示や、関連法令のフォローも肌理細かくなされており、地に足のついた検討の跡が窺われました。また、プレゼンテーションも明快で、テキパキとした受け答えに好感が持てました。

 あえて課題を申し上げれば、現物配当型地方債というスキームにおいて、地域住民が投資しようと思うだけの魅力ある配当が実際問題として実現できるか、また債券発行主体の側からみて十分にペイするものとなり得るかというコスト面の問題などの検証には、やや物足りなさを感じました。優れたアイデアであるだけに、こうした経済合理性の視点も加味することで、より実現可能性の高い提案に繋げていくことを期待したいと思います。

【優秀賞】「資金循環システムの構築 ~地方からの脱却~」<以下、決勝での発表順>

 地方からの資金の域外流出を食い止め、地元企業に円滑に資金が行き渡るようにする仕組みとして、海外の事例も参考にコミュニティバンクの活用を提唱しています。優れているのは、起業をサポートする「起爆剤」としてのコミュニティバンクと、それをバックアップする信用金庫を組み合わせた点で、独創的であることに加え、実現可能性に対する配慮が窺われます。

 反面、信用金庫との提携は、「コミュニティバンクの機能を含めて信用金庫単独で担えるのではないか」との疑念にも繋がります。また、コミュニティバンク成立の前提となる、地域住民の出資を獲得するためのインセンティブ付けについても、十分な解が示されていないように思われました。コミュニティバンクの法的性格といった点も含め、国内外の先行事例のより丹念なフォローなどを通じて、一段と考察を深めてもらいたいと思います。さらには、地方から都市圏への資金供給の意義も含めて、より大きなスケールで資金循環を考えてみることにも意味があるのではないでしょうか。

【優秀賞】「地域通貨を用いた金融教育 ~学校通貨による地域活性化策~」

 地域通貨を用いた金融教育と地域活性化を結びつけた、大変ユニークな提案です。子どもたちにとっては、モノ・サービスの対価としての通貨の価値を実体験を通じて学べるだけでなく、お年寄りとの交流を通じて人間的にも成長する機会を得ることが期待できます。人間的な温かさに裏打ちされた、素朴で伸びやかな発想に好感が持てました。

 本構想を安定的なものとするためには、運営組織がしっかりしたものでなければなりません。この点、提言のような学校の先生方中心の仕組みでは、果たして十分にワークするのだろうかとの疑念を禁じ得ません。地域住民のボランタリーな協力を得るなどの工夫をもう一段考える必要があるのではないでしょうか。また、子どもとお年寄りが提供できるモノ・サービスの内容、人数構成にはそれぞれ偏りがある中で、「地域通貨による売買市場」がうまく均衡するかどうかという点も、実際問題としては無視し得ないポイントです。これらの点をさらに掘り下げてみてほしいと思います。

【優秀賞】「お母さんも出資をしてみるぞなもし ~徹底した情報開示による投資事業組合の再構成~」

 ベンチャー企業の円滑な資金調達と、「お母さん」を始めとする普通の市民が安心して投資できるような環境を、「投資マッチングセンター」という透明性の高い仕組みを通じて実現させようという、具体的でオリジナリティのある提案です。様々なデータを丹念にフォローしたり、地元の関係者の生の声を取材するなど、文字通り自らの「頭」と「足」を使って論旨を組み立てている点に大いに好感が持てました。また、若者らしいパフォーマンスに溢れたプレゼンテーションも印象的でした。

 一方で、このスキームには、透明性を求める余り、ベンチャー企業の生命線ともいえる「事業の機密」への配慮が不十分となっているとの感が否めませんでした。また、折角の「投資マッチングセンター」という優れたアイデアが、本来そうした業務を行う主体ではない日本銀行を担い手に設定したことで、やや現実から遊離した構想となってしまったことは残念でした。より現実的な形で投資マッチングセンターを運営する方策はないか、さらに検討を深めてもらいたいと思います。

以上