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学生向けコンテスト「第3回 日銀グランプリ~キャンパスからの提言~」入賞論文(全文)と審査員の講評

2007年12月28日
日本銀行

 12月15日(土)、日本銀行本店にて「第3回日銀グランプリ~キャンパスからの提言~」の決勝を開催しました。当日、最優秀賞、優秀賞および敢闘賞に選ばれた論文の全文、プレゼンテーション資料、および審査員の講評を別紙1~6の通り公表します。

別紙1~5は、各チームから提出された論文、プレゼンテーション資料をそのまま画像イメージで転載しています(別紙2~5は決勝での発表順)。

別紙1:【最優秀賞】

別紙:【優秀賞】

別紙3:【優秀賞】

別紙4:【敢闘賞】

別紙5:【敢闘賞】

別紙6 :審査員の講評

本件に関する問合せ先

日本銀行情報サービス局 総務企画担当

重茂(おもい) (直通03-3277-2405)


(別紙6)

審査員の講評

審査員長:
岩田 一政(日本銀行副総裁)
審査員:
高橋 伸子(生活経済ジャーナリスト)
林野 宏(経済同友会副代表幹事)
須田 美矢子(日本銀行政策委員会審議委員)
野田 忠男(日本銀行政策委員会審議委員)

(総評)

 3回目となる今回の日銀グランプリは、海外を含め全部で83篇の応募がありました。回を重ねるごとに、応募数もさることながら、内容もレベルアップしてきているように感じます。本日のプレゼンテーションも、組み立てや表現スキルにおいて社会人に見劣りしない見事なものでしたし、審査委員からの難しい質問に対しても動じることなく自らの主張を堂々と展開する姿は頼もしさを覚えました。

 今回は結果的に決勝5チームのうち4チームを首都圏の大学が占めることとなりましたが、地方の大学からの応募も多く、なかには決勝チームと僅差というものも少なくありませんでした。私は、全国各地で一人でも多くの学生の皆さんが、日本の経済・金融が直面している今日的な課題について自分たちのこととして深く考えて欲しい、そして日銀グランプリがその一つのきっかけになればと願っています。来年度も日銀グランプリを開催する予定ですので、全国の大学で学ぶ皆さんには引続き、斬新でユニークな発想を用いて挑戦していただけることを心から期待しています。

(個別の論文について)

【最優秀賞】「子ども未来投資基金 ~支える金融、つなぐ金融~」

 金融や経済に対する社会人の興味を引くため、子どもの教育資金を蓄えることを目的とした運用基金の設立が提案されました。同様の基金は海外にも例がありますが、社会人の金融リテラシーが高くないというわが国の現状認識に立って、専門家によるサポート体制を組み合わせ、貯蓄から投資へのステップアップを提案したところがユニークな点です。全体的に論旨や構成がしっかりしており、提案内容も具体的で細かい点まで配慮が行き届いていました。また、子育て基金が世代間の不公平感の緩和にも寄与し、さらには少子化の問題があるなかで世代間の架け橋になるという未来志向的な発想には感心しました。

 一方、実現可能性という観点からみた場合、この基金に金融機関が資金を拠出するインセンティブをどうするのか、運営や管理に必要なコストをどのように賄うのかといった点が課題となるものと思われますので、掘り下げて検討してほしいと思います。

【優秀賞】「続編ファンドの提案 ~消費者を投資家に ─コンテンツ産業成長の糸口~」<以下、決勝での発表順>

 映画ファンド自体はすでに定着しつつありますが、潜在的に続編を望む声が大きいという点に着目したところは、日常的な生活実感を背景にした学生らしい斬新な発想だと思います。また、コンテンツ業界の事情や関連する法律等をきちんと勉強している跡が窺われました。投資性の観点からは、初編での興行実績があることにより、将来収益を予測しやすくなるというメリットも大きいと考えられます。

 他方、コンテンツ産業の低成長は資金不足の要因のみによるものなのか、資金不足に直面するのは先行きが読めない初編の方ではないかといった疑問が残りました。また、複数の続編ファンドを纏めてしまうことで自分には関心がない他作品の続編にも投資することになるという逆効果があるように思いました。コンテンツに関する著作権や情報開示といった論点も含めて、幅広い観点からさらなる検討を深めて欲しいと思います。

【優秀賞】「金融商品取引法『適合性の原則』確認サイトの構築 ~Web2.0で広がる金融の世界~」

 金融商品取引法の施行に合わせ、現在問題となっている「適合性の原則」を取り上げ、その確認のために社会に分散している知力を結集できるサイトを立ち上げるという提案です。オープンソース方式とSNS(Social Network Service)方式を組み合わせることにより、単に幅広い意見を取り入れるだけでなく、信頼性も担保しようという仕組みには工夫の跡が認められます。具体的で分かりやすいプレゼンテーションにも好感が持てました。

 ただ、より実効性という観点で考えた場合、そもそも適合性とは客観テストのみによって正しく判断できるものなのか、国の関与が自己責任と矛盾する面があるのではないかといった疑問があることも否定できません。さらに金融機関側の説明能力をどう引き上げていくかなど、さらなる検討が期待されるところです。

【敢闘賞】「四国地域の夢ある「新産業創造企業」創出の提言!“金融機関は四国地域の産業・経済を活性化させるキーマン”」

 四国地方の活用可能な三大資源(金融資源、知的資源、人的資源)を丹念に調査し、それらを融合させることによって地元経済の発展に繋げるという建設的かつ具体的な提案です。高付加価値医薬資源創造企業の設立・育成という具体的な想定は地元ならではのユニークな発想だと思いました。また、四国経済に対する危機感をバネに何とか活性化に繋げたいという姿勢には、地元に対する深い愛着が感じられました。

 その一方で、民間だけでは成り立たず国や地方公共団体が関与する必要性があるのか、「キーマン」としている金融機関が具体的にいかなる役割を担うのか、投資ファンドとしての採算性を確保できるのか、など今一度、検討が必要と思われる点もみられました。類似のファンド・スキームも色々と存在しますので、それらも参考にしつつ、議論を深めて欲しいと思います。

【敢闘賞】「Venture for the Future~マイクロクレジット型金融の可能性~」

 発展途上国での低所得者向け融資で成功したマイクロクレジットの仕組みをわが国のベンチャー企業向け融資に応用することによって、直面する資金制約問題を解決しようという提案です。情報の非対称性に起因する各種問題を整理し、それらがマイクロクレジットの仕組みによって回避されるメカニズムもきちんと説明していました。また、わが国のベンチャー企業に当てはめた場合に予想される課題についても指摘したところは良かったと思います。

 その一方で、不確実性が非常に大きいベンチャー企業の投資資金と本来のマイクロクレジットが対象とした小口運転資金とでは基本的な性質において違いがあるのではないか、ベンチャー企業をグループ化することで返済力が改善することになるのか、有能なベンチャー企業の経営者にグループに加わるインセンティブがあるのかといった点には疑問が残りました。着眼点は面白いと思いますのでこれらの点について考えを深めてもらいたいと思います。

以上