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金融経済月報(概況)(1998年 1月)

1998年 1月20日
日本銀行調査統計局

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp9801.pdf 392KB)から入手できます。


 最近のわが国経済をみると、家計支出を中心とする内需減速の影響が、生産面や雇用・所得面に及びつつあり、企業マインドも悪化している。このように、景気は停滞色の強い状況にある。

 最終需要面をみると、純輸出は増加基調を続けており、設備投資も製造業を中心に緩やかに増加している。一方、個人消費については、消費税率引き上げの影響が一巡した後も、家計のマインドが慎重化していることから、低迷が長引いている。また、住宅投資が落ち込んだ状態を続けているほか、公共投資も減少傾向にある。こうした最終需要動向を背景として、在庫調整の動きが拡がっており、鉱工業生産は弱含みの展開となっている。さらに、雇用・所得の改善テンポも、鈍化を続けている。このように、生産・所得・支出を巡る前向きの循環は停滞してきている。

 先行きについては、外需が引き続き下支えに働くとみられるうえ、昨年末に発表された特別減税が、家計の支出に好影響を及ぼすことが期待される。しかし、在庫調整圧力が強まっているところへ、公共投資の減少が持続し、設備投資についても増勢鈍化が見込まれるため、今暫くは停滞色の強い展開が続くものとみられる。また、これまでの景気減速によって、わが国経済の追加的なショックに対する耐久力は低下してきているとみられるだけに、今後、アジア経済の調整の長期化・深刻化、金融機関の慎重な融資姿勢の強まりによる企業金融への悪影響、あるいは企業や家計のコンフィデンスの一層の低下、などの景気下押しリスクが発生することがないか、十分な注意を払っていく必要がある。

 この間、物価面をみると、財市場における需給の引き緩みを反映して、卸売物価が軟化している一方、消費者物価は、消費税率引き上げ等の制度変更要因を除いて、前年を若干上回る水準で推移しており、物価全体としては、これまでのところ安定した動きを示している。先行きについても、デフレ・スパイラルの懸念が高まった95年当時のように、為替円高によって輸入ペネトレーションが誘発され、競合する国内最終財価格を直接押し下げるという環境にはないだけに、当面、総じて安定的な推移を辿る可能性が高いとみられる。ただ、国内需給ギャップの縮小を見込みにくいことを踏まえると、アジアにおける需給の引き緩みなども視野に入れつつ、今後とも物価環境を丹念にみていくことが適当である。

 金融面をみると、TB利回りや長期国債利回りは既往最低圏で推移しているが、一部金融機関の経営破綻をきっかけに、信用リスク・流動性リスクに対する市場の意識が強まっており、短期金融市場のターム物金利や、社債・金融債利回りなどは、上昇・高止まりしている。このように、市場の景況感が引き続き弱い一方、金融システムに関する不透明感が高まるという状況のもとで、株価は低迷を続けている。また、為替レートは、対アジア通貨では円高が進んでいるが、対米ドルでは円安となっている。

 量的な金融指標をみると、民間金融機関の貸出は、計数面からみる限りこれまでのトレンドに大きな変化はみられていない。マネーサプライも、M+CDの前年比は概ね3%前後で推移している。しかし、金融機関の貸出姿勢は、株安・円安による自己資本面からの制約の強まりもあって、一段と慎重化する方向にある。貸出金利面でも、上記市場動向等を反映して、12月入り後は上昇圧力が強まっている。当面、以上のような金融面の動向が、実体経済活動に対してどのような影響を及ぼすか、注意深くみていく必要がある。

以上