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金融経済月報(基本的見解1)(1999年 6月)2

  1. 本「基本的見解」は、6月14日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、6月14日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

1999年 6月16日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp9906.pdf 642KB)から入手できます。


 足許の景気は、下げ止まっているが、回復へのはっきりとした動きはみられていない。

 最終需要面をみると、設備投資は、年明け後やや持ち直したが、基調としては引き続き減少傾向を辿っており、個人消費についても、全体として回復感に乏しい状態が続いている。また、純輸出(輸出−輸入)は、輸入の増加を主因に、足許はやや減少している。一方、住宅投資は、このところ持ち直しており、公共投資も、春先の発注大幅増を受けて、引き続き高水準で工事が進捗しているとみられる。

 このような最終需要の動向や、在庫調整が引き続き進捗していることを背景に、鉱工業生産は下げ止まっている。これらに加え、金融システムの建て直しに向けた取り組みなどの効果もあって、企業・消費者心理は下げ止まっているように窺われる。ただ、企業収益の低迷が続いているほか、失業率が既往ピークで推移し、賃金水準の前年割れが続くなど、家計の雇用・所得環境は引き続き悪化している。

 今後の経済情勢については、在庫調整の進展により生産回復の条件が整いつつあるもとで、政府の経済対策や日本銀行による金融緩和措置などが、引き続き下支え効果を発揮するほか、金融システム不安の緩和等金融環境の改善も、景気に対して徐々に好影響を及ぼしていくことが期待される。また、アジアをはじめとする海外景気の持ち直しは、生産面にいずれプラス効果をもたらすとみられる。しかし他方で、企業行動をみると、収益の長期低迷が続き、リストラの動きが本格化しつつある。こうした企業リストラは、生産性向上につながると期待される一方、短期的には、設備投資の抑制に働くほか、雇用・所得環境の悪化などを通じて家計支出にもマイナスの影響を及ぼす可能性がある。これらを踏まえると、民間需要の速やかな自律的回復は依然として期待しにくい状況にある。今後は、このような点に留意しつつ、経済情勢全般の動向を注意深くみていくとともに、経済の中期的な成長力確保に向けた構造改革を、円滑に進めていくことが重要と考えられる。

 物価面をみると、原油など国際商品市況の底入れを映じて輸入物価が引き続き上昇している。国内卸売物価においても、石油製品等一部市況関連商品が上昇に転じていることから、足許下落テンポは鈍化している。一方、企業向けサービス価格は下落が続いている。また、消費者物価は引き続き弱含みで推移している。先行きについては、軟調に推移している物価が、輸入物価上昇の影響などから、一時的に横這い圏内で推移する可能性もある。しかし、景気の下げ止まりが続くもとでも、需給ギャップの明確な縮小は当面見込み難く、賃金の軟化が続いていることなども考慮すると、物価に対する潜在的な低下圧力は、引き続き残存するものと考えられる。

 金融面をみると、金融市場では、オーバーナイト物金利がゼロ%に近い水準での推移を続けており、金融機関の多くには流動性確保に対する安心感が浸透している。ターム物金利は、金融緩和がしばらく続くとの見方のもとで、一段と低下した。ジャパン・プレミアムも引き続きほぼ解消された状態にある。また、国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドも縮小してきている。

 長期国債流通利回りは、5月下旬以降上昇し、最近では1.6〜1.7%程度での推移となっている。株価は、概ね1万6千円台での動きを続けていたが、足許では、1万7千円台に上昇した。

 この間、コール市場残高は、引き続き減少傾向を辿っている。これまでのところ資金決済面で支障が生じるといった事態はみられていないが、今後ともその動向を注視していく必要がある。

 金融の量的側面に関連して、民間銀行は、基本的に慎重な融資姿勢を維持している。ただ、民間銀行自身を巡る資金繰り面や自己資本面からの制約は緩和されてきており、そうしたもとで、大手行などでは、信用リスクの小さい融資案件を手はじめに、徐々に融資を回復させる姿勢に変わりつつある。

 しかし、企業の資金需要面をみると、設備投資などの実体経済活動に伴う資金需要が低迷を続けているほか、手許資金積み上げの動きも明瞭に収まってきている。この結果、民間の資金需要は一段と低調な状態となっている。

 マネーサプライ(M2+CD)は、企業による最近の手許資金取り崩しの動きが前年の同時期ほど広範ではないことから、前年比での伸び率は緩やかな上昇となっている。

 以上のような金融環境のもとで、企業金融を巡る逼迫感は、一頃に比べ和らいできている。

 今後、投資家のリスクテイク姿勢や民間銀行の融資態度の変化がさらにどの程度進み、こうした金融環境の改善が、企業の投資意欲など実体経済活動にどのような影響を与えていくか、十分注目していく必要がある。

以上