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金融経済月報(基本的見解1)(2001年 8月)2

  1. 本「基本的見解」は、8月13日、14日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、8月13日、14日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2001年 8月15日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp0108.pdf 657KB)から入手できます。


 わが国の景気をみると、輸出と生産の大幅な減少を主因に、調整が一段と深まっている。

 最終需要面をみると、個人消費は、総じてみれば、横這いで推移している。住宅投資は減少しており、公共投資も、補正予算の執行一巡に伴い減少に転じている。純輸出(実質輸出−実質輸入)は海外経済の減速、とりわけ情報関連財の需要低迷を背景に、減少が続いている。また、輸出環境の悪化が続く中で、設備投資も減少している。

 こうした最終需要の動向に加え、電子部品や素材の一部で在庫過剰感が強いこともあって、鉱工業生産は大幅な減少が続いている。企業の収益や業況感も製造業を中心に悪化している。こうした影響から、家計の所得形成も徐々に弱まりつつあるように窺われる。

 今後の経済情勢についてみると、公共投資は先行き、減少傾向を辿ると予想される。また、純輸出は、海外景気の減速や世界同時的な情報関連財の在庫調整が続く中で、当面、減少を続ける可能性が高い。設備投資についても、先行指標や企業の投資計画からみて、減少傾向を辿る公算が大きい。加えて、電子部品や素材における在庫調整の動きが当面継続することから、鉱工業生産は減少傾向が続くと見込まれる。

 年末辺りには、世界的な情報関連財の在庫調整が一巡し、海外経済についても米国を中心に回復に転じるとの見方がなお一般的であり、これを前提とすると、輸出はいずれ回復に向かい、生産の下支えに寄与すると思われる。ただし、世界的な情報関連需要や海外経済の動向に関しては、回復時期、その後の回復テンポの双方において、このところ慎重な見方が増えている。また、国内では、生産面を中心とする景気の調整が長引く中で、企業収益が減少するとともに、個人消費の裏付けとなる家計の所得形成も弱まっていくとみられる。

 以上を総合すると、わが国の景気は、当面、輸出の減少を起点とする調整が続くことは避けられないとみられる。また、生産の大幅な減少が、内需の減少を誘発しつつ、景気調整の広範化につながっていくリスクや、内外資本市場の動きが企業や家計の心理面などを通じて実体経済に悪影響を及ぼすリスクにも、留意が必要である。

 物価面をみると、輸入物価は、概ね横這いとなっている。国内卸売物価は、電気機器や素材等の下落が続いていることから、弱含んでいる。消費者物価は、輸入製品やその競合品の価格が低下しているため、幾分弱含みで推移している。企業向けサービス価格は、下落が続いている。

 物価を巡る環境をみると、これまでの円安は物価を押し上げる方向に作用している。しかし、景気の調整が続くもとで、国内需給バランス面からは、物価に対する低下圧力が働きやすい状況にある。このほか、技術進歩を背景とする機械類の趨勢的な下落に加え、規制緩和や流通合理化に伴う財・サービスの価格低下が引き続き下落方向に作用するとみられる。これらを総じてみれば、当面、物価は弱含みで推移するものと考えられる。また、今後の景気動向には不透明な要素が多いだけに、需要の弱さに起因する物価低下圧力がさらに強まる可能性にも留意が必要である。

 金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は、日本銀行当座預金残高を5兆円程度とする金融市場調節方針のもとで、概ねゼロ近辺で推移している。

 ターム物金利は、総じてみれば横這い圏内で推移している。ジャパン・プレミアムは、ほぼ解消された状態が続いている。

 長期国債流通利回りは、一時1.4%台前半まで上昇したが、最近では、概ね1.3%台前半で推移している。国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは、やや縮小している。

 株価は、年初来安値圏まで下落している。

 円の対米ドル相場は、最近では121〜123円台で推移している。

 資金仲介活動をみると、民間銀行は、融資先の信用力を慎重に見きわめつつ、優良企業向けを中心に貸出を増加させようとする姿勢を続けている。ただ、中小企業からみた金融機関の貸出態度には幾分慎重化の兆しがみられる。一方、社債、CPなど市場を通じた企業の資金調達環境は、金利の低下や投資家の信用リスク・テイク姿勢の強まりを背景に、改善傾向が続いている。

 資金需要面では、企業の借入金圧縮スタンスが維持されている中で、設備投資が減少していることから、民間の資金需要はこのところ減少傾向を幾分強めているとみられる。

 こうした中で、民間銀行貸出は弱めの動きが続いている。一方で、社債の発行残高は、良好な発行環境を反映して、伸び率を若干高める傾向にある。また、CPの発行残高も、前年を大幅に上回り、既往ピーク水準となっている。

 7月のマネーサプライ(M2+CD)は、郵便貯金等からの資金シフトの動きを主因に、前月に比べて幾分伸びを高めた。

 企業の資金調達コストは、きわめて低い水準で推移している。

 以上のような環境のもとで、金融機関の貸出姿勢や企業金融は、総じてみれば、緩和された状態が継続している。当面、日本銀行による金融緩和措置の波及効果を見守る一方で、株価や企業収益の状況などが、金融機関行動や企業の資金調達環境に与える影響についても、注視していく必要がある。

以上