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金融経済月報(基本的見解1)(2001年11月)2

  1. 本「基本的見解」は、11月15日、16日に開催された政策委員会・金融政策決定会合において、金融政策判断の基礎となる経済及び金融の情勢に関する基本的見解として決定されたものである。
  2. 本稿は、11月15日、16日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2001年11月19日
日本銀行

日本銀行から

 以下には、基本的見解の部分を掲載しています。図表を含む全文は、こちら(gp0111.pdf 660KB)から入手できます。


 わが国の景気をみると、生産の大幅な減少の影響が雇用・所得面を通じて個人消費にも及び始めており、調整は厳しさを増している。

 最終需要面をみると、純輸出(実質輸出−実質輸入)は海外経済の減速、とりわけ情報関連財の需要低迷を背景に、減少が続いている。輸出環境の悪化が続く中で、設備投資も引き続き減少している。住宅投資は低調に推移しており、公共投資も減少傾向にある。また、個人消費も、徐々に弱まりつつあるように窺われる。

 こうした最終需要の動向に加え、電子部品や素材で在庫過剰感が強いこともあって、鉱工業生産は大幅な減少が続いている。企業収益は製造業を中心に悪化しており、労働時間の減少や失業の増加が続く中で、家計の所得形成の弱まりも、はっきりとしてきている。

 今後の経済情勢についてみると、まず輸出環境の面では、世界同時的な情報関連財の在庫調整は、来春辺りまでには概ね一巡するとの見方が多い。しかし、米国における同時多発テロ事件以降、世界経済は一段と減速しており、そうした中で情報関連財の最終需要も、当面は低調に推移する可能性が高い。また、米国個人消費の不振が長引けば、わが国においても消費財等の輸出減少を起点に新たな調整が誘発されることも考えられる。

 一方、国内需要の面では、設備投資は、企業収益の減少が続くもとで、情報関連分野を中心に、減少傾向を辿るとみられる。個人消費も、雇用・所得環境の悪化や消費者心理の慎重化に伴い、弱めの動きが続く可能性が高い。このように、輸出・生産の大幅減少の影響が、家計所得を通じて個人消費にまで及んでいく中で、政府支出も減少基調を続けると見込まれている。このため、情報関連財の生産減少にはいずれ歯止めが掛かるとしても、生産活動が全体として下げ止まるまでには、かなりの時間を要すると考えられる。

 以上を総合すると、わが国の景気は、年初来の輸出の減少を起点とする景気の調整が続くもとで、内需がさらに弱まっていくことは避けられず、同時に、輸出の一段の減少が景気を下押しする懸念も強まっている。また、景気の脆弱な地合いが続く中で、内外資本市場の動きが企業や家計の心理面などを通じて実体経済に悪影響を及ぼすリスクにも、引き続き留意が必要である。

 物価面をみると、輸入物価は、国際商品市況の軟化などを反映して下落が続いている。国内卸売物価は、電気機器や素材等の下落が続いていることに加え、原油価格低下の影響もあって、下落幅が拡大している。消費者物価は、輸入製品やその競合品の価格低下を主因に、弱含んでいる。企業向けサービス価格は、下落が続いている。

 物価を巡る環境をみると、原油・非鉄等の国際商品市況は軟調に推移している。また、景気の調整が長引くもとで、国内需給バランス面から、物価に対する低下圧力が徐々に強まっていくとみられる。このほか、技術進歩を背景とする機械類の趨勢的な下落に加え、規制緩和や流通合理化に伴う財・サービスの価格低下が引き続き下落方向に作用するとみられる。これらを総じてみれば、当面、物価は緩やかな下落傾向を辿るものと考えられる。また、今後の景気動向には不透明な要素が多いだけに、需要の弱さに起因する物価低下圧力がさらに強まる可能性にも留意が必要である。

 金融面をみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は、日本銀行当座預金残高が6兆円を上回ることを目標として潤沢な資金供給が行なわれたこと等を受けて、ゼロ近辺で推移している。

 ターム物金利は、横這い圏内での推移が続いている。ジャパン・プレミアムは、ほぼ解消された状態が続いている。

 長期国債流通利回りは、幾分低下し、最近では概ね1.3%台半ばで推移している。国債と民間債(金融債、社債)の流通利回りスプレッドは、高格付債が概ね横這い圏内で推移している一方、低格付債ではやや拡大する動きが続いている。

 株価は、弱含みで推移したが、足許では反発している。

 円の対米ドル相場は、最近では121~122円台で推移している。

 資金仲介活動をみると、民間銀行は、優良企業に対しては貸出を増加させようとする姿勢を続ける一方で、信用力の低い先に対しては貸出姿勢を慎重化させる傾向が窺われる。中小企業からみた金融機関の貸出態度も引き続き慎重化している。社債、CPなど市場を通じた企業の資金調達環境は、低格付け企業の発行環境が幾分悪化しているが、概ね良好な地合いが続いている。

 資金需要面では、企業の借入金圧縮スタンスが維持されている中で、設備投資が減少していることなどから、民間の資金需要はこのところ減少傾向を強めている。

 こうした中で、民間銀行貸出は前年比2%程度の減少が続いている。社債の発行残高も、低格付け社債の発行が減少していることなどから、前年比伸び率は鈍化している。一方、CPの発行残高は、概ね良好な発行環境を反映して、前年を大幅に上回る高水準で推移している。

 10月のマネーサプライ(M2+CD)前年比は、前月に比べて幾分伸びを低めたが、高めの伸びが続いている。

 企業の資金調達コストは、総じてみれば、きわめて低い水準で推移している。

 以上のように、最近のわが国の金融環境は、金融市場の状況や金利水準からみれば、きわめて緩和的な状況が続いている。しかし、民間銀行や投資家の信用リスク・テイク姿勢は幾分慎重化しており、信用力の低い企業や中小企業では資金調達環境が厳しくなる動きがみられている。このため、今後の金融機関行動や企業金融の動向には、十分注意していく必要がある。

以上